著者
折山 早苗 宮腰 由紀子 小林 敏生
出版者
広島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

12時間交代制勤務に従事する看護師の夜勤時の休息・休憩状況と眠気や疲労を明らかにした。12時間夜勤者は16時間夜勤者よりも勤務前の仮眠時間が長かった。日勤は,長日勤より負担は大きく,特に,長日勤は,17:00以降に眠気や疲労が増加することが示された。以上より,16時間夜勤から12時間勤務にスムーズに移行する為には,長日勤時の17:00以降の疲労の軽減が重要であると考える。
著者
小池 透 熊谷 孝則
出版者
広島大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

ヒトゲノム解析がほぼ完了した現在,それらがコードする個々のタンパク質の機能解析が次のターゲットとなっている。その解析には一定量の純粋なタンパク質が必要となるため,主に大腸菌を宿主としたタンパク質発現系が繁用されている。しかし,ヒトのタンパク質(酵素など)を大腸菌で作らせる場合,タンパク質の折りたたみシステムが異なるため,インクルージョンボディと呼ばれるタンパク質の凝集体(非天然型構造のタンパク質,不活性型酵素など)が生成する場合が多い。本研究は,それらタンパク質の凝集体を,本来の活性を持つタンパク質へ変換する人工分子シャペロン(タンパク質三次構造の再構築介添分子)を開発するものである。研究期間内に亜鉛イオンを分子内に二つもつ新規の亜鉛化合物群を合成した。それらの亜鉛化合物の構造とアニオンやチオール物質との相互作用について,NMR,pH滴定,各種分光分析法により検討した。その結果,アニオン種の内特にリン酸基をもつ分子とナノモル濃度で結合することを世界で初めて発見し,それらの分子がリン酸化プロテオーム解析試薬として有用であることが明らかとなった。合成した二核亜鉛化合物は,タンパク質のチオール基やフェノール基と1:1の複合体を形成することも明らかとなった。
著者
加納 誠二
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究では尾根部の地震時応答を明らかにするため,模型を用いた振動台実験と被害のあった尾根部での常時微動測定を行った.振動台実験の結果,最も揺れが大きくなる周波数(1次ピーク)では稜線にほぼ平行な応答となっていた.また揺れの大きい範囲は尾根稜線の変曲点付近から尾根付け根までの長さの約2/3程度まで,高さ方向には尾根稜線から尾根高さの3〜4割程度であることがわかった.しかし高周波領域では,尾根の応答は稜線に直交するように加振しているにもかかわらず,稜線上にもほとんど揺れない点が現れるなど複雑な応答となることがわかった.常時微動測定の結果,健全な地点の卓越周期は宅地の標高や石積み擁壁の高さによる違いがみられず,ほぼ一定の値となった.地震による被害が見られた宅地では,卓越周期が長周期側の値となっており,宅地が緩んだために長周期側の値となった可能性が示されたが,一部では被害の見られない宅地でも卓越周期が長周期側の値となり,宅地内部が緩んでいる可能性があることが分かった.また長周期側の値となった地点の分布は,振動台実験で1次ピークとなった時の揺れの大きい範囲とほぼ一致し,実験に用いた物性値や相似則などから推定される尾根の卓越周期は,常時微動測定により求まった卓越周期と一致した.現場付近の花崗岩のせん断波速度などを用いた4質点系解析の結果,尾根上部では加速度が約1.8〜2.0倍に増幅されていた可能性があることが分かった.常時微動計を用いたアレー観測の結果,卓越周期時には尾根下部の振幅に比べ,上部では5倍程度の振幅となっていたことがわかった.以上から,地震時に尾根が共振したために尾根上部の揺れが大きくなり,尾根上部に被害が集中した可能性があることが分かった.また本研究から常時微動測定により宅地の緩みを評価できる可能性があることがわかった.
著者
大川 周治 守谷 直史 野崎 晋一
出版者
広島大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

プロスポーツ選手を用いて、スポーツ時における咀嚼筋の活動様相を解明するとともに,各種スポーツ行動時における咀嚼筋の役割を明確にすることを目的として,以下の実験を行った。プロサッカー選手(サンフレッチェ広島)6名に対してシュート(強蹴)5回,シュート(軽蹴)5回,遠蹴5回を,プロ野球選手(広島東洋カープ)のうち,投手4名に対してスローボール5回,剛速球5回を,打者7名に対してトスバッティング(軽振)5回,トスバッティング(強振)5回を行わせた。被検筋は左右咬筋,左右側頭筋前部,およびサッカーでは左右大腿四頭筋外側広筋,蹴足の腓腹筋内側頭,野球では利き腕の上腕二頭筋,上腕三頭筋,尺側手根屈筋とした。各被験運動時の筋活動に関する記録分析,及び各被験運動のビデオ録画による動作分析を行った。なお,コントロールとして最大咬みしめを5秒間行わせた。その結果,サッカーではシュート(強蹴)時,咀嚼筋に筋活動が認められた被験者と,ほとんど認められない被験者に分類される傾向があった。野球ではトスバッティング(強振)時,及び剛速球投球時,大半の被験者において咀嚼筋に筋活動が認められた。以上より,全身的に最大筋力の発揮が要求されるようなスポーツ行動時には咀嚼筋が同調して活動している可能性が示唆されたが,スポーツの種類ないし動作の内容により影響を受ける可能性も示唆された。現在,これらの咀嚼筋活動に関して,筋活動持続時間,積分値,最大咬みしめ時筋活動量に対する比率,動作との関連性について分析中である。ハンドボール(湧永製薬),バレーボール(JT)に関しても,同様に記録分析し,各種スポーツ行動時における咀嚼筋の役割をより明確にしていく予定である。なお,本研究に対してNHKが興味を示し,サッカーに関しては中国地方及び近畿地方に,野球に関しては日本全国に向けて,本研究の内容がテレビ放映されたことを付記しておく。
著者
佐藤 大志 釜谷 武志 大形 徹 佐竹 保子 川合 安 林 香奈 柳川 順子 狩野 雄 山寺 三知 長谷部 剛
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

「楽府」とは、本来音楽を掌る官署の名称だったが、後に楽曲の歌詞の呼称となり、一つの詩体の呼称ともなったものである。本研究では、まず中国の魏晋南北朝隋唐期の諸テキストに見える「楽府」に関する言説資料を収集し、楽府研究の基礎資料を整理することを試みた。そして、この基礎資料の分析を通して、中国中世期に於ける「楽府」に対する認識の変容を明らかにし、そこから特に魏晋期の「詩」と「楽府」との関係、音楽と詩文との関係について考究した。
著者
平川 幸子 山崎 博敏 林原 慎 永田 成文 永田 成文
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

この研究は、カンボジアの小学校で多くの児童が中退していることから、退学の原因を明らかにするために行われた。客観的要因を得るため、事前にデータを取り、その後退学したかを追跡する生存分析を用いた。3つの省の30の学校を調査対象とすることで、学校の要因が退学に影響を及ぼしているかを明らかにした。結果は、小学校1年生から4年生のコーホートでは学校要因がみられなかったが、4年生から7年生では学校要因が7%を占めた。教員の欠勤が有意な要因であった。児童のレベルでは、両コーホートで、学級内の成績が低く留年する児童が退学する率が高かった。貧困や労働時間は、退学に有意な影響を及ぼしていなかった。
著者
荻 崇
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、噴霧乾燥法と含浸法を用いて、中空ポーラス構造を持つ白金担持カーボン微粒子の合成を行い、電極触媒性能を測定した結果、開発された触媒が市販の触媒粒子よりも優れた性能を示すことが明らかとなった。さらに、白金がドープされたロッド状の酸化タングステンナノ粒子を合成し、光触媒性能を評価した結果、0.12wt%という少量の白金添加量で優れた性能を持つことを明らかにした。
著者
藤田 比左子 吉谷 須磨子 樋之津 淳子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は,看護職及び看護部門による感染予防対策(スタンダードプレコーションの主要項目)の実践の現状を明らかにし,スタンダードプレコーションの普及に向けたガイドライン作成を検討することを目的とした。全国の医療施設のうちの一般病院を対象とした質問紙調査を実施し,以下の結果を得た。1)方法第1段階調査は,500施設(2006年3月1日〜3月27日),第2段階調査では,2400施設(2006年9月15日〜10月15日)を対象とし,自由回答欄を一部含む選択回答肢から構成される自記式質問紙を用いた郵送調査を実施した。調査項目は,第1段階調査の質問紙は,感染予防対策に関する実践内容,施設の属性とし,第2段階調査の質問紙は,第1段階調査にて使用したものに準じ,一部を改訂したものを使用した。最終解析対象は,第1段階調査では281施設,第2段階調査では,998施設であった。2)結果感染対策委員会を構成する看護師数は,病院規模に関わらず,関東から近畿地方にかけて少なく,九州・沖縄地方が有意に多かった。感染予防対策マニュアルへの記載項目では,白衣・カーディガンの着用に関する記載がなく(約90%),手袋の使用方法に関して記載があるとした施設は,70%に満たなかった。特に,全患者に手袋の使用を規定している項目は,排便と蓄尿バッグの取り扱い時(排泄)が約90%,創処置・採血時は約70%程度であった。重要視されている感染対策項目は,手洗いが最も多かった(791施設,79.3%)が,その教育は入職時の新人教育にとどまっていた(839施設,83.9%)。3)考察感染予防対策に必要な体制の整備・感染対策マニュアルの具体的な内容の充実と機能性の向上・感染予防に関する継続的な教育推進活動が重要な中核として示唆され,今後はこれらの内容を明確に示すガイドラインの構築が必要である。
著者
岡本 哲治 吉岡 幸男 福井 康人 星 正治
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

1949 年から 1989 年の間に、旧ソ連(現カザフスタン共和国)セミパラチンスク核実験場(SNT)において行われた 458回の核実験により、周辺住民に、高い頻度で造血系、循環器系、腫瘍性疾患等が発症している。本研究では SNT 周辺および対照地域住民における先天異常、口腔疾患の調査研究を行い、高線量および中等度被曝地域での高い唇顎口蓋裂発症率と口腔疾患罹患率を見いだし、放射線の顎・顔面・口腔系への影響は深刻であることが強く示唆された。
著者
今林 修 堀 正広 田畑 智司 高口 圭轉 島 美由紀 舩田 佐央子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、チャールズ・ディケンズの言語と文体の本質的な特徴を解明ための共同研究プロジェクトで、18世紀から19世紀にいたる主要な小説家の全作品を網羅する大規模な電子コーパスを構築し、それとディケンズの全作品、手紙、演説からなる電子コーパスから最新のコンピュータ技術を駆使したデータ分析とフィロロジーに立脚した伝統的で精緻なテクストの読みとを融合させた研究である。
著者
山田 園子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

『統治二論』における君主制論を読み解く際に不可欠なロックの教会論を解明し、それについての論文を公刊した『統治二論』の研究状況について日本政治学会で、ロック研究の視点を確保するべく、トマス・ホッブズの歴史認識等との対比を、日本ピューリタニズム学会で報告したロック『統治二論』にかかわる戦前日本での研究史の追跡と確認を行なった
著者
出口 博則 山口 富美夫 坪田 博美 嶋村 正樹 榊原 恵子 倉林 敦
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

7種のセン類,2種のタイ類,1種のツノゴケ類を含む,10種類のコケ植物について,葉緑体ゲノムの全塩基配列を新たに決定した.これまで,セン類は,タイ類やツノゴケ類と比べ,葉緑体ゲノムの構造が大きく異なっていると考えられていたが,セン類の系統基部に位置する分類群では,タイ類やツノゴケ類と非常によく似た葉緑体ゲノム構造をもつことが分かった.進化を通じておきたいくつかの遺伝子の欠失イベントは,セン類の主要分類群の分岐順序を考える上で有効な系統マーカーとなることが示唆された。高等植物の葉緑体で知られる,線状ゲノム分子,多量体ゲノム分子がコケ植物にも存在することを初めて明らかにした.
著者
長澤 和也 山岡 耕作 大塚 攻 海野 徹也 奥田 昇 山内 健生
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

海産栽培漁業種の生態を寄生虫を生物標識に用いて解明するために、瀬戸内海における主要放流魚であるマダイ、クロダイ、メバル類などの外部・内部寄生虫相を明らかにした。瀬戸内海の6水域からマダイ1歳魚を採集し、寄生虫相を比較することにより、系群識別を試みたところ、マダイは比較的狭い海域で小さな地方群を形成していることが示唆された。また、クロダイは内部寄生虫相に基づくと、日本各地で異なる系群を形成していると推測された。
著者
大形 久典
出版者
広島大学
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
vol.2, 2002-03-20

コミュニケーションは日常生活や社会生活に於いて最も大切である。個人間, 文化間, 国家間のコミュニケーションにおいて紛争や戦争にいたる葛藤が導かれる。コミュニケーションの歴史は人間の歴史と同じように古いにも関わらず, それが何であり, 意味, 意義が何であるかの研究は, その端緒についたばかりである。人間と最も近縁なチンパンジーのコミュニケーションを研究することで, 人間のコミュニケーションについて探求することが本論文のテーマである。コミュニケーション活動は, 約500万年まえの人類の誕生ときすでに始まっていたであろう。約4万年前に, 人類は非(前)言語的コミュニケーションから話し言葉を発展させた。時代の進展にともなって, コミュニケーション媒体が高度化したために, 人のコミュニケーションがそれだけ複雑化し, 人間組織や社会を複雑化していった。言葉を使わずに行われる非(前)言語的コミュニケーションは, チンパンジーや人間にもまったく同様に存在する。チンパンジーのコミュニケーションから, 人間行動に欠けているものを見つけることができる。チンパンジーは, 生物学的, 認識能力的, 行動学的に人間にもっとも近い。感情的, 理知的な面でも類似している。チンパンジーは高度に進化したコミュニケーション行動をすることはないが, 高度な身ぶりを使うことによってコミュニケートする。かれらのコミュニケーション行動のうちで, 「攻撃」と「仲直り」という行動を見ることによって, 人間コミュニケーション行動から生じる葛藤・紛争の原因・理解と, その解決策への示唆を得ることを目指す。チンパンジーの社会では, 順位はとても重要である。テリトリをめぐって最悪の場合殺し合う。かれらのコミュニケーションの中味は, 攻撃, 優位, 服従のパターンが中心で, また政治的な駆け引きに肉体的, 精神的エネルギーを費やす。人間の攻撃性も生物学的にはチンパンジーと多く類似している。チンパンジーも持っているライバル闘争, テリトリ, 子孫の防衛, 順位制などが, 人間の攻撃や戦争の動機・要因となる。人間やチンパンジーは抑制機能が備わっていないから同じ種族でありながら殺しあいをくり返す。人間がチンパンジーと異なるものに言葉や武器の発達などがあり, 人類滅亡の危機をももたらしうる。霊長類のなかでチンパンジーと人間はもっとも攻撃的であるが, チンパンジーは攻撃性を回避するための強力なメカニズム仲直り行動(攻撃の儀式化, 服従, 逃走などの非言語コミュニケーション)など, 非言語的コミュニケーションを巧みに使って対処法を発達させてきた。人間は音声言語, 文字言語などのおかげで高度な文明を築き, 動物と区別してきた。しかし人間は言語に依存してきたために, 非言語的コミュニケーションが退化して, チンパンジーが全身で感じて行なうコミュニケーションが十分にできなくなっている。人間は現在のところもっとも進化させた言語的コミュニケーションができるのであるが, しかし言語をもった人間の知性は, 大量殺人兵器を発達させ, 攻撃性に満ちたストレスの多い社会を発展させてきた。コミュニケーションのゆえに生じてくる諸問題(誤解, 葛藤, 戦争)を解決するには, 言語的なコミュニケーションに欠落した部分(言語ゆえに生じる複雑性, 内容が変容して伝わること, 抽象的言語からくる象徴と現実の混同)を, 本来持っているはずの非言語的な部分を取り戻し, それで欠落部分を支えて達成できるのではないだろうか。そのために類人猿の非言語コミュニケーションに観察される「合理性」から学ぶことは多いのである。
著者
河内 敦
出版者
広島大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

われわれが先に開発した[o-(フルオロジメチルシリル)フェニル]リチウムとジクロロゲルミレン・ジオキサン錯体との反応により, ゲルマニウム上にo-(フルオロジメチルシリル)フェニル基を二つ有するベンゾシラゲルマシクロブテン1が生成した。化合物1にテトラヒドロピラン中, [2. 2. 2]クリプタンド存在下でフッ化カリウムを作用させると, フッ化物イオンがケイ素原子上を攻撃することでゲルマニウムーケイ素結合の切断が起こり, ゲルミルポタシウム2が選択的に生成した。X線結晶構造解析の結果, 2は求核部位であるゲルミルアニオンの周りを求電子部位であるフルオロシラン三つが取り囲むという特異な構造を有していることが明らかとなった。このように求核部位と求電子部位とが接近していながら, 反応せずに安定に存在していることは驚くべきことであり, 求核性・求電子性の本質を明らかにする上で重要な知見といえる。さらに, 2にBF_3・Et_2Oを作用させると今度は分子内求核置換反応が促進され, ベンゾシラゲルマシクロブテン1が再生した。これは, ホウ素原子の空のp軌道とフッ素原子の非共有電子対とが相互作用することで, σ*(Si-F)軌道のエネルギーレベルが低下し, ケイ素原子上が求核置換反応を受けやすくなったためと説明できる。以上のようにわれわれは, 14族元素間結合の切断-再結合を制御することにより, ベンゾシラゲルマシクロブテン環を可逆的に開環-閉環させることに成功した。このような14族元素間結合の可逆的な切断-再結合反応は過去に類を見ないものである。
著者
餘利野 直人
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では,(1)電力システムの構造変化と信頼性の低下,(2)電圧・無効電力制御の潜在能力の評価法が存在しないこと、(3)競争環境下における電圧・無効電力制御の計画法や調達法の不備、という現状に対して解を与えることを目的として研究を遂行した。研究成果は以下のようにまとめられる。想定故障に対して無効電力制御機器の制御動作を組み込んだシステム状態遷移モデルを構築し、多数の想定故障に対して指定した信頼度レベルを実現する設備計画手法を開発した。ここでは大停電を回避する最終手段は負荷遮断であることに着目し、想定故障毎に負荷遮断量および負荷遮断コストを算出し、指定した想定故障に対して供給信頼度を維持するための設備投資および制御実施を含めた全体コスト(年間コスト換算値)を最小化している。無効電力は平常時の送電損失の低減、想定故障に対する信頼性維持、送電可能容量の増加などに寄与するので、上記計画法に基づいて、無効電力価値の算出法を検討した結果、上記の無効電力の効用は、等価な有効電力の価値に置き換えることで、無効電力の実質的な価値として提示できることを示した。さらに無効電力供給の市場調達法に関して、英国の長期契約を前提とした入札方式をモデルとして、改良型市場調達モデルの検討も行った。本研究のアプローチは、従来にない大規模かつ非線形な混合整数計画問題として定式化されているため、計算のロバスト性や計算時間の観点から種々の検討を行い、計算アルゴリズムの効率化を図っている。また、上記の研究に関連して、無効電力機器を含めた制御器のロバストな設計法、停電事故の波及に甚大な影響を及ぼしたモーリレー不必要動作を回避するための効果的な系統制御法、自然エネルギー電源や分散電源を含む系統経済性・信頼性評価法、電力系統効率運用および監視技術についても成果が得られた。
著者
前田 啓朗
出版者
広島大学
雑誌
広島外国語教育研究 (ISSN:13470892)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.109-116, 2005-03-31

This paper investigates two ways in which the English proficiency of students at Hiroshima University is measured: the TOEIC Bridge Test and the TOEIC Test. By administering two different forms of the TOEIC Bridge Test to participants, its test-retest reliability is confirmed. Correlation analyses between scores on the listening and reading sections show that the two sections reasonably measure different components of English proficiency. TOEIC Bridge Test scores were compared with TOEIC Test scores, using correlation analyses and regression analyses. As a result, it is shown that the two kinds of test scores correlate almost linearly, and that the estimation formulas can be used with caution to convert the two kinds of scores.