著者
坂田 浩
出版者
徳島大学
雑誌
大学教育研究ジャーナル (ISSN:18811256)
巻号頁・発行日
no.3, pp.10-19, 2006-03

「多様な学習者に対応する」ことは、日本の学校教育における緊急な課題の一つであると考える。学習者の多様性に対応する枠組みとして、Kolbは「体験的学習理論」を提唱しており、その中でより多様な教授スタイルを用いながら授業を構築する必要性を述べている。そこで、本稿では(1)学習者の好みに対応した効果的授業をどのように構成するか、そして(2)そのような授業を構成する際に考えられるリスクにどう対応するか、について述べてみることにしたい。Corresponding diversity among students is one of the urgent concerns in Japanese schools. As aframework to correspond students' diversity in a class, Kolb presented the theory called Experiential LearningTheory and proposed the need for teachers to design and organize a class with more variety of teachingstyles. The present paper will demonstrate (1) how to design more effective class for students' learningpreferences and (2) how to manage possible risks in designing such class.
著者
下村 直行 寺西 研二
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

バイオマス燃料となる微細藻の油性分抽出の効率化のため, パルス電界による微細藻細胞壁の穿孔を試みた。 パルス幅 25-100μ秒のパルス発生装置を開発して印加すると,一部が透明化した個体が確認され,全体が透明になったものも存在した。印加電界を高めると,細胞壁の一部が欠けて見えるものも現れた。これらは細胞壁の穿孔による結果と考えられる。パルス電界による微細藻増殖促進の実験では,一部に増殖が加速されたサンプルも見られたが,さらに実験継続して確認が必要である。
著者
萩田 浩子
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

Sp6は歯胚特異的に発現する転写因子であり、Sp6欠損は過剰歯やエナメル質形成機転の異常をもたらすと報告されている。Sp6分子の構造と機能の解析は歯胚形成機序の解明、さらに将来の再生の臨床応用に重要な知見となると考えられ、Sp6の翻訳後修飾の有無を確認した本研究の成果はその一助となると考えられる。
著者
村中 淑子
出版者
徳島大学
雑誌
言語文化研究 (ISSN:13405632)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.277-298, 1999-02-20

京阪式アクセントにおける複合名詞のアクセントは,前部要素の起式によって全体の起式が決定し,後部要素が何であるかによってアクセント核の有無および位置が決定する,ということはすでに知られている(和田実1942)。また,複合名詞のアクセント核については,ほぼ4通りに分けられることもわかっている。すなわち,アクセント核が無いか(以下,平板化と呼ぶ),後部要素の直前にアクセント核があるか(以下,プレアクセントと呼ぶ),後部要素の1拍目にアクセント核があるか,後部要素のもとのアクセント核が生かされるか,のいずれかである(前田勇1953,佐藤大和1989)本稿では,多人数調査の結果により,京阪式アクセント地域における複合名詞アクセントの動態を明らかにし,考察する。調査は1998年3月に実施した。インフォーマントは各世代の男女あわせて51名,いずれも東大阪市内の生え抜きである。その内訳は次の通り。できるだけ自然なふだん通りの発音を得るため,「あ,飛行場や」「竸馬場やん」のように,方言発話文のなかに複合名詞を含ませる形で調査票を作り,それを話者に読み上げてもらい,録音した。後日,すべての録音について聞き取りをおこない,資料を作成し,分析した。
著者
吉田 健
出版者
徳島大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

膜中でのコレステロールの動態は、動脈硬化をはじめとする疾病との関連から重要である。本研究では、脂質膜中の疎水的モデル分子の溶媒和と、膜と水相の界面近傍の水和のダイナミクスに注目し、観測対象とする現象の研究に適った膜のモデル実験系の確立したうえで、溶液NMRと分子動力学シミュレーションにより、コレステロールが膜のダイナミクスにおよぼす効果を明らかにした。
著者
矢野 米雄 YANO Yoneo
出版者
徳島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

我々は外国人向け日本語教育のための漢字辞書として電子漢字辞書“漢字林"と電子漢字熟語辞書“KIDS"の試作を行なった.漢字林は,漢字に意味や発音を継承する部分構造に着目した電子漢字辞書である.従来の漢字データベースは,漢字の構造上の特徴に着目するため,漢字の表意文字としての知識表現は困難である.我々は常用漢字1945文字に対して漢字の意味や発音に継承する部分構造を整理した.これらの部分構造を用いて漢字を表現し,種々の条件検索が可能で,継承する属性に着目した知識検索可能な漢字知識ベースを持つ電子漢字辞書“漢字林"を試作した.漢字林ではキーボード入力によらず直接操作でき,誤操作に対するシステムの助言や漢字候補を絞り込む検索操作に対する前状態への復帰の機能を持つ環境を実現した.さらに漢字の知識の少ないユーザが単純な部分構造から複雑な部分構造をたどり目標の漢字を簡単に検索できる環境を実現した.漢字林はSONY製EWS NWS-3865上に構築した.KIDSは外国人の漢字熟語学習を支援する電子漢字熟語辞書である.漢字熟語を学習する外国人は自分がどの漢字熟語を学ぶ必要があるか理解している場合が多く,また漢字熟語を広く浅く学ぶのではなく,必要な漢字熟語を中心に関連する漢字熟語を覚えるといわれる.この学習スタイルに対し,一般的なCAI教材ではなく,学習者に高い自由度を与える形態の電子辞書の枠組みが適すると考える.我々は(1)漢字熟語と構成漢字の関係の知識検索,(2)構成漢字間の関係の知識検索,(3)漢字熟語の属性を利用した関連語検索が可能な電子辞書システムを提案する.さらにKIDSの特長は検索専用の電子辞書だけではなく漢字熟語知識の挿入・削除によるユーザカスタマイズ機能を持ち拡張性の高い知識ベースの枠組みを採用する.KIDSはSONY製EWS NWS-1750上に構築した.さらに我々は漢字林やKIDSを知識ベースとして利用する漢字学習CAIシステム“漢字工房"および漢字熟語学習CAIシステム“熟限無(JUGAME)"を構築した.
著者
松山 美和 古谷野 潔 松下 恭之 山口 貞子
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

補綴治療効果を栄養学的見地から評価することを目的として、自記式3日間食事記録にスケール付きの摂取食品の写真撮影を加え、摂取食品と摂取量を推定する方法を次世代型栄養評価法とした。 本法を用いて栄養摂取に対する補綴治療効果および治療後の専門的栄養指導効果を検討したところ、補綴治療は短期間では栄養摂取に影響を及ぼさないものの、補綴治療後の専門的栄養指導は患者の質的栄養改善に有効であることが示唆された。
著者
冨田 太平 杉山 茂 妹尾 真紀子
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1.水溶性キレートポリマーの調製と金属イオン結合特性水溶性キレートポリマーのポリ-α-アセチルアミノアクリル酸(P4A)およびポリ-N-メタクリロイル-L-アラニン(PMLA)を調製した。:GPC測定による重量平均分子量はP4Aは110万、PMLAは220万であった。P4AおよびPMLAについて重金属イオ'ン(Co, Ni, Cu, Zn, Pb)との結合平衡関係を求め、先に提案した錯形成モデルによって、それぞれの金属イオンに対して逐次錯安定度定数および平衡定数を求めた。これらの定数を用いて、錯形成モデルから任意のpHにおける結合平衡関係もよく表すことができた。水溶性キレートポリマーと多孔質膜との組み合わせによって、金属イオンの回収・濃縮できることが分かった。2.キレート剤含有マイクロカプセルの調製と金属イオン結合特性抽出剤の2-ethylhexyl 2-ethylhexylを内包するマイクロカプセルを調製し、径200〜300ミクロンのカプセルを得た(SEM観察)。また、FT-IR測定によってマイクロカプセルが抽出剤を内包していることを確認した。マイクロカプセルと希土類金属イオン(La, Ce, Pr, Sm,)との結合平衡を求めた。マイクロカプセルはpH2-3の酸性域においてもこれらの金属イオンを選択的に吸着し、水溶液中に溶存する金属イオンの回収・分離に有用であると考えられる。3.リン酸カルシウムなどによる重金属イオンの回収・固定化リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等によるCo, Cu, Cd, Pbなどの重金属イオンの固定化による回収を行い、溶解度やpHの影響を検討し、イオン交換による固定化が溶解-沈殿機構によって説明できることを示した。
著者
三留 雅人
出版者
徳島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

海馬歯状回には神経幹細胞が存在し,成体においても分裂を続け,記憶や空間認識に関与していると考えられている。最初に制限給餌が海馬神経幹細胞の性質,増殖,分化,維持及び機能に与える影響について調べるために,マウスに13時から17時までの4時間のみに餌を与える制限給餌を8週間行い,海馬歯状回において分裂した神経幹細胞のマーカーであるBrdU (bromodeoxyuridine, 50μg/g b.w.)を1日1回,12日間投与した。投与終了1日後,半数を4%パラホルムアルデヒデドにて灌流固定し,固定後脳を取り出し,ビブラトームにて50μmの厚さで海馬全体の連続切片を作成した。残りの半数はBudU陽性細胞の一定期間後の生存・分化を調べる目的で,さらに各条件で5週間飼育した後,灌流固定を行い同様の脳切片を作成し,分裂した神経幹細胞を蛍光免疫染色法により調べた。制限給餌群では,BrdU投与直後では,BrdU陽性細胞数には変化はなかったが,BrdU投与5週間後において,制限給餌群のBrdU陽性細胞数が有意に増加していた。次に,制限給餌における味覚の影響を調べるために,マウスに12時30分から20分間サッカリンを溶かした水を8週間与え,同様にして海馬歯状回における神経幹細胞の増減を調べたところ,サッカリン投与群では,BrdU投与直後およびBrdU投与5週間後で,BrdU陽性細胞数が有意に増加していた。これらの結果,制限給餌は,海馬歯状回神経幹細胞の維持を上昇させ,さらに,ノンカロリー成分であるサッカリンの制限投与のみでも,神経幹細胞の増殖と維持の上昇に関与したころから,味覚による一日一定時間の刺激は,海馬歯状回神経幹細胞の増減に関与し,記憶や空間認識に影響を与えることが示唆された。以上のことから,規則正しい食生活は,中枢神経の活性化に関与していることが示唆された。
著者
田中 廣明
出版者
徳島大学
雑誌
言語文化研究 (ISSN:13405632)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.117-135, 1997-02-20

This paper discusses mainly the lexical items which suspend conversational implicature, such as if any, if anything, if ever and if not, and secondarily the one which blocks the emergence of conversational implicature like not...until. If any, etc. are representative of suspension of conversational implicature in a general sense, but this is in fact not the case, as is illustrated by the doubt whether the suspended meaning is really conversational in the Gricean sense. According to Horn (1972) and many others, a lower item on a semantic and pragmatic scale allows for the possibility of something stronger holding. This possibility, however, is allowable only when the suspension words are added to the quantified predicates. It is not until if any, etc. are uttered that suspension is implicated, whether conversationally or not. Second and last, not...until sometimes allows and sometimes blocks the occurrence of conversational implicature, i. e., the sense of actualization (Declerck's terminology). The sense of actualization is implied strongly at some time and weakly at another time. The degree of the implied actualization is determined by the hearer's corollary, which is not explainable only by the Gricean and neo-Gricean Quanity Maxims.
著者
木戸 博 LE Quang Trong LE QUANG Trong
出版者
徳島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

インフルエンザ脳症は我が国の小児で発症頻度が高く、急速な脳浮腫を伴って高い致死性と重症な後遺症を残す事から、大きな社会的問題になっている。しかしなぜ日本人に多いのか、なぜ小児に多いのか、など基本的疑問に対する解答はいまだ明らかにされておらず、発症感受性因子、発症機序、治療法の解明が望まれている。さらにインフルエンザ脳症の前駆症状として痙攣、異常行動の問題も解決しなければならない。このような背景の基に、モデル動物を使ったインフルエンザ感染による脳浮腫の発症機序の解析を進めてきた。具体的には、ミトコンドリアの脂肪酸代謝酵素の障害を誘発したり、カルニチンや脂肪酸トランスポーターを欠失したモデル動物では、インフルエンザ感染を契機にミトコンドリアでのATP産生が低下すると、脳の血管内皮細胞と神経細胞のトリプシンが異常に増加して、血液-脳関門を形成するタイトジャンクションの崩壊と、激しい脳浮腫を導くことを明らかにした。これらの事実から、さらにインフルエンザ感染で誘導されるトリプシンの誘導の抑制剤を検討した。その結果、脳のトリプシンには3種報告されているが、これらの転写調節部位にはAP-1,NF-κB結合部位がある事から、これらの転写阻害剤を検討したところ、いずれの転写阻害剤もインフルエンザ感染で誘導されるトリプシンの転写を抑制している事、トリプシンの誘導抑制により生存率の著しい改善が明確になった。
著者
湯本 浩通 松尾 敬志 尾崎 和美 中西 正 中江 英明
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

高周波・電磁波照射(500-1, 000 kHz, 5-10回, 1秒/回)は、口腔病原菌に対して照射回数依存的な殺菌効果を示した。また高周波・電磁波照射(500 kHz, 5回, 1秒/回)は、骨芽細胞の増殖を促進させ、さらに様々な成長因子の遺伝子発現や蛋白産生も増強させた。以上より、高周波・電磁波照射は、難治性根尖性歯周炎に対する非外科的歯内療法あるいは歯槽骨再生療法に応用できる可能性が示唆された。
著者
向井 理恵
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、フラボノイドを用いてユビキチンリガーゼの発現抑制を通じて廃用性筋萎縮を予防することを目的とした。研究計画では、フラボノイドのなかでもケルセチンを中心に研究を進めるとした。ケルセチンを摂取させることによりユビキチンリガーゼの発現を抑制するかは明らかにできなかったものの、筋萎縮にともなう酸化ストレスを抑制することが分かった。筋萎縮を抑制した場合でも骨格筋成長に関わる体液性因子であるIGF-1の量に変化は無かったことから、この効果は骨格筋に直接影響した結果によると考えられた。骨格筋の分解と合成との分岐点であるAktのリン酸化については、ケルセチンによってリン酸化が向上した。この結果は、骨格筋の分解よりも合成の経路が活性化されていることを意味する。このように、食事性ケルセチンは、骨格筋での酸化ストレスを抑制し、骨格筋の分解を予防しうることが明らかとなった。さらに、効果の高いフラボノイドとしてプレニルナリンゲニンを見出した。ユビキチンリガーゼの発現を抑制した。ユビキチンリガーゼの発現抑制には、PI3K-Akt経路が関与する可能性を明らかにし、学術論文として発表した。食品成分としての効果を考えるうえで重要な生体利用性についても検討したところ、血中への吸収は少ないものの、標的組織である骨格筋へ蓄積することがわかった。本研究の計画では、筋萎縮した場合にフラボノイドの蓄積性が変わるのではないかと予測を立てたが、その点については、正常な筋肉と萎縮のかかった筋肉との間に差は無かった。本研究の成果は、フラボノイドが廃用性筋萎縮を予防するメカニズムとして、PI3K-Akt経路の活性化を見出した。抗酸化フラボノイドは、骨格筋内の酸化ストレスを減弱することも明らかにした。これらの成果が得られたのでフラボノイド含有食品の臨床試験を進めており、研究の発展につなげることができた。
著者
井本 逸勢 中屋 豊 二川 健 田嶋 敦
出版者
徳島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

Wistar系ラットから樹立された高運動習性動物モデルであるSPORTS(Spontaneously Running Tokushima-Shikoku)ラットを対象に、高運動習性の表現型形成の分子基盤を解明することを目的に、次世代シーケンサーを用いた全エクソン配列解析、連鎖解析、ならびにデータベースを用いた選択アルゴリズムから新規に構築するラットゲノム解析パイプラインを駆使することで、未同定の原因遺伝子のスクリーニングを行い、候補遺伝子群を得るとともに、モデルラットの表現型関連遺伝子のスクリーニングツールとシステムを確立した。
著者
藤坂 菊美
出版者
徳島大学
雑誌
四国歯学会雑誌 (ISSN:09146091)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.61-74, 2007-06

Genetic competence in S. mutans is regulated by a quorum-sensing system mediated by a competence-stimulating peptide (CSP). CSP encoded by the comC gene is involved in competence for genetic transformation and biofilm formation. The quorum-sensing system in S. mutans involves four gene products encoded by comC, comD, comE and comX. The comC, comD and comE genes encode a CSP precursor, its histidine kinase sensor protein, and a cognate response regulator, respectively. The loci of comC and comDE lie adjacent on the chromosome. comX encodes a sigma factor, however little is known about the influence that the quorum-sensing system has on the pathogenicity of S. mutans. It is of interest to verify the roles of the quorum-sensing system in S. mutans for its ability to form a biofilm. To test this hypothesis, S. mutans wild-type strain UA159 and its knockout mutants, which were defective in comC, comD, comE and comX mutant, were examined for their ability for initial adhesion, glucan synthesis and invasion into dentinal tubles. The initial adhesion ability of S. mutans cells to saliva-coated hydroxyapatite was decreased in comD and comE mutant strains. This result shows that the quorum-sensing system already has an influence on initial biofilm formation to be adherent or the early phase of carious formation. The proportions of water-insoluble glucan synthesis in all mutant strains were less than the wild type. The proportions of water-soluble glucan adhering to dentin slices in all mutant strains were also less than in the wild type. The total dose of three kinds of glucan composition decreased in all mutant strains. The expansion rates of dentinal tubules by comC, comD, comE and comX mutant increased more than by the wild type when cultured in brain heart infusion for 24 days. This study demonstrated that the quorum-sensing system may play a crucial role in initial adhesion, glucan synthesis, biofilm formation and invasion to dentinal tubules of S. mutans.
著者
岸田 佐智 富安 俊子 芝崎 恵 佐原 玉恵
出版者
徳島大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本年度は、研究分担者及び不妊症看護認定看護師の協力を得て、不妊治療を受けている女性8名に対する半構成的インタビューを行った。インタビュー内容は、不妊治療中の身体的苦痛や不快、治療継続における悩み、パートナーや周囲からのストレス、生活上の問題、医療者への不満や、傷つけられた出来事、満足していることなどについてであり、1-2時間の面接を行った。インタビュー中は、MDレコーダーにてその内容を録音し、録音内容を逐語文にし、討議内容のメモも用いて、看護者が捉えている不妊治療中の問題点について質的に抽出を行った。昨年度の成果と合わせて、不妊治療における身体心理社会的側面の問題、(1)継続して行われる注射の方法(部位・角度、注入時間、(2)注射後の圧迫など)に関する問題、(3)治療に伴う副作用の無自覚や我慢、(4)人為的に作られた月経の辛さ、(5)不妊であることを認めたくない、(6)不妊であることや治療後に生じる喪失感、(7)妊娠を素直に喜べない、(8)繰り返し体験する痛みや恐怖からくる継続的緊張感、(9)治療の複雑さによる理解不足、(10)周囲との関係を控えようとする孤立化、(11)余儀なく変更されるライフスタイル、(12)経済的問題、(13)不妊である自分が理解されない、(14)血縁を存続させるための周囲からの圧力、(15)治療に伴う命の選択、妊娠するための治療を最優先する、(16)治療継続によりセックスレスな夫婦の関係、(17)不妊原因や治療失敗により生じる夫婦の軋轢、が明らかになった。そこから、不妊カップルへの包括的な看護援助を提供するため3つのケアモデル、(1)より効果的で、より痛みの少ない不妊治療に伴う注射方法を探索すること、(2)治療に伴う、苦痛への緩和方法としてホメオパチーを活用し、その軽減を図ること、(3)治療の内容や方法に関する理解を深め、治療や看護を連続的に提供できるようにするための治療計画手帳の作成をすることの必要性を見出した。
著者
姚 陳娟
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アクアポリン5(AQP5)の発現は内毒素(LPS)によりダウンレギュレーションされ、これにNF-κB及びMAPKの2つの経路が関係していることを見出した。更に、AQP5遺伝子のプロモーターに2つのNF-κB応答配列は重要なことが明らかになった。免疫系細胞、RAW264.7細胞でも免疫沈降による解析からNF-κB(P65)とAPI(P-c-Junとc-Fos)がLPSによるcross-couplingにされることも証明された。今後、c-Fosの高発現細胞を用い、LPSによるAQP5のダウンレギュレーションのメカニズムを追究する。
著者
渡辺 公次郎
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、住宅・土地利用計画支援システムを開発することである。まず、徳島市周辺部を対象に、セルオートマトンモデルを用いて市街化を予測するモデルを開発し、それを用いて地区別に世帯数を予測した。次に、世帯数変化の特徴を明らかにするため、世帯数変化傾向を、小地域統計データを用いて分析し、変化の特徴を類型化した。これらの成果から、住宅・土地利用計画支援システムで用いる世帯数予測モデル開発に関する知見を示した。
著者
居村 暁 島田 光生 森根 裕二
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

肝移植後の再発はcirculating cancercellあるいは肝移植時すでに存在するmicrometastasisによる再発であり制御困難である。今回、脾注肝転移(経門脈的)モデルを作成して癌細胞の肝転移メカニズムを検討した。MH134マウス肝癌細胞脾注1週間後、IFN投与群ではコントロールと比較し著明に肝転移個数が減少した。また、IFN投与群の転移腫瘍内MVDはコントロールと比較し有意に減少した。非癌部肝組織における接着因子発現の程度による肝転移促進効果は認めなかった。今後、肝切除+虚血再灌流を施行し、肝移植後の脾注肝転移による肝転移増強の有無につき研究を継続する。
著者
山中 英生 滑川 達 真田 純子 松浦 正浩
出版者
徳島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

公共事業の社会的合意形成において涵養とされる「中立的第三者」を制度的に成立するため、本研究では,(1)那賀川流域フォーラム(2002-2004)(那賀川の河川整備計画策定に当たって形成された参加型検討会)、(2)沖洲マリンピア整備手法検討委員会(2002) (高速道路ICの海浜埋立事業の見直しを行った委員会)(3)月見が丘海浜公園ワークショップ(2003-2005)(海浜埋立地の大規模公園設計ワークショップ)(4)北常三島交差点安全施策検討会(2005-2006)(幹線道路交差点安全施策,地域及び沿道住民,利用者,関係行政機関によって、コンセンサスビルディングの手法を忠実に実施した事例)(5)吉野川河川整備計画「住民の意見を聴く会」(2006-2008)(流域委員会に代わる方式として2006年度より始められた会。国土交通省が中立的ファシリテータとしてNPOを選定。NPOは行動規範,中立性確保のための条件を公表し、運営に当たった。)の5事例を対象として、多様な参加形態における「中立的第三者」が成立する上で必要な要件を分析した,平成21年度は,平成20年度までに実施した,以下の徳島県内の5事例に関するヒアリング,アンケート調査をもとに,我が国のPIにおける中立的第三者の成立性を明らかにした.また,吉野川河川整備計画「住民の意見を聴く会」のファシリテータグループのファシリテーションの行為言動を記録したビデオを用いて,ファシリテータの行為・言動が中立性に及ぼす影響について分析して、中立的第三者としての職能,倫理,契約、中立的第三者を社会的な役割として構成するためのロスターの試行と課題を整理した。