著者
今泉 修 古野 真菜実 日比野 治雄 小山 慎一
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.171-173, 2016-11-01 (Released:2016-09-13)
参考文献数
9
被引用文献数
6 5

We developed a Japanese version of the Trypophobia Questionnaire (TQ-J) that measures proneness to disgust for a cluster of objects. Its validity was examined using discomfort ratings for trypophobic, neutral, and unpleasant images, and assessment of trait anxiety. The TQ-J showed a one-factor structure, and sufficient internal consistency and test–retest reliability. Its strong correlations with discomfort ratings for trypophobic images indicated optimal convergent validity. It did not correlate with ratings for neutral images, and only weakly correlated with ratings for unpleasant ones and trait anxiety; these findings indicated sufficient discriminant validity. Our results confirmed the reliability and validity of the TQ-J.
著者
小塩 真司 阿部 晋吾 Pino Cutrone
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.40-52, 2012-07-31 (Released:2012-09-07)
参考文献数
35
被引用文献数
115 201

本研究の目的は日本語版Ten Item Personality Inventory(TIPI-J)を作成し,信頼性と妥当性を検討することであった。TIPI-Jは10項目で構成され,Big Fiveの5つの因子を各2項目で測定する尺度である。TIPI-Jの信頼性と妥当性を検討するために,計902名(男性376名,女性526名)を対象とした複数の調査が行われた。各下位尺度を構成する2項目間には有意な相関が見られ,再検査信頼性も十分な値を示した。併存的妥当性と弁別的妥当性の検討のために,FFPQ-50(藤島他,2005),BFS(和田,1996),BFS-S(内田,2002),主要5因子性格検査(村上・村上,1999),NEO-FFI日本語版(下仲他,1999)との関連が検討された。自己評定と友人評定との関連を検討したところ,外向性と勤勉性については中程度の相関がみられた。これらの結果から,TIPI-Jの可能性が論じられた。
著者
砂田 安秀 杉浦 義典 伊藤 義徳
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.28.2.13, (Released:2019-10-24)
参考文献数
29
被引用文献数
2

近年,倫理を伴ってマインドフルネスの訓練を行う重要性が指摘されている。本研究では,マインドフルネスと無執着・視点取得の関連に対する倫理の調整効果を検討することを目的として,一般成人193名を対象としたウェブ調査を実施した。階層的重回帰分析の結果,倫理観が強い場合,マインドフルネスが高いほど,無執着が高かった。一方で,倫理観が弱い場合,マインドフルネスが高いほど,無執着が低かった。また,倫理観が弱い場合,マインドフルネスが高いほど,視点取得が低かった。以上の結果から,マインドフルネスは倫理を伴って機能することで有益な結果をもたらし,倫理が欠如した中では有益な結果につながらない可能性が示唆された。
著者
澤山 郁夫 三宅 幹子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.31-41, 2018-07-01 (Released:2018-07-04)
参考文献数
23

本研究の目的は,大学生を対象とした質問紙調査を行い,独り言的ツイート頻度と社会的発話傾向および私的発話傾向の関連から,大学生の独り言的ツイートがそのどちらの性質をより強くもつものであるのか検討することであった。結果,2012年12月に得たサンプルでは,独り言的ツイート頻度は私的発話傾向と関連していた一方で,2016年1月に得たサンプルでは,社会的発話傾向と関連傾向にあった。さらに,経年変化として,独り言的ツイートの代替手段として「メモに書く」をあげる者の割合が減少傾向に,また「他者に話す」をあげる者の割合が増加傾向にあることが示された。これらの結果から,Twitterで表出される大学生の独り言的ツイートは,私的発話としてとらえられるものから,社会的発話として捉えられるものへと変化しつつあると示唆された。
著者
上村 晃弘 サトウ タツヤ
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.33-47, 2006 (Released:2006-10-07)
参考文献数
42
被引用文献数
2 2

血液型性格関連説は日本で人気のある疑似性格理論の1つで,1920年代の古川竹二の仮説に由来する。現在では多くの提唱者がこの仮説を様々に解釈している。したがってこの説には多様性がある。本研究では,最近の「血液型ブーム」においてTV放送された説を伝統的説明,生物学的媒介,枠組利用,剰余特性付加の4つの型に分類した。伝統的説明型は古川の仮説の後継である。生物学的媒介型は,血液型と性格の関係を進化論や脳科学などの新しい学術的知識を用いて説明する。枠組利用型は単に占いに用いている。剰余特性付加型は提唱者の専門分野で見出された特性を追加した程度である。すべての提唱者の説は論理的妥当性をもたない。
著者
田村 紋女 小塩 真司 田中 圭介 増井 啓太 ジョナソン ピーターカール
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.26-37, 2015-07-31 (Released:2015-08-07)
参考文献数
27
被引用文献数
3 30

Dark Triad (DT)とはマキャベリアニズム,サイコパシー傾向,自己愛傾向という3つの反社会的なパーソナリティ特性を指す。本研究の目的は,DTを簡便に測定できるDark Triad Dirty Dozenの日本語版(DTDD-J)を作成し,信頼性と妥当性を検討することであった。246名の大学生がDTDD-J,各DT特性に対応する既存のDT尺度,ビッグファイブ尺度に回答した。確認的因子分析の結果,各DT特性に対応した3つのグループ因子と総合的なDT特性による1つの一般因子から構成されることが示された。内的信頼性はサイコパシー傾向を除くといずれも高い値が示された。併存的妥当性と弁別的妥当性についても概ね先行研究を支持する結果であった。以上から,DTDD-JはDTを包括的,かつ効率的に測定できる尺度として一定の信頼性と妥当性を持つことが示された。
著者
下司 忠大 小塩 真司
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.179-189, 2016-03-10 (Released:2016-03-21)
参考文献数
39
被引用文献数
1 4

自己愛の下位側面としての特権意識は誇大型特権意識と過敏型特権意識とに分けられると考えられる。また,それらとは特徴の異なる特権意識として心理的特権意識(Campbell, Bonacci, Shelton, Exline, & Bushman, 2004)がある。本研究では心理的特権意識,誇大型特権意識,過敏型特権意識の共通点や相違点を検討することを目的とした。調査対象者はインターネット調査の回答者941名および質問紙調査の回答者174名であった。二分法的思考,他者軽視,自尊感情,Big Fiveとの関連を検討したところ,誇大型特権意識と過敏型特権意識には他者軽視や二分法的思考との関連において共通する特徴がみられた。また,誇大型特権意識や心理的特権意識は神経症傾向との関連において過敏型特権意識とは異なった関連を示した。更に,心理的特権意識は自尊感情との関連において誇大型特権意識や過敏型特権意識とは異なった特徴を示した。これらの結果から,各特権意識の特徴が論じられた。
著者
髙坂 康雅
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.27.1.11, (Released:2018-05-18)
参考文献数
7

This study investigates how many university students who do not desire a steady romantic relationship become involved in a steady relationship or want to have a romantic relationship in 1 year. A total of 96 students who did not desire a steady romantic relationship at Time 1 were asked about the status of their romantic relationship at Time 2. Those who had the highest score for “the influence of past romantic relationships” were identified, and 29 were found to desire a romantic relationship. The reasons for entering into or desiring a romantic relationship were categorized into seven groups.
著者
藤本 学 大坊 郁夫
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.347-361, 2007 (Released:2007-07-07)
参考文献数
35
被引用文献数
29 23

コミュニケーション・スキルに関する諸因子を階層構造に統合することを試みた。既存の尺度を構成する因子を分類することで,自己統制・表現力・解読力・自己主張・他者受容・関係調整の6カテゴリーが得られた。これらの6因子は理論的に基本スキルと対人スキル,また,表出系,反応系,管理系に分類された。こうしてコミュニケーション・スキルの諸因子を階層構造に統合したものがENDCOREモデルであり,各スキルに4種類の下位概念を仮定した24項目の尺度が,ENDCOREsである。
著者
水野 君平 飯田 昭人
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.83-85, 2021-09-06 (Released:2021-09-06)
参考文献数
8
被引用文献数
1

The current study aims to clarify the mediation effect of classroom adjustment on the relationships between inter-peer group status and school adjustment. Four hundred thirty-nine Japanese public middle school students had participated in this survey and completed self-report questionnaires. The results revealed that inter-group status, classroom adjustment, and school adjustment are related to each other positively. From a mediation analysis, we have established that there is a significant indirect effect of classroom adjustment on the relationships between inter-peer group status and school adjustment. The discussion of this study dealt with the process of understanding the reason for the higher peer group status being more adjusted at schools.
著者
木村 大樹
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.97-107, 2019-11-01 (Released:2019-11-03)
参考文献数
40
被引用文献数
2

自閉スペクトラム症(ASD)を抱える人やその傾向のある人の多くが,高い対人不安を体験している。本研究は,ASD傾向の高い青年の対人不安の特徴を自尊感情および公的自意識との関連から調べることを目的として,大学生395人に質問紙調査(自閉症スペクトラム指数AQ,対人恐怖心性尺度,自尊感情尺度,公的自意識尺度)を行った。その結果,ASD傾向群(AQ≧33, 32人)は対人不安が全般に高かった。また,ASD傾向群は〈集団に溶け込めない〉悩みの高さが特徴的であり,さらに〈集団に溶け込めない〉悩みに対して公的自意識は関連していなかった。一方で,ASD傾向の高低にかかわらず,〈自分や他人が気になる〉悩み,〈社会的場面で当惑する〉悩み,〈目が気になる〉悩みではやはり公的自意識がかかわっており,自尊感情の低さも対人不安全般にかかわっていた。また,ASD傾向は自尊感情を媒介して対人不安に関連していたが,ASD傾向自体も直接対人不安に関連していた。
著者
佐々木 掌子 尾崎 幸謙
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.251-265, 2007 (Released:2007-07-07)
参考文献数
59
被引用文献数
3 1

本研究は,新たなジェンダー・アイデンティティ尺度を作成し,その信頼性・妥当性を検討することを目的とした。これまでの尺度ではジェンダー・アイデンティティを具体的な性役割や性指向などで測定してきたが,本尺度はEriksonのアイデンティティ理論に則り,ある性別へのアイデンティティ感覚を構成概念とした。対象は大学生である(女性205名,男性207名)。4因子を想定して尺度作成をし,2因子モデル,4因子モデル,高次因子モデルの適合度指標を比較したところ,高次因子モデルがもっとも適合度がよかった。採択されたのは,高次の2因子の下位に各々2つの因子が配されるモデルであった。また,妥当性の検討のために,性役割,性別受容,自尊心といった尺度との相関や,性同一性障害をもつ者(男性から女性への移行者male to female “MTF” 120名,女性から男性への移行者female to male “FTM” 155名)との比較が行われ,妥当性が確認された。
著者
中村 敏健 平石 界 小田 亮 齋藤 慈子 坂口 菊恵 五百部 裕 清成 透子 武田 美亜 長谷川 寿一
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.233-235, 2012-03-30 (Released:2012-05-22)
参考文献数
14
被引用文献数
4 1

This study developed a Japanese version of the Machiavellianism scale (Mach IV) and examined its reliability and validity. A questionnaire survey of university, junior college and vocational school students showed sufficient internal consistency and test-retest reliability for the scale. Its correlational validity was demonstrated in terms of the relationships with psychopathic tendencies, prosocial behavior, and Agreeableness (a dimension of the Five-Factor personality model). These results indicated that the Japanese version of the Machiavellian scale IV is useful to measure Machiavellian tendencies.
著者
桂川 泰典 松葉 百合香 飯島 有哉 千葉 一輝 原田 陸
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.148-158, 2022-11-25 (Released:2022-11-25)
参考文献数
32

COVID-19の世界的流行にともない,VCP (videoconferencing psychotherapy)が急速に普及しているが,日本におけるVCPの利用実態に関する研究知見は限られている。また,VCPにおけるドロップアウト要因の検討は不十分であり,特にドロップアウトリスクの高まる面接初期に関する研究はなされていない。本研究では,民間企業において実施されたVCPデータ(4,921–3,470名)を用いて,利用実態の記述を行うとともに,1–2回目のセッション間のドロップアウト/継続を予測する説明変数の探索を目的として階層的ロジスティック回帰分析を行った。その結果,セラピストの臨床経験年数が長いと継続しやすい傾向,クライエントがカウンセリングセッション終了時に「効果を実感」すると継続しにくく,カウンセリングに対する「効果の予感」を感じると継続しやすい傾向が示された。
著者
北村 英哉 松尾 朗子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.167-169, 2022-02-18 (Released:2022-02-18)
参考文献数
6

We replicated the study by Horberg et al. (2009) with Japanese participants. Following their study procedures, we investigated the correspondence of the moral areas with emotions, specifically purity violations with disgust and justice violations with anger. The associations of political conservatism and Socioeconomic Status (SES) with disgust, respectively, were also tested. Unique to this replication study, we explored whether individuals’ motivation to communicate with others was stronger for justice violations than for purity violations. Most of the results were consistent with those of the original study. Our findings contribute to better understanding of the morality-emotion link.
著者
高田 琢弘 湯川 進太郎
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.28.3.5, (Released:2020-02-06)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

The purpose of this study was twofold: (a) to examine the actual circumstances of involvement in gambling, and (b) to investigate the relationships between levels of the gambling problem and the Big Five personality traits among Japanese adults. Nine hundred Japanese adults were asked to complete a web-based questionnaire to measure their levels of involvement in gambling and personality traits. The results indicated that approximately 47% of the participants had engaged in gambling before. In addition, a positive relationship was observed between levels of gambling involvement and Neuroticism, while Agreeableness and Conscientiousness were negatively related to levels of gambling involvement.
著者
市川 玲子 望月 聡
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.80-90, 2014-12-20 (Released:2015-01-07)
参考文献数
44
被引用文献数
4 1

これまでに,幅広い類型のパーソナリティ障害(PD)が自尊感情の低さと関連することが示されている。本研究では,PDと3つの様態の自尊感情(特性自尊感情,状態自尊感情によって測定される自尊感情の変動性,および自尊感情の随伴性)との関連を検討した。大学生・大学院生66名に対し,質問紙への回答と携帯電話を用いた継続調査への回答を求めた。対象者は,質問紙ではPD特性,特性自尊感情,随伴性自尊感情に関する項目に回答し,継続調査では状態自尊感情の項目に7日間回答した。結果から,特性自尊感情と境界性・依存性・回避性PD特性との負の関連,演技性PD特性との正の関連が示された。また,境界性PD特性は自尊感情の変動性との正の関連を示した。本研究の結果から,特性自尊感情は幅広い類型のPD特性と関連する一方で,自尊感情の変動性は境界性PD特性と特に関連するものであることが示唆された。
著者
田島 司
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.109-120, 2017-11-01 (Released:2017-11-04)
参考文献数
41

本研究はイヌ好きとネコ好きのパーソナリティの特徴について検討した。調査対象者には,公的場面での自己,私的場面での自己,典型的なイヌとネコのパーソナリティのイメージを測定するためのビッグファイブ尺度に加えて,イヌとネコへの態度を回答させた。その結果,ネコのパーソナリティ好意群はネコのパーソナリティ非好意群よりも自己のパーソナリティとネコのパーソナリティのイメージとの差が小さかった。また,イヌの飼育志向群はイヌの飼育非志向群よりも公的場面と私的場面での自己のパーソナリティの差が小さく,ネコの飼育志向群はネコの飼育非志向群よりも公的場面と私的場面での自己のパーソナリティの差が大きかった。これらの結果について他者の要求や期待への対処傾向との関連から議論された。