- 著者
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宮島 彩
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.31, 2019
<p>【目的】近年,若者の味覚は低下しており,食について学ぶ大学生にも同様の傾向みられる。本研究では,食について学ぶ大学生の味覚の現状を把握し,食生活や食嗜好との関連性について検討する事で,味覚低下の原因を明らかにする事を目的とした。</p><p>【方法】平成31年4月に,本学で食について学ぶ大学生60名を対象に味覚試験として,5味識別試験及び濃度識別試験を実施した。更に,同対象者に食生活と食嗜好についてのアンケート調査を行った。</p><p>【結果および考察】五味識別試験の正解率は,甘味71.1%,塩味71.7%,酸味26.7%,苦味33.3%,うま味38.3%であった。苦味は55%,その他の4味については80%の正解率を想定して試料を調製したため,いずれも想定より正解率が低い結果となった。不正解者に着目すると,甘味,酸味,苦味,うま味では,水と認識して回答した人が多く,甘味では47.1%,酸味では34.1,苦味では42.5%,うま味では40.5%であった。水とは異なる溶液であることが識別できていない人の割合が高いため,刺激閾が高く味覚が低下している事が考えられる。塩味では,うま味と認識して回答した人が47.1%と一番多かった。味質の違いを識別できていない人の割合が高いため,認知閾が高くなっている事が推測できる。濃度識別試験の正解率は,甘味71.7%,塩味53.3%,酸味60.0%,うま味81.7%であった。いずれも70〜80%の正解率を想定して試料を調製しており,甘味とうま味は想定通りであったが,塩味と酸味は想定より正解率が低い結果となった。今後は特に味覚試験の正解率が低いパネリストにスポットを当て,味覚低下改善に向けて検討していく必要性がある。</p>