著者
髙橋 徹 熊谷 昌則 髙山 裕子 大野 智子 山田 節子 三森 一司 逸見 洋子 駒場 千佳子 長沼 誠子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】日本調理科学会特別研究平成24〜25年度『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理』の聞き書き調査を通して,秋田県における次世代に伝えるべき家庭料理を抽出し,「副菜」に着目してその特徴と調理特性について明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】秋田県内8調査地域(鹿角・北秋田・山本・秋田・由利・仙北・平鹿・雄勝)において,昭和35〜45年頃に調理を担当していた対象者19名(女性,74.2±7.8歳)に聞き書き調査を実施した。調査から得られた110の料理のうち,副菜に該当した料理の特徴および調理特性について検討した。</p><p>【結果および考察】副菜に該当した36の料理のうち,漬物が13と約1/3を占めていた。有名となった「いぶりがっこ」の他に,「ふかしなす漬け」や「平良かぶの漬物」等,米麹を使用する漬物も見られた。漬物の原料となるダイコン,カブ,ナスには伝統野菜も用いられている。また,山菜やキノコ料理も豊富で,「ぜんまいの一本煮」,「カタクリの花のクルミ和え」,「ばっけみそ」,「なめこと大根おろしの酢の物」,「なっつ」などが挙げられた。「なっつ」は,漬物の原型ともいわれ,野菜やキノコをだし汁や塩辛で和えたものである。「てん(ところてん)」,「えご」,「寒天料理」に代表される,寒天(海藻)を利用した料理は県内全域で食されており,その種類も豊富であった。他県では日常的に食されている「煮しめ」が,正月(年越し)や行事の料理として継承されている地域もあった。</p>
著者
大坪,研一
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, 2002-11-20
著者
大羽 和子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.198, 2007

<BR> わが国では近年,食生活の欧米化や栄養バランスの偏りによって,ガンや,循環器系疾患,糖尿病などの生活習慣病が増加し,大きな社会問題になっている。これら生活習慣病の発症は,食べ物や食生活と密接な関連性があることが疫学的にも指摘されて,食による健康維持・疾病予防に関心が高まっている。食品と人体との相互作用を前提として食品の3つの機能(一次機能:栄養的機能、二次機能:嗜好的機能、三次機能:生体調節機能)が提唱されたのは1984年である。その後、この生体調節機能に注目が集まり、日本型食生活が見直されるなか、野菜、大豆、魚、海藻、茶などに含まれる機能性成分の研究が精力的に進められ、その結果、特定保健用食品をはじめ、いわゆる健康食品やサプリメントが開発されてきた。過剰な活性酸素の産生がガンや心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病の発症に深く関わっていることが明らかになってきたからである。野菜などの植物性食材には、高い活性酸素消去能を有するポリフェノールやビタミン(V)C,E,カロテノイドの他、含硫化合物、食物繊維、ミネラルなど,健康維持・増進に必須な成分が多く含まれている。<BR> 生の食材の機能性成分に関する研究は多いが、調理後の食べ物(料理)についての研究例は限られている。調理の仕方しだいで、調理中に分解する物や新しく生成される物などがある。<BR> 本日は、植物性食材の抗酸化機能、ビタミンCを中心に、生の食材に含まれる機能性成分が調理後の食べ物中には無くなっている研究例なども含め、食材の持つ健康増進機能(健康機能と略す)を活かす調理について考えてみたい。<BR><B>1.野菜の貯蔵・生食調理と健康機能成分</B><BR> (1)収穫後の野菜の冷蔵温度はVC残存率に影響を与える。例えば4℃で貯蔵すると2,3日後にVC量が一過的に増大するが、長期間貯蔵する場合はVCの減少が大きい。冷やし過ぎず10~15℃くらいで貯蔵するほうが残存するVC量が多い。(2)野菜の塩漬けはVCの酸化を促進する。(3)生食調理(サラダやジュース)をするときは、VCを酸化するアスコルビン酸オキシダーゼ活性を抑制する塩類や有機酸をうまく使う。<BR><B>2.野菜の加熱調理と健康機能成分</B><BR> <B>(1)加熱の利点:</B>1)ポリフェノール類が溶出され易くなる。2)高温加熱で褐色のメラノイジンが生成されラジカル捕捉活性が増大する。<B>(2)加熱の欠点:</B>1)食材や加熱調理法によってVCの損失割合が異なる。食する時期(調理直後か調理後冷蔵してからか)によって加熱法を変えることが望まれる。2)市販惣菜のVC量は家庭内調理に比べて著しく少ない。3)生鮮食材にラジカル捕捉活性や発ガン抑制効果があっても、加熱で全く効果のない物質に変わる物もある。<BR><B>3.調味料・スパイス・ハーブの健康機能成分の利用</B><BR> (1)日本の伝統的な調味料である味噌、醤油、みりんなどに含まれる種々の健康機能成分をうまく利用する。(2)スパイス・ハーブを使い、食べ物にアクセントをつけ嗜好性を高めるとともに、それらに含まれる機能性成分を利用する<BR><B>4.食材の調理を通して健康増進</B><BR> 実際、"何をどれだけ、どのように食べれば良いのか"について、個々人に対する決まった回答は得られていない。しかし、一人ひとりが健康を維持するためには、健康食品やサプリメントに頼ることなく、生活習慣病予防などの観点から2000年に策定された「健康づくりのための食生活指針」や2005年に策定された「食事バランスガイド」に示されている料理の目安を理解して、野菜を中心に多彩な食材を使い、それに適した調理法で調理し、2人以上で楽しく食事をすることが健康増進に繋がる。取れたての新鮮な食材を使って、自ら家で調理した料理のおいしさと健康機能成分は、中食や外食では十分に得られない。健康維持・増進に欠かせない「調理する」ことに拘り、それを楽しみたい。
著者
小出 あつみ 間宮 貴代子 阪野 朋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p><b>【</b>目的<b>】</b>最近の味噌の摂取量は減少傾向を示し,特に若者世代で顕著である。本研究は,愛知県の特産品である豆味噌を使用した肉および肉加工品料理10品を提案し,栄養価と嗜好性の面から検討した。</p><p><b>【</b>方法<b>】</b>使用した豆味噌はイチビキ㈱製で,愛知県産大豆「フクユタカ」と天日塩を使用したものであった。料理の調製は,一般の料理本などを参考にレシピの考案と試作を行い,10品の肉および肉加工品料理のレシピを決定後,調製した料理を撮影した。官能評価は官能評価に慣れているパネル13名(女性,平均年齢36.2歳)を対象に8項目について5点尺度の分析型評価を採点法で,同じ項目について嗜好型評価を順位法で実施した。データの解析はTukey法とNewell & MacFarlaneで検定し,統計的有意水準を5%で示した。</p><p><b>【</b>結果<b>】</b>官能評価結果から,ハンバーグの味噌チーズ・味噌チキン南蛮・味噌スペアリブ・味噌チャーシューは,ソースに使用した豆味噌が肉のうま味を際立たせて高い評価を得た。また,調理操作では乾式加熱が湿式加熱より評価が高かった。副材料では植物性油,玉葱,卵との取り合わせが,味噌辛さをまろやかにした。また,チーズやパイとの組み合わせは味噌の強い個性が緩和されて食べやすくなることが示された。さらに,肉料理の栄養価では,総体的にたんぱく質量と脂質量が高かったが,特に乾式加熱の料理で脂質量が高かった。以上の結果から,豆味噌の特徴を活かした好まれる肉および肉加工品料理の提案では,植物性油,玉葱,卵,チーズの取り合わせが味噌辛さをまろやかにして好まれる料理となり,ソースに使用した豆味噌が肉のうま味を際立たせた。調理操作では乾式加熱が湿式加熱より好まれた。</p>
著者
河野 俊夫 橋本 聖子 疋田 慶夫
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

<b>【目的】</b>食品ロスを削減するためには、なによりも、提供した食品を消費者に100%消化してもらえることが大切であり、そのためには、消費者のもったいない意識の醸成はもちろんのこと、食材の高品質化と鮮度保持が重要と考えられる。外食産業で使われる食材の多くが調理済み冷凍食品であることからすれば、冷凍処理過程および冷凍処理後の調理済み食品の品質変化を正確に把握・管理する技術が必要である。<br><b>【方法】</b>そこでレストラン等の外食産業で利用されることの多い冷凍食材について、その品質の変化を、近赤外線によって探査・推定する手法について研究した。外食産業で利用頻度の高い野菜として、アスパラ、カボチャ、グリーンピース、コーン、ニンジン、ブロッコリの冷凍ものについて、これら冷凍食材に光を照射し、その反射光のスペクトルに含まれる品質関連の固有波長の情報を利用して、各食材の品質指標を推定する方法について検討した。<br><b></b><b>【結果】</b>冷凍野菜表面の近赤外反射分光スペクトルのマッピングデータから冷凍野菜の品質指標を推定する場合に、各品質指標を個別に推定するにはPLSRモデルを用いることが精度の点で優れる。一方、ニューラルネットワークモデルによる品質指標の一括推定モデルについては、一つのモデルで品質指標を一括して推定できる利点はあるが、PLSRモデル構築と同程度のデータ数で構築した場合、学習過程で、データ分散の大きな品質指標に最適化が行われる傾向があり、糖含量相対値のように分散の小さなデータに対しては予測精度が低くなる結果となった。 <br> なお、本研究は、公益財団法人江頭ホスピタリティ事業振興財団の研究助成により実施した。ここに記して謝意を表する。
著者
小長谷 紀子 井門 知里
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.135, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】現代の食生活において食物繊維の摂取量を増加させることは大きな課題である。難消化性デキストリンは健康志向の高まりから多くの食品へ添加が試みられてきた。一方,寒天は食物繊維を豊富に含み,手軽に調理できる伝統的な食物繊維を多く含む食品である。そこで本研究では,難消化性デキストリンを寒天に添加し,通常の寒天ゲルと同様の特性を持つゲルを調製できるかどうかを確認することを目的とした。【方法】寒天に難消化性デキストリンを添加してゲルを作成し,寒天の調理特性におよぼす難消化性デキストリンの影響を評価した。このため難消化性デキストリン(松谷化学工業)を添加した0.6%寒天溶液および牛乳寒天(寒天濃度0.8%)を調製し,光の透過率(380-780nm),離漿率,破断応力を測定し,官能評価を行った。【結果】寒天溶液に難消化性デキストリンを最大で10%添加を試みた。その結果通常と同様の寒天ゲルができることを確認した。また難消化性デキストリンを添加することでより透明な寒天ゲルが生成した。そこで分光光度計で透過率を測定した結果,難消化性デキストリンを5%添加したものは,難消化性デキストリンを加えないものと比べて光の透過率が高く,ショ糖を10%添加したものと同等であった。一方,牛乳寒天においてショ糖(7%)と難消化性デキストリン5%添加したものは,ショ糖のみを含むものに比べ24時間後の離漿率が約70%減少した。すなわち,難消化性デキストリンを寒天に加えると,透明度が高く離漿の少ない寒天ゲルをつくることができる。
著者
久保 加織 尾川 由香里 團 愛 堀越 昌子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成16年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.45, 2004 (Released:2004-09-09)

【目的】福井県や滋賀県のさば街道筋に古くから伝わるへしこ(魚のぬか漬け)は、塩漬けした魚を米ぬかとともに数ヶ月から1年程度漬けることによって製造される。本研究では、数種類の市販へしこの成分を分析するとともに、官能評価を行い、各成分と官能評価との関連性について明らかにすることを目的とした。【方法】福井県および滋賀県で製造、販売されたさばへしこを試料とし、塩分、遊離アミノ酸、核酸関連物質などの分析を行った。さらに、SPMEファイバーに吸着させた揮発性成分をGCMSにより分析した。官能評価は、大学生30人をパネルとして行った。【結果】へしこの呈味に関わる成分として、塩分と遊離アミノ酸、有機酸が検出されたが、呈味性核酸関連物質はほとんど含まれていなかった。塩分は7.5%から15.5%と試料間の差が大きく、官能評価では塩分濃度の違いを多くのパネルが塩辛さとして感じていた。ヒスチジンを除くすべての遊離アミノ酸は生さばより多く含まれていた。アスパラギン酸やグルタミン酸含量の高いへしこで酸味を強く感じるパネルが多く、甘味や旨味と遊離アミノ酸量との間に関係はみられなかった。揮発性物質としてエタノールや酪酸、酢酸エチル、アセトアルデヒド、2‐エチルフランなど微量でも特徴的なにおいをもつ物質が検出され、これらがへしこのにおいの特徴を示すと考えられた。なれずしから検出される揮発性成分と比較した結果、へしこはなれずしより発酵臭が少なく生魚の臭いに近いと考えられた。試料間では、発酵臭や生ぐさ臭、エステル臭をもつ揮発性成分の検出のされ方に差が見られ、官能検査でも検出された揮発性成分から予想される臭いの特徴を認めることができた。
著者
林 秀之 山本 克也 水馬 義輝 佐藤 英男 塩田 良子 野村 知未 北 和貴 彦田 星香 杉山 寿美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】ダッチオーブンは,厚い鋳鉄製の鍋であり,屋外ではふたの上に炭火を乗せて上下から加熱調理する小型オーブンのような鍋である。屋内では炭火ではなくガスコンロの魚焼きグリルにダッチオーブンを入れることで高温加熱を行うことが可能であり,材料を入れるだけの簡単さからその調理方法への関心が高まっている。しかし,ガスダッチオーブンで調製した料理に関する報告はなく,その嗜好特性等は明らかではない。本研究では,ガスダッチオーブンで調製したいくつかの料理の嗜好特性とうま味成分量について報告する。<br />【方法】ガスコンロの魚焼きグリルを熱源として,ダッチオーブンでアクアパッツァおよびラタトゥイユを調製した。アクアパッツァは11-13分の加熱と10分の余熱調理を,ラタトゥイユは14-18分の加熱と30分の余熱調理を行った。また,フライパン,片手鍋を用いた従来法も比較として行った。食材からのうま味成分の浸出の程度について,煮汁のアミノ酸分析,イノシン酸・グアニル酸分析をHPLCで,ナトリウム分析をICPで行った。官能評価は煮汁の塩分濃度が同じになるよう調整した試料について,女子大学生をパネルとして行った。<br />【結果】ダッチオーブン加熱は従来法と比較して,出来上がり重量,煮汁重量が多く,食材重量が少なかった。また,煮汁に含まれるグルタミン酸,ナトリウム量が多く,官能評価において,味が深く,好ましいとされた。この結果は,ダッチオーブン加熱が,煮汁や食材に由来するうま味成分,ナトリウム量を多く浸出することで,高い嗜好特性と料理に添加する食塩量を減少できることを示したものであり,高温かつ緩慢加熱であるダッチオーブンによる調理が食材の組織変化を促したためと推察された。
著者
西堀 すき江 小濱 絵美 加藤 治美 伊藤 正江 筒井 和美 野田 雅子 亥子 紗世 廣瀬 朋香 羽根 千佳 小出 あつみ 山内 知子 間宮 貴代子 松本 貴志子 森山 三千江 山本 淳子 近藤 みゆき 石井 貴子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】昭和50年代までは『尾張の嫁入りは派手』といわれ,花嫁道具一式を積んだトラックに紅白幕をかけて嫁ぎ先へ運んだり,菓子撒きをしたり,豪華な料理や引き出物を用意した。このような,一世一代の行事は派手に祝うが,通常は倹約をし質素な生活をするのがこの地方の特徴であった。</p><p>【方法】愛知県を(1)名古屋市,(2)尾張水郷(海部),(3)尾張稲沢(尾張北部),(4)愛知海岸(知多,西三河・東三河の海岸,渥美),(5)西三河・安城,(6)東三河・豊橋,(7)愛知山間・奥三河の7地区に分け,聞き書き調査と料理の撮影を行った。聞き書き調査は,平成24・25年,料理の撮影は平成27年に行った。聞き書きは,各地区に長年暮らし,その地域の家庭料理を伝承されている方を調査対象者とした。撮影に当たっての料理作成は,聞き書き対象者や各地区で伝統的家庭料理の保存活動を行っている団体・個人などに依頼した。先の調査を収録した『日本の食生活全集23 聞き書 愛知食事』を参考にした。</p><p>【結果および考察】名古屋を含む尾張地区では稲作や野菜栽培が盛んで,副菜も地場でとれた野菜を生で食す以外に乾燥させたり,漬物にしたりして利用した。また,名古屋コーチンに代表される養鶏が盛んで,なんぞ事の時に鶏肉(かしわ)や卵が食された。海岸地区は伝統野菜の蕗をはじめ種々の野菜が栽培され,小魚や海藻の佃煮も多く利用されていた。三河の安城地域は,不毛の台地安祥(あんじょう)ヶ原と言われていたが,明治用水建設後は日本のデンマークと称されるようになり,農作物が豊富に栽培された。大豆・落花生も畦に作られていた。愛知山間部では山菜やきのこ,川魚などで佃煮を作り常備菜としていた。へぼなどの昆虫食も利用していた。</p>
著者
吉田 惠子 四十九院 成子 熊田 薫 岡本 洋子 伊部 さちえ 関根 正裕
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.61, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 昨年度の本学会において、ゆで大豆、蒸し大豆、圧力鍋で加熱した大豆についてその特徴を比較し、各豆に甘味や硬さに特徴があることを報告した。昨年は水でのゆで豆であったが、大豆を速く軟らかくゆでるために食塩や重曹を添加する方法が実際に行われている。今回は水、食塩添加水、重曹添加水、圧力鍋でのゆで豆を作成し比較したところ、硬さや粘りに違いが認められた。そこで各ゆで豆の相違を、組織、物性の面から検討することを目的とした。<BR><B>【方法】</B><BR> 大豆は丹波錦白大豆を用いた。電子顕微鏡写真のサンプルは以下のように調製した。20gずつ、5倍量の水、1%食塩水、0.3%重曹水中で室温(24℃)で15時間浸漬後、200mlのビーカーに入れ、湯煎鍋でやわらかくなるまで加熱した。水中で加熱した豆は2時間、1%食塩水、0.3%重曹水で加熱した豆は1時間加熱した。圧力鍋加熱は同様に水浸漬後、オートクレーブを用い、112℃15分加熱した。各豆について、透過型電子顕微鏡で撮影した。物性試験の豆は、上記の方法で経時的なサンプルを調製した。静的粘弾性測定として、レオナ-RE33005(山電)を、動的粘弾性測定として、MG-Rheoアナライザー(アトー)を用いて測定した。<BR><B>【結果】</B><BR> 電子顕微鏡写真では、水加熱豆は、細胞壁、プロテインボディーともその形態を保っていたが、食塩添加豆では、プロテインボディーに変化が、重曹添加豆、圧力鍋加熱豆では、プロテインボディー、細胞壁に変化が認められた。物性試験では静的、動的試験での差がみられた。また加熱方法によるゆで豆の粘弾性の差も明らかであり、組織と物性の相関も示唆された。
著者
日原 真由美 三神 彩子 赤石 記子 長尾 慶子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】近年,地球環境問題が深刻化する中,環境に配慮した食生活が重要となってきている。北区のごみ排出量は一人一日あたり約660gと都内平均よりも少ないものの,有効活用できるものが多く含まれている。東京家政大学と東京都北区では,2013年度より,ごみ減量啓発活動「リデュースクッキング」を推進している。リデュースクッキングとは普段の調理で処分しがちな食材や使い切れず廃棄している食材を有効活用する調理方法である。今回は「日本の郷土料理,名物料理」をテーマに生ごみ減量の推進につなげるレシピを提案する。</p><p>【方法】日本全国の郷土料理,名物料理からスープカレー,きりたんぽ鍋,盛岡冷麺,治部煮,宇都宮餃子,からし焼き,ほうとう,お好み焼き,いもたき,太平燕,鶏飯,タコライスの12品を選定した。それらの通常の作り方を基に,野菜の切り方を工夫する,使い切る,捨てがちな外葉,茎,皮などを使う,残り野菜の活用などのごみ減量につながる視点を入れてレシピを作成した。A4の冊子にまとめ,区民に広く普及できるようにした。</p><p>【結果および考察】レシピ開発では,廃棄率の高い野菜の捨てがちな外葉,茎,皮等の可食部分を,すり下ろす・刻むなどの調理方法や味の工夫で食べやすくすると共に,省エネにつながる方法も取り入れたことで,調理時間も短く,簡単に美味しく作れるレシピとなった。1品あたりの生ごみ量は通常の作り方では平均47gとなったが,今回のレシピでは平均10g程度に抑えることができた。北区ごみ組成調査(2018年度)では,可燃ごみの約50%が生ごみであり,さらにその80%が調理くずであることから,このレシピを活用することで,区内のごみ減量につながることが期待される。</p>
著者
関根 有紀 川崎 寛也 笠松 千夏 野中 雅彦
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】昨年我々は複数の官能特性の経時的変化を1回の評価で捉えられるTemporal Dominance of Sensations(TDS)法を用い、従来の強度評定法では見いだせなかった食品の官能特性に関わるパラメータを報告した。このTDS法では結果がTDSカーブで図示され、官能特性の経時変化が見える化されるため、どのように味や風味をデザイン(設計)するかについて議論可能となる。本発表では、この活用例としてトップショコラティエである小山進氏(パティスリー エス・コヤマ)とのコラボレーションにより、和のフレーバーを活かしたチョコレートを作成した事例を報告する。<br>【方法】市販チョコレートのTDS評価結果を元にオリジナルチョコレートの試作を小山氏に依頼した。試作チョコレートのTDS評価を行い、フレーバーデザインについて議論を行うというサイクルを進めた。TDS評価は、担当者で言葉出しを行った14語を用いて行った。チョコレート片(13&times;20&times;9mm)を味わい、最もdominant(支配的、最も注意が向けられた、印象的)に感じられた「味」と「風味」について経時的に回答した(n=7~9)。<br>【結果】チョコレートの素材としてほうじ茶や賀茂なすのしば漬けなどを用いた、うま味が特徴的に余韻(後半に有意にdominant(p<0.1))として残るオリジナルチョコレートを作成することができた。これまでショコラティエが感覚的に設計してきたフレーバーデザインの過程を、TDSカーブとして具体的に記録することができた。このようにTDS法は、時間軸を導入したフレーバーデザインツールとして活用できることが示唆された。
著者
宇都宮 通子 五島 淑子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.37, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 日本は、箸を使って食事をする文化圏に属している。近年、その箸の持ち方が個性化してきていると懸念されている。そこで、幼児・中学生・大学生の箸の持ち方の実態を探り、「伝統的な持ち方」をする人の割合が低下している理由を考察することを通して、箸の持ち方を決定する要因等を検討した。 【方法】 (1)中学生505人・大学生262人に対し、質問紙法による調査を行った。実施時期は、平成18年6月~9月、内容は、箸の持ち方・箸の持ち方の決定要因・箸の持ち方と作法・箸の持ち方と意識についてである。 (2)保育園・幼稚園に通園し、昼食時に箸を使用する1歳児クラスから5歳児クラスの幼児499名に対し、昼食での箸使用時の観察等により、箸の持ち方の調査を行った。実施時期は、平成18年6月~19年2月、内容は、箸の持ち方・持ち方の類型化・掌の長さ・箸の持ち方へ取り組む様子についてである。 【結果】 箸の「伝統的な持ち方」の割合は、5歳児が1割弱、中学1年生が6割弱、大学生が7割弱で、年齢が高くなるにしたがって増加した。また、向井・橋本(1986年)がおこなった20年前の調査と比較し、伝統型でも鉛筆型でもない、「その他の型」が増加したことが明らかになった。箸の「伝統的な持ち方」の習得には、心身の発達・教育(家庭教育・集団教育)・適切な道具「箸」の使用などが重要であることが示唆された。
著者
新井 映子 高塚 千広 川上 栄子 市川 陽子 伊藤 聖子 神谷 紀代美 清水 洋子 竹下 温子 中川 裕子 村上 陽子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2021年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.161, 2021 (Released:2021-09-07)

【目的】 静岡県に伝承されてきた家庭料理の中から、行事食として食されてきた料理を東部、中部、西部に分け、各地域別に明らかにすることを目的とした。【方法】「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の調査ガイドラインに基づき、静岡県東部(富士宮市、伊東市)、中部(静岡市、焼津市、藤枝市)および西部(浜松市、湖西市)の各地域において居住歴が30〜81年の男女61人を対象に聞き書き調査を実施した。【結果】歴史的、地理的にもそれぞれの特徴を持つ東部、中部、西部の3地域について、各地域に特有の食材を生かした行事食やそれらの調理法について示す。東部の富士宮では、富士山の火山灰土壌で落花生栽培が盛んなため、おせちのなますには粗くすりつぶした落花生を入れる「落花生なます」が作られる。伊豆半島の主要な漁港である伊東では、祭りなどの行事食として鯖のそぼろをのせた「鯖の箱ずし」が作られる。中部は正月に黒豆、田作り、数の子を用意し、里芋やごぼう、椎茸の「煮しめ」、大根と人参の「なます」にいかやしめ鯖を加える。かつおだしに大根と里芋、角餅の「雑煮」やまぐろの「にぎりずし」を作る。おせちに練り製品を入れる。クチナシで色づける「菱餅」や「染飯」がある。西部の湖西市は「新居の関所」がある町で、東海道を往来する旅人によって「すわま」という波形をあしらった餅菓子が伝承され、上巳の節句に作られている。浜松市山間部の水窪周辺では、雑穀を中心とした食文化があり、4月8日(花祭り)に大豆、そば粉、小麦粉で「とじくり」いう団子をつくって仏壇にお供えしている。以上のことから、静岡県では東部、中部、西部の各地域に特有の食材が、行事食にも生かされていることが明らかとなった。
著者
山田 節子 今野 祐子 三森 一司 出雲 悦子 大久 長範
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.173, 2006

[目的]近年、ペットボトル飲料を日頃から水分補給のために利用する人が増えている。缶入り飲料に比べて、いつでも手軽に飲みたい分だけ飲め、そのうえキャップを閉めればどこへでも持ち運べるという利便性がある。また、消費者の健康志向も伴って、さまざまなペットボトル飲料の中でも、茶系飲料の売れ行きが好調である。しかし開栓後、直接口をつけて飲み、それを持ち運ぶことで様々な細菌に汚染されることが予測される。そこでペットボトル飲料に口内細菌と大腸菌を植え、どのくらい増殖および変化がみられるかを実験したので報告する。<BR>[方法]茶系飲料、スポーツドリンクおよびミネラルウォーターのペットボトル飲料に、自身の唾液より採取した口内細菌と、大腸菌をそれぞれ添加し、25℃で24_から_48時間保存したあと、菌数の変化をペトリフィルムで測定した。<BR>[結果]口内細菌を接種したところ、24時間後では、ブレンド茶は約、3.6倍、ミネラルウォーターは約、1.5倍と大きく増加する傾向が認められ、48時間後には無限大となった。ウーロン茶は、48時間後ではほぼ一定を保ち、緑茶は減少傾向を示した。PHが3.7と低いスポーツドリンクは口内細菌が減少する傾向にあった。大腸菌接種では、ウーロン茶、緑茶、ブレンド茶、スポーツドリンクは24時間で検出限界にまで減少し、ミネラルウォーターは一時的に減少したが、48時間後にも接種菌数の約、1/6が検出された。ペットボトル飲料が一般細菌に汚染された場合には、pHが中性に近づくに従い汚染が進行しやすく、pHが3付近では進行し難かった。
著者
長島 万弓 石山 絹子 七野 知子 安本(白戸) 知子 福田 靖子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成16年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.112, 2004 (Released:2004-09-09)

[目的] 発芽玄米の例にもあるように食品素材の発芽による機能性向上が研究されるようになり、ゴマについてはすでに「発芽ごま」として市販化されているが、その機能性向上についての科学的根拠は明らかとされていない。今回この「発芽ごま」の発芽前後のサンプルを比較し、ゴマの機能性と食味に及ぼす発芽の影響について検討した。[方法] 市販されているものと同種のトルコ産金ゴマを試料とし、発芽前と発芽48時間後(市販「発芽ごま」と同条件)のゴマを、それぞれ焙煎したサンプルとして入手した。両サンプルの一部は粉砕後溶媒抽出をおこない、一部は官能検査に用いた。抽出物はHPLCによりゴマリグナンの定量分析を行うとともに、DPPHラジカル捕捉能を測定した。高リグナン新品種「ごまぞう」についても同様の実験を行い比較した。[結果] 市販品と同種の金ゴマについては、発芽前にはほとんど検出されなかった抗酸化性リグナン・セサミノールが発芽48時間後には検出されるようになり、DPPHラジカル捕捉能も約2倍に向上することが明らかとなった。「ごまぞう」に関しても同様にセサミノールの増加がみられたが、今回の発芽条件においては金ゴマのほうが「ごまぞう」よりも約1.5倍多く生成されることが確認できた。さらに発芽の初期段階でUV吸収を有する高極性成分の存在が認められたが、この構造等については現在検討中である。また、官能検査では未発芽ごまに比べて発芽ごまには甘味の増加が認められた.
著者
早川 和樹 野口 律奈 前原 大輝 松田 桃香 庭池 知里 本柳 圭亮 山口 圭太 小山 徹 伊村 智 大西 伽枝
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【背景】南極での食事は以下のような特殊性を持つ。①南極到着後食糧の補給はなく、一度持ち込んだ食糧のみで食生活を維持する。②保存性・貯蔵性に乏しい食品(野菜・果物など)は、食せない時期(越冬後半)がある。③メニューは調理隊員が決定し、個人による選択の余地はない。④ゴミ減量化、排水制限等の制約がある。⑤南極生活での数少ない楽しみの1つであり、隊員同士の紐帯の源である。こうした特殊性は、災害時の食事と共通点が多い。南極調理隊員による食糧の選択と配分、食べられない食品の代替メニュー等は、災害用備蓄や災害時の食事に活用できると思われる。さらに、隔離・閉鎖された空間である南極での食事が、隊員にとってどのような存在か、調理隊員は何を心がけているのかを知ることは、災害時の食事を単なる栄養補給ではなく、被災者に寄り添う食として捉える上で重要であると考える。</p><p>【目的】本研究の目的は、南極越冬隊の食事の特徴を明らかにし、災害食への応用を検討することである。本発表では、南極での献立の特徴について報告する。</p><p>【方法】第1次隊(1956-58年)から第60次隊(2018-20年)までの日本南極地域観測隊報告書を対象とし、献立に関する記載を記述的に分析した。</p><p>【結果】朝食はバイキング、昼食は短時間で食べられる麺類か丼もの、夕食は定食スタイルであった。お菓子は、持参した分が最後までなくならないよう、調理隊員が管理して配分していた。BARが定期的に開かれ、お酒が自由に飲めるようになっていた。さらに、曜日感覚を維持するために毎週金曜日はカレーとする、季節感感覚を維持するために日本の季節に合わせた特別食を実施する(7月に流しそうめん等)などの工夫がされていた。</p>
著者
名倉 秀子 中川 杏奈 徳久 美歩 横山 未来 芝崎 本実 林 綾子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

<br><br>【目的】餡は豆類を加熱し,でんぷんを含んだ細胞を集めて調味したペースト状の食品であり,生餡に砂糖を加えて練餡が調製される。この甘味の練り餡は,室町時代に砂糖が輸入されたことに伴い,用いられるようになったが,それ以前は塩味の塩餡が使用されていたといわれる。また,近年では砂糖の入手が困難な戦時中に塩餡を家庭で調理する事もあったようである。一方,埼玉県の郷土料理である「塩あんびん」は塩餡を餅で包んだ餅菓子で,塩味が特徴的である。そこで,「塩あんびん」の喫食時期,喫食方法,調理法などを実態調査し,伝承するために必要な材料配合,塩餡の性状を検討することを目的とした。<br><br>【方法】地域の商工会議所等に「塩あんびん」を扱う店舗等を問い合わせ,和菓子店より喫食方法等を聞き書き調査し,さらに餅菓子を入手した。市販「塩あんびん」の特徴を得るために,大きさ(直径,厚さ),重量,餅と塩餡の割合,塩餡の食塩濃度を測定した。また,塩餡の調製を試み,色調,テクスチャー,水分等から練餡との比較を行った。<br><br>【結果】「塩あんびん」は,昭和40年頃まで北埼玉地域の農業を営む家で春祭りや秋祭りの行事,慶事や仏事に調理し,近隣や親せきに届け,喫食されていた。現在,家庭で調理する事は少なくなり,この菓子を扱う和菓子店がおよそ20件あげられた。店頭に並べられる「塩あんびん」は店により菓名(表記名)が異なり,直径5.7~8.5 cmで重量は71.4~171.8 gと様々な大きさで,食塩濃度0.7~2.0%,1個あたりの価格は130~330円と幅があった。塩餡は練餡と比較すると,色調が白く,硬さ応力が大きく,付着性が低く,まとまりにくく,やや厚めの餅皮で包むことが明らかになった。
著者
駒場 千佳子 松田 康子 加藤 和子 河村 美穂 木村 靖子 島田 玲子 土屋 京子 徳山 裕美 名倉 秀子 成田 亮子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】日本調理科学会特別研究平成24〜25年度「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の調査を通して,昭和30-40年代の行事食の特徴を明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】東部低地:加須市,北足立台地:さいたま市,比企:東松山市,大里・児玉:熊谷市,入間台地:日高市,入間山間部:飯能市,秩父山地:秩父市,川越商家:川越市の8地域9か所で、対象者は食事作りに携わってきた19名(居住年数平均72.3年)である。当時の地域環境と共に、食料の入手方法、調理・加工・保存方法、日常食や行事食、食に関連する思い出や伝え継ぎたいと考える料理について聞き書き法で調査を行った。</p><p>【結果】食が関連する行事は、正月や盆などの年中行事や節句を祝うもの、農作業などの節目(収穫の願いや収穫祝い、農作業や養蚕業のひと段落した際の地域の祭事)、人寄せをする地域の祭事などがあった。</p><p>赤飯やおはぎ(ぼたもち)、いなり寿司や巻きずし、ちらし寿司は、多くの行事で作られ、祝い、楽しまれた様子が伺える。海なし県であるが、正月にはお頭付きの海の魚が利用されるなど、日常にない料理も多かった。埼玉県は、里芋の栽培が多く、芋がら(ずいきの茎)を甘酢漬けにしたり(十日夜)、芋は雑煮(角餅・すまし汁)の具としても利用されていた。地域の野菜を使ったかて飯、七福なます、ゆず巻きなども食べられている。また、小麦の栽培も多いことから、行事食にはうどんだけでなく、小麦を使ったお菓子(酢まんじゅう、炭酸まんじゅう、ゆでまんじゅう)がつくられた。特徴的な料理は、穀倉地帯のいがまんじゅう(季節の節目)、塩あんびん(十日夜)、山林地帯のとち餅(正月:栃の実を利用)、つとっこ(端午の節句:栃の葉を利用)などがあった。</p>