著者
鈴木 絢子 村上 陽子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】我が国の食文化は,微生物を利用した発酵食品によって支えられている。甘酒は,米と米麹を原料としてつくられる。甘酒には,米麹を用いるものと,酒粕を用いるものの2種類に大別される。米と米麹で作る甘酒(麹甘酒)は,アルコール分を含まないため,老若男女すべての世代において飲用できる。また,自然な甘味を呈するため,飲み物として飲用する以外に,砂糖やみりんなどに代わる調味料としての活用も期待できる。甘酒は,疲労回復や熱中症防止の飲み物として古くから親しまれ,かつ,近年ではその栄養効果の高さから注目を集めているが,その調製方法は経験によるところが多い。また,材料の一つである米麹は原料や製法により様々あるが,甘酒の成分組成や嗜好性に及ぼす影響についてはあまり検討されていない。そこで本研究では,麹甘酒の材料が成分と嗜好性に及ぼす影響について検討した。</p><p>【方法】材料として,市販の米麹を用い,米はうるち米(精白米)とした。米を蒸留水で数回洗米後,30分間吸水させ,炊飯器を用いて粥状に炊いた。炊飯後,蒸留水を添加し,温度が60℃まで低下したら米麹を加えてよく混合し,60℃にて麹甘酒を調製した。試料の糖度,マルトース濃度,グルコース濃度などについては経時的に測定した。食嗜好性は,静岡大学教育学部学生を対象に行った。</p><p>【結果および考察】麹甘酒の糖度・マルトース濃度・グルコース濃度は,調製時間の経過とともに有意に増加した。また,米麹の種類によって,各種成分に有意な相違がみられた。麹甘酒の食嗜好性を検討したところ,米麹の種類によって味や見た目などに有意な差がみられた。以上のことから,米麹は麹甘酒の成分や嗜好性に影響を及ぼすといえる。</p>
著者
市川 竜太郎 小林 秀 小倉 あい
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

<b>目的<br></b><b></b>消費者が行う野菜の冷蔵保存の方法として、購入した状態のまま保存するか、食料保存袋に野菜を入れ替えて保存する方法が一般的に行われている。一方、野菜類は保存中に傷ませた経験のある食材であり、鮮度を保持する方法を知りたい食材として挙げられている。そこで、野菜としてホウレンソウを用い、保存方法の違いが保存後の鮮度に及ぼす影響について検討した。&nbsp;<br><b><br>方法<br></b>ホウレンソウは東京都内にて購入した市販品をそのまま供試試料とした。重さ約100gのホウレンソウをそのまま保存した場合、食料保存袋に入れて保存した場合、および含水不織布でホウレンソウを包み食料保存袋に入れたものを2週間家庭用冷蔵庫にて保存し試験に供した。保存後のホウレンソウの鮮度は、重量、ガス(O<sub>2</sub>,CO<sub>2</sub>)濃度、色差計による色調変化、官能評価(指標として、総合的な新鮮さ・しおれ・傷み・黄変・可食の可否)を行った。&nbsp;<br><b><br>結果<br></b>各々の条件で保存したホウレンソウの重量を測定した結果、含水不織布で包み食料保存袋で保存したものは、保存前と比較し重量が約10%増加していた。一方、ホウレンソウをそのまま保存した条件では保存前と比較し約17%の重量減少が認められた。食料保存袋にて保存した条件では顕著な重量変化は認められなかった。また、ガス濃度を測定した結果、保存条件の違いによる差は認められなかった。しかしホウレンソウの色調変化では、含水不織布で包み食料保存袋にて保存したものが最も緑色を維持しており、次いで食料保存袋による保存、そのままの状態での保存の順で葉の黄変が認められた。また、各保存条件で保存したホウレンソウの官能評価では総合的な鮮度で相違が認められ、含水不織布で包み食料用保存袋で保存したものが最も鮮度が良いと評価された。含水不織布を利用した保存条件では、葉からの蒸散作用が抑制されるとともに、ホウレンソウが水分を吸収し、鮮度を保持していたと推察された。
著者
鷲塚 晋 奥田 玲子 佐藤 幸治 白杉(片岡) 直子
出版者
日本調理科学会
雑誌
大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】大麦は「食後血糖値上昇抑制作用」「腸内環境の改善」などの生理機能を持つ水溶性食物繊維β-glucanに富むことから、パンなどの様々な食品に応用されている。しかし、パンの場合、大麦粉の配合割合が高くなるにつれて、製パン性が低下する。奥田らは、食味の優れた高β-glucan大麦20%含有食パンを調製した<sup>*</sup>が、製パン技術が必要であること、生理活性発現の観点からは、大麦粉の配合割合を高める必要があることなどが課題であった。本研究では、ホームベーカリーを用いて日常食として利用できる高β-glucan大麦40%含有食パンの調製を試みた。<br>【方法】試料粉は、カナダ産小麦粉 1CW(アヴァロン:日本製粉)と国産大麦60%搗精粉(高β-グルカン大麦品種ビューファイバー[高粒度タイプ]:豊橋糧食工業)を用い、奥田ら<sup>*</sup>の大麦パンの配合を参考に改変した。試料の調製は、ホームベーカリー(SD-MDX100, Panasonic)で行った。加水量は100%(BP: ベーカーズパーセント)とし、グルテン(A-グルG:グリコ栄養食品(株))を添加した。混捏と発酵の各合計時間は約49分と約110分であった。官能評価には評点法と順位法を用いた。体積は菜種置換法により測定した。<br>【結果】官能評価から、大麦食パンの砂糖の添加量は7.5%(BP)とした。大麦食パンの比容積 (cm<sup>3</sup>/g)は、2.59±0.03であった。大麦食パンと市販小麦食パンとの官能評価による比較では、嗜好性を問う総合評価に有意差はなく、60%のパネルが本研究で調製した大麦食パンを「日常的に食べられる」と回答した。これらの結果から、本研究で調製した大麦食パンは日常食として利用可能であると考えられた。今後、ヒトを対象とし、本研究で調製した大麦食パンの生理活性について検討する予定である。<br><sup>*</sup>奥田玲子他(2016), 日調科平成28年度大会
著者
安藤 真美 北尾 悟 小幡 明雄
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.67, 2015 (Released:2015-08-24)

【目的】生醤油は、製造工程において火入れ(加熱処理)を行っていないため、鮮やかな色や風味が豊かである特徴を有している。また酵素類が失活していないため、食材に対してたんぱく質分解作用などを活用することも期待できる。これまでにイカ肉を生醤油に漬けると、肉質が柔らかくなり、官能評価でも有意に好まれる結果を得た1)。そこで、本研究では、肉料理に醤油が使われることが多い現状をふまえ、生醤油の牛肉に対する調理特性を調べた。【方法】比較的均一な肉質である牛もも肉(国産)を、100%または50%濃度にした濃口生醤油(試験区:キッコーマン製)または濃口醤油(対照区:キッコーマン製)に25℃で8時間または20時間浸漬後、未加熱および加熱(沸騰水中2分)したものを分析に用いた。分析項目は、プロテアーゼ活性(しょうゆ試験法)、色調(測色色差計)、破断応力(レオメーター)、食塩量(伝導度式塩分計)、アミノ酸量(アミノ酸分析計)、たんぱく質組成(SDS-PAGE)、および官能検査(評点法)である。【結果】未加熱の場合、浸漬後の牛肉の塩分量に比例して硬くなったが、どの条件でも試験区の方が柔らかかった。加熱の場合も同様に塩分量に比例して硬くなったが、50%濃度では試験区の方が対照区よりも柔らかかった。軟化の原因は、遊離アミノ酸量およびSDS-PAGEの結果から、食塩による脱水ではなく、たんぱく質分解酵素に起因するものと推察された。100%濃度で20時間浸漬した試料と、50%濃度で8時間浸漬した試料について官能評価を実施したところ、香り・やわらかさ、おいしさ(総合評価)において試験区のほうが高い評価であった。実際の調理に応用するために、醤油濃度・浸漬時間および温度などの詳細な検討が必要である。1)2014年度日本食生活学会
著者
阿部 優子 石川 雅子 会田 久仁子 小林 睦子 菊池 節子 半澤 明子 角野 猛 石村 由美子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.17, pp.153, 2005

<BR>目的 福島県は地理的環境などから山間部の会津地方、平野部の中通り地方、海岸部の浜通り地方の3地域に区分される。これらの地域は気候風土が異なり、それぞれの食生活にも強い地域性が存在することが知られている。しかし、近年の高速交通網の発達、人的交流などによって、その地域性も解消しつつあることも考えられる。本調査は、近年の福島県内の食生活、食文化の地域性を魚介類の種類とその調理方法において、調査・考察することを目的として実施し、先に会津地方の魚介類調査結果について報告した。今回、いわき市での食生活の特徴、魚介類の調理・加工の特徴、更に、本地方独特の魚介類の料理・加工方法などの調査結果を報告する。<BR>方法 平成15年2_から_3月にアンケート調査及び聞き取り調査を併行して行なった。調査は福島県いわき市内に10年以上居住している18世帯で、調査対象者は各世帯の主たる調理担当者に対して行った。<BR>結果 いわき市は太平洋に面した地域で、小名浜漁港をはじめとして、多くの漁港が存在し、日々多種類の魚が水揚げされている。従って、日常食としては、多種の魚介類が刺身、煮魚、焼き魚などで食されていた。また、大量に水揚げされた魚介類は塩漬け、干物、みりん干しなどに加工して販売されており、各家庭において保存食として日常的に用いられていた。行事食としては正月・祭事時に「鮟鱇鍋」、「鯛の塩焼き」「喜知次の煮付け」などが食されていた。また、土用の丑の日に「鰻の蒲焼き」が食されていた。本地方独特の料理・加工法として、「秋刀魚のぽうぽう焼き」、「秋刀魚鍋」、「秋刀魚のみりん干し」、「秋刀魚のなめろう」、「鮟鱇鍋(鮟鱇のどぶ汁)」、「鮟鱇の供酢」、「どんこ汁」、「メヒカリの天ぷら」などが食されていることがわかった。なお、本地域では一世帯あたり年間平均42種類の魚介類を食し、平均78種類の魚介類調理法が存在した。
著者
谷津 麻子 湯川 夏子 中西 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.72, 2011

【<B>目的</B>】サツマイモの加熱調理器具としては、蒸し器、オーブン、電子レンジなどが広く使われてきた。これらに加えて今回、炊飯器を利用したサツマイモの加熱調理に着目した。炊飯器調理の利点は、材料をいれてスイッチを押したら、あとは自動的に仕上がるという点である。サツマイモを炊飯器加熱すると、「蒸し物(ふかしいも)」と「煮物」の中間の食感に仕上がる。本研究では炊飯器を利用し、サツマイモを加熱調理する際の最適条件を検討した。<BR>【<B>方法</B>】徳島県産の鳴門金時(平均重量170g)を購入し、使用した。炊飯器加熱はナショナル電気炊飯器(SR-W100)(5合炊き)を使用し、釜に一定量の水とサツマイモ(横1/2に切ったもの3ケ)を入れ、スイッチが切れるまで加熱調理を行った。測定項目は、加熱時間、内部温度、Brix糖度、硬さなど。<BR>【<B>結果</B>】加水量を150ml~400mlまで変化させて加熱時間を測定したところ、加水量150mlでは24分、200mlでは30分、300mlでは38分、400mlでは53分となり、加水量にほぼ比例して加熱時間が長くなった。サツマイモの内部温度が90℃以上に保たれていた時間は、加水量150mlでは3分、200mlでは10分、300mlでは19分、400mlでは29分であった。加熱終了時のサツマイモの糖度は加水量150mlですでに17%に達しており、さらに加水量を増やしてもほとんど変化は見られなかった。一方、硬さは、加水量増加とともに減少したが、試食による官能評価では、加水量150mlではまだ硬く、食べるには不適であった。以上、今回使用した炊飯器では、少なくとも200ml以上の水量での加熱が適切と判断した。
著者
根津 美智子 樋口 千鶴 鈴木 耕太
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】ドレッシングの開発依頼を受け卒業演習で再度チャレンジを試みた。I・N社,Y銀行,大学との連携から商品化に至るまでの過程と今後の活動の在り方を探る。</p><p>【方法】(1)H29年3月に再度卒業演習生4名と手作りドレッシング20種の試食会後7種を選択し,更に3種類に絞りN社にて3サンプルを作成した。(2)7月に再び試食会を行い,1種類に決定したが更にごまの量を変更し,再度サンプル化した。(3)9月に再度試食会を行い更に粘度の調整を加え,商品化するためにドレッシングに合う野菜とそれを売り出すキャッチコピーも考えることにした。(4)10月にサンプルを学園祭で試食し好評だったことから商品化することを決定した。(5)12月に野菜サラダ内容とキャッチコピーを考案しロゴも決定した。(6)翌年1月野菜内容とキャッチコピー,ロゴを入れた市販サラダのサンプルが出来上がり,I企業の売り込み営業が始まった。</p><p>【結果および考察】H30年3月から山梨・長野・静岡のOスーパーから2種の野菜サラダが販売され,6月よりコンビニ・ミニストップ約1000店舗でも1種類が販売された。前回の課題からI社はN調味料会社に変更し,教員も課題を克服すべく早期から学生達の試食日を設定した。今回はI・N社との連携また学生達と2社との連携がスムーズで,ドレッシングだけでは特色が薄いことから学生中心の野菜サラダのトータルプロデュースを行ったことが良い結果を生み出した。各社と学生との連携が密であったことがいい結果になった。相互の話し合いと信頼感が重要であることを改めて認識した。演習活動の中で商品を生み出すことの難しさと各方面との連携の大切さについて学生達は学ぶことができた。</p>
著者
芳賀 麻衣子 西村 ひとみ 関 洋子 新野 靖
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.133, 2004

【まえがき】 にがりは、最近の健康ブームで販売量を伸ばしており、豆腐製造のみならず、炊飯、調理にも用いられ、希釈されたものは飲料として販売されている。にがりは製塩において塩を採り切った残りの液であり、MgやNaなどの塩化物を主とした高塩分濃度溶液であるが、その品質規格はなく、成分表示がされていないものも多く、品質の実態は明らかでない。そこで、市販のにがり商品を収集して品質の実態調査を行った。<br>【試験方法】 にがり13点について、主成分(Cl,SO<sub>4</sub>,Ca,Mg,K)を「塩試験方法」((財)塩事業センター)により定量した。微量成分はPO<sub>4</sub>,As,Co,Cd,Cu,Hg,Mn,Mo,Ni,Pb,Ti,V,Znを対象とし、PO<sub>4</sub>はモリブデンブルー法、As,Hgは水素化物/ICP-AES法、その他の金属元素はキレートディスク濃縮/ICP-AES法で定量した。<br>【結果】にがりには、海水をそのまま濃縮したにがりと海水をイオン交換膜で濃縮したにがりがあるが、両者の間にはCa濃度に大きな差があり、後者のにがり商品に高濃度で含まれていた。各商品の全塩分濃度は26.7%から32.3%と大きな差はないが、その中のMg濃度は1.0%から5.0%、NaCl濃度は2.4%から21.9%と商品によって濃縮度がまちまちであり、同量使用した場合、調理品の仕上がりや味覚などへの影響が考えられた。微量成分では、Zn,Cu,Ni,Fe,およびMnを多く含む商品もあったが、海水からにがりへの濃縮倍率から、海水溶存成分以外が混入していると考えられた。その他、Moが海水の濃縮度に比例して含まれていた。また、海洋深層水利用商品について、その他の商品との品質差は見られなかった。
著者
清水 亮輔 上田 要一 岡野 秀夫 高石 和則 赤澤 周平
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】<br> 近年、食品添加物が「無添加」又は「不使用」である旨を表示した食品が多く販売されており、テレビコマーシャルや企業のホームページで協調されている例も多い。これらは、食品添加物を使用しない食品を望む一部の消費者向けの食品として開発、販売されてきたものであるが、このような表示により、食品添加物使用の意義、有用性、安全性に対する誤解を招くとともに、食品添加物を用いた加工食品全般に対する信頼性を低下させているおそれがある。今回、このような懸念を明確にして問題提起することを目的とし、一般消費者を対象にアンケート調査を行った。<br>【方法】<br> 人口比で割り付けた15~74歳の一般消費者1600人(男女各800人)を調査対象とし、「無添加」「不使用」と表示された食品に対する安全性の認識や、表示の規制に対する意見等について、インターネットを用いた選択式のアンケート調査を行った。<br>【結果】<br> アンケート調査の結果、「○○○無添加」や「○○○不使用」と表示された食品は、食品添加物○○○を使用した食品より安全と思っている回答者が約半数あった。このことから、このような表示が多くの消費者に対し食品添加物の安全性について誤解を招いていることが明らかとなった。<br> また、「無添加・不使用」とされた食品添加物が有害のおそれのないと国が認めたものであることや、それらの食品添加物と同一成分や同じ機能の成分が当該食品に含まれている場合があることを回答者に伝えた後、「無添加」や「不使用」の表示に対する規制についての意見を問うたところ、約6割が優良誤認を招くこのような表示を規制すべきと回答した。
著者
佐藤 真実 森 恵見 岸松 静代 谷 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】本州の中央部にあり,日本海に面す福井県は,嶺北と嶺南地区に分けることができる。嶺北は,平野を中心に米づくりが盛んであり,嶺南は,海に面して滋賀,京都に隣接する。日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」で実施した聞き取り調査に基づき,昭和30〜40年代の福井県における家庭料理「副菜」の特徴を明らかにし,現在でも作られている家庭料理について紹介することを目的とした。</p><p>【方法】聞き取り調査の結果および福井県の食に関する出版物から副菜を抽出し,特徴および地域性についてまとめた。</p><p>【結果および考察】県内の聞き取り調査によると,昭和30〜40年代の海岸地域を除いた福井県の日常食としては,3食ともに米飯,野菜や山菜料理が主なものであった。日本海に面することから海からの恵みもあったが,魚介類は時々食べるご馳走であった。春には,山菜を収穫し,保存する。秋冬には,だいこんや芋を用いた料理を作った。これらの野菜には,大豆・大豆加工品(打ち豆,油揚げ,豆腐),北前船の影響で入荷される乾燥ニシンなどが組み合わせ食材として使用された。中でも,だいこんは,葉っぱを「あえもん飯」,根を「から大根」「たくあん・たくあんの煮たの」「長寿なます」「こじわり」「みがきかぶし」などに利用した。「だいこんおろし」は,おろしそばや油揚げ飯にも利用される。山菜は,「こごみ」「わらび」「ぜんまい」等を「こごみの胡麻和え」「わらびのおひたし」「ぜんまいの煮物」「ぜんまいの白和え」「にしんと水ぶきの煮もの」などに利用した。とくに「ぜんまい」は現在でも高価であり,ごちそうとして,春祭り,秋祭り,報恩講などに利用される。</p>
著者
阿部 雅子 小澤 好夫 森光 康次郎
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成17年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.115, 2005 (Released:2005-09-13)

【目的】ショウガ科植物であるミョウガ(Zingiber mioga Roscoe)は特有の香りとさわやかな辛味を有し、薬味や漬物、汁の実として広く利用されてきた日本古来の香辛野菜である。これまでに演者らはミョウガの辛味関連化合物としてMiogadial(aframodial)及び新規Miogatrialを同定し、これらの化合物が抗菌活性、血小板凝集阻害活性などを有することを報告してきた。本研究ではミョウガを調理することにより、これらの化合物がどのように変動するのか精査した。【方法および結果】市販の新鮮ミョウガを洗浄後、加熱調理としてスライスしたミョウガを試料とし、茹でる・炒めるなどの調理、また非加熱調理(漬物)として2分割したミョウガを試料とし塩漬け・酢漬け・味噌漬け・糠漬け・粕漬けなどの加工を施した。漬物は60日間を貯蔵期間として、それぞれ定期的に一定量を酢酸エチルで抽出しHPLCにてMiogadial 及びMiogatrialの定量を行い、新鮮ミョウガとその含有量を比較した。加熱調理においては5分以内の短時間の加熱では茹で操作、炒め操作ともにミョウガ花蕾中におけるMiogadial 、Miogatrialは約60%残存していた。調理中のミョウガからの溶出も検討するため茹で汁、炒め油について同様に分析した結果、油中への溶出が一部認められた。非加熱調理においては60日後のMiogadial 、Miogatrialの残存率が最も高いものは酢漬けであり、著しく減少したものは糠漬け、粕漬けであった。Miogadial 及びMiogatrialの変動に及ぼす要因について、現在検討中である。
著者
寺本 あい 大和 裕子 古海 圭菜
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】スチームコンベクションオーブン(以下スチコン)は焼き、スチーム、その複合機能など多機能を持ち合わせている。この機能を適切に活用すれば大量調理において提供できる料理の幅が広がる。そこで、準備から廃油の処理に至るまで作業負担や環境負荷が大きい揚げ物について、スチコンを用いた調理の最適条件を検討することにした。<br />【方法】本研究では、鶏のから揚げを題材とした。衣については粉の種類・配合、粉のまぶし方、油の付加方法、加熱条件については加熱モード、加熱時間について比較を行い、揚げ調理に近い仕上がりになる調理方法を検討した。完成品の評価は、こども園にて給食として実際に提供し、子供達の喫食状況の観察と、職員を対象とした嗜好調査を行った。<br />【結果】数種の粉を配合し、揚げ過程での吸油を下処理段階で油にくぐらせ均一にむらなく付加し、スチコンの複数のモードを組み合わせることで、肉のジューシーさを保ちながら揚げ物のカリッとした食感に近付け、粉っぽい部分が残ることがなく均一な仕上がりとなった。具体的な最適調理条件は、以下のとおりである。粉は薄力粉とコーンスターチ、粉全量の5%の重曹用いた。粉のまぶし方は、鶏肉に薄力粉をまぶした後、重曹を混ぜたコーンスターチを加えまぶした。油の付加は、バットに油を入れ粉の付いた鶏肉をくぐらせて、焼き網の上に並べ余分な油を落とした。加熱条件は、浅型パンの上に鶏肉を並べた焼き網をのせ、熱風モード220℃で8分加熱後コンビモード(スチーム80%)220℃で2分加熱した。また、こども園における完成品の嗜好調査や喫食状況の観察より、鶏の唐揚げとして提供できる品質であると考えられる。
著者
沼田 貴美子 坂本 美代子 秋吉 澄子 柴田 文 小林 康子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】「調理文化の地域性と調理科学―行事食・儀礼食―」の全国の調査概要は報告書に,九州他各支部の概要は日本調理科学会誌に掲載された。今回,熊本県で調査した通過儀礼食について詳細に分析を行ったので報告する。<br>【方法】調査対象者は,学生とその親の世代間による比較検討を行うために親子間で回答が得られた者各82名であった。学生は熊本市内の短期大学1年生,親は40~50歳代であった。通過儀礼の出産祝い,お七夜,百日祝い,初誕生,誕生日,七五三,成人式,結納,婚礼,厄払い,長寿祝い,葬儀,法事で供される食べ物の認知度や経験度などについて分析し,熊本と全国や九州各県の結果を比較検討した。<br>【結果】通過儀礼食は出産祝い・お七夜・百日祝い・初誕生の出産関連(A),誕生日・七五三・成人式の誕生関連(B),婚礼関連(C),厄払い・長寿の祝い・葬儀・法事の長寿法事関連(D)の4群に分類でき比較検討した。Aでは認知度・経験度ともに親世代が学生より有意に多く,Bでは学生・親ともに認知度・経験度が多く世代間の差は認められなかった。Cの婚礼,Dの長寿祝い,葬儀,法事の認知度は学生でも高く親世代との間に有意な差は認められなかった。通過儀礼食の食経験とその時期及び調理状況や食べ方について,親世代の食経験時期は1984~2003年が最も多く,葬儀と法事も2004年以降の食経験が多かった。A,Bでの赤飯は家庭でよく作られ,実家・親戚などで食べるも多かった。買うが多かったのは,誕生日のケーキ,七五三の千歳あめ,長寿祝い他でのもち・饅頭であった。外で食べるが多かったのは,婚礼や長寿祝いの日本料理他、葬儀や法事の精進料理であった。学生は誕生日,七五三,葬儀,法事の食経験が他項目より多かった。
著者
松島 文子 板倉 一枝 横山 弥枝
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.134, 2011

【<B>目的</B>】平成21・22年度日本調理科学会特別研究として、「調理文化の地域性と調理科学-行事食・儀礼食-」についての調査研究が全国規模で実施された。この調査の一環として、鳥取県における年中行事や通過儀礼の際の行事食について認知や喫食の状況を調べ、行事食の伝承や地域特性などを明らかにすることを目的として実態調査を行った。<BR>【方法】鳥取県内にあるT短期大学の学生194名およびその親族を調査対象(総数342名)として、平成21年12月から平成22年1月にかけて、特別研究全国統一様式の調査票により、年中行事や通過儀礼で供される食べ物の認知、喫食状況、調理状況や食べ方、変容した時期などの調査項目についてアンケート調査を実施した。<BR>【結果】調査対象学生の現在の居住地域は鳥取県が92.3%を占め、そのうちの62%が鳥取県に10年以上居住していた。学生の喫食経験の頻度が高い行事食は正月、彼岸などであり、次いで七草、節分、土用の丑、クリスマス、大みそかなどであった。一方、盂蘭盆、七夕、祭りなどは喫食経験が少なかった。通過儀礼について認知度が高かったのは、学生では出産祝い、初誕生、七五三、成人式、結納、婚礼、長寿、葬儀であり、お七夜、百日祝い、厄払いは低かった。親族ではすべての儀礼に対する認知度が高かった。行事食の影響を受けた相手として、母方が49.4%と約半数を占め、父方は14.9%であった。正月に小豆雑煮を喫食する食文化が鳥取県全域において認められた。小豆雑煮が雑煮全体の60%前後を占め、次いですまし仕立てであり、味噌仕立ては少なかった。また雑煮の餅は丸餅が多く、ほとんどが茹でて供されていることが確認された。
著者
玉木 有子 伊藤 直子 佐藤 恵美子 立山 千草 太田 有子 伊藤 知子 松田 トミ子 山田 チヨ 長谷川 千賀子 山口 智子 小谷 スミ子 渡邊 智子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】平成24~25年度日本調理科学会特別研究『次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理』の一環として新潟県村上市の食と行事の結びつきについて調査を行った。郷土料理や伝統的な食の文化が親から子へ伝承されにくい傾向がある状況の中で、年中行事や慣わしが現代に受け継がれてきた村上市の現状を報告する。<br> 【方法】村上市在住の75~88歳の高齢者(平均80.5歳)から平成25年11月~平成26年3月に聞き書き調査を行い、村上市の史料館や歳時記を参考に現代に伝え継がれている年中行事、慣わしに関する食と行事の結びつきを調査した。<br> 【結果】昭和34年頃までは旧暦が用いられ、現在も名残が残る。季節毎の年中行事や慣わしが多く受け継がれており、主に祭事に関する料理が残っている。神社の信仰により伝承されてきた村上大祭(7月7日)(村上地区) 、瀬波大祭(9月4日)(瀬波地区)、岩船大祭(10月19日)(岩船地区)の3大祭りの他、稲荷神社の初午(2月の第1の午の日)、七夕祭り(8月16日)、地蔵堂の地蔵祭り(11月3日)などは今日まで受け継がれており、市民生活の潤いとなっている。初午では、粳米に小豆を入れて炊いた小豆飯、糠鰯、三角油揚げ、煮しめなどを食べる。古くは米俵のサンバイシにのせて地域のお稲荷様に供えた。節分では、まいた豆を保存し厄除け代わりに一年中食べる慣習がある。この他にも鮭を特別な魚(魚の中の魚)として大切に食しており、村上市の食と行事の結びつきには精神性の高い食の文化が伝え継がれている。
著者
南,廣子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, 1998-05-20
著者
松本,憲一
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, 1997-11-20
著者
濟渡 久美 吉成 愛未 石川 伸一
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】<br><br>低温調理は食材を一般的な調理温度より低い55℃~90℃程度の温度帯でじっくり加熱する調理法である。長時間加熱することで軟らかくなり,また真空包装して調理することにより様々な長所を有する。近年この真空低温調理が注目され,種々の食事提供の場で幅広く活用されているが,2日間以上の長時間調理の報告はほとんどされていない。そこで,真空低温調理による食肉への長時間加熱の影響を検討することを目的とした。<br><br>【方法】<br><br>牛すね肉,豚すね肉それぞれに対し1%重量の塩を添加後,真空処理し,恒温乾燥器で55,60,65,70,75℃で1,3,5,7日間加熱調理したものを試料とし,レオメーターを用いてかたさを測定した。官能評価は,牛すね肉は65℃で,豚すね肉は70℃で1,3,5,7日間調理したものを試料とし,「かたさ」「多汁感」「うま味」「香り」「脂っこさ」「色」「総合評価」の7項目について7段階評点法で行った。パネルは18歳~23歳の男女71名とした。<br><br>【結果】<br><br>レオメーターでの測定の結果、牛すね肉の長時間調理について、調理温度が高いほどテクスチャーが柔らかくなる傾向がみられ、全ての温度帯で5日間調理のサンプルは1日間調理と比較し有意にかたさの値が減少した。55℃~75℃の長時間調理ではタンパク質変性,特にコラーゲンのゼラチン化が最もかたさに影響を与えると考えられる。豚すね肉の官能評価について、総合評価では3日と5日、3日と7日で調理時間が長くなるほど有意に低下する傾向がみられた。豚すね肉はコラーゲンの変性の進行に伴い、コラーゲン変性を3日以内の加熱変性の状態に抑えたものが好まれる傾向にあるのではないかと考えられる。
著者
吉田 真美 高橋 恵美 後藤 潔
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.3, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 豆類は廉価で保存性に優れ、やせた土地でも育ち、何よりもたんぱく質を多く含有することから、古い時代から世界の貴重な食料となってきた。そして世界のおのおのの土地で、それぞれの風土や気候、歴史、食文化にあった豆料理が育まれてきた。1昨年度の本大会での発表にさらに続けて調査をおこない、世界の豆料理の地域による特性を調べることを目的として研究をおこなった。【方法】 調査地域として豆の消費が多い世界の15の国または地域を選択した。それぞれの地域の、英語または日本語で記載された料理本計65册を取得して資料とし、その中から豆料理レシピをさがし877品をみいだした。それぞれのレシピについて、使用される豆の種類、調理法、主材料、副材料、調味法、スパイス等を調べ、エクセルに入力して比較検討し、地域による特性を調べた。【結果】 使用頻度の高い豆の種類は地域によって異なっており、東アジア圏の大豆、中近東のひよこ豆、ヨーロッパのいんげん豆やグリーンピース、南北アメリカ大陸のブラックビーンが特徴的だった。豆の形状は、世界的にはホール状で食べる場合が多いが、東アジア地域のみは豆をペースト状にする場合のほうが多くみられた。全体的には、豆を調理して煮物にして食することが多いが、東アジアの日本は汁もの、中国は炒めもの、朝鮮半島は御飯のものに使用することが多かった。さらに調味料やスパイスの使用も地域によって特徴があり、世界の豆食文化の多様性がみられた。