著者
根津 美智子 樋口 千鶴 鈴木 耕太
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

<b>【目的】I企業からドレッシング開発依頼を受け演習で取り組んだ。</b><b>I</b><b>企業、</b><b>Y</b><b>銀行、大学との連携から商品化に至るまでの課題を見つけ、今後の活動の在り方を探る。</b><br /><b>【方法】時経列に取り組みと課題を示す</b><br /><b>①</b><b>2</b><b>7年</b><b>6</b><b>月レシピ作成後試食会</b> <b>②</b><b>8</b><b>月S調味料社にレシピ提出</b> <b>③</b><b>再度レシピ作成</b><b><sup>※</sup></b> <b>④</b><b>9</b><b>月</b><b>3</b><b>種をサンプル化</b> <b>⑤</b><b>学園祭にてサンプル試食会</b><b><sup>※</sup></b> <b>⑥</b><b>28</b><b>年</b><b>3</b><b>月新レシピ作成後試食会</b> <b>⑦</b><b>4</b><b>種をサンプル化</b> <b>⑧</b><b>7</b><b>月試食後</b><b>2</b><b>種を商品化</b> <b>チョレギドレッシング依頼も受け,3種の試食後サンプル化</b><b><sup>※</sup></b> <b>⑨</b><b>学園祭で</b><b>⑧</b><b>5</b><b>種の試食とアンケート調査を行う</b><b><sup>※</sup></b><b>。</b><b>⑩</b><b>3</b><b>種</b><b><sup>※</sup></b><b>商品化へ</b><b><sup> </sup></b><b><sup>※</sup></b><b>課題あり </b><br /><b>【結果】</b><b>①</b><b>を経てレシピを</b><b>S</b><b>社に提供。</b><b>③</b><b>商品化不可といわれ連携事業の難しさを知った。</b><b>S</b><b>社に商品化する為の勉強会を依頼し、再度レシピ開発</b> <b>④⑤</b><b>3</b><b>種類のサンプルを作ったが企業・銀行・大学側の連携が取れず年度内の商品化には至らなかった。</b><b>⑥</b><b>~</b><b>⑩</b><b>28</b><b>年に</b><b>3</b><b>種が商品化できる方向性となった。</b><b>S</b><b>社が加わることで急進展し商品化へ繋がった。学園祭で</b><b>5</b><b>種のサンプル試食会を行った。チョレギ</b><b>3</b><b>種の中では</b><b>57</b><b>%と嗜好度が高かったコチュジャン入りを商品化することになった。</b><br /><b>【まとめ】初回から</b><b>S</b><b>会社を加えた4者会議の重要性を感じた。互いへの情報提供を主にどこで行うか、メールを発信しても一方通行になる等、演習授業として進展する中で、どこが中心であるべきなのか戸惑った。利潤を追求し商売として展開する企業のあり方に対し、専門性を含め社会全般を教育する大学が中心となり、学生を主体とした情報発信が良い方向性をもたらしたのではないかと考える。本事業の体験から最も基本的なことであるが、何回も会議を開き連携を深めていくことが大切であることを学生は学んだ。</b>
著者
猪田 和代 宮原 葉子 仁後 亮介 吉岡 慶子 山本 亜衣 秋永 優子 楠瀬 千春 末田 和代 三成 由美 松隈 美紀 八尋 美希
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」では、全国に残されている特徴ある家庭料理について、聞き書き調査を通して地域の暮らしの背景とともに記録し、次世代に伝えることを目的としている。本研究では九州支部の調査で得られた家庭料理の中から特に「主菜」の特徴について検討した。<br>【方法】日本調理科学会特別研究の調査ガイドラインに基づき聞き書き調査を行った。調査地区は北九州地域(5名)、筑豊地域(2名)、福岡地域(9名)、筑後地域(9名)の4地域。調査期間は平成24年~25年度。対象者は昭和35年~45年当時の調理担当者とし、平均年齢は74.0±6.1歳であった。<br>【結果】日常の食事は質素で、主菜は野菜の煮物が主であった。朝食は主菜がなく、ご飯とみそ汁に漬物が添えられる程度であった。昼食も特に主菜はなく、残り物や漬物などで済ませていたが、夕食では肉類や魚介類と季節の野菜を煮て主菜とした。食材としては肉類では牛、豚肉はほとんど食べられず、鶏肉もハレの日には鶏一羽をつぶしてご馳走としてふるまうが、少量を味付けに使用していた。また、くじら肉は4地域で食べられ、特に筑豊の産炭地では塩くじらが好まれていた。魚貝類は玄界灘に面した福岡地域では新鮮な魚の煮つけ、塩焼き、県南の筑後地域は有明海の魚介を煮つけ、塩焼きとした。山間部では塩干品を、筑後川中流域では川魚を用いた。さらに、大豆・大豆製品は煮豆、豆腐、油揚が用いられていた。これらの主菜に加え、野菜は季節ごと食され、調理方法は煮物が主であった。特に少量の鶏肉を用い、野菜類と共に油で炒めて煮た「がめ煮」は4地区に共通してみられ、福岡県の歴史や生活の中から産み出された独自の調理法で広く伝承されていた。
著者
村田 玖美 松村 沙耶 升井 洋至
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】人が食事をするときの重要な因子としては,嗜好性,栄養性などが挙げられる。現在ではさらに健康志向により,各種の生体調節機能が食品に求められている。食後の急激な高血糖を防ぐ機能性因子を食品中から検索し,活用することは糖尿病の予防,そして治療に役立つと考えられる。本研究では,種々の野菜を用いて食後高血糖の上昇を抑制すると考えられている糖質分解酵素阻害物質と調理操作との関連性を明確にする基礎研究として検討した。<br>【方法】試料は,ショウガ,ニンニク,ニラ,ハクサイ,タマネギを対象とした。生鮮試料をみじん切り,ミキサー(Panasonic MJ-M32)等による摩砕抽出(蒸留水)を行った。抽出液を凍結乾燥(EYELA FDU-830)したものを抽出凍結試料とし,活性測定まで-80℃で保存した。糖質分解酵素の阻害活性はラット腸管アセトンパウダー(Sigma-Aldrich Japan)より調製した粗酵素液(α-グルコシダーゼ)を用い,スクロースを基質として分解活性の阻害を指標として測定を行った。さらにSephadexG-25(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)により分画したものについても阻害活性測定を行った。<br>【結果】ニラ,ハクサイ抽出試料において,濃度依存的にラット腸管スクラーゼへの阻害活性がみられた。また,タマネギ抽出試料では阻害活性の傾向がみられた。ショウガ抽出試料はエタノール処理した画分で濃度依存的に阻害活性が見られた。ヒト腸管スクラーゼと相同性が高いとされているラット腸管スクラーゼに対して阻害活性が認められたニラ,ハクサイ,ショウガについては,ヒトの腸管内で作用する可能性が示唆される。SephadexG-25によるカラム分画では食材ごとに挙動の違いが見られ,阻害画分について現在検討中である。また,加熱操作処理による阻害活性についても検討中である。
著者
福永 祥子 武田 大造 寺澤 真由 升井 洋至
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】高齢者における咀嚼は,QOLに大きく影響を及ぼす要因であることが明らかとなっている。現在,高齢者の食事に関する物性の基準は,厚生労働省のえん下困難者用食品許可基準や日本介護食品協議会のユニバーサルデザインフード(UDF)の自主規格などがある。本研究では,実際に特別養護老人ホームで提供されている食事の物性を測定,これらの基準と比較し,高齢者向けの調理について検討することを目的とした。 <br>【方法】食事試料は,神戸市内の高齢者施設Fより提供を受けた(2012から2014年度)。施設におけるソフトA食:(歯ぐきでつぶせる硬さ,義歯に不具合のある人を対象),ソフトB食:(ソフトA食にあんをかけ,嚥下機能が低下した人を対象)の2種類を試料とした。調理品の物性の測定は,料理品の食材ごとに,山電レオナ―クリープメータ(RE2-3305B)を用いて,UDF等の基準に示されている方法に準じて実施した。なお,測定温度は20&plusmn;2℃または40&plusmn;2℃に統一して行った。 <br>【結果】硬さにおいて,ソフトA・B食ともに測定温度が高温(40℃)で基準内となる割合が高く,ソフトB食のほうがA食より高かった。この一因として,ソフトB食はA食のあんかけによる軟化方法であることがあげられる。低温(20℃)では,多くの食材が硬くなる傾向であった。食材の使用頻度から比較した場合,特に魚で大きな差が見られ,B食の方が軟らかかった。一方,A食の魚は,基準内にある割合が低かった。また,豆腐,ニンジン,ダイコン等の食材で基準を満たす割合が高く,その使用頻度が高かった。これらの食材を高頻度で使用することで,高齢者向けの食事を工夫して提供していると考えられた。
著者
高橋 秀子 岩根 敦子 菅原 悦子 魚住 惠 村元 美代 板垣 千尋 安部 恵
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.150, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 近年は米の消費が低迷している。また、食品加工産業が発達し食材・調理品の購入が手軽になり、外食産業の浸透により外食の頻度も高くなった。米の摂取および調理に関する意識は、食品加工と外食産業の発達を受けて変化してきていることが予想される。岩手県の米の摂取と調理の現況を把握するためアンケート調査を実施した。<BR><B>【方法】</B><BR> 平成19年1月に調査を行った。岩手県内の大学1校と短大2校の学生、卒業生および学生の家庭の調理担当者を調査対象とした。調査内容は対象者の属性、米料理の嗜好および頻度、白飯の摂取状況、おにぎり・いなり寿司・炊き込みご飯・混ぜご飯およびちらし寿司の調理法、米に対する意識等であった。質問用紙を配布し、1ヶ月後に回収した。<BR><B>【結果】</B><BR> 回答者数は133であった。内訳は女性が130(97%)、40代が50(38%)、食事調理経験21~30年が64(48%)を占めた。最も好まれた米料理は白飯で123(92%)が好きと回答した。おにぎり・炊き込みご飯・ちらし寿司等多くの米料理が好まれ、好きが最も少ない米料理はおかゆ57(43%)であった。それぞれの米料理の最も高い摂取頻度は、白飯は毎日121(91%)、おにぎりは週に1回程度、炊き込みご飯と炒飯は月に1・2回、ちらし寿司、赤飯等の米料理は年に数回であった。朝・昼・夕の食事の米料理の摂取量はいずれも茶碗1杯が最も多かった。おにぎりの具材は、多かった順に、梅干し、鮭、こんぶ、かつおぶしであった。いなり寿司は、味付けの皮を購入し俵形に作っていた。炊き込みご飯の具材は人参、油揚げ、ごぼう、鶏肉、しいたけが多く、ほたて、うに、あわび、鮭等の魚介類もあった。回答者の多くは、米は日本人の主食であり、色々な料理にも合い、毎日米を食べたいと考えていた。
著者
北山 育子 真野 由紀子 中野 つえ子 安田 智子 今井 美和子 澤田 千晴 鎌倉 ミチ子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.155, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 本学会東北・北海道支部課題研究として、青森県における米の利用状況を明らかにするために、摂取状況や調理法、米に対する意識調査等をした。また、津軽、南部地域の米の伝統料理を調べ、地域性を検討した。<BR><B>【方法】</B><BR> 津軽地域(弘前市中心)287名、南部地域(八戸市中心)112名の調理担当者を対象に自記式でアンケート調査を行った。質問紙には選択肢法と自由記述形式を取り入れ、調査期間は平成18年12月から平成19年1月までとした。<BR><B>【結果】</B><BR> 米料理の嗜好は高いものから、白飯、炊き込みご飯、にぎり鮨、炒飯の順であった。摂取頻度は白飯、おにぎり、炒飯が多く、リゾット、押し寿司は少なかった。調理状況では、家で作ることが多い料理はおにぎり、炊き込みご飯であり、行事への利用は正月、慶祝時に餅、赤飯、ちらし寿司、仏事では団子、おはぎが多かった。米料理の特徴として、おにぎりの具材に筋子を使用している人が60%と多いことや、残った白飯の利用でご飯もちが作られていた。また、いなり寿司や赤飯の味つけには砂糖を多く使用し、特に赤飯では砂糖を加えるが91%であった。米の入手先は自家栽培やもらうが目立ち、青森県が米作の主要産地であることが伺えた。また、銘柄では県産米を食べている人が85%と多く、郷土に対する愛着が感じられた。米についての意識調査では米は日本人の主食として大切であるとの考えがほとんどであったが、今後はさらに米に対する関心が低くなり、消費量が減ると考えている人も多かった。また、地域独特の料理を見ると、米作中心の食文化の津軽地域ではごまご飯、干し餅、しとぎ餅等もち米の使用が多く、畑作中心の南部地域では豆しとぎやイカめし等であった。
著者
菅原 久美子 和泉 眞喜子 宮下 ひろみ 中村 恵子 會田 久仁子 村上 知子 菊地 和美 北山 育子 真野 由紀子 松本 祥子 大野 智子 高橋 秀子 齋藤 寛子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.129, 2010

【目的】米利用の地域性および米消費減少の要因を探るために、東北・北海道地方における米の摂取・調理状況に関する調査を実施し、前報<SUP>1)</SUP>では米の嗜好、摂取頻度、米に対する意識等について報告した。本研究では、米飯と代表的な米料理の摂取・調理状況について、東北・北海道地方における特徴と地域性について比較検討した。【方法】前報<SUP>1)</SUP>、同様である。<BR>【結果】三食とも米飯を摂取する割合は、全体で46.6%であるが、各県・道別にみると山形県71.4%、北海道29.9%となり、一日の米飯回数には地域差がみられた。山形県では黒米、宮城県では五穀米の使用が多い特徴がある。また無洗米の使用経験は各県道ともに多く、認知度や利便性等が広く浸透していることが窺われた。残りご飯は炒飯、雑炊としての利用が最多であるが、焼きおにぎりへの利用には地域差がみられた。おにぎりの具材はいずれも鮭、梅干しが上位であるが、たらこは秋田・青森県、こんぶは青森・岩手・宮城県、かつおぶしは北海道で多かった。炊き込みご飯、混ぜご飯、ちらし寿司を作る割合は各々88.4%、75.7%、62.6%であり、炊き込みご飯は秋田県、混ぜご飯は福島県、ちらし寿司は岩手県で作る割合が多く、いずれの米料理も、具の調理状況と盛りつけ時の具の飾り方には地域的特徴がみられた。具材を種類別にみると、炊き込みご飯では山形県のいも類(しらたき、こんにゃく)ときのこ類、北海道の藻類(ひじき、海苔)と魚介類(ほたて貝、ほっき貝)、混ぜご飯では宮城県の鮭の出現率が高く、地域の特産物が多く利用されている状況が窺われた。<SUP>1)</SUP>日本調理科学会平成21年度大会研究発表要旨集、p.47(2009)
著者
橋爪 伸子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.4, 2006

<BR>[目的] 牛蒡餅は今日和菓子として一般的なものではないが、江戸時代には寛永20年(1643)の『料理物語』を初め諸料理書に散見される。それによれば牛蒡餅は、糯米粉、粳米粉と煮熟した牛蒡を混ぜて作った生地を、揚げた後蜜または煎じ砂糖に浸けるという菓子である。この揚げて蜜に浸けるという特徴的な調理法は、日本古来の菓子には一般的ではなく、異国の菓子にみられることから、牛蒡餅の起源も伝来菓子の可能性がある。しかしながら、その由来についてはこれまで追求されてこなかった。そこで本報では、牛蒡餅の起源や実態について検討することを目的とする。<BR>[方法] 牛蒡餅の記述がみられる料理書、諸記録等による文献調査に加え、唯一牛蒡餅が現存する長崎県平戸で、製造業者へ聞き取り調査を行った。<BR>[結果] 牛蒡餅の起源と考えられる菓子は二つあり、いずれも江戸時代以前に伝来した異国の菓子で、揚げて蜜に浸けるものである。一つは南蛮菓子ひりょうずの根源とされる「フィリョス」、もう一つは朝鮮菓子「薬果」である。後者は日本では「くわすり」等と記され、安土桃山から江戸時代初頭にかけて饗応や茶会等で用いられた。<BR> 牛蒡餅の製法が収録されている主な料理書は、上記『料理物語』のほか、元禄2年(1689)の『合類日用料理指南抄』等比較的初期のもので、その後享保3年(1718)以降に刊行された『御前菓子秘伝抄』を初めとする菓子製法書にはみられないことより、この頃には次第に衰退の途にあったと考えられる。一方、元禄16年(1703)の『筑前国続風土記』では、牛蒡餅が筑前博多の土産にあげられていることから、牛蒡餅の消長には地域差があったことが考えられる。
著者
山下 満智子 松原 秀樹 中島 貴志 上田 奈穂 山本 一恵 大槻 馨 梅岡 俊二 正田 一貴 宮藤 章 市川 恵 鵜飼 智代 村上 恵 真部 真里子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成21年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.2118, 2009 (Released:2009-08-28)

【目的】 加熱調理機器(IHクッキングヒーター[IH]・ガスコンロ[ガス])による調理特性の相異を究明する目的で、本研究では鍋物調理に着目し、加熱調理機器の違いによる土鍋の昇温特性について検討した。 【方法】 IH・ガス兼用土鍋[兼用土鍋]に、鍋肌測定用として鍋胴部の鍋肌最高温到達部(鍋底よりIH 39mm、ガス49mm)にシート熱電対、水温測定用として鍋中央部で鍋底より17.5mmにシース熱電対をあらかじめ設置した。IHは、定格出力が得られるように電圧はコンセント電圧のまま(強使用時 99.5~100.6V)、ガスはガス圧をガスガバナで3段階に調圧(強使用時 0.78kPa、1.44kPa、2kPa)した。1400ccの水道水を入れ、IHならびにガスを用いて加熱し水温と鍋肌温度を連続的に20分間計測した。同条件で、加熱開始15分後の土鍋の状態(水温100℃に到達)を赤外線サーモグラフィ装置で撮影した。 【結果】 IHとガスの加熱開始20分後の鍋肌温度は、それぞれ84℃、125℃(ガス圧0.78kPa)、 156℃(ガス圧1.44kPa)、170℃(ガス圧2kPa)となり、IHとほぼ同じ時間で水が100℃に昇温したガス圧0.78kPaでも、ガスはIHより41℃高くなった。サーモグラフィ画像からも、IHでは鍋肌温度が上昇せず、加熱中鍋肌が水温を超えないことが確認できた。別種の兼用土鍋でも同様の傾向であった。また、ガス専用土鍋を用いて、ガス圧1kPa(ガス専用土鍋中の水温上昇が兼用土鍋とほぼ同様になる条件)にて実験したところ、兼用土鍋と比べ鍋肌温度上昇が抑えられたが、常に水温より高く加熱開始20分後115℃に到達した。このような昇温特性の相違が鍋物調理のおいしさに及ぼす影響は今後の検討課題である。
著者
加藤 裕朗 村山 裕佳 濱田 奈保子 和田 俊
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.32, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】浸透圧を利用して食品から水分を取り除くことができるシートとして開発された脱水シート(商品名:ピチットマイルドシート, オカモト社製)は2枚の食品用半透膜フィルムの間に,高濃度の食用糖類と食用糊料をはさんだ構造になっている.鮮魚の品質保持効果に関しては,サバ類,イワシ類,タラ類,ブリ及びサンマについて,VBN抑制効果とK値の上昇抑制効果があることを精査してきた(*濱田ら 2002,2003).本研究ではカツオを対象として,多角的角度から品質保持に及ぼす脱水シートの影響について検討を行った. 【方法】カツオを脱水シート,対照としてポリ塩化ビニリデンシート(サランラップ 旭化成製)で包装し,5℃の冷蔵室で0~4日間貯蔵した.脱水率,水分含量及びATP関連化合物量を経日的に測定した.色彩に関しては,血合肉と普通肉においてL*a*b*値を測定及びL*a*b*値とそれらの値から求められるΔEとΔEに彩度を加えたΔE00を求めた.また,におい識別装置(島津製作所 FF-2A)を用いた総合的なにおい分析の計測を貯蔵2日目と4日目に計測した. 【結果】脱水シート包装の脱水率は貯蔵1日目で6.2%,貯蔵4日目には14.4%であり,水分含量は貯蔵2日目から4%以上の差が見られた. ATP関連化合物量については有意差は見られなかった.色彩に関しては,ΔE及びΔE00ともに脱水シート包装において色彩の保持効果が観察された.また血合肉でより高い効果が見られた.においに関しては,貯蔵4日目において類似度と多変量解析の結果に差が見られた.以上の結果から,カツオの品質保持に関して色彩とにおいにおいて脱水シートによる優位性が示唆された. *日食科誌, 49, 781-785 (2002). 日調理科誌, 36, 354-359 (2003).
著者
松本 茜 淺井 智子 石橋 ちなみ 杉山 寿美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.65, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】食肉加工品への食塩添加はミオシンの可溶化,ゲル形成能,そしてテクスチャーに大きく影響する。しかし,ソーセージ等とは異なり,低い食塩添加量であるハンバーグにおける食塩の役割は明らかではない。一方,近年,食事の食塩量を減少すること推奨されているが,食塩の有する調理特性を考慮しなければ,嗜好性を損なうこととなる。我々はこれまでに,牛ひき肉と玉ねぎのみのハンバーグにおいて,食塩量の減少がテクスチャーを変化させ,嗜好性を低下させることを明らかとした。本報告では,パン粉の配合が食塩量を減少させたハンバーグのテクスチャーへ及ぼす影響について報告する。【方法】牛ひき肉250gに肉重量の0%,0.5%,0.8%,1.0%のNaClを加え,フードプロセッサーで30秒間混捏した。その後,炒め玉ねぎ37.5gおよびパン粉25gを水25gで湿らせて加えて,さらに30秒間混捏した。セルクル(Ø70mm)で50gずつ成型後,220℃で8分間の加熱を行った。調製したハンバーグの静的粘弾性測定(テクスチャーアナライザーEZ-S,島津),走査電子顕微鏡観察(JSM-5800LM,JEOL),官能評価を行った。【結果】静的粘弾性測定の結果, NaCl濃度に関わらず,パン粉の添加によって硬さは著しく低下した。凝集性はパン粉の添加によって,NaClを添加していない場合に低くなった。官能評価の結果,NaCl濃度に関わらず,パン粉の添加によって軟らかく,脆く,もそもそしたテクスチャーが感じにくいと評価されたが,NaClを加えていないものの総合評価は低かった。走査電子顕微鏡観察では,これらの結果を裏付ける組織構造が観察された。これらのことから,低濃度の食塩添加量であっても,パン粉の配合により,テクスチャーが改善され,嗜好性が向上することが明らかとなった。
著者
新野,靖
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, 2003-08-20

The major components, trace elements, ferrocyanide, and viable cell number in common brands of salt were measured. Many types of domestic salt had a significant content of bittern, a lower purity of sodium chloride and less insoluble matter than the imported types. Some imported solar salts contained significant insoluble matter which resulted in contamination by heavy metals. Three of the analyzed samples included 0.5mg/kg of arsenic (the maximum limit according to the Codex Standard for Food Grade Salt) or more, and two samples contained lead or cadmium. Samples with high concentrations of copper, chromium, nickel, and zinc were also found. None of the measured samples had detectable viable cells, and the ferrocyanide ion was contained in four of the imported samples.
著者
山崎 歌織 外西 壽鶴子 御木 英昌
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.163, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 味噌漬したカツオ肉の旨味の増加は、味噌の遊離アミノ酸によることが明らかになった。SDS電気泳動法により味噌漬カツオ肉と漬味噌のタンパク質分解過程を調べた結果、味噌漬10日以降でカツオ肉タンパク質の分解が認められた。この分解は、味噌あるいはカツオ肉のいずれのタンパク質分解酵素によるのかを検討した。 【方法】 凍結カツオ肉を解凍後切り身(20±1g)に調製し、同量の味噌で覆いラップ包装して10~30日間5℃で冷蔵保存したものを試料とした。漬込み期間終了時に漬味噌を外し、漬味噌と味噌漬カツオ肉をそれぞれホモジナイズして、プロテアーゼ活性を調べた。 【結果】 味噌及び漬味噌のプロテアーゼ活性はpH 3で最も高く、pH 5から下降しpH 7~8では若干の活性であった。一方漬込み前のカツオ肉(無処理)は、pH3~8間で活性はほとんど認められなかったが、味噌漬カツオ肉の場合pH7付近において僅かに出現することが判明した。pH3では、無処理カツオ肉と同様味噌漬カツオ肉のプロテアーゼ活性は検出されなかった。これらのプロテアーゼの種類を調べるため、アスパラギン酸プロテアーゼの阻害剤Pepstatin Aとセリンプロテアーゼの阻害剤AEBSFによる阻害効果をみた。pH3における味噌及び漬味噌のプロテアーゼ活性は、Pepstatin AとAEBSFによりそれぞれ阻害された。味噌漬カツオ肉のプロテアーゼ活性(pH7)も両者によりそれぞれ阻害された。無処理カツオ肉で検出されなかったpH7におけるプロテアーゼ活性が味噌漬カツオ肉に認められたが、pH3においては無処理カツオ肉同様味噌漬カツオ肉には検出されなかった。このことは、味噌漬中に味噌の何らかの成分がカツオ肉に移行して、pH7における味噌漬カツオ肉のプロテアーゼ活性を高めたのではないかと考えられた。
著者
原田 和樹 小泉 武夫 永塚 規衣 長尾 慶子 數村 公子 前田 俊道 徳永 拓史 長谷川 喜朗 小川 伸也 岡村 英子 河村 幸恵 小俣 文登 金谷 節子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1089, 2009

<BR>【目的】我々は、咀嚼嚥下障害者食の抗酸化性について長年研究し、本学会で報告してきた。今回は、水産物由来で未利用資源であるナルトビエイに着目し、咀嚼嚥下障害者食を想定して調製した調理加工品が持つ抗酸化性を、多視点解析で行った結果を報告する。<BR>【方法】試料の形態は、煮こごり、魚醤、天日干し調味液漬けとし、試料が持つ抗酸化能の多視点解析は、ケミルミネッセンス(化学発光)法、電子スピン共鳴(ESR)法、米国農務省推奨のORAC法並びにHORAC法、また、好中球様分化細胞HL60の細胞内Caイオン濃度変化と活性酸素産生を蛍光・化学発光で同時に検出した結果から、シグナルトランスダクション経路をもとに作用機序の解析が可能である新しい次世代食品機能性評価法も用いた<SUP>1)</SUP>。それぞれの方法では、ペルオキシラジカル、ヒドロキシルラジカル、スーパーオキシドアニオン・ラジカルの消去活性能などを解析する事になる。<BR>【結果】ナルトビエイの煮こごり試料では、生肉と比較して、ORAC法では5.7倍、ESR法では6.7倍、抗酸化性が増大した。一方、ナルトビエイの肉を調味料の魚醤にすると、ORAC値の平均は、7271&micro;mol TE/100mlとなり、HORAC値の平均は、42981&micro;mol GAE/100mlとなった。なお、その時のESR法でのIC<SUB>50</SUB>値は平均0.08%であった。なお、次世代食品機能性評価法においては、従来知見を得ている単一成分の試料に対してばかりでなく、複合成分で構成されたこれら咀嚼嚥下障害者食材でも、解析が可能である事を見出した。<BR>1) 數村公子, 原田和樹, 前田俊道, 徳永拓史, 土屋広司: 日本食品科学工学会第56回大会講演集, 印刷中 (2009).
著者
脇田 美佳 前田 文子 濱田 陽子 高橋 恭子 瀬尾 弘子 福留 奈美 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.17, 2004

[目的] 天丼、うな丼など丼物は古くから日本人になじみがある。また、近年多忙なサラリーマンや、手軽でおいしいものを求める若者のライフスタイルにマッチするためか、丼物のファーストフード店がブームである。本研究では丼物の種類や食材の種類、食べ方についての実態を知り、丼物が食生活の中で果たしている役割と新たな可能性を探るとともに、丼物と若者の食との関わりについて考察することを目的とした。<br>[方法] 全国の大学、短大等の学生及び職員に、1年間に家庭で食べた丼物・味付け飯についてアンケートを行った。調査期間は2003年10月から11月、1371名から回答を得た。<br>[結果] 家庭でよく食べられる丼物は親子丼、牛丼、カツ丼、天丼であり、これらについての地域差はほとんどなかった。また、親子丼、他人丼、そぼろ丼は手作りが多いのに対し、うな丼、牛丼、天丼、ビビンバなどは、調理済み食品あるいは半調理品の利用が多かった。ひとつの丼に材料として用いられる野菜は0から2種類、肉・魚・卵については1から2種類が多かった。丼物を家庭で食べるとき、22%の人は丼のみを食べ、丼に1品を添えて食べる人は44%で、添えられる品は汁物が多く、2品を添える人は26%で、汁物に加えて漬物・野菜・海草料理を食べる例が多かった。丼物を好きな人は82%、家庭で食べる頻度は月1から2回以上が66%であった。食べる理由は、好きだから、調理や後片づけが簡単という理由が多く、栄養的なバランスをとりやすいからという理由は少なかった。丼物は汁物や野菜料理等と組み合わせて食べることで栄養のバランスもとれ、また、手軽に楽しめることから、食事が偏りがちな若者の食生活改善にも有効である。
著者
大富 あき子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】九州南部に位置する鹿児島県は広大な海面を有し、都道府県別漁業生産量や生産額では上位に位置している。しかしながら、魚介類の消費量では最下位に近い位置で推移している。とはいえ、地域によっては魚介類を使った伝統料理が伝承されている。その一つがサメ類の身を茹でた志布志市のせんさらである。茹でたサメを食べる文化は他の地域にも見られるが、材料となるサメの種類や製法は必ずしも同じではない。そこで、志布志市のせんさらに用いられるサメの種類と伝統的な製法について調べた。<br><br>【方法】鹿児島県内の志布志漁協(2018年1月)、東串良漁協(2018年4月)、高山漁協(2018年4月)において聞き取り調査および水揚げ物調査を行った。また、2018年4月に志布志市内の鮮魚店Aにおいてせんさらに関する聞き取りを行うとともに、材料から製品が出来上がるまでの全過程を実演していただいた。<br><br>【結果】せんさらに使われるサメは皮のやわらかい全長1m未満の小型のもので、ドチザメ科のホシザメ、シロザメ、メジロザメ科のホウライザメ、ハナザメの若魚など、沿岸性の種が好まれることがわかった。盛期は春から夏で、特に毎年4月29日に開催されるお釈迦まつりには欠かせない伝統料理である。製法は、まず鍋に入る程度の大きさに切ったサメを湯通しして盾鱗を取り除き、皮付きのまま厚さ2㎝程度に切って流水にさらす。次に塩をまぶして一晩寝かせる過程が入るのが志布志市の伝統的製法である。塩を洗い流し、茹でた後に長時間流水にさらして塩分を抜き、皿に盛って酢みそで食べる。酢みそには、山椒の若葉をみじん切りにして加える。塩でしめることで、他の地域のものよりも歯ごたえのある食感となっている。
著者
江後,迪子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, 1997-05-20

The Japanese sweets which appeared intherecord of the 16th and 17th century were studied by employing the literature "Onari" and "Chakai" from the 16th to the 17th and "The Menu of Chosentsusinsi". The introduction of the processed sweets and the historical changes of the sweets were investigated. The result showed that nuts and fruits were popular in the 16th century, while the processed sweets and Nanban sweets were increased in quantity and variety. It was greatly influenced by the entertainment of Chosentsusinsi.
著者
堀田,千津子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, 1998-11-20