著者
李 世安
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.553-557, 2013-05

われわれ人間も動物の一種である。動物界の分類では,人は脊椎動物・哺乳綱・霊長目・真猿亜目に属して「ホモ・サピエンス(知恵のある人)」という学名が付けられている。考古学の発展によって証明されたことは,われわれ現代人を含む新人類の歴史は,スペインのアルタミラという所の洞穴にすばらしい動物の絵を残した「クロマニヨン人」の時(3万年前)からであった。人類進化の歴史をもっと先に糊ると,優れた石器と点火技術を持った「ネアンデルタール人」に代表される旧人類(10万年前),石を割って造った石器と棍棒および火を使う「北京原人」に代表される原人類(40万年前),アフリカに棲み,腐れ易い木の道具を使っていたと思われる頭骨の異なる「アウストラロピテクス」と「パラントロプス」の両者の代表する猿人類(200万年前),二本足で立つ,両手を使う「ラマピテクス」を代表する原猿人類(1500万年前),および四つん這いで歩いた原類人猿類(3000万年前)などがあった。人類は,この地球上に最も遅く出現したが,両手,両眼と大脳を使って自然を改変する唯一の動物である。人類の大脳の発達は,その使う道具に対する永遠に止まない改良と創造に表れる。これによって,今日の人の生活環境は,見渡すかぎりの空と樹木以外,すべて人工的なものになっていった。加えて,人と周辺の動物との関係もその影響下に置かれるようになっていった。
著者
川内 眷三
出版者
水資源・環境学会
雑誌
水資源・環境研究 (ISSN:09138277)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.35-52, 2004

伝仁徳天皇陵の周濠池である大仙陵池を事例に、狭山池用水の導水につとめた歴史的経緯をふまえ、「狭山除川並大仙陵掛溝絵図」の現況復原によって、深刻な状況におかれた周濠池の水利事情をとらえる。これをもとに、堺市が推進する「内川水系水環境改善基本計画」、大阪府が実施主体となって施工された「狭山池治水ダム化事業」の水環境再生施策の構図について、大仙陵池の浄水化に対する取り組みと関連させ、その問題点を明らかにする。さらに現況調査から諸課題を析出するなかで、大仙陵池と狭山池の水利空間のネットワーク化から、将来にわたって相乗効果が期待される動態的な水環境再生施策のあり方を考える。併せ、現実の諸問題と対峙し、問題解決への思考・関わりと呼応した、歴史地理学からの地域環境問題に対する視点を検討する。
著者
村上 存 リュウ メイ チェン 柳澤 秀吉
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.126, 2006

アフォーダンスとは,事物をどのように使うことができるかを決定する最も基礎的な特徴であり,人間に対してその事物をどう使えばよいかの手がかりを与える.一方,機械設計やCADの分野では,フィーチャという概念が用いられている.フィーチャは,ある条件を満たすように人工物を設計したり,ある観点(機能,加工法など)に基づき人工物を分析することに使用される.本研究の目的は,人工物の設計,デザインに関係するアフォーダンスを発現する属性のまとまりをアフォーダンス・フィーチャとして定式化することである.人がある形状や構造を見てどう操作しようと思うかの要因の一つとして,様々な形状,構造について過去に経験,見聞した物理現象を仮定する(曲げようとして曲がった,曲がらなかった,細い枝は風でたわむが太い枝はたわまない,等).そこで本研究ではまず,形状のさまざまな属性と,人間がその形状を見てどのように操作しようと思うかの関係を,実験,アンケートにより抽出する.さらに,その関係の理由を物理現象で説明することを試みる.
著者
多喜 弘文
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.136-152, 2011-09-30 (Released:2013-11-19)
参考文献数
23
被引用文献数
3

本稿の目的は, 生徒の進学期待・職業期待と学校トラックの関連のあり方の日本的特徴を検討することである. そのための比較対象として, 学校と職業の結びつき方において典型的な特徴をもつとされてきたアメリカとドイツをとりあげる. 分析には, 各国の教育機関に通う15歳の生徒を調査対象にしたOECDのPISAデータを用いる.先行研究で使われてきた3つの指標を用いると, 3国の学校と職業の接続のあり方は以下のように整理することができる. 日本は, 学校による階層化の度合いが大きく, 国内で標準化されている度合いも大きいが, 学校と職業資格や技能との結びつきの度合いは小さい. ドイツは, 3つの指標の度合いが一貫して大きく, アメリカは一貫して小さい. 以上の指標の組み合わせから, 各国のトラックが進学期待と職業期待に対してもつ影響力に関する仮説を立て, それを検討した.分析結果は以下のとおりである. ドイツではトラックが進学期待と職業期待を強く規定しているが, アメリカではこれらに対するトラックの規定力は弱い. これに対し, 日本では所属するトラックが進学期待を強く規定するが, 職業期待とは弱い関連しかもたない. 以上の分析結果は, それぞれの国の学校と職業の結びつきに関する3つの指標のパターンと整合的に解釈できるものであり, 学校と職業の接続を背景としたトラックが生徒のアスピレーション形成に及ぼす影響の日本的特徴が明らかになった.
出版者
講談社
雑誌
週刊現代
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.38-40, 2003-03-01
出版者
島根県仁多郡
巻号頁・発行日
vol.第9回, 1916
著者
辻 肇
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.187-190, 2008 (Released:2008-05-01)
参考文献数
3
被引用文献数
4 2

Point(1)ヘパリンの使用に際しては,効能・効果,原則禁忌,慎重投与に関する十分な検討を行う.(2)ヘパリンの投与法として,静脈内点滴注射法,静脈内間歇注射法,皮下注射法,筋肉内注射法が知られ,病態に応じて選択する.(3)低分子ヘパリンは,DICの治療,血液体外循環時の灌流血液の凝固阻止に用いられる.(4)ヘパリン類製剤(ダナパロイドナトリウム)は,DICの治療に使用される.
著者
水町 衣里 工藤 充 八木 絵香
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.5-18, 2021-08

筆者らは,これまでに対面形式で実施してきた市民参加型ワークショップの実践経験をもとに,2020年度に3回(8月に1回,2月に2回)の市民参加型ワークショップをオンライン形式で開催した.本稿では,これらワークショップの設計プロセスや具体的な運営方法について報告する.基本的にはオンライン形式にあっても,対面形式で実施してきたワークショップと同様に,グループ対話の時間と会場全体での論点共有の時間を組み合わせるという構成を活かしつつ,グループファシリテータの役割や情報提供資料「対話ツール」の形式について,オンライン形式に適したものとなるように検討を重ねた.オンライン形式で対話型の催しを実施する際,参加者同士のやりとりをどのように促すことが可能か,アナログ的な要素をどこまで盛り込むべきかなど,既存の対面形式での経験を直接応用することが困難な事項も少なくない.今後,多様なワークショップの実践例が記述され,それが集積することで,科学技術をテーマとした対話型の催しをオンライン形式で実践する際の課題や重要な点についての議論が深まることが期待される.
著者
秋本 福雄
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.48, 2005

土地利用計画は都市計画の延長上にではなく、主として農業、林業における建設的な政策の探求から生まれた。1930年代初頭、農務省農業経済局のルイス・グレイは、大量の限界農地を転用するために、全国的な土地利用計画事業を開始し、農業経済学者らは土地を調査し、目録を作成し、分類し、最適の用途を判定した。その間、都市計画家は都市計画から地域計画、州計画へと領域を拡大したが、土地利用計画という概念は導入しなかった。この論文は、カリフォルニアの郡計画の計画家ヒュー・ポメロイが、1930年代、郡地域制を合理的に制定するために、土地利用計画の概念を導入したことを明らかにしている。その後、1940年代、都市計画では、地域制の改定、都市再開発事業のために土地利用計画を作成するようになった。
著者
藤田 佳平衛 山本 和正 庄野 達哉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1974, no.1, pp.86-91, 1974-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
20
被引用文献数
9

フェニルプロピオール酸メチルおよびフェニルエチニルメチルケトンとアルケンシク ヘキセンデテトラメチルエチレン,プロペソ,ピ シクロ[2.2,1]ヘプト-2-エン,ピシクpa(2.2.1コヘプタ-2,5-ジェソ)との光付加反応を行なった。その結果,光一次生成物として収率よくシクロブテソ誘導体が生成することが認められた。後二者のアルケンの場合は,生成物はエキソ付加物であった フェニルプ ピオール酸メチルとプロペンとの反応において,付加にかなりの配向性が見られた。フェニルエチニルメチルヶトンとビシクロ(2.2)ヘプタ-2,5-ジェンとの光反応で,シクロプテン誘導体以外にホモ-Diels-Alder-付加反応生成物,およびオキセタン誘導体が生成した。相当する二重結合化合物であるケィ皮酸メチルおよびベンザルァセトソとアルケソとの光反応を行なったが,付加体はまったく生成せず,それ自身のシスートランス異深化のみが認められた。
著者
降矢 順子
出版者
考古学研究会
雑誌
考古学研究 (ISSN:03869148)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.114-116,図巻頭1p, 2016
著者
上本 進二 大河内 勉 寒川 旭 山崎 晴雄 佃 栄吉 松島 義章
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.41-45, 1993
被引用文献数
1

鎌倉市長谷小路周辺遺跡において, 14世紀前半 (鎌倉時代後期~南北朝時代初期) に由比ヶ浜砂丘地に築かれた半地下式の建物の跡から, 13世紀から14世紀前半頃 (鎌倉時代初期~南北朝時代初期) 形成されたと考えられる噴砂の跡を検出した. 噴砂は砂層に含まれていた土器を巻き込んで約1m上昇して, 当時の地表に噴出している. また, 噴砂の流出と並行して16cmの落差を伴う地割れも形成されている. この噴砂は『吾妻鏡』や『北条九代記』に見られる地震記録から, 1257年 (正嘉元年) あるいは1293年 (永仁元年) の地震によって形成されたと思われる. とくに1257年の地震では, 鎌倉の各地で噴砂が発生した記録が『吾妻鏡』にあるので, 1257年の地震による噴砂と考えるのが適当であろう.

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1910年04月11日, 1910-04-11