著者
大儀 律子 齋藤 信也
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.23-35, 2022-01-31 (Released:2022-02-01)
参考文献数
22

療養病床の看護管理者には,看護職と介護職の協働関係構築という,一般病棟とは異なる取組みが要求される。この観点から,本研究は,「看護職と介護職の協働関係構築のための看護管理者の能力測定尺度試作版(介護職評価用)」を用いて,看護職と介護職の協働関係構築に対する看護管理者の取組みについて,介護職の評価に影響を及ぼす要因を中心に分析を行った。対象は,42病院の療養病床で働く介護職834名であった。尺度全体の平均得点及び5つのカテゴリー別得点を目的変数,介護職の属性及び職場環境を説明変数として,重回帰分析を行った。その結果,介護職の職場環境が看護管理者の取組みの全体的な評価に影響することが明らかとなったが,個人属性の影響は確認されなかった。本尺度を用いた介護職が評価する療養病床の看護管理者の能力の測定は,看護管理上に有用である可能性が示唆された。
著者
日高 利彦 針谷 正祥 鈴木 王洋 石塚 俊晶 原 まさ子 川越 光博 中村 治雄
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.203-210, 1991-04-30 (Released:2009-01-22)
参考文献数
22

症例: 27歳,女性.昭和63年9月,紫斑,多関節痛,咳嗽が出現した.平成元年3月症状増悪し,当科に入院となった.入院時,低酸素血症,顕微鏡的血尿,低色素性貧血,高γ-グロブリン血症,低補体価,免疫複合体高値,胸部X線上,両下肺野の網状影を示した.肺機能検査にて閉塞性換気障害,肺拡散能力障害,腎生検にて糸球体への補体,免疫グロブリンの沈着を認めた.また,皮膚生検にてleukocytoclastic vasculitisの所見を得た.過敏性血管炎と診断し,プレドニゾロン60mg/dayの投与を開始したが,肺出血を合併したため,急速な免疫複合体除去を目的として免疫吸着療法を行った.その後,血中免疫複合体の低下と諸症状の改善を認めた.本症のような,免疫複合体高値かつ多臓器障害を伴う過敏性血管炎に対し,免疫吸着療法は有効な補助療法と考えられた.
著者
植田 康夫
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
出版研究 (ISSN:03853659)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1-9, 2003

<p>In my previous review on "Reading Theory in the 1980's," being published by Shuppan Kenkyu of the issue of No. 20, I indicated the feasible possibilities of Reading Theory to make the first step toward the "Publishology." Based on the conclusion of my previous work, I survey the outline of Reading Theory from the relevant works published in the 1990's in addition to the new visions being available up to 2002. To begin with, I focus on the two very important works by Shigesato Nagamine. He had pursued the significant progress of Reading Theory in these works, and I will expand the discussion around his perspective as follows and that should be the foundation of all kinds of Reader's Theories, that is, "a social reader as a liver with body sensation." I will expand further discussion on Reading Theory with the key term of "Readers' Community," and argue about the conduct of reading through some concerned works.</p>
著者
信太 隆夫 降矢 和夫 水野 勝之 我妻 義則 松山 隆治 宮田 亮
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.19, no.10, pp.739-751,800-80, 1970-10-30 (Released:2017-02-10)

現代日本で最も普遍的な花粉症の原因花粉はスギ花粉で, 次いでヨモギ, イネ科, ブタクサなどが重要である.スギの抗原としての独立性は高く, イネ科, ヨモギ, ブタクサあるいはシロザなどが時に相互に類似性を示すことと対照的である.いわゆる花粉症と花粉喘息を比較観察し次の結果を得た.1)花粉喘息の発症年令は花粉症より若く, かつ2峰性の分布を示す.2)花粉喘息は花粉症を繰返して生ずるより初めから喘息として発症することが多い.3)花粉喘息のAch感受性は明らかに高い.4)花粉症の発作季節は原因花粉飛散季節と一致するが, 喘息ではしばしば春秋型をとり, 必ずしも花粉季節と一致しない.5)花粉症も花粉喘息も主因外花粉に対する皮内反応はほゞ同様の傾向を示すが, 花粉以外のHDや真菌類に対しては花粉喘息は明らかに高い陽性率を示す.6)花粉喘息のPK価は皮内反応の閾値との関係において花粉症のそれより低い.
著者
芳賀 敏郎 竹内 啓 奥野 忠一
出版者
一般社団法人 日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.35-40, 1976-04-15 (Released:2019-03-13)

重回帰分析における説明変数の選択の基準として従来使われていた「残差平方和 RSS」に対して,最近 Allen の提案した「予測平方和 PSS」について検討した.(1) 計算量を大幅に減少するアルゴリズムを考案した. (2) PSS の性質,特に RSS との違いを調べるために,2つのモデル実験を行った.(3) PSS, MSEP, RSS の期待値 (またはその下限) を求めた.(4) 自由度2重調製済重相関係数 R**^2 を提案し,R**^2 の最大を基準とする変数選択は,F IN = F OUT = 2 とする通常の逐次選択法に近いことを証明した.
著者
森谷 光宏
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.67, no.Suppliment1, pp.72-73, 2004-05-27 (Released:2011-08-11)

Based on characteristics of silver halide photography as high speed and superb image quality, we have developed “New concept one-time-use camera” which enables customers to capture brighter background easily at night, evening or indoor scene just by selecting “night mode switch”. It has been achieved by;(a) 1/45 sec slow speed shutter (b) bright F6.2 lens (c) flash light diffuser which is controlled mechanically with simple operation.s
著者
山内 大輔 川村 善宣 本藏 陽平 小林 俊光 池田 怜吉 宮崎 浩充 川瀬 哲明 香取 幸夫
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.159-166, 2020 (Released:2021-04-05)
参考文献数
25

上半規管裂隙症候群は,1998年マイナーによって最初に報告され,これまでいくつかの手術法について報告されてきた.正円窓閉鎖術はいわゆる“third window theory”に基づいた術式であるが,その効果は限定的であることが報告されている.一方,中頭蓋窩法によるpluggingまたはresurfacingの場合は,ほとんどの症例で裂隙部を直接確認できる.しかし,裂隙部が上錐体静脈洞に位置している場合は困難となる.さらに頭蓋内合併症のリスクのため,安易には手術を勧められないジレンマがある.そのため,耳鼻咽喉科医にとって中頭蓋窩法よりも経乳突洞法によるpluggingの方が容易な術式であるが,下方からでは裂隙部を確認しづらく,また感音難聴の合併症のリスクが潜んでいる.著者らは経乳突洞法によるpluggingに水中内視鏡を用いることで安全性を高める方法に改良した.乳突削開術後,浸水下に内視鏡を用いることで,膜迷路と裂隙部を明瞭に観察することが可能であった.たとえ裂隙部が上錐体静脈洞に位置していても,内側からアプローチできるので有用であった.本術式の方法や適応,術後成績について報告する.
著者
田中 雅一
出版者
人間文化研究機構地域研究推進事業「現代インド地域研究」
雑誌
現代インド研究 (ISSN:21859833)
巻号頁・発行日
no.2, pp.59-77, 2012-01

名誉殺人とは、女性の不道徳な行為がその家族や帰属集団(家族、親族、村落、カースト、宗教集団など)にもたらす不名誉を取り除き、名誉回復の手段として行われる暴力(殺傷事件)である。不道徳な行為とは婚前の性関係、親が認めない婚姻関係(ただし、認めない理由はさまざまである)、そして妻の不貞などである。名誉殺人はその言葉から殺人を指すが、殺人未遂や拉致など、殺人以外の暴力も含めることができる。名誉殺人は、両親の権威によって象徴される伝統的な共同体、すなわち「名誉の共同体」の秩序を揺るがす若者にたいする処罰である。本稿の目的は、北インドにおける名誉殺人の実態と背景について考察することである。またサティー(寡婦殉死)との比較を通じて注目したいのは、名誉殺人をめぐる言説における、「野蛮」や「犠牲」という概念である。さらに「名誉の共同体」にたいする「哀しみの共同体」を対比させることで、あらたな分析枠組みを提示したい。
著者
大本 義正 植田 一博 大野 健彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第23回 (2009)
巻号頁・発行日
pp.3M1OS19, 2009 (Released:2018-07-30)

人間と自然なコミュニケーションをする人工物を実現するための問題の一つとして、非言語情報などを用いて無意識に伝達している意図の自動推定がある。本研究では、意図の推定として難しい状況である「嘘」に焦点を当て、コミュニケーション中に機械的に計測された情報を判別分析した結果と、同じ状況において人間が判別した結果を比較検討した。その結果、人間と比較しても高い確率で嘘を自動的に判別できる可能性を示した。