著者
山岨 達也 田山 二朗 喜多 村健
出版者
Japanese Society of Otorhinolaryngology-Head and neck surgery
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.93, no.12, pp.2028-2037, 1990-07-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
46
被引用文献数
4 4

Auricular hematoma is not rare condition and its prognosis has been considered to be good in Japanese textbooks. Recurrence of the hematoma, however, frequently occurs by use of simple aspiration or incision, and a pressure dressing. In this paper, we report a case of ruptured othematoma and review the biliographies concerning the pathology and treatment of othematomas.A 37-year-old man sustained a fist blow to his left ear at the beggining of May, 1989. He was first seen with auricular hematoma on July 4, but refused a surgical treatment. The laceration of the skin overlying the hematoma occurred by once more fist blow on July 26, with the upper auricle divided into anterior and posterior parts. The auricular cartilage was broken into several pieces, some of which attached to the anterior side and the others to the posterios side.Under general anesthesia, fibrin glue was applied to the dead space after irrigation, minimal debridement, and removal of the clots. Four horizontal mattress sutures were put through the entire pinna after the anterior skin was protected by fluffed gauze with antibiotic ointment and the posterior skin by buttons. The dressing was allowed to remain in place ten days and was then removed. Nine months after the operation the pinna appeared almost normal.In recent reports, the othematoma is considered to occur between the perichondrium and the cartilage, or within the cartilage. Various techniques have been applied to treat the othematoma, which are classified into three types : incision and drainage, pressure dressing with splinting mold, or with mattress suture. Treatment of choice is discussed, with reviewing the advantages and disadvantages of each method.
著者
斉藤 和雄
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.869-874, 2002-12-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
7
被引用文献数
1
著者
上野 和男
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.106, pp.137-145, 2003-03

この報告は,儒教思想との関連で日本の家族の特質を明らかにしようとする試論である。考察の中心は,日本の家族の構造と祖先祭祀の特質である。家族との関連においては,儒教思想は親子中心主義,父子主義,血縁主義を原理としているといえるが,この3つの原理が日本の家族や祖先祭祀の原理をなしているかが,本報告の課題である。結論として,つぎの3点を指摘できる。第1は,日本には儒教的な親子中心型の家族とは異質な夫婦中心型家族が伝統的に広く存在してきたことである。この意味で儒教的な親子中心主義イデオロギーのみならず,夫婦中心主義イデオロギーも存在してきたのである。第2は,日本の祖先祭祀においては父方先祖のみを祀る形態もあるが,母方や妻方の先祖をも祀る型が広範に存在することである。このことは日本の祖先祭祀が父子主義のみによって貫徹されてきたわけではなかったことを意味している。第3に,日本の家族においては,財産を相続し祖先祭祀を担うのは必ずしも血縁によって結ばれた子供に限定されないこと,また,子供たちのなかでひとりの相続者がきわめて重要な位置を占めてきたことである。したがって,日本の祖先祭祀と家族は伝統的にも現代的にも儒教的な家族イデオロギーのみによって規定され,存在してきたわけではなかったといえよう。儒教的な家族行動規範は,日本社会の基本的な構造が確立した後に部分的に受容されたのであって,これが全面的に日本の家族や祖先祭祀を規定したことはこれまでにはなかったのである。
著者
冨尾 淳 佐藤 元
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.243-252, 2020-08-31 (Released:2020-10-15)
参考文献数
60

目的:症例報告の法令・指針上の位置づけについて,人を対象とする研究との区別を中心にわが国と諸外国の現状を概説し,症例報告に関する今後の課題について検討した.方法:日本および主要先進国(米国,イギリス,フランス,ドイツ)の法令・指針等,学術機関・学会等の指針,主要医学雑誌の投稿規定および学術文献を参照し,症例報告の学術的な定義を確認するとともに,各国における症例報告の位置づけ(研究に該当するか否か)および,症例報告の個人情報保護に関連する規制・要件等について整理した.結果:症例報告は,日本,米国,イギリスでは,法令・指針により「診療」または「研究以外の活動」とみなされ,研究には該当しないとされていた.フランス,ドイツでは,法令・指針において症例報告についての明確な言及はなかった.いずれの国でも,症例報告の実施に際して,倫理委員会の承認を含む研究に対する規制は原則として適用されないが,症例報告の目的(研究目的か否か),施設の方針等により研究とみなされる場合もあり,規制の適用状況は一様ではないことが明らかになった.対象者の個人情報保護については,いずれの国も法令およびこれに基づく指針により匿名化と同意のプロセスが規定されており,学術誌や学会等でも同様の規定が適用されていた.結論:症例報告は,原則として研究に対する規制の適用を受けずに実施されていたが,実際は研究目的で実施される状況もありうる.医療および医学研究を取り巻く環境の変化を踏まえた上で,症例報告を定義・分類し,症例報告の目的と内容を考慮した規制枠組を構築することが望まれる.
著者
落合 隆
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.111-144, 2021-09-30

本稿は,ルソーの『戦争法の諸原理』や,『サンピエール師の永久平和論抜粋』および『同・批判』を主な対象に,彼の戦争観,戦争を規制する戦争法,国際平和を構築する国家連合の内容を解明し,最後に彼の戦争・平和論のもつ意義を考察する。国家間の合意に基づく戦争法は,戦争を社会契約という国家の一体性を創り保つ関係への攻撃と見て,社会契約を解消した後も在り続ける個人の生命・自由・財産を救出し保障しようとする。また,国家間の合意の積み重ねである国家連合は,同盟国どうしの戦争を違法化して,国際紛争を平和的に解決する道を探ろうとする。このような国家どうしの合意を促すのが,平和を重要な要素とする公共の幸福を求める各国人民の一般意志なのである。ルソーにおいては,戦争を制限しあるいは防止する戦争法や国家連合は,社会契約による抑圧なき市民社会の形成と人民主権の定着に支えられていると言える。
著者
中西 祐子
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

戦後日本のアメリカ移住女性たちが、移住後、日系ネットワークをどのように活用しているかを考察するために、サンフランシスコ・ベイエリア内における各種日系ネットワーク関係者へのインタビューと、アメリカ移民全体の傾向を把握するためにThe New Immigrant Surveyの公開データの二次的分析を行った。日本人女性たちの間には起業を支援するようなエスニックな経済資本は見られなかったが、日常生活を支えるエスニックな社会関係資本の利用が見られた。彼女たちの互助的ネットワークは、日本では家族・親族が担ってきた育児期の相互支援や高齢者介護に至るまで「強い紐帯」的な役割を果たしていた。
著者
辻 圭一 横川 正美 田中 正二 洲崎 俊夫 立野 勝彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.453-457, 2008 (Released:2008-07-28)
参考文献数
21

〔目的〕本研究では,車椅子を使用している片麻痺患者の座位姿勢中の座圧の特徴と,車椅子専用クッションが座圧に与える影響について検証した。〔対象〕対象は脳卒中片麻痺者9名で,歩行練習を実施している4名(片麻痺歩行群)と歩行練習を実施していない5名(片麻痺介助群)に分けた。また,麻痺がなく下肢筋力が低下した歩行困難な4名(筋力低下群)も調査した。〔方法〕被検者は標準型車椅子に‘クッション無し’と‘有り’の条件で各10分間座り,体圧分布測定装置で座圧を測定した。分析には座圧の体重補正値を用い,対応のあるt検定を用いた。〔結果〕クッション無しで非麻痺側と麻痺側を比較した結果,片麻痺歩行群では非麻痺側の座圧が有意に高かった。片麻痺介助群と筋力低下群にはそのような違いは生じなかった。クッション有りで片麻痺歩行群と介助群の非麻痺側と麻痺側を比較した結果,差は認められなかった。下肢筋力低下群の左右差もみられなかった。〔結語〕片麻痺者は障害の程度により座圧の特徴があることが示された。また,クッションの使用により,非麻痺側と麻痺側の座圧の偏りが解消することが示唆された。
著者
大久保 由希子 森 アッティラ 中山 智央 千葉 進 中根 俊成
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.631-635, 2019 (Released:2019-10-26)
参考文献数
9

症例は84歳女性.無言無動を繰り返し,発話時は体が溶けるとの奇異な妄想があり,体位変換に関連しない著明な血圧変動,尿閉・便秘を認めた.頭部MRI上,特異所見はなく,髄液蛋白は軽度高値,細胞数は正常だった.除外診断で,何らかの自己免疫性脳症を疑い,ステロイドパルス療法を施行し,精神症状・自律神経障害は改善した.後に抗自律神経節アセチルコリン受容体(ganglionic acetylcholine receptor; gAChR)抗体陽性が判明し,限定的ながら免疫療法が有効であったので,同抗体に関連する脳症の可能性も示唆された.同抗体陽性の脳症/脳炎の報告例は少なく,貴重な症例と考え報告した.
著者
佐藤 力 高原 政利 宇野 智洋 三田地 亮 原田 幹生
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.7-11, 2022 (Released:2022-03-31)
参考文献数
8

上腕骨内側上顆裂離(裂離)のある野球選手44例(平均年齢11歳)の保存治療成績を調査した.全身コンディショニングを行い,投球休止は平均55日であった.経過観察期間は平均8ヵ月(最低3ヵ月)であった.肘痛の再発は14例であった.骨癒合は40例に得られ,そのうち29例では骨癒合後に裂離の再発はなく,11例で骨癒合後に裂離の再発がみられた.裂離が再発した11例のうち,9例では再癒合したが,2例では再癒合はなかった.4例は経過中に骨癒合は得られなかった.最終観察時に未癒合だった群では初診時年齢が有意に低かった.骨癒合前に投球を開始した群では再発や未癒合が有意に多かった.低年齢選手や骨癒合前の投球には注意を要する.

1 0 0 0 OA 武士道

著者
井上哲次郎 述
出版者
兵事雑誌社
巻号頁・発行日
1901
著者
日下英之著
出版者
風媒社
巻号頁・発行日
1999
著者
沼田 尚也
出版者
北海道地理学会
雑誌
地理学論集 (ISSN:18822118)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.83, pp.40-43, 2008-07-31 (Released:2012-08-27)
参考文献数
5