著者
田中 亮 戸梶 亜紀彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.157-163, 2010 (Released:2010-05-27)
参考文献数
32
被引用文献数
3 3

〔目的〕本研究の目的は,運動療法に取り組む外来患者の顧客満足と運動に対する動機づけの関連性を明らかにすることである。〔対象〕対象は,運動療法に取り組んでいる外来患者189名とした。〔方法〕顧客満足の測定には,Customer Satisfaction Scale based on Need Satisfaction(CSSNS)を使用した。運動に対する動機づけの測定には,Behavioral Regulation in Exercise Questionnaire-2(BREQ-2)を使用した。〔結果〕相関係数の算出およびカテゴリカル回帰分析の結果,顧客満足全体や顧客満足の下位概念は,運動に対する自己決定的な動機づけと有意に関連することが認められた。〔結語〕運動療法に取り組む外来患者の顧客満足は,運動に対する自己決定的な動機づけと関連するといえる。
著者
大野 誠
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.56-59, 2015-02-20 (Released:2017-06-16)

重力の法則,ニュートン・リングなどの光学,微分積分学で有名なニュートンは,学者として最も脂がのっていたケンブリッジ大学教授時代に,実験を含めてかなりの時間を化学・錬金術に費やしていた。本稿では最新の研究成果を基礎として「ニュートン錬金術」の土台をなすニュートンの手稿に焦点をあわせ,まず,このテーマがどのようにして発見されたかを明らかにする。次に,ニュートンの錬金術手稿の来歴や概要について述べ,この研究分野の第一人者ですら犯した誤りを取り上げて,手稿を扱うことの難しさについても論じる。
著者
西川 広平
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.100, pp.191-219, 2021

大江広元を祖とする鎌倉幕府の御家人長井氏を対象に、一三世紀から一四世紀にかけての同族間ネットワークの推移について考察し、文士である広元一族による在地武士の糾合と所領支配は、主要な交通路の要衝を広域的に掌握することで実現したこと、また一四世紀前半に長井惣領家を中心にして、庶子家および広元末裔の御家人との間に二重の同族間ネットワークが成立したこと等を明らかにした。これらは、執権北条氏との連携や幕府の支配体制に依拠することによって実現・成立しており、鎌倉幕府滅亡や室町幕府の政治体制の変化により、長井氏は政権の中枢を占める地位を喪失するとともに、その同族間ネットワークも解体した。これらの考察の結果、御家人の移動が列島規模で活発化した一三・一四世紀を通して、武士団のネットワークが維持される基盤の多様性を指摘した。
著者
YAMAUCHI,Katsusuke
出版者
東京昆蟲學會
雑誌
昆蟲
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, 1987-09-25

In Okinawa, 31 out of 36 examined nests of the weaver ant, Polyrhachis dives, (86.1%) contained multiple queens. The number of queens ranged from 0 to 594 with a mean of 44.6. Such polygyny seemed to be attained by retention of new queens in the mother nests, while adoption of new queens in alien nests might be rare or absent. Adjacent nests frequently exchanged colony members with each other, forming a huge polycalic colony which contained a million workers. Further, no aggressive behaviors or only weak ones were observed between workers from different colonies 1.5 and 40 km apart from each other.
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.812, pp.56-58, 2005-12-26

箸(はし)置きのデザインをきっかけに、家づくりを決意した家族がいる。東京近郊、千葉県佐倉市に住む横山さん一家だ。妻の多恵さんが愛用していた箸置きは「ROCCO」(ろっこ)。丸、三角、四角の組み合わせで構成・デザインされた、積み木のような箸置きとその収納容器。Koizumi Studioの頭文字「K」をかたどる5つのドットは、レーザー加工。
著者
青田 寿美
出版者
大阪府立大学日本言語文化学会
雑誌
百舌鳥国文 (ISSN:02853701)
巻号頁・発行日
no.29, pp.1-13, 2018-03-25

百舌鳥国文. 29, p.1-13
著者
大塚 千春
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.476, pp.55-58, 2013-12

●宮城県仙台市青葉区一番町4-5-2 第二むさしビルB1FTEL022-266-2223●平均月商/500万円●店舗面積/30坪(99m2)●席数/40席●1日の平均来客数/35人●客単価/5000円●原価率/33%●営業時間/月〜木・日17:00〜23:00L.O.、金土祝前日 17:00〜24:00L.O.、無休●スタッフ…
著者
河野 貴美子 坂本 政道 世一 秀雄 高木 治 小久保 秀之 山本 幹男
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.34-39, 2013-03-01 (Released:2018-12-11)
参考文献数
7

意識探究プログラムとして知られるヘミシンクは、左右の耳にわずかに異なる周波数の音を聞かせることにより、深くリラックスした状態を作り出し、通常と異なる意識状態に導くことが容易な方法とされている。著者らは、今まで様々な変性意識状態下の脳波を検討してきた。今回、5名のヘミシンクトレーナーの脳波計測からヘミシンク聴取による脳の変化を検討することを試みた。後頭部のα波平均振幅値は、セッション中に減少し、軽眠を思わせたが、各帯域含有率で、α帯域における比率が大きく減少していたわけではなく、通常の入眠時とは異なると思われた。β帯域含有率はフォーカスレベルF10とFl2で、交互に変化する様子が見られ、刺激音のうなり周波数との関係を示唆させた。左右脳波のコヒーレンス値が聴取時に大きくなる傾向が見られたが、セッション中に後頭から前頭にかけて位相同期的な瞑想様脳波が見られた被験者も複数おり、瞑想に近い状態を容易に実現することで、コヒーレンスが高くなっていることも考えられた。
著者
小林 玲音
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.56-63, 2011-02-28 (Released:2011-09-01)
参考文献数
20

全身麻酔中の体温の低下により出血量増加,術後感染,周術期心筋梗塞など多くの合併症が発症する.従って,温風吹送式加温器や特殊な被覆類を用いて対処しているが,使用台数が制限され,操作が煩雑であるため常時施行するのは難しい.一方,術中に投与するだけで術中の体温の低下が軽減すると報告されているアミノ酸製剤の輸液は安価で,特殊な操作も一切不要なため簡便である.しかし,その投与によって血清インスリン値が上昇し,低血糖が発症する可能性が示唆されている.そこで,全身麻酔下に股関節手術が予定された39症例において,アミノ酸製剤を麻酔導入前1時間に輸液し,術中の低体温予防効果と血糖値の推移を検討した.対象は人工股関節置換術および回転骨切り術を予定された39名でアミノ酸製剤を5ml・kg-1・h-1で輸液した群(A群)と2.5ml・kg-1・h-1で輸液した群(B群)およびアミノ酸製剤非投与群(C群)の3群に対象患者を無作為に分けた.全群において麻酔導入前1時間に輸液を行ったが,A群は混合アミノ酸製剤(アミパレン®)を5ml・kg-1・h-1,一方,B群は混合アミノ酸製剤(アミパレン®)と酢酸リンゲル液(ヴィーンF®)を同時に2.5ml・kg-1・h-1ずつ投与した.C群は酢酸リンゲル液(ヴィーンF®)5ml・kg-1・h-1だけを投与した.食道温を麻酔導入直後から麻酔導入後120分まで測定し,血糖値,血清インスリン値,血清アドレナリン値,血清ノルアドレナリン値などはアミノ酸製剤投与前,麻酔導入直後,麻酔導入後15分,30分,60分,90分,120分に測定した.体温は3群において麻酔導入後より経時的に低下したが,低下度はA群で最も小さく(p<0.05),A群とC群との間には麻酔導入後15分から120分まで有意差を認めた.血清インスリン値は麻酔導入直後にA群とB群では著しく上昇した.その程度はA群では投与前値の15倍,B群では投与前値の5倍であった.3群における血糖値の推移は近似し,各測定時期の平均値は80-100mg・d-1であった.血清インスリンの増加にもかかわらず,全群において低血糖は見られなかった.血清アドレナリン値,血清ノルアドレナリン値には全測定期間中において3群に有意な差は認められなかった.股関節手術において,麻酔導入前1時間にアミノ酸製剤の輸液投与により,術中の体温低下を軽減でき,また,危惧された低血糖も起こさなかった.術中の低体温予防として,麻酔導入前のアミノ酸投与は有用と思われた.
著者
岡田 泰河 鈴木 雄太 吉田 康兵 浦辺 幸夫 白川 泰山
出版者
公益社団法人 広島県理学療法士会
雑誌
理学療法の臨床と研究 (ISSN:1880070X)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.115-118, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)

目的:重度栄養障害を呈した大腿骨頚部骨折患者に、体重を指標として多職種で連携することで、栄養状態が改善し自宅退院した症例を経験したので報告する。 症例紹介:症例は人工骨頭置換術を施行し、当院へ転入院した80代の女性であった。入院時の体重は35.9kg、Body Mass Index (BMI): 15.5、平常時体重比71%で重度栄養障害であった。 経過:運動療法は運動強度を3METs以下とし、日常生活動作獲得を目的に1日6~8単位実施した。病棟で集団リハビリを行い、補食としてゼリー飲料と野菜ジュースを摂取した。入院4週後に体重は4.8kg増加し40.7kg、BMI 17.6、平常時体重比80%で中等度栄養障害となり、5週目に3.5METs程度の筋力強化練習を開始した。11週目に栄養指導を実施し、12週目まで体重40kg程度を維持し自宅へ退院した。 結論:体重を指標として多職種で連携することは日常生活動作の獲得に有効と考えられた。
著者
荻野 敦子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.G0360-G0360, 2004

【はじめに】日本の選手達に海外交流の機会を作り、日韓両国の文化交流を目的とした知的障害者サッカー親善大会は、2001年秋に第一回大会が横浜にて韓国を迎えて開催された。第二回大会は2003年10月10日~13日までの4日間、韓国・釜山にて開催され、日本代表選手団は海外遠征を果たした。結果は接戦の末、5-3で日本が逆転勝利を収めた。<BR>今回、日本代表チームのトレーナーとして帯同し、知的障害者スポーツに携わる医事として今後の課題を検討したので報告する。<BR>【選手・スタッフ概要】今回遠征に参加した選手は関西・四国地方の養護学校に通う学生および養護学校OBによる選抜チームで、学生5人、社会人15人から成る。選手平均年齢は19.9歳(16~31歳)であった。同行したスタッフは、地域サッカー協会副会長1名、養護学校教諭・知的障害者施設職員7名、臨床心理士1名、医師1名、理学療法士1名であった。<BR>【現場での対応】今回現地で何らかの治療行為を受けた選手は6名であった。その内容は、後遺症を有する選手へのリコンディショニング、足底胼胝の徐圧処置、靴擦れ、試合中の急性外傷(足部打撲)に対するRICE処置と救急病院への搬送、下腿打撲、頭痛であった。大会期間中、選手たちは自分の症状を自ら訴えることがほとんどなかったため、スタッフから症状の有無を問い掛け、スタッフルームに来てもらった。<BR>【理学療法士(PT)の役割】本人から痛みやコンディショニング不良の申告がなければ症状を発見することは困難であり、訴えがないということは、重篤になり得る外傷を見逃してしまう危険性を意味する。したがってPTは試合会場のみならず、生活全般において選手とコミュニケーション図り、詳細に観察する能力が求められる。また通常現場で求められる対応に加え、自ら訴えることが少ない選手だからこそ、試合前後のコンディションチェックを個別に行い、外傷・障害の早期発見と処置を徹底する必要がある。<BR>【今後の課題】知的障害者スポーツに帯同するにあたり、PTとして現場で対応できる幅広い技術を受け持つ以外に、選手の社会性に対する支援も必要であると考える。PTとしては選手の怪我や体調不良を見逃してはならないが、選手に依存されてはならない。つまりスタッフがすべて聞き出すのではなく、状態の良し悪しに関わらず自分のコンディションを選手から訴えさせることが重要になる。スタッフに促されてから訴える現状では選手の自主性を伸ばすことは出来ないため、自ら自己表現する習慣をつけ、その自主性を支援できる関係が望ましいと思う。<BR>選手の自主性が乏しいのは知的障害のためではなく、支援者の支援が先にたち自己表示をする経験が少なかったからではないだろうか。彼らの努力によって伸ばせる能力と我々が支援すべき範疇の見極めが今後の課題と考える。
著者
羽鳥 剛史 渡邉 望 藤井 聡 竹村 和久
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.99-107, 2012 (Released:2013-01-11)
参考文献数
23
被引用文献数
3

This study examined the relationship between Hegel's concept of "alienation" from a community and Ortega's concept of the "masses" in order to explore the empirical implication of the former concept in our society. According to philosophical discussion, it is supposed that Hegel's concept of "alienation" has a positive relationship with Ortega's concept of "Masses." This hypothesis was tested in the survey with a questionnaire (n = 400), by examining the relationship between the alienation scale and the vulgarity scale which were developed based on Hegel's theory of alienation and Ortega's theory of the masses, respectively. The obtained data showed that the sense of alienation from four communities (family, region, organization, and state) was positively related with the autistic factor which constituted the vulgarity scale. The result implied that the two concepts are associated with each other. It also provided the evidence of validity of the alienation scale. Finally, implications of the present result were discussed.