著者
広重 徹
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.380-388, 1971-06-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
11

特殊相対性理論はMichelson-Morleyの実験から生まれたという, ほとんどだれもが当然のこととしている解釈はじつは根拠のない神話であることが, 最近の物理学史研究によって明らかとなる. なぜそれを神話と判断するのか. それが支持できないとすれば, 代わるべき解釈はいかなるものか. 歴史的背景とEinsteinの思考の発展との両面から考察してみよう.
著者
池田 功毅 平石 界
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.3-14, 2016 (Released:2018-04-13)
参考文献数
100
被引用文献数
19

Psychological science is now facing an unprecedented crisis of reproducibility. The field is becoming aware of the systematic problems embedded in its research practices that have been widely employed by most academic journals. An emphasis on aesthetic rather than scientific standards has led to a publication bias for positive results, which, in turn, has encouraged questionable research practices (QRPs), such as p-hacking and HARKing. These processes have potentially created “null fields” where many findings are mere products of false positives. This risk is especially large in fields where the prior probability of the hypotheses being true is low. In fact, a recent large-scale replication project reported that the reproducibility of psychological literature is less than 40%. The psychology community is starting to respond to this crisis by becoming aware of the importance of pre-registered replication, and by reforming the publication standards of many journals. In this paper, we provide an overview of the facts and solutions to the present problems.
著者
廣瀬 洋
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.110-118, 2017-05-01 (Released:2017-05-01)
参考文献数
1

埼玉医科大学における2016年4月の図書館システム更改に至るまでの検討過程および情報共有方法について報告する。図書館システム選定の方針は,(1)仕様書は作成しない,(2)カスタマイズは行わない,(3)チェックリストを作成し各社のシステムを評価する,である。選定の結果ベンダーを変更し,データ移行を行った。2016年3月末に全図書館職員が参加する運用会議を開催し,システムの使い方の意識を合わせた。情報共有にはNAS(Network Attached Storage)およびチャットツールSlackを用いた。これらのツールの使用により,システム担当者の負荷が軽減されることが確認できた。
著者
安岡 孝一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.67-73, 2007 (Released:2007-05-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

ケータイを使ってインターネットにアクセスする際に,最も注意しなければならないのは,絵文字の問題である。ケータイの絵文字をインターネット上で使うと,ほぼ確実に文字化けする。文字化けが起こるのは,各社が勝手な文字コードをケータイ上に実装しており,その結果,文字コードによる情報交換の一意性が,ケータイの絵文字に関してはまったく保証されなくなってしまっているからである。しかしながら文字化けの問題は,ケータイのみの問題というわけではない。実はMicrosoft Windowsが採用しているCP932においても,文字化けの問題が内在している。その意味では,JISやUnicodeに従わない文字コードというのは,常に文字化けの危険性を伴っている,ということである。
著者
池田 貴儀
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.193-203, 2015-06-01 (Released:2015-06-01)
参考文献数
21

インターネット時代における灰色文献の動向について,灰色文献の定義の変容,灰色文献資源の政策策定に関するピサ宣言の2つの視点を中心に,さまざまな角度から考察する。まず,灰色文献の定義について整理する。次に,定義に関連して,インターネット時代における灰色文献の現状や課題について触れる。最後に,2014年に公表された,灰色文献資源の政策策定に関するピサ宣言を取り上げ,灰色文献をめぐる最新の動向について紹介する。
著者
前川 佳徳 牧本 展政 斉藤 文昭
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.85-86, 1996-03-06

前報で、女性の体に関するかたちの美しさの評価として、バストを例にその評価方法を提案した。評価にあたっては、感性表現(張りがある、セクシー、可愛いなど)を用いた。本報ではそれを発展させた、対象形状のデータからそのかたちを評価し、好適形状補整を提案、その補整後形状を表示する、一連のシステムを紹介する。
著者
片岡 栄美
出版者
日本スポーツとジェンダー学会
雑誌
スポーツとジェンダー研究 (ISSN:13482157)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.49-63, 2019

本研究は,ブルデューの男性支配と象徴権力の理論を用いて,日本の大学生におけるスポーツ嗜好のアイデンティティをもつ学生の価値,態度,文化資本を,量的な調査データに基づき明らかにした.体育会系アイデンティティの保持者は男女ともに,ジェンダー役割意識に関する非民主的価値と男性支配的価値を示した.彼らのコミュニケーション能力は高く,かつ男子体育会系の大半が権力志向でもある.とくに男性の体育会系は権威主義的価値観や伝統重視の価値観をより強く持っている.かれらは政治的な無関心を示す傾向が強く,マスメディアの情報を信頼しており,また一般的他者への信頼も高い.それゆえ,かれらは現在の社会体制を疑うことはあまりなく,社会の問題や社会の矛盾に気がつきにくいナイーブな存在でもある.また体育会系学生の文化資本は,他の学生よりも相対的に低かった.これらの価値態度,いいかえれば,ハビトゥスは近い将来の日本の保守的・非民主的な階層フラクションを体現するものである.
著者
小野 永貴 常川 真央
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.185-197, 2010 (Released:2010-07-01)
参考文献数
29
被引用文献数
1 1

近年,図書館関係者の間で貸出履歴データを図書館サービスに活用していく議論が活発である。議論は図書館総合展など大規模なフォーラムにおいても注目されるようになり,実際に貸出履歴を活用した図書館システムを導入する例も出始めている。しかし一方で,貸出履歴の活用によって図書館の在り方そのものにどう影響を与えるかについての議論は少ない。本稿では貸出履歴についての議論や活動を解説したうえで,近年台頭しつつある新たな図書館サービスと合わせてWeb時代にあるべき図書館について検討した。その結果,筆者らは貸出履歴の活用方法の4類型を提示し,利用者コミュニティーの形成を重視した新たな図書館モデルを提示した。そのうえで,図書館の利用者コミュニティー形成を支援するために筆者らが開発したWebサービス「Shizuku2.0」について紹介し,今後の展望について記述した。
著者
吉田 寿夫 村井 潤一郎
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.92.19226, (Released:2021-05-31)
参考文献数
26
被引用文献数
5

Although multiple regression analysis is a frequently used method for multivariate analysis in psychological research, it has been used inappropriately or incorrectly in most studies. To resolve these problems effectively, we investigated and summarized the issues related to the use of multiple regression analysis found in papers published in The Japanese Journal of Psychology and discussed the issues in detail. We argue that researchers should not use multiple regression analysis for simplistic reasons, such as “because there are several independent variables” or “because some relationships between independent variables or between independent and control variables are supposed.” We further argue the importance of carefully considering whether the purpose of the study is to explain or to predict and what kind of causal relationships exist between variables.
著者
松金 輝久 武永 康彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.3, pp.405-413, 2006-03-01
参考文献数
8
被引用文献数
3

ゲームやパズルの計算量や解法に関する研究は古くから行われている.特に最近ではテトリスのようなゲームが注目を集めている.本論文では,対戦型ゲームとして広く知られるぷよぷよを,人力として初期盤面と落下してくるピース列が与えられ,ピースを落下させることにより特定の目的を達成するパズルゲームとして定式化し,その連鎖数判定問題を考える.連鎖はぷよぷよにおける特徴的な性質であり,最大の連鎖を発生させる連鎖数判定問題がNP完全であることを証明する.
著者
重田 勝介
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.677-684, 2014-01-01 (Released:2014-01-01)
参考文献数
15
被引用文献数
20 11

近年,「反転授業」とよばれる授業形態が注目を集めている。反転授業とは,授業と宿題の役割を「反転」させ,授業時間外にデジタル教材等により知識習得を済ませ,教室では知識確認や問題解決学習を行う授業形態のことを指す。タブレット端末やデジタル教材,インターネット環境など情報通信技術(ICT)を活用した反転授業の教育実践が初中等・高等教育で広がっている。反転授業の普及の背景には,オープン教材(OER)とICTの普及があり,わが国においても初中等教育や高等教育での導入事例がみられる。反転授業の導入によって,学習時間を増やし教室内で知識を「使う」活動を促し,学習の進度を早め学習効果を向上させることが期待される。一方で,反転授業の実施にあたっては,学校や家庭におけるICTの環境整備やオープン教材の普及,自習時間の確保や教員の力量形成が課題となる。
著者
五十嵐 大 高橋 克巳
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.4_40-4_49, 2012-10-25 (Released:2012-12-25)
被引用文献数
1

近年,プライバシー保護とデータ活用を両立するための技術である,プライバシー保護データマイニング(PPDM, Privacy Preserving Data Mining)の研究が盛んとなってきている.この分野で特に重要な研究テーマのひとつは,技術的に何を満たせばプライバシーが守られていると言えるのかということを解析する,プライバシー概念の研究である.そんな中現在最も注目を浴びているプライバシーの概念が,2006年にDworkが提唱したDifferential Privacyである.本稿ではPPDM分野の概要および,Differential Privacyの簡単な紹介を行う.