著者
坪口 昌恭
出版者
尚美学園大学芸術情報学部
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
no.6, pp.71-87, 2004-12

第一章では、アフリカ土着音楽において特徴的な要素であるポリリズムについて、CDやVTR等の音資料から採集・採譜し、その特徴を分析する。第二章では、アフリカ音楽に特有の音律について、音資料から聴取し十二平均律とのずれや傾向を調べる。それらにより、ジャズやブルースのルーツがアフリカ音楽にあるという通説の音楽的裏付けをおこなう。
著者
福井 健策
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.661-668, 2014-01-01 (Released:2014-01-01)
参考文献数
1
被引用文献数
1

日本が今,貴重な予算をかけても早急に整備すべきインフラは「知のインフラ」である。欧米がその整備にしのぎを削る文化資料の巨大デジタルアーカイブについては,わが国でも価値ある活動は少なくないが,その多くは「ヒト・カネ・著作権」というべき課題にあえいでいる。特に大量の文化資料をデジタル公開しようとすれば権利処理の手間は膨大となり,わけても,探しても権利者が見つからない「孤児作品」の問題は深刻で,欧米でも対策が進む。わが国でも権利処理を推進するために,(1)権利情報データベースの整備,(2)パブリックライセンスの普及,(3)孤児作品対策を含むアーカイブ法制の立案,などの対策を早急に進めるべきである。
著者
高瀬 拓史
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.618-628, 2014-12-01 (Released:2014-12-01)
参考文献数
8
被引用文献数
3

EPUBは電子出版物の交換および配信フォーマットの標準である。今日,主要な電子書籍ストアのほとんどは,何らかの形でEPUBを利用している。EPUBの普及を支えた要因には,(1)Web標準をベースにしていること,(2)オープンでロイヤルティーフリーであること,(3)多様な読書環境に対応していること,があげられる。本稿ではEPUBの特徴,データ構造,表現力を紹介し,課題と近年の動向についても触れる。EPUBは電子出版にかかわるさまざまな要件を満たしており,今後も重要なフォーマットであり続ける可能性が高い。
著者
日下 九八
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.2-12, 2012 (Released:2012-04-01)
参考文献数
12
被引用文献数
10 4

ウィキペディアは,誰でも編集できる,フリーなオンライン多言語百科事典である。多くの人に利用されているが,信頼性についての疑問が示されてきた。本稿では,まず,その信頼性について,先行する調査を概観していく。百科事典の性質や,ウィキペディアの記事内容に関する「検証可能性」「独自研究は載せない」「中立的な観点」という重要な方針が促す改善と常に発展過程にあるという性質による限界を論じる。また,あらゆる人に知識を提供するオンライン百科事典の果たす社会的な役割についても検討する。誰もが専門的な知識を理解しなければならない知識基盤社会/高度情報化社会において,検証可能な信頼できる情報源を示したオンライン百科事典は,すべての人を専門的な知識へと導くことを可能にする。
著者
奥村 晴彦
雑誌
情報教育シンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.2, pp.93-98, 2013-08-11

Excel に代表される表計算ソフトは,簡便なデータ入力・解析・可視化ツールであるが,これを柔軟な罫線の引ける DTP ソフトとして用い,データとしての再利用の困難な複雑な帳票を作成してしまうことがよくある。この類の「ネ申 Excel」(神 Excel)が引き起こす問題点をまとめ,解決策を提案する。
著者
片山 卓也 島津 明 東条 敏 二木 厚吉 緒方 和博 有本 泰仁 落水 浩一郎 早坂 良
出版者
JAIST Press
巻号頁・発行日
vol.2, 2007-09

法令工学は,法令文書の作成や変更,法令実働化情報システムの構築を系統的に行うため,人工知能,言語処理,ソフトウェア工学の研究成果を使おうとする工学的アプローチであり,21 世紀COEプログラム「検証進化可能電子社会」の主要研究課題の一つである.安心な電子社会の実現には,電子社会の仕様書である法令を適切に作成し,それを施行する情報システムを正しく構築しなければならない.また,法令の改定に対しては,関係法令への変更伝播を整合的に行い,それを情報システムへの変更に矛盾なくつなげる必要がある.法令工学は,このような問題を工学的に解決することめざして,本COEで世界で初めて提案されたものである.現在,企業活動における法令尊守などが大きな社会問題として取り上げられているが,組織における規則の作成や尊守機構の設計なども法令工学の範疇に入ると考えられ,今後訪れる本格的な電子社会時代において,安心で公正な社会や組織の設計や実現に,法令工学はその基本技術を提供するものであると考えている.本書は,本COEにおける法令工学の研究活動を紹介するために書かれたものであるが,各章の著者は以下のようである.第1章 片山卓也 第2章 島津明 第3章 東条敏 第4章 二木厚吉,緒方和博,有本泰仁 第5章 落水浩一郎,早坂良
著者
徳田 真帆
出版者
くにたち人類学会
雑誌
くにたち人類学研究 (ISSN:18809375)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.21-46, 2010

本稿の研究対象はジャニーズファンである。ジャニーズファンとは、ジャニーズ事務所に所属するアイドルのファンのことであり、その熱狂的な応援行動に特徴付けられる。しかし、彼女たちは、単に応援行動に「没入」しているわけではない。彼女たちは、アイドルの虚構性を十分に認識しながらも、同時に彼らに対し自分と同一化してしまう程の強い親近感を抱いているのである。このような「アイロニカルな没入」とでもいうべき状況は、どのようにして可能になるのか。本論文では、ジャニーズファンたちが実践する「担当制」の検討を通し、トーテミスム論を手がかりに、その仕組みを明らかにすることを目指したい。
著者
吉田 寛
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.25-36, 2010

Scholars in many disciplines have talked about the "hegemony of vision" in the modern Western culture and philosophy. We also know that the most critical issue of modern philosophy of perception had been the compatibility between vision and touch, as viewed in the prolonged discussion of Molyneux's Question. But, on the contrary, we know very little about the significance of audition and hearing in the tradition of modern philosophy. This paper is thus intended as a historical sketch of the status of hearing, examining the texts of three philosophers. For Herder, the ear is the most nearest sense to the soul, and the audition stands in the middle of our five senses, dominating the others. But, at the same time, he also attaches great importance to touch, inheriting the tradition of Molyneux's Question, and therefore presupposes a kinship between hearing and touch. Kant exiles the ear from his conception of the critique of judgment, preferring the eye as a normative sense for disinterested and formal judgment. But he emphasizes a moral function of the ear in his critique of practical reason, as an organ hearing the voice of reason, i.e. the divine voice. The ear, finally, gains a definitive advantage over the eye with Hegel. He describes the progress of Romantic art from painting to music as a process of the "negation of dimension." In his view, time is negation (or sublation) form of space, and equally the audition is that of vision. We can say therefore that the hypothetical "hegemony of vision" was never stable, and the status of seeing has always been challenged and undermined by the hearing in the course of modern philosophy.
著者
安宅 和人 チェン ドミニク 山口 高平 山本 勲
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.865-881, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)

人工知能に関して第一線で活躍している4人をパネリストに招いて,トークセッションを開催した。セッションのテーマは「AIとは何か」「AIによって人間の仕事はどう変化するのか」「これから身に付けたい能力」「若者への提言」などである。パネリストの発言はAIの真実やAIの現状を知り,AIとの付き合い方を考える大きな手がかりとなる。
著者
山口 敦 石原 孟
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
日本風工学会論文集 (ISSN:13493507)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.63-75, 2007 (Released:2007-08-24)
参考文献数
23
被引用文献数
3 5

Offshore wind climate along the coast of Kanto area was investigated by a mesoscale model and wind energy potential considering economical and social criteria was estimated by Geographical Information System (GIS). The prediction accuracy of the annual mean wind speed by the mesoscale model was 4.8%. The estimated wind climate shows that offshore Choshi, the annual mean wind speed is significantly higher than other area. Without considering any economical or social criteria, the total potential along the coast of Kanto area is 287TWh/year, which is almost equal to the annual supply of Tokyo Electric Power Company. If only the bottom mounted foundation is used, the potential varies from 0.21TWh/year to 7.98TWh/year depending on the scenario. On the other hand, when floating foundation is taken into consideration, the potential is 100.59TWh/year even for the most conservative scenario.
著者
田村 恭久
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.307-314, 2014-08-01 (Released:2014-08-01)
参考文献数
7
被引用文献数
4 1

電子教科書の現状をいくつかの側面で紹介する。まず,各国の導入・検討状況や,各種標準化団体における電子教科書の機能検討状況を示す。また,電子教科書の導入の是非をめぐる議論が盛んであり,そのいくつかの論点を整理する。現在の電子教科書の機能では,従来の学習活動をすべてカバーすることは不可能であり,授業中の活動,教授方法,授業運営方法に依存することは明らかである。さらに,電子教科書のファイル形式の候補をいくつか紹介する。この中で,電子書籍の形式の1つであるEPUB3と,その拡張であるEDUPUBが現在もっとも有力な候補である。
著者
長谷川 秀記
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.587-598, 2016-12-01 (Released:2016-12-01)
参考文献数
5

日本の電子出版30年の歴史を電子辞書と電子書籍の2つのコンテンツから概観する。日本の電子出版はCD-ROMの登場とともに誕生した。電子辞書は1980年代後半に生まれたCD-ROM辞書から始まり,1990年代後半には携帯電子辞書端末が主流となる。1999年iモードがリリースされると会員制のケータイ辞書引きサービスが生まれ,現在はネットワーク辞書とスマホ辞書アプリが主流になるなど時代によって媒体が変化してきた。現在はネット上の無料辞書引きサービスや検索エンジンに押されて有料電子辞書は苦戦をしている状況である。一方,電子書籍は電子辞書に比べると普及に時間がかかった。最初の電子書店は1990年代半ばにできたが,iモードによってケータイでコミックが読めるようになると徐々に普及が進み,スマートフォンの発売や米国での電子書籍のブームを受けて,日本でも2010年は「電子書籍元年」と騒がれた。現在はまだ印刷本の電子化という段階にとどまっているが,今後電子ならではの表現が加わることが期待される。
著者
菱川 優介 桂 重仁 須長 正治
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3+, pp.141-144, 2017-05-01 (Released:2017-10-07)

色覚異常を持つ人の日常生活におけるトラブルとして,焼肉の焼け具合がわからないという報告がされている.このことから,色覚異常を持つ人は,一人で焼肉を行うことが難しいと言える.本研究では,2色覚の一人焼肉を補助すべく,焼肉が焼けたかどうかを知らせるアプリを作成した.実験では,肉の表面を測色すると同時に,3色覚と2色覚に焼肉の見た目の焼け具合を評価してもらった.焼肉の色変化の過程は,錐体刺激値LM平面にて特徴が現れていた.この変化過程は,2色覚に対してL軸またはM軸への射影となる.その結果,生肉の色が,肉が焼けていく過程の色変化のなかに埋もれてしまい,2色覚は色変化からでは焼け具合がわかりにくいことが示された.また評価結果をもとに,LM平面上にアプリによる焼け具合判断の閾値を設定した.作成したアプリと3色覚の判断がどれくらい一致するかを調べた.焼けた肉と焼けていない肉を,アプリが正しく判断する確率はそれぞれ63%と94%であった.また,焼けた肉,焼けていない肉に対して誤った判断をする確率はそれぞれ37%,6%であった.以上のことから,おおよそ正しく肉の焼け具合を判断するアプリを作成した.
著者
蟹瀬 智弘
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.84-92, 2013-05-01 (Released:2013-05-01)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

欧米をはじめとして世界中の図書館で広く使用されているAACR2は,2010年に改訂されてRDAとなった。名称が変更になったのは,図書館の所蔵目録を作成する規則から,資源にアクセスするためのツールを作成する規則へとその役割が変わったためである。内容としては昨今の資料種別の多様化に対応するため,従来の資料種別ごとの章立てから,FRBRの各実体を中心に据えた構成へと大きく変貌を遂げた。さらにその規定の対象は記録するデータそのものに限定され,データの格納や表示の仕方はそれぞれのシステムに委ねることにより,多様なシステムに対応するようになった。