著者
盛永 宏太郎
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.245-249, 2002-04-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
11

(1) 乾燥丸大豆を破砕後に焙煎して,TI活性の変化を調べたところ,無傷の大豆のTI活性は熱失活して1/20程度に低下したが,破砕して微細になった大豆ほどTIは熱安定性を増して熱失活しなくなった.粒径1mm以下に破砕した大豆のTI活性値は未加熱大豆のTI活性に近い高い値を示した.また,乾燥大豆を圧扁してから焙煎してそのTI活性の変化を調べたところ,破砕の場合と同様に,薄く圧扁した大豆のTIほど熱失活せずTI活性は高い値になった.これは破砕または圧扁処理により,大豆細胞が破壊されたためにTIが熱安定性を増したものと思われた.(2) 生大豆および焙煎丸大豆,焙煎破砕大豆のタンパク質をトリプシンで消化したところ,三者共にトリプシン量が残存するTI単位量以下の少量であっても,そのトリプシン添加量に応じて消化率は徐々に向上し,TI単位量に達したときに消化率は約50%になった.その後もトリプシンの添加量に比例して消化率が向上した.添加トリプシン量がTI単位量の約2倍になったときに消化率はほぼ最大値に近くなった.また,焙煎丸大豆のタンパク質はTI活性が低いので少量のトリプシン量で良く消化するのに対して,生大豆と焙煎破砕大豆はTI活性が高いために消化が悪く,多量のトリプシンを加えないと消化率は良くならなかった.(3) 焙煎大豆のTI失活に及ぼす焙煎温度と時間の影響を調べたところ,120℃加熱では温度が低く,無傷の丸大豆でもTI失活は不充分であった.破砕大豆TIはまったく失活しなかった.150℃加熱の丸大豆は加熱10分後にTI活性値は1/10に減少し,20分後には1/20になった.150℃加熱の破砕大豆のTIは20分後でもわずかに10%減少しただけだった.180℃加熱の丸大豆は加熱5分でTI活性値が1/10に減少した.しかしこのときの大豆は黒変して焦げた状態になった.破砕大豆のTIは180℃加熱でもなお幾分活性を持続し20分後の値は生の約1/5を示した.
著者
多喜 義彦
出版者
日経BP社
雑誌
日経ものづくり (ISSN:13492772)
巻号頁・発行日
no.682, pp.110-114, 2011-07

毎日のように乗っているエレベータ。これだけ身近にあると、いちいちありがたいと思うことはほとんどない。もっとも、このたびの震災後に停電や節電で止まったときには、さすがにエレベータのありがたみを再認識した人も多かったのではなかろうか。
著者
澤枝 洋一
出版者
防衛技術協会
雑誌
防衛技術ジャーナル (ISSN:09198555)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.54-57, 2013-02
著者
鎮西 忠茂 大屋 一弘
出版者
Japanese Society for Tropical Agriculture
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.106-114, 1972

天ぐ巣病罹病サツマイモと健全なサツマイモ地上部の無機成分組成の相違を調べる目的で, 健全株8サンプル, 罹病株10サンプルを採集し, それぞれの葉・葉柄・茎についてN, P, K, Ca, Mg, Fe, Mn, Zn, B, Mo, Cu, Na, Alなどの13元素を分析した.<BR>葉においてはN, K, B, Cu含量が, 葉柄においてはK, Ca, Mo, Cu含量が, 茎においてはNおよびMg含量が罹病株より健全株において高いことがわかった.<BR>葉・葉柄・茎における各成分の含量を比較した場合 (1) NおよびMn含量は健全株・罹病株共に葉において高かった. (2) Znの含量は建全株・罹病株共に葉・葉柄・茎の間に相違がなかった. (3) 他の10元素については, 健全株と罹病株の間で葉・葉柄・茎間の差にそれぞれ異なった傾向がみられた.<BR>葉・葉柄・茎間の成分含量相関をみると, 健全株および罹病株の両方においてK, Ca, Zn, Fe, Mn, Naなどの含量は, 葉と葉柄, 葉と茎、葉柄と茎の間で有為な相関関係があった.また健全株・罹病株共に葉柄と茎間において最も多くの成分が相関を示した.<BR>サツマイモ天ぐ巣病の診断に植物分析を行なうことが一つの方法として考えられるので適当なサンプリング部位および分析すべき成分について検討した.
著者
佐藤 重穂 前藤 薫 田端 雅進 宮田 弘明 稲田 哲治
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.75-80, 2004-09-30
被引用文献数
1

ニホンキバチの成虫脱出数が樹木個体によってばらつく要因を明らかにするために,スギの間伐放置木からのニホンキバチの羽化成虫数を調べ,あわせて産卵痕数,孵化幼虫数を調べた.産卵強度および孵化幼虫密度と羽化成虫密度との間にはそれぞれ正の相関があった.寄主木の胸高直径,含水率,寄生蜂オオホシオナガバチの寄生率とニホンキバチの各ステージの密度との関係を調べたところ,胸高直径と含水率が羽化成虫密度との間に正の相関があり,寄生蜂の寄生率はニホンキバチの羽化成虫密度との間に相関がみられなかった.含水率は孵化率,羽化率とも正の相関があった.胸高直径,含水率,産卵強度,孵化幼虫密度,羽化成虫密度の間の因果関係を仮定してモデルを作り,解析した結果,これらの関係を説明することができた.この結果から,寄主木サイズが含水率を通じてニホンキバチの羽化成虫数を決める要因の一つとなっていると考えられた.
著者
河田 照雄
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.119-125, 2014 (Released:2014-06-23)
参考文献数
37
被引用文献数
1

肥満や生活習慣病の予防・改善のための基礎および応用への基盤研究を行った。肥満の発症において重要な脂肪細胞の形成制御機構のマスターレギュレーターである核内受容体とそのリガンドに焦点を当て研究を進めた。その結果,内因性の核内受容体のリガンドを見出すとともに,その機能について明らかにした。また,肥満から発症するインスリン抵抗性の主要因である脂肪組織の炎症反応を食品成分で抑制することにより,それらの疾患が改善することを明らかにした。さらに,生体のエネルギー代謝制御に重要であることが明らかとなってきた脂肪組織で発現する褐色様脂肪細胞の発生抑制にも炎症反応が関与することを明らかにした。本稿では,肥満に関連する疾病と生体内成分および食品由来成分の関連について脂肪細胞とエネルギー代謝の面から解説した。
著者
中村 亮一
出版者
日本医用画像工学会
雑誌
Medical Imaging Technology (ISSN:0288450X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.29-34, 2017 (Released:2017-01-31)
参考文献数
23

画像診断技術と計算機技術の進歩により,術中においても医用画像を活用し精緻な治療誘導等を実現することが可能となっている.本稿では放射線治療および低侵襲外科治療において用いられる医用画像の特徴と,画像誘導治療を実現する上で必要な画像強調/領域抽出,画像統合(レジストレーション),動態認識/追従のための画像処理技術について解説する.術中の画像処理においては精緻な画像誘導のために必要な精度・処理速度を適切に設定し,これに応じた手法選択・設計が必要となることから,臨床医学・情報工学双方からの学術的検討が必要となる.
著者
原 祐里子 渡邉 賢悟 伊藤 彰教 近藤 邦雄
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.39, no.14, pp.89-90, 2015-03-07

スクリャービンやメシアンなど共感覚を持つといわれている作曲家たちは、独自の感覚によって、音高や調性と色彩が感覚的に結合している。一方で子供たちなどは、特殊な感覚が無くとも音高や調性と色を自由に結び付けて音楽的な遊びを行うことは珍しくない。本作品は音高と色彩とを古典的な音楽インタフェイス上で柔軟に組み合わせることにより、こうした融合的な感覚を手軽に楽しめるようにしたインタラクティブ作品である。3DCGを用い、iOS上にSwift言語により実装した。
著者
山脇 一宏 椎塚 久雄
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.615-621, 2005-10-15
被引用文献数
2

共感覚保持者, とりわけ音と色彩に関する共感覚保持者(色聴保持者)の存在については, メシアン, スクリャービンの例が有名であるが, そのような色聴保持者の報告から音と色彩の協調的な関係の存在が想起される.著者らは, 音と色彩の協調的な関係に注目し, 色彩のイメージ分析に使われているカラーイメージスケールを利用した音楽の特徴抽出を試みる.音楽専攻の大学生らに対するアンケート調査を行った結果, 音楽の微細な特徴を抽出することができた.共感覚および共通認識に関する様々な議論に一つの実証を与えることもできた.
著者
朴 沙羅
出版者
京都大学大学院文学研究科社会学研究室
雑誌
京都社会学年報 : KJS = Kyoto journal of sociology
巻号頁・発行日
vol.22, pp.89-115, 2014-12-25

Oral history is one of the major research methods in both humanities and social sciences such as anthropology, history, and sociology. The characteristics have been discussed, and methodology has been accumulated over decades. This research note tries to grasp major research topic and research projects in oral history and tries to figure out what kind of research projects have been regarded as "oral history". In contrast to the previous literatures on oral history, this note does not look at methodological discussion but at actual research projects and articles by region. After grasping overall conditions of oral history research past around 50 years, I analyze rough trends according to survey population and research intention.
著者
川西 利昌 大塚 文和
出版者
Architectural Institute of Japan
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.79, no.696, pp.201-207, 2014

Ultraviolet radiation may be cause the skin damage. In order to determine the shade to protect of the skin against ultraviolet radiation, it is necessary to know the radiance distribution of the sky ultraviolet radiation. Conventionally, the sensor of the sky radiance distribution has been generally swept using mechanical method. The mechanical sweeping method has the problems that sky conditions change during several minutes. Electronically sweep-type measurement equipment for sky erythema ultraviolet radiation equipped with 145 area of erythema ultraviolet sensors was developed, and it has become possible to measure the all sky in only three seconds. This research aims to measure the erythema ultraviolet radiance distribution for low latitude area using this measurement equipment. A regression equation of radiance distribution was made from measurement results. Architectural Sun Protection Factor of shade was calculated using the equation.
著者
Miyazaki Takamichi Isobe Takehisa Nakatsuji Norio Suemori Hirofumi
出版者
Springer Nature
雑誌
Scientific Reports
巻号頁・発行日
vol.7, 2017-01-30
被引用文献数
50

ヒト多能性幹細胞の拡大培養法の簡便かつ低コスト化に成功 : 培養基質のコーティングを必要としない培養法を開発. 京都大学プレスリリース. 2017-01-31.
著者
榊 純一 坂本 静生 矢野 博司 神田 宰 塩原 守人 助川 寛 磯部 義明 春山 智 村田 伸一 吉澤 正浩 平野 誠治 室田 秀樹 瀬戸 哲司 松中 耕二 山越 学 西尾 太 林 義昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.374, pp.51-56, 2005-10-20
被引用文献数
2

まもなく旅券(パスポート)にコンタクトレスICが搭載されようとしている.またこのICチップ上には, 本人認証を行うためのバイオメトリクスデータ, 顔画像が記録されることとなっている.本稿では, このIC旅券導入にあたっての経緯について簡単に照会すると共に, 日本において発給を開始するにあたって, IC旅券調査委員会が実施した調査検討の中から, 特に, (1)顔認証技術適用を前提とした旅券写真に関する技術的妥当性評価と, (2)IC旅券有効期間中の加齢に伴う顔認証精度評価の二点について述べる.