著者
楊枝 嗣朗
出版者
経済理論学会
雑誌
季刊経済理論 (ISSN:18825184)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.5-14, 2008

The thought of independence of central banking was generally accepted during 1990s. And then the relationship between money and state has hardly occupied the interest of monetary economists. Some of them emphasised that the central banking does not have any administrative power. Therefore, the query why the government must ultimately take the responsibility for the stability of financial system and why the central bank must contribute to it through the prudential policy, have not been drked theoretically. In the meantime the Free Banking School has insisted the abolition of the central bank because the central bank-money is state fiat money. And the Cartalists like L. R. Wray, S. Bell, and C. A. E. Goodhart have attached the importance of ties between money and state, and therefore they have been worried about the future of Euro money due to breaking its bond with governments. We understand the ties between money and government are essential; otherwise the capitalistic credit monies could not have been developed. Since private credit monies circulated among merchants and traders in modern times, state monies like coins became just small changes for private credit monies. In consequence governments lost the ability of raising fund to a great extent. There were no way other than accepting private credit monies as means of tax-payment to raise fund. Such an intervention by government assisted private credit monies to circulate all over their country. The central bank currency contributed to reduce the costs of commercial transactions and of tax-collection too. From the above point of view we inquire the relationship between money and state, and why a central bank has "the ambiguous presence as a semi-governmental corporation".
著者
大石 幸二
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.53-63, 2000
被引用文献数
1 3 3

本稿では、特殊教育教師の「現場研修」について、(1)その必要性、(2)実践研究の成果、(3)具体的なアプローチに注目し、その実施上の課題を明らかにした。先行研究から、(1)に関して研修の必要性が指摘される一方、1)教師の自己努力に負う考え方や、2)現場を離れて行う研修も根強く、他方、3)教育・訓練カリキュラムが系統的でない現状を示した。また、(2)に関して1)目標と方法の特定化、2)効率性の重視、3)観察事実に基づく指導実践の見直しが典型的な要素であることを示唆した。さらに上記1)から3)までの要素を重視する応用行動分析学の知見に触れ、このアプローチの成果のひとつである教師訓練を概観した。このアプローチでは、近年、教師自身が問題記述と分析を行い、介入計画および指導実践を直接管理することを支援するシステム構築が指向されている。特殊教育サービスにかかわる特殊事情を抱えるわが国では、今後、このシステムの有効性に関する実証研究の蓄積が求められることを、課題として指摘した。
著者
市毛 きよみ
出版者
慶應義塾大学大学院法学研究科内『法学政治学論究』刊行会
雑誌
法学政治学論究 : 法律・政治・社会 (ISSN:0916278X)
巻号頁・発行日
no.106, pp.67-100, 2015

一 はじめに二 一国完結型航空機産業基盤の解体 (一) イギリス航空機産業の構造 : 軍事創造物としての航空機産業 (二) 米の台頭, 仏独の再建とイギリス航空機産業 (三) 航空機省の設立と産業再編 : 産-官による一九六〇年代開発計画 (四) ウィルソン労働党政権による軍用機キャンセルとそのインパクト三 プラウデン委員会による産業の位置づけの再検討 (一) プラウデン委員会の設置 : 航空機産業は必要なのか (二) 国際共同開発パートナー論争 : アメリカかヨーロッパか (三) フランスとの軍用機共同開発四 欧州多国間航空機産業基盤へ : 新たな政-産関係? (一) 航空機産業界の意向 (二) プラウデン委員会の結論 : 欧州航空機産業基盤へ (三) 航空機省の解体と産業の再編五 おわりに
著者
加藤 宏明 津崎 実 匂坂 芳典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.97, no.587, pp.15-22, 1998-03-06

聴取実験により, 促音, 撥音, 無声化母音, 長母音などいわゆる特殊拍を含むセグメントの時間長変動に伴う知覚的な歪みがどの程度許容されるかを調べた.特殊拍を特徴付ける2つの要因, つまり母音・子音などセグメントのタイプと, 拍数の違いなどによるセグメント持続長のバリエーションに着目し, 通常拍との比較を行なった.その結果, 前者の要因の効果が, 母音, 鼻音, 摩擦音と無音の順に許容される変動の範囲が広がるという傾向で, 後者は, 短い持続長より長い持続長の方が許容範囲が広いという傾向として現れた.さらに, セグメントタイプと持続長の要因の交互作用も見られた.母音タイプの方が摩擦音タイプよりも持続長の効果が大きかった.以上の結果に介在する知覚メカニズムを, 音韻固有のラウドネスや持続長の違いに基づく時間長弁別能の違いと, 拍数など音韻論上の構造の内的処理との関係において論じる.
著者
パリハワダナ ルチラ
出版者
京都大学国際交流センター
雑誌
京都大学国際交流センター 論攷 (ISSN:2185680X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.43-59, 2013-02

N1 レベル乃至N2 レベルの文法的な機能語として位置づけられている二重否定諸表現の使い分けの習得は上級日本語学習者にとり、大変困難である。本論では二重否定の諸表現が現れている文脈とその表現意図に着目することによりそれらの諸用法と使い分け方の解明を試みた。その結果、1)先行する発話やそれにより生じる含意を否定しながら例外を指摘したり、補足したりする用法、生起・可能性・存在などが皆無でないことを表す用法及び断定や直接的な言い方を避けながら和らげる用法の三用法においては全ての二重否定表現が使用可能であること、2)譲歩を表す場合及び意志性を有した慣習的な行為などを認める場合は全ての表現が使用可能なものの、「~なくは/ もない」表現の使用は限定的であること、3)他者に対する理解を示す場合は「~なくは/ もない」表現及び「~ないでも/ はない」表現に、一方、全称的解釈を否定しながら部分否定を表す場合は「~ないでも/ はない」及び「~ないことは/ もない」の二表現に、更に、全否定による肯定的な意味や可能性の強調を表す場合は「~ないことは/ もない」表現に限定されることが明らかになった。なお、本論の考察を通して二重否定表現は断定回避機能や他者配慮を表す機能などを通して、コミュニケーションの円滑な遂行に重要な役割を果たしていることも明らかになった。
著者
松岡 隆
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05272997)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1-56, 1996-10-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
三輪 誠
出版者
新領域創成科学研究科基盤科学研究系基盤情報学専攻
巻号頁・発行日
2008-03-24

報告番号: 甲23888 ; 学位授与年月日: 2008-03-24 ; 学位の種別: 課程博士 ; 学位の種類: 博士(科学) ; 学位記番号: 博創域第354号 ; 研究科・専攻: 新領域創成科学研究科基盤情報学専攻
著者
奥居 哲 柴田 祥一 岡田 稔 川島 信
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.92, pp.67-72, 2003-09-19

本発表は,卒業研究・ゼミナールのための研究室配属を一対多型安定結婚問題と見なし,安定結婚問題の解法アルゴリズムを用いた配属(以下,安定結婚配属)を試みた事例の分析に関する報告である.安定結婚配属を,第1 志望を特別に優先する発見的手法に基づく従来の配属に対して詳細に比較し,志望学生と受入れ先研究室の「満足度」の違いを調べた.「満足度」の評価には,複数の指標を組合せて用いた.その結果,学生,研究室共に,安定結婚配属の方が高い満足度が得られることが確認された.また,安定結婚配属において,定員の変化が配属結果に及ぼす影響についても調べた.その結果,定員の変化は,研究室間の配属数の格差に対して最も顕著な影響を与えることが観察された.We offer a case study of a laboratory assignment for under-graduate students as an instance of the stable marriage problems. Two assignment methods are considered; one adopts a 1-n stable marriage algorithm, while the other is based on heuristics giving absolute priority to the applicants for their most preferable laboratory. Using actual preference data, we compare two methods. Several kind of indices are introduced in order to evaluate satisfaction of students and faculty. Our analysis with respect to those indices indicates that the former method gives a more desirable coupling than the latter for both students and laboratories.
著者
植木 朝子
出版者
同志社大学
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.53-66, 2013-03
著者
北島 博 川島 祐介
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.94, no.5, pp.209-213, 2012-10 (Released:2013-10-08)

菌床シイタケ害虫ナガマドキノコバエ成虫の生存日数,産卵数,および産下卵の孵化率に対する,餌条件(重量比5%の砂糖水または蒸留水)および温度条件(15℃,20℃,または25℃)の影響を調べた。成虫の生存日数は,砂糖水を与えた区(7.0~31.4日)が,蒸留水を与えた区(3.0~6.9日)より長かった。産卵数も,砂糖水を与えた区(131.7~281.8卵)が,蒸留水を与えた区(63.7~152.2卵)より多かった。産卵は,いずれの処理でも羽化後1日目の成虫から行われた。累積相対産卵数が90%以上となったのは,砂糖水を与えた区では5~9日目であったが,蒸留水を与えた区では3~4日目であった。これらより,本種は糖分の摂取により生存日数が延び,産卵数が増えることがわかった。温度条件に着目すると,産卵数は20℃で最も多かった。各処理における産下卵の平均孵化率は29.2~65.4%であり,特に15℃では20℃および25℃に比べて有意に低かった。
著者
謝 萬権
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.936, pp.283-292, 1966
被引用文献数
10

北海道から台湾にわたる地域に自生するイノモトソウ属 <i>Pteris</i> を分類学的に検討した結果, 34種, 3変 種に整理できることがわかった. このうちマツザカシダは新種であるという結論に達し <i>P. nipponica</i> と 命名した. 今までこの属の分類には葉脈の形質すなわち葉脈が遊離するか結合するか, 結合した場合はそ の形, が最も重要だと考えられていた. しかしこれは割合変わりやすい不安定なものであることがわかっ たので, 私は非常に安定した形質である葉の分岐の仕方すなわち羽状に分かれるか, 三出するかという性 質を第一に重視するとこにした. それに鱗片, 葉縁, 葉脈, 偽脈の有無などのいろいろの形質を考慮して, 次のような新分類系をたてた.

2 0 0 0 OA 葉桜日記

著者
山県有朋 (素狂) 著
出版者
児玉少介
巻号頁・発行日
1892
著者
塩入 俊樹
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.29-39, 2015-11-30 (Released:2015-12-10)
参考文献数
20

社交不安症(障害)(SAD)は,社会的状況に対する過度でコントロールできない恐怖または不安が生じ,そのためそのような状況を回避し,著しい社会機能障害を呈する不安症である。本稿では,SADの薬物療法について,最近の知見を中心に述べる。メタ解析やRCTによるエビデンスによると,SADの薬物療法としては,SSRIとSNRI, そしてRIMAがプラセボに比し有意に効果があるとされている。しかしながらわが国ではRIMAは使用できない。また最近承認され,SADに最もエビデンスがあるSNRIであるベンラファキシンもSADへの保険適応がないことから,わが国でのSADの薬物療法の中心は,現時点ではSSRIとなろう。
著者
松田 晃一 上野 比呂至 三宅 貴浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.1675-1683, 1999-10-25
被引用文献数
36

最近のコンピュータ技術とネットワーク技術の進歩により,サイバースペースを実現するための基盤が整ってきた.このような環境の中,3Dのマルチユーザ仮想空間の実用化研究がなされ,参加したユーザが同じ仮想空間内で同じ体験を共有できるメディアとして実現されてきた.今後の重要なステップとしては,このメディアを仮想社会にまで昇華させることである.我々は,これまで開発してきたCommunityPlaceシステム上に,パーソナルエージェント指向の仮想社会PAW(Personal Agent World)を構築し,数百人の同時アクセス,数千人の延べアクセスを目標とした大規模仮想社会の実験を行ってきた.PAWは,アバタとテキストなどによるコミュニケーションという従来の仮想空間のもつ機能に加え,ユーザと一緒に行動する犬型のパーソナルエージェント,社会的・環境的なインフラストラクチャをもつ仮想社会である.本論文では,PAWのインターネット上での公開実験に関して,その設計方針,ユーザプロファイル,特性,コミュニティについてその結果を報告し,今後の課題について考察する.
出版者
立教大学ESD研究所
雑誌
福島の今と向きあう。 立教大学ESD研究所/立教SFR重点領域プロジェクト研究講演録
巻号頁・発行日
pp.37-67, 2013-03

日時:2013年1月22日(火)18:30~20:30会場:立教大学 池袋キャンパス 太刀川記念館3階 多目的ホール講師:國分俊樹氏(福島県教職員組合 書記次長)
著者
山下 清貴 和久屋 寛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.101, pp.85-90, 2008-06-26
被引用文献数
3 3

ホップフィールドネットワークは,組み合わせ最適化問題の解探索法としての有効性が知られているが,必ずしも最適解が求まるわけではない.近年,その対策法として仮想磁場漸弱法が提案されており,先行研究によれば,仮想的な磁場パラメータを導入し,その極性反転によって正答率が改善するという報告がある.そこで本研究では,ネットワークの振る舞いを状態遷移の可視化表現とエネルギー関数の形状に着目して観察することにより,その動作メカニズムについて検討した.その結果,仮想磁場パラメータにはニューロン出力の切り替わる臨界値が存在し,仮想磁場パラメータの極性反転による正答率の改善は,この臨界値を超えることでニューロン発火の容易さを制御したためであることを明らかにした.
著者
只木 孝太郎
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

私は、Chaitinらによって創始されたアルゴリズム的情報理論を拡張して、それを量子力学系の測定理論に適用し、量子測定に対するGodelの不完全性定理を導出しようと試みている。本研究課題は、この全体構想の一環であり、平成19年度後半に私が創始した新しい学問分野であるアルゴリズム的情報理論の統計力学的解釈を徹底的に理解することが、本研究課題の具体的な目的である。