著者
塗木 淳夫
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

視覚的運動予測と触覚的運動予測に基づく運動予測の特徴を明らかにするために、脳活動を混乱させる非侵襲性手技である経頭蓋磁気刺激法(TMS)、触覚提示ロボット(把持力計測:GF)、バーチャル3次元空間を用いて研究を行った。その結果、視覚情報と運動学習・機能を研究するために有用で斬新な3Dバーチャル触力覚提示システムを開発することに成功した。さらに、開発したシステムを用いて、視覚的運動予測に基づく運動学習における運動皮質の興奮活動と運動力学的な把持運動の特性に関する基礎的な知見を得ることができた。
著者
加藤 太一
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

難治性疾患である肺高血圧発症に対する分子状水素の抑制効果を評価するために、ラットモノクロタリン肺高血圧モデルを作成した。飽和水素水投与により、右室圧の低下、肺血管の筋性化の軽快を認めた。肺高血圧に対し脱水素水投与した群で増加していた肺血管周囲マクロファージ、線維芽細胞、酸化ストレスマーカー陽性細胞、細胞増殖マーカー陽性細胞は飽和水素水により減少した。これらの結果より分子状水素は肺高血圧症の改善に炎症の抑制、酸化ストレスの抑制、細胞増殖抑制を介して寄与する可能性が示された。
著者
山口 佳樹
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

モジュール毎に分割した回路を動的かつ部分的に書き換えることで、回路量の削減および耐故障性が実現できることを確認した。対象アプリケーションにもよるが、時間方向にモジュールを分割実装することで最大40%程度の回路の削減が可能であった。また、これを利用して回路冗長性を高効率に実現することも可能となった。アプリケーションに特化した構成だけでなく、組込み用マイコンなどの一般的な回路についてもFPGAを使用して検証を行いその有効性について実証した。
著者
本村 昌文 渡辺 道代 和田 有希子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

介護と看取りの現場と近世日本思想史研究の接点を構築し、現代日本社会に生じている介護と看取りの諸問題の解決に資する死生観の解明を行った。本研究では、17世紀日本の死生観と介護・看取りの現場とのつながりを検討し、伝統的な死生観のもつプラス面とマイナス面を明らかにした。またこうした作業を通して、伝統的な死生観をもとにして、介護と看取りを支える精神的基盤を再構築していく端緒を得ることができた。
著者
三浦 利章
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

〔目的および経緯〕当研究は、我国の生産現場性の急速な省力化、自動化のなかでの技能の変化を鑑み、自動化の困難な人間固有の高度な作業技能の特質を明らかにすることを目的とした。初年度には、文献的調査と生産現場視察を行ない、ビ-ル生産工場での最終検ビン作業に焦点を絞り込み、予備実験を行なった。次年度には、初年度の成果に基づいて、検ビン作業時の眼球運動を記録・解析した。具体的には、NACIV型で測定し、ビデオレコ-ダ-で記録、解析した。〔主な結果〕調査と視察の結果、最終工程に行われる検ビン作業は、幾種もの微妙な傷や不純物をほとんど見逃すともなく高速に行なうというきめて高度な技能が要求されるものであり、それゆえに、当面自動化が困難で、同時に作業者の精神的疲労はきわめて大きいVIGILANCE TASKであることが明らかになった。このような高度な技能を支えている作業者の資格情報獲得・処理機構は、以下の特質を持っていることが眼球運動実験から明らかになった。1.検ビン作業時の平均注視時間は約175msecというきめて短いものであり、読書時や通常の視覚探索課題での注視時間の約半分という、一般の作業時からは想像されないような高速の視覚走査が行われていることが明らかになった。人間の眼球運動能力の限界での作業が行われているのである。2.このような超高速視覚検査(探索)を可能としている重要な処理機構として、下記の二点を考えなければならない。その一つは、高度な検査技能を獲得した作業者は技能未獲得者よりもずっと広い有効視野を形成、保持していることである。すなわち、きわめて微妙な不良の微候を処理しうる広い有効視野の働きである。いま一点は、運動する微妙なキズを周辺視野で高感度に捉えていることである。故に、3.ポイントは有効視野での微妙な検出機構(PATTERN MATCHING)と、それをさらに支えるの運動成分対象(A FACILITATORY MOTION FACTOR)と言える。ここに得られた結果は、基礎研究上では、人間の高度な視覚技能の解明の糸口を与えたものであると同時に、応用的側面としては、検査作業時の疲労の解明に示唆を与え、また、このような検査作業の自動化にも示唆を与えた貴重なものである。
著者
渡邊 雄一郎
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2009

1)SGS3はRNA-dependent RNA polymerase 6(RDR6)と協働してウイルス由来のRNAに対する小分子RNA、内在性のTAS遺伝子を前駆体とする小分子RNAの生合成に関わる。このSGS3とRDR6が相互作用すること、さらに新規な構造体SGS3/RDR6-bodyとなづけた構造に局在することが明らかとなった。mRNAの分解や貯蓄を担うProcessing-body(P-body)とは独立の構造であった。このことで、tasiRNA生成の過程で中間体が細胞内で複雑に、複数の会合体間を移動することが示唆された。今後一過的な発現ではなく、ナチュラルに近い状態での発現におけるSGS3/RDR6-bodyの存在、組織依存性、発生時期依存性を明らかとする必要性がでてきた。2)免疫沈降法によるAGO1と結合する3種類の候補タンパク質の解析をおこないかたわら、東京大学大学院理学系研究科の上田貴志氏に種々の細胞内膜系のマーカーを発現するラインをいただき、詳細なAGO1あるいはP-bodyとの関係を解析した。3)AGO1,RDR6タンパク質の発現の組織特異性、発生時期特異性を検討するために、各遺伝子のプロモーター(2-3kb)下流にGUS遺伝子をつなぎ、形質転換体を作成した。双方の発現はメリステム近辺で強いが、AGO1タンパク質は発芽後一週間ほど、RDR6はむしろそれに遅れて10日過ぎに発現が多くなることを見いだした。今後SGS3についても同様のプロモーター解析を行い、SGS3/RDR6-bodyの時空間的機能解析の重要性が明らかとなり、解析を継続している。
著者
三浦 裕正 中西 義孝
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

関節鏡手技の詳細な技能分析に基づいて、基本タスクを網羅した Box Training を開発した。さらに、磁気式三次元位置計測装置や力覚センサーなどの定量的評価法を開発・導入し、訓練者へフィードバック可能なシステムを構築した。同時に Virtual Realityによるシミュレーションや実体モデルの開発にも取り組み、効率的な手術トレーニング環境の効率化を図ると共に、学内でのトレーニングセミナーを実施し、低侵襲手術のための教育研究拠点を形成した。
著者
鮎川 潤
出版者
金城学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

日本に存在する未成年のためのすべての更生保護施設をそれぞれ複数回にわたったて訪問し、施設長をはじめとする職員への聞き取り調査を行い、アメリカ合衆国の施設について調べるとともに、スウェーデンにおけるわが国の更生保護施設に該当する施設を訪問し、関係職員へのインタビューを行った。その過程で発見されたのは、わが国において少年犯罪が社会的注目を集めている現状から考えるとまったく予期に反することであるが、過剰収容といっても過言ではない少年院とは対照的に、更生保護施設は収容少年の不足に悩まされている実情であった。特に女子少年の施設では深刻である。これらのなかには、近年において経営の観点が重視され定員の充足が課題となるなかで、成人が収容されるようになった施設もあり、現在大きな岐路に立っていることが詳らかになった。非行少年の処遇においてしばしば福祉的アプローチとして注目されてきたスウェーデンにおいて、わが国の少年のための更生保護施設に該当する施設は、男女の混合施設でより開放性が高いことが異なる。移民の子女が多いのも特徴の一つであり、国際化の進むわが国でも将来対応を迫られる問題となる可能性がある。ただし、スウェーデンにおいては矯正施設との連携はかならずしも良好とはいえず、夜間、休日の体勢は脆弱といわざるをえない面を持っている。少年のための更生保護施設が有効に活用され、成果を生み出していくためには、現在SSTなどのプログラムに意欲的な取り組みが行われているが、さらなるプログラムの工夫、少年の保護観察のありかたの再考、さらに家庭裁判所における補導委託先としての利用などが今後の課題と考えられることが判明した。
著者
山崎 友也
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

従来,憲法学の研究が手薄だった「人身の自由」を原理的観点から再構成することを目指し,(1)憲法18条論,(2)憲法31条論,(3)裁判員制度の合憲性の再検証をそれぞれ行った。その結果,(1)については,「意に反する苦役」(憲法18条後段)は社会通念上耐えがたい苦痛を伴う労役であること,(2)については,憲法31条を憲法32条とともに,民刑事手続の総則的規定であること,(3)については,共和主義に基づく同制度の正当化は現憲法上不可能であることをそれぞれ明らかにした。
著者
小林 幹夫
出版者
宇都宮大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

1 マダケ属モウハイチクPhyllostachys meyeriの花成促進遺伝子ホモログPmFTの全4コピーをクローニングし、塩基配列を決定し、95%以上の相同性を有する550塩基の断片をマーカーとしたイネ科27分類群の系統類縁関係を解析し、進化傾向を検討した結果、この遺伝子が小穂耕造に関わり、連の分類単位の識別に有効であること、これまで帰属をめぐり論争のあったStreptogyna連の亜科への昇格の可能性を示唆した。この結果は8月にコペンハーゲン大学で開催されたMonocots IV第4回単子葉植物の比較生物学/第5回イネ科植物の分類と進化国際シンポジウムにおいて口頭発表し、日本植物学会欧文誌に表紙写真付きで掲載された。2 モウハイチクおよびオカメザサ属トウオカメザサShibataea chinensisのそれぞれの一斉開花過程におけるPmFTおよび花成抑制遺伝子PmCENの発現パターンをリアルタイムRT-PCR法で解析し、両種ともにPmFTは一斉開花桿の葉で最も高く、再生竹の花序ではPmCENがより高く、実生や幼若個体ではPmCENのみが高く発現し、タケ類の一斉開花過程において、モデル植物で解明されたのと同様な花成遺伝子発現の制御機構の介在を示唆した。また、トウオカメザサの一斉開花過程と花序の形態を記載した。3 リョクチクBambusa oldhamiより単離したタケモザイクウイルスBaMVの全6,365塩基の配列を決定し、ベクター化に必要な完全長cDNAクローンを構築中である。4 花成遺伝子群の未開花個体への導入による発現系とサイレンシング系の基礎実験に必要なタケ類の葉からのプロトプラストの調整法ヲ確立した。
著者
河村 美穂
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

調理技能の習得を中核とした食生活カリキュラム開発のための要件を、カリキュラムの構成要素であるシークエンス(Sequence)とコンテンツ(Contents)に分けて示すことができた。必ずしも調理技能の難易度によるのではなく、子どもの生活実態を考慮して配列すること(Sequence)、概念的知識、手続き的知識の両方を、調理を見合い、学びあう内容とすること(Contents)が重要である。
著者
韓 太舜 岩本 貢
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、情報理論的諸問題へ適用されて成功をおさめている情報スペクトル的方法を大偏差問題に適用してその理論体系を再構築した。
著者
青野 京
出版者
近畿大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究で提案するライフパタン研究とは,大規模な量的調査データを用いて個人の各ライフステージでの生活,志向性,価値観などの変遷を時系列的に追って,いくつかのパタン化を試みようとするものである。モデルの構築には長期的なパネルを用いた縦断的研究が必要となるが3年間で変化を抽出することは難しいため,これを補完する方法として想起法による過去5時点の生活領域の変化を検討し,ライフパタンモデル構築のための基礎資料とした。統計的な手法の確立については今後の課題である。また,2007年~2009年に組織労働者を対象に質問紙調査を行い約19,000名分のデータを得た。ここから生活や生き方のパタンの違いによる幸福感や働きがい,生活満足度などを検討したところ,大きく6つのタイプが抽出された。生活満足度が高かったのは家庭中心型であり,幸福感が最も高いのもこの型であった。日本の組織労働者の全体傾向としては,まず家庭領域が幸福感に大きく寄与していることが明らかになった。一方で生きがい感に対しては家庭,そして仕事領域の双方が大きな影響を及ぼしていることがわかった。そして余暇などの自由時間領域は幸福感や生きがいに直接貢献してはいるものの,その働きは仕事や家庭のストレス要因を緩和するようなものであることが示唆された。一方で「趣味に生きるオタク」や「仕事人間」のように一つの領域のみにエネルギーを費やしている層は生活満足度や幸福感が低い傾向がみられた。これらのことからワーク・ライフ・バランスの観点からは,家庭と仕事,自由時間の間のバランスのとれた生活が人生全体において望ましいことが改めて示されたと言える。今後は,現在構築中のライフパタンモデルを確立し,価値観や志向性などの観点も加味して,現在のライフ・バランスや幸福感満足度などが時系列的にどのように変化していくかということを総合的に検討していくことが課題である。
著者
三宅 吉博 田中 景子 清原 千香子 佐々木 敏
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

九州沖縄母子保健研究のデータを活用し、アレルギー疾患のリスク要因及び予防要因を解明した。特に、遺伝的要因と環境要因との交互作用について検討した。9編の英文原著論文が国際学術誌により受理された。
著者
古山 和道 柴原 茂樹
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

赤芽球型アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)がタンパク質として合成された後、生体内でどのように調節を受けるのかを明らかにする事を目的に研究を行ない、ALAS2タンパク質は細胞内のヘムの量に応じてALAS2を2分子含むより大きな分子を形成することを見出した。さらに、ALAS2タンパク質はSUMO(Small Ubiquitin like MOdifier)化されうる事も明らかにした。これらは今まで報告されていないALAS2 の新規の翻訳後修飾であり、ALAS2の機能発現、さらには赤芽球の分化において果たす役割を今後明らかにしたい。
著者
鈴木 久実
出版者
東京都立桐ヶ丘高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

今回の研究は、高校生にリスニングのストラテジーを明示的に指示することで、リスニング力向上に寄与することを目標とした。指示したストラテジーは、次の3つである:(1)聞こえてきた音声を頭の中で繰り返しながら聞く、(2)聞こえてきた音で強く読まれている部分に注意しながら聞き取る、(3)聞こえてきた音声をよく聞く。(1)は、意味処理のために、英語を頭に長く残すストラテジーである。(2)は、英語の音声の強形は内容語であることが多いため、強く発話される語に注意を向け、意味理解を促すストラテジーである。(3)は(1)、(2)に対する統制群としての指示である。事前にこのような指示を与え、注意を向けて生徒に聞かせることは大切なことである。この実験は公立高校3校で行った。測定は、日本英語検定協会の英語能力判定テストのリスニングテストの得点で行った。異なる問題で事前テスト、事後テストを行い、その差を分析した。指導には、生徒の習熟度に応じて英検2級と英検3級のリスニングテストの問題を使用した。指導前の各グループ間の差がないことは、事前テストの結果を分散分析することにより証明した。各グループの結果は二元配置分散分析により分析した。全体的には、3つの指示の間に有意な差は見られなかった。次にトラテジーを指示した各グループの内で、事前テストにより上位者、中位者、下位者のグループに分け、対応のあるt検定により分析を行ったところ、特に下位群について、どの指示でもテストの得点に有意な伸長が見られた。上位者、中位者の得点の伸長については学校によって異なった。現時点での分析から言えることは、英語の聞き方のストラテジーをあまり使用していないと考えられる成績下位者は、明示的な指示を教師が与えることで得点が伸長したと考えられる。成績上位者については、すでにストラテジーを持っているので、教員の指示が邪魔になり、結果がまちまちになった可能性がある。
著者
三野 博司
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究はカミュ『幸福な死』と『最初の人間』を主たる研究対象とし,同時に作家の全作品の読み直しと分析を試みた。その成果は,3年にわたる連載論文「カミュ,異境の正午」,および2013 年11 月刊行予定の著書『カミュを読む』,さらに『幸福な死』『結婚』『異邦人』『夏』『ギロチンに関する考察』『最初の人間』に関するいくつかの日本語およびフランス語による論文として結実した。
著者
堀之内 末治
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

A-ファクターは放線菌Streptomyces griseusにおいて二次代謝・形態分化を制御するγ-ラクトン型の微生物ホルモンである。A-ファクターと共同して機能を発揮するレセプター蛋白(ArpA)はDNA結合蛋白であり、A-ファクター非存在下では二次代謝・形態分化の開始に重要な遺伝子のプロモーター領域に結合し、その転写を抑えているものと考えられる。ArpAはA-ファクターと結合することによりDNAから速やかに解離する。本研究はArpAの機能の解明を中心にA-ファクターカスケードの全貌解明を目指したものである。1. ArpAのターゲット遺伝子に関する解析ストレプトマイシン(Sm)生合成遺伝子群の特異的アクチベーターをコードするstrRの転写活性化因子としてAdpA蛋白を精製したが、adpA遺伝子がArpAのターゲット遺伝子であることを証明した。本研究成果によってSm生産に関わるA-ファクターカスケードの主要経路を明らかにすることができた。一方、ゲルシフトとPCRを組み合わせた方法により、S.griseus染色体よりArpAが結合する配列を2つ取得し、周辺のDNA断片を取得し塩基配列を決定した。ArpAターゲット候補遺伝子に関しては、その転写制御機構および遺伝子破壊による生体内での機能について解析中である。2. X線結晶構造解析による3次元構造の決定Streptomyces coelicolorA3(2)のArpA相同遺伝子産物であるCprBの結晶化とその結晶化条件の最適化に成功し、結晶学的パラメーターを決定した。さらに、重原子置換体結晶のx線回折実験を行い、初期位相を決定するに至った。きわめて近い将来、CprBの3次元構造を明らかにすることができると考えている。CprBの3次元構造を決定できれば、比較的容易にArpAの3次元構造が決定できる。
著者
佐伯 修 佐久間 一浩 大本 亨 岩瀬 則夫 小林 真人 山本 稔 安藤 良文 高山 晴子 高瀬 将道 山本 卓宏 高田 敏恵 奥間 智弘
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

多様体間の可微分写像に現れる特異点を大域的観点から研究し,その特異点と多様体の微分位相幾何学的性質について種々の新しい知見を得た.たとえば,多くの位相的4次元多様体の上には無数の可微分構造があることが知られているが,そのうちで特異点が簡単な写像を許容する可微分構造は一意的であることが示された.またそうした大域的研究が特異点の局所的研究に役立つ例も発見した.こうして,写像の特異点や特異ファイバーと,多様体や写像の同境類の間の深い関係を明らかにし,多くの具体的成果を得た.
著者
松本 恵
出版者
福岡市立梅林中学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

1. 研究目的中学生の生活習慣に関する指導の手がかりとして、生活マップを用いて中学生の多様で複雑な生活習慣の現状と課題を明らかにすることを目的とした。2. 研究方法平成20年7月、研究者が養護教諭として勤務する中学校の1~3年までの320名の生徒を対象に、総合的な学習の時間の「健康」分野の授業において、生活習慣の振り返りと自覚化を目的として、15項目の生活習慣のラベルを用いて個別に生活マップを作成させた。さらにそれらを「大切でいつもしている」「大切だけどあまりしない」「大切ではないがいつもしている」「大切でなくあまりしない」の4つに分類し、それぞれ任意に選択した1項目についてその理由を記述させた。得られたデータは、上述した4つの分類別に項目を整理し、理由については、類似した内容ごとに分類・整理した。3. 研究成果全体的な傾向として、生活習慣のばらつきの大きい項目は「早起き」「間食」「団らん」であり、それぞれ捉え方の差異や家族のライフスタイルの影響を受けている傾向が見られた。ばらつきの小さい項目は「テレビ視聴」(「いけない」と理解しているもつい見てしまう)、「早寝」(夜型傾向)、「朝食」(重要性を理解し摂る)、「入浴」(清潔志向)であった。男女差、学年差は見られなかった。さらに、生活マップの作成を通して、自らの生活習慣上の課題について自覚し、改善につながる種々の「気づき」を得ることができていた。全体的な傾向から外れ、個別の課題を有する少数の生徒については、学級担任と養護教諭を中心とした個別の関わりが必要である。まとめとして、生活習慣については集団に共通の課題と個別の課題を有することから、教育課程における集団指導(授業)および保健室等における個別指導を行う際には、指導法の工夫・改善および関連教科間の横断的な取組を生徒の実態に応じて家庭や地域と連携し、計画的・系統的に行う必要がある。