著者
中村 禎子 中山 敏幸 奥 恒行 田辺 賢一 下内 章人 金高 有里
出版者
十文字学園女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、妊娠期の母体の栄養環境に依存して胎児期の発生に異常を来すモデルマウスを用いて、妊娠期に難消化性糖質含有飼料を摂取させ、母体の腸内細菌が産生する水素ガスが胎児へ移行することによって、胎児のWntシグナル伝達を調節して正常な発生に誘導し、成長後の疾病の罹患や重症化へ及ぼす影響をモデルマウスを用いて明らかにする。申請する科研費では、まず、【実験Ⅰ】において、妊娠期に葉酸過剰飼料と、これに難消化性糖質を含有する飼料を与えて、胎児の発生期に惹起する異常に対する影響を観察する。【実験Ⅱ】では、実験Ⅰと同じ飼料を妊娠2週間前から与えて実験Ⅰとの同異を検討する。
著者
中村 篤智
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.742-748, 2022-09-15 (Released:2022-09-20)
参考文献数
19

It is well known that light environment affects the mechanical properties of inorganic semiconductor materials, but still little is understood about the detailed mechanism. We before reported that single-crystalline zinc sulfide, an inorganic semiconductor material, exhibits significant plasticity in the dark. This finding has prompted us to investigate the effect of light environment on the dislocation behavior of inorganic semiconductor materials once again. On the other hand, in understanding the effects of light environment on dislocation behavior, it is difficult to obtain large, millimeter-sized crystals of advanced inorganic semiconductor materials to which conventional mechanical tests can be applied. Therefore, one of the main goals of our research project is to establish a method to understand dislocation behavior at the nanoscale by constructing a new nanoscale mechanical testing system that can be applied to thin substrates under controlled light environment. We have successfully constructed a new nanoindentation system (we call Photoindentation) in which light can be quantitatively applied below the indenter from two directions at the same time, and conducted creep tests in which a constant load is applied at or above the load at which dislocations occur (pop-in stress). In addition, care was taken to obtain statistically correct experimental results by conducting a great number of experiments. As a result, it was demonstrated that light has little effect on the nucleation of dislocations, while light has a strong effect on the glide motion of dislocations. In addition to these nanoscale experiments, macroscale experiments have been conducted in an effort to further understanding of light environment effects on dislocation behavior.
著者
柴田 正貴 向居 彰夫 武田 功 荒 智 相井 孝充
出版者
日本家畜管理研究会(現 日本家畜管理学会)
雑誌
家畜の管理 (ISSN:03888207)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.48-57, 1982-08-28 (Released:2017-10-03)
被引用文献数
1

夏期の高温が乳量および乳成分率に及ぼす影響と牛舎冷房の効果を明らかにするために, 延べ20頭の泌乳牛を用いて1974年から3年間にわたり3回の試験を行った。その結果, 次のような知見を得た。1)日中の最高気温が30℃を越える7月後半から8月後半におけて, 放飼群(N群)の体温は39.5℃を, また呼吸数は85回/分を越えた。しかし, 冷房群(A群)では常に体温は38.6℃程度, 呼吸数は40回/分前後であり, 牛舎冷房による効果が認められた。2)体重にあたり乾物摂取量は, 試験IではN群の方が多く, 試験IIでは両群間に著差が認められなかった。N群の摂取量は運動場における測定であるためやや過大に評価される傾向にあったものの, 飼料摂取量に明らかな冷房効果が認められなかったことは, 舎飼いによる長時間の係留・拘束の影響も無視できないものと思われた。3)N群の乳量減少率は, 試験I, IIにおいて7月後半には20%を越え, 9月に至っても回復を示さなかった。6月後半から9月前半の間における減少率では年次間に差が認められたものの, 通常の夏であれば17〜20%を示すことが明らかにされ, また, この時期に泌乳最盛期をむかえるような高乳量のものでは更に大幅な減少を示すことが推察された。4)乳脂率などの乳成分率も6月後半から8月前半にかけて低い値を示す傾向にあり, 特にSNF率では「乳等省令」で定められた規格を下回る値を示しており, 乳成分生産の面でも夏期の高温が悪影響を及ぼしていることが示唆された。5)牛舎冷房によって日中の牛舎内温度を24℃以下に保った場合は, 夏期の高温に起因する乳量減少を防止しうることが明らかになった。
著者
川村 悟
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18824544)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.34-40, 2022 (Released:2023-01-27)
参考文献数
11

中小企業診断士における資格休止者を取り上げる。休止者は増加傾向にあり,さらに進行すれば中小企業支援の停滞につながりかねない。研究目的は資格者が活躍しやすい環境づくりに貢献することである。実態を洗い出すため,リサーチ・クエスチョンを「資格休止者の典型例とはどのようなものか」と設定する。文献・資料を用いて,年代は40~50代,職業は民間企業の属性が多数を占める,自己啓発志向が強い者が休止に陥る可能性があるとの特徴を指摘する。これらを踏まえ,「自己啓発志向の強い40~50代の民間企業勤務者」という典型例を示す。休止者の実態を明らかにし,志願者や資格者に対するキャリア選択の情報となる点が本研究の意義である。
著者
金子 一幸 川上 静夫 三好 正一 虻川 孝秀 山中 栄 望月 誠 吉原 進平
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.183-186, 1998-04-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
14

卵巣に嚢腫卵胞を有するホルスタイン種乳牛78頭を発情周期および直腸検査所見から3群に区分し, 各群別の処置により空胎期間の短縮を試みた. 初診日の発情徴候が良好で, 嚢腫卵胞と正常卵胞 (NF) が共存していた39頭 (NF共存群) には無処置で人工授精のみを行った. 初診日に発情徴候がみられず, 嚢腫卵胞と黄体 (CL) が共存していた16頭 (CL共存群) にはジノプロスト (25mg) を投与し, 投与後7日以内に発情が誘起された例には人工授精を行った. 嚢腫卵胞のみが認められた23頭 (卵胞嚢腫群) には, 酢酸フェルチレリン (200μg) 投与後14日にジノプロスト (25mg) を投与し, 発情誘起例に人工授精を行った. NF共存群, CL共存群および卵胞嚢腫群の初診から初回授精までの日数 (平均±SD) は, それぞれ0, 9.3±14.であった. また, 各群の初回授精受胎率は43.6, 43.8, 34.8%であり, 受胎に要した授精回数は1.9±1.1.
著者
西村 昭賢 森 直樹 岡田 真
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2M5GS1002, 2023 (Released:2023-07-10)

近年, ゲーム環境への深層強化学習の応用が注目されている.特に,プレイヤーが得られる情報が部分的である不完全情報ゲームへと積極的に応用されている. 本研究では不完全情報ゲームの 1 つであるトレーディングカードゲーム (TCG) に着目した. TCG は使用可能なカードの性能や種類を変更可能という点で, 他のゲームよりも人工知能による攻略が困難である. また, この性質のためゲームバランスの調整が難しく, 公開後に修正が入ることが一般的であり, カードの性能を上方修正するバフや下方修正するナーフなどの用語が用いられる. 上記の背景から, 筆者らは深層強化学習とそれに基づく進化型計算を用いた TCG 環境のゲームバランス最適化手法を提案し, 独自の TCG 環境を用いて数値実験により提案手法の有効性を検証した.
著者
三浦 研
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.79, no.698, pp.883-890, 2014-04-30 (Released:2014-07-15)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

Data about the incidence of broken bones due to falls from standing height or below (high fall) or from an elevated position (low-height fall) within the past three years was collected from about 66,000 individuals in long-term care and about 10,000 in short-term care at 359 facilities. Analysis of this data revealed the following observations. 1) Per 100 individuals per year, 51.5 individuals receiving long-term care had experienced a high fall, 27.9 had experienced a low-height fall, 2.22 had broken a bone during a high fall, and 0.39 had broken a bone during a low-height fall 2) About 80% of facilities were constructed of reinforced concrete, and about 90% had hard floors, which do not absorb shock well during a fall. 3) Flooring materials in residents' rooms were compared with respect to incidence of broken bones, but no significant difference was observed. However, hard floors had a statistically-determined incidence of broken bones that was about 50% higher compared to other types of floor.
著者
長沼 建一郎
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.3-8, 2018-07-31 (Released:2019-08-08)
参考文献数
18

介護サービスの提供プロセスにおける事故(いわゆる介護事故)については、その多くの発生場所が介護施設内であることから、介護事業者側はしばしば責任を問われてきた。しかし今後、地域で幅広くケアが提供されるようになれば、その状況も変わってくる可能性がある。これを受けて、事故に対する法と保険による対応の役割分担が大切になってくる。あわせて法と介護の領域における規範としての性格の違いについて考え直す必要がある。
著者
長沼 建一郎
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.630, pp.630_21-630_41, 2015-09-30 (Released:2016-07-27)
参考文献数
8

認知症は,保険の世界においては縁辺的な位置づけを与えられている。それは通常の保険関係や当事者のモデルに,認知症高齢者を当てはめづらいためである。しかし高齢社会においては,認知症はむしろ標準的なプロセスであり,これに正面から対峙していく必要があろう。その典型的な場面として,いわゆる不慮の事故,介護事故,自傷他害事故などがある。認知症高齢者においては,病気と事故,事故の偶然性と蓋然性,事故に対する過失と無過失,自傷と他害の区別等々がいわば融解していく傾向にある点を踏まえて,これらに即した保険対応を模索していく必要があろう。
著者
小西 史子 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.15-22, 2002-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
13
被引用文献数
3

スルメイカを用いて 1~6℃ の天日乾燥あるいは 32 ℃ の温風乾燥によりスルメを製造した.その後, エキスを抽出し, 遊離アミノ酸, 核酸関連物質, 有機酸, グリシンベタイン含量, 色を測定し, 官能検査により生イカとスルメ完成品の違いを比較した.また, 乾燥方法によりどのような違いがあるのかを検討した.1) 官能検査の結果, スルメ完成品のエキス成分は生に比べて, 天日乾燥, 温風乾燥ともに苦味, 酸味, うま味が有意に強かった.天日乾燥では甘味も有意に強かった.2) スルメ完成品の遊離アミノ酸総量は, 天日乾燥により有意に増加したが, 温風乾燥では変化がなかった.3) 温風乾燥によりスルメ完成品の ATP, AMP, IMP は著しく減少したが, 天日乾燥では温風乾燥より減少程度が小さかった.4) スルメ完成品の有機酸については, 天日乾燥によりリン酸と乳酸が, 温風乾燥により乳酸と酢酸が有意に増加した.グリシンベタイン量には天日乾燥, 温風乾燥により変化がみられなかった.5) 温風乾燥によるスルメ完成品の b 値は天日乾燥より有意に高く, メイラード反応が進行していることが示唆された.6) 官能検査の結果, 天日乾燥によるスルメ完成品が温風乾燥より, 甘味とうま味が強かった.
著者
井上 清治
出版者
日本熱帯医学会
雑誌
熱帯 (ISSN:2186179X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.9, pp.12-16, 1968-04-25 (Released:2011-05-20)