著者
福田 育夫
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.455-459, 2008-06-05

我々はTsallis dynamics (TD)を導出し,指数1以上でフルエネルギー型のTsallis分布に従う系の分子動力学計算を可能とすることに初めて成功した.さらに,この方程式の関与するエルゴード性及び分布のエネルギーに関する緩やかな減少性が,複雑なエネルギー面を持つ生体分子等の系の状態サンプリングに有効な事を利用し,効率的なボルツマン分布の再構成法を構築してきた.これらの話題について紹介する.
著者
辻 英明 水野 隆夫
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.101-111, 1972
被引用文献数
7

チャバネ, ワモン, クロ, ヤマトの4種のゴキブリが本邦中部の加温されない環境で生活した場合, どのステージで冬を迎えるかを推定するため, 夏および秋を想定した27±1℃1日16時間照明(27℃-L), 20±1℃1日8時間照明(20℃-S), 15±1℃1日8時間照明(15℃-S)の実験条件下で飼育を行なった。結果は次の通りである。1) 27℃-Lでの結果 : 幼虫の令数, 幼虫期間, 卵(鞘)期間はそれぞれチャバネで6令40∿46日, 20日, ワモンで9令105∿161日, 39日, クロで8令84∿112日, 41日であった。ヤマトでは9令あり, 91∿140日で羽化する個体以外に, 終令(9令)で150日以上発育を停止する幼虫が約半数あった。ヤマトの卵鞘は約27日でふ化した。いずれの種も卵鞘の産出は正常であった。2)20℃-Sでの幼虫発育 : チャバネは200∿250日で羽化し, 各令平均して延長した。ワモンでは161日で大部分が6令に達したが, 500∿600日でも羽化できない個体が多く, 終令の遅延が極端とみられた。クロでは2令の延長が特別に著しく80日に及んだ。その延長を含め400∿480日の間に大部分が羽化した。ヤマトでは2令の延長が一層極端で140日以上に及んだ。一方越冬中採集された若令幼虫(2令)は300∿500日で成虫となった。3)20℃-Sでの産卵 : 20℃-Sで羽化したチャバネとワモンは卵鞘を産出せず, クロはわずかの異常卵鞘を産下したにとどまった。一方ヤマトは正常に産卵した。27℃-Lで産卵中の成虫を20℃-Sに移すと, チャバネは正常卵を産まなかったが, ワモンとクロは若干の正常卵を産んだ。4)20℃-Sでの卵のふ化 : チャバネでは, 27℃-Lで卵鞘を形成して24時間以内の成虫を20℃-Sで飼育しても幼虫が生じなかった。27℃-Lまたは20℃-Sで産まれた他種の卵鞘では, ワモンで約100日, クロで約120日, ヤマトで約64日でふ化がみられた。5)15℃-Sでの結果 : どの種類の幼虫も15℃-Sで100日以内には次の令以上に発育することは困難とみられた。27℃-Lでの産卵中の成虫を15℃-Sに移すと, ヤマトはさらに若干の卵鞘を産下したが, 他の種ではいずれも産卵が阻止された。またどの種の卵鞘もこの条件下に保つとふ化せず死亡した。6)以上の結果からPeriplaneta 3種の当年のふ化幼虫は年内に成虫にならず, 特に秋にふ化したクロとヤマトの幼虫は2令で冬を迎えると思われる。またこのような若令で越冬した場合Periplaneta 3種は次の年にも成虫にならない可能性がある。特にヤマトは夏期でも終令で発育を停止し, もう一度越冬する可能性が大きい。この場合, 1世代2年を要する"two-year life cycle"がむしろ正常であることが暗示される。一方, 長い成虫期間, 産卵期間, 卵鞘期間, 幼虫期間から考えて, Periplaneta 3種がすべてのステージで冬を迎えることは十分あり得ることと思われる。チャバネでは卵鞘の形成とふ化が20℃-Sでも妨げられるので, 卵や幼令幼虫で冬を迎える可能性は少ない。各ステージが冬の平均気温下で生存できるかどうかについての実験結果は別途に報告したい。
著者
松木 洋人
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.106, pp.149-181, 2001-03

特集変容する社会と家族投稿論文0. はじめに1. 社会構築主義という視点2. 社会問題研究における社会構築主義3. 家族社会における社会構築主義4. 誤解と混同5. 家族言説と解釈実践の社会学へ6. おわりにRecently, a social constructionist approach is a growing concern in the field of family sociology. This trend reflects the recognition among family sociologists that they need an alternative perspective to approach "postmodern" contemporary family which differs from the traditional structural-functionalist framework. In order to examine the implications of social constructionism for family sociology, sociological studies of family based on a method of social constructionism will be illustrated here with examples mainly from works of Gubrium Holstein. Also, pointing out the popular but unsound evaluation of the constructionist family study as a "subjectivistic micro-theory", this paper emphasizes that the approach is very sociological in that it addresses the social character of interaction and discourse and the relation between family and social order.
著者
島中 一俊 古賀 順二 坂本 毅 杉若 直樹
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.289-292, 2003-03-11

現在NTTコムウェアでは, RUP(Rational Unified Process)[1]を全社的な作業標準として全社展開を進めている。RUPの目的は, 遍く広く様々なシステム開発を前提とし, 高品質なソフトウェアの開発方法を提供することにある。ところが, その幅広い記述のため, 本来はプロセス・フレームワークとしてプロジェクト毎に適合させるはずにも関わらず, 額面どおりヘビーウェイトプロセス[5]のカテゴリが与えられている。そこで, 我々は高品質を維持しつつ柔軟さと素早さを身に付けることを目的とし, RUPのカスタマイズ指針を得るための検討を行った。本論文においては, 我々が得た効果的にRUPを適用するための実践的なカスタマイズ指針を提案する。
著者
星 洋輔 小林 貴訓 久野 義徳 岡田 真依 山崎 敬一 山崎 晶子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.764-772, 2009-11-01
被引用文献数
1

我々は,美術館での学芸員と観客の相互行為を,言葉と身体の動きの連動に焦点を当て,エスノメソドロジーの観点から調査・分析してきた.その結果,ロボットが作品の説明を行う場合でも,文の切れ目などの適切なタイミング(TRP)で,観客の方向へ正しく振り向くことが,観客の反応を増加させることが分かった.このような観客の反応の増加は,観客をロボットの説明に引き付けることができたためと考えられるが,これまでの知見は実験室での実験によるものであるため,実際の美術館においても同様の結果が得られるかどうかは確認できていない.そこで,本論文では,実際の美術館において実施した実験とその結果について述べる.まず,実際の美術館では観客に対して立ち位置の指定などはできないため,説明対象者の頭部を検出・追跡して正しくその方向へ振り向くことができるロボットを新たに開発した.そして,実際の美術館において,実験目的やロボットの動作に関する知識を一切もたない一般の観客に対して,ロボットによる作品の説明実験を行った.その結果,これまでの実験室での実験結果と同様に,高い割合で観客の同期的な反応を促すことができた.
著者
田中 大介
出版者
The Kantoh Sociological Society
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.21, pp.13-24, 2008

This paper's purpose is to examine the potential of the network concept advanced by Manuel Castells. Various commentators have already criticized the network concept of Castells for its ambiguity. But the ambiguity of his concept, especially its abstract and formal character, has important implications. Network as a social form can be distinguished from other forms (hierarchy, market, and community), but, on the other this form's logic can also connote those forms as well. In other words network as logic can be located in a metaperspective as it operates on other social forms and as it generates alternative forms. A network can be expected to have a great potential to produce "timeless time" and "space of flow". And this high reflexivity of the network reveals the network society as an open system.
著者
長谷部 恒規 万代 慶昭 佐野 義信
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.120-121, 1991-02-25

SPARCLTはRISCプロセッサを使用したラップトップEWSである。小型で使い易いラップトップに、デスクトップに劣らない性能、機能及び拡張性を実現する事が、基本的な開発コンセプトであった。また、標準的なソフトウェアとハードウェアに準拠し、既存及び今後開発されるソフトウェア、ハードウェアがそのまま利用できるような互換性の装備も重要なポイントであった。さらにSPARCLTではラップトップに実装するために、アーキテクチャの検討のほかに実際の回路設計上でも、コンパクト設計、低消費電力、低EMIノイズなどの技術課題があった。本稿では、SPARCLTのハーウェア・アーキテクチャとハードウェア構成の概要を述べ、高速化、コンパクト化技術について報告する。
著者
大木 薫 新城 靖 佐藤 聡 板野 肯三 馬渕 充啓
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.10, pp.67-74, 2007-01-31

この論文では、XML Webサービスのための分散OS(Operating System)について述べる。本分散OSはWebサービスのためのファイル、パイプ、シェル、およびコンソールを提供する。本分散OSの特徴は、アプリケーションとして動作するWebサービスのサーバが本分散OSの機能を用いて直接連携できることにある。本分散OSでは、オブジェクトへのアクセス制御の仕組みとしてケーパビリティを用いている。また、利用者はコンソールを通じてWebサービスのサーバを対話的に利用することができる。This paper describes a distributed operating system for XML Web Services. This distributed operating system provides files, pipes, a shell and a console for web services. By using these functions, web services can interact. This operating system uses access control based on capabilities. By using the console, users can use server of web services interactively.
著者
鎌田 智也 李 仕剛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.375, pp.67-72, 2005-10-21

本論文では, 球面モデルに基づいた魚眼カメラによる頭部運動追跡について述べる.狭い視野のカメラを用いて部分的なシーンしか観測できず, カメラの運動により観測される特徴が消えたり, 新しい特徴が現れたりすることで, 観測誤差が累積し, 正確なカメラの運動追跡が困難である.そのため, 我々は, 広い視野の魚眼カメラを用いて, 部屋の天井に配置されているマーカを観測する手法を提案する.まず, 半球視野をもつ魚眼カメラに対して, 球面カメラモデルでカメラから見える周りの点を一様に表現する.次に, その球面射影モデルを利用して, 拡張カルマンフィルターで空間の特徴点からカメラの運動を推定するアルゴリズムを提案する.最後に, 部屋の天井に同一平面に配置している特徴点から, 魚眼カメラによる頭部運動追跡を行う実験を行い, その有効性を示す.
著者
吉田 豊
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.463-468, 1985-05-31

原発肺癌による死亡50例につき死亡前の疾病,苦痛対策を麻酔科医の立場から検討した。死亡前,何らかの処置を必要とした疼痛,苦痛は,背胸部痛,腰部痛,呼吸苦などが多く,投与された薬剤は,メフェナム酸内服,インドメサシン坐薬が多く,死亡1ヶ月以内では,麻薬やペンダゾシンの使用頻度が高い。神経ブロックの適応は,消炎鎮痛薬が無効となり,麻薬やペンダゾシンなどが余り用いられていない時期で,疼痛部位が限局している場合である。神経ブロックでは硬膜外ブロックが最も多く,次いてくも膜下ブロック,肋間神経ブロックが用いられる。特に凍結手術用プローブを用いた肋間神経ブロックは有効で多用している。病態の進展による広範囲な疾病,全身苦に対しては,麻薬やペンタゾシンの外に,ケタミンの静脈内持続点滴投与が時に有効であり,夕ーミナルケアとして試みて良い方法であろう。