著者
柴田 愛 石井 香織 安永 明智 宮脇 梨奈 小﨑 恵生 クサリ・ ジャヴァッド 岡 浩一朗
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
pp.2202, (Released:2023-03-31)

目的:本研究は,世界各国で策定された座位行動指針について概観し,その内容や特徴,策定背景を整理し,日本の成人(高齢者を含む)および子ども・青少年を対象にした座位行動指針策定に向けた基礎資料を得ることを目的とした。 方法:概観した座位行動指針は,身体活動・座位行動研究が格段に進展しており,十分な研究成果に基づいて指針が策定されているオーストラリア,アメリカ,イギリス,カナダ,WHOの5つの国・機関とした。 結果:成人に対する座位行動指針として,「長時間にわたる座位行動をできるだけ少なくすること」や「できるだけ頻繁に座位行動を中断すること」といった内容が,文章表現はわずかに異なるものの,すべての国・機関において共通して言及されていた。一方,子ども・青少年のための座位行動指針では,「余暇におけるスクリーンタイムを2時間までにすること」や「長時間の座りっぱなしを中断すること」に注目した内容が示されていた。 結論:日本の成人および子ども・青少年に対する座位行動指針を策定する際には,座位行動が種々の健康アウトカムに及ぼす影響について,諸外国および日本における研究の動向を整理し,それらの成果を踏まえた上で,日本の成人に対する座位行動指針策定の際に閾値の設定を行うかどうか十分に議論することが重要である。
著者
山北 満哉 安藤 大輔 佐藤 美理 秋山 有佳 鈴木 孝太 山縣 然太朗
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
pp.2204, (Released:2023-03-31)

目的:山梨県甲州市において実施した骨強度調査の取組について,PAIREM(Plan: 計画, Adaptation: 採用, Implementation: 実施, Reach: 到達, Effectiveness: 効果, Maintenance: 維持)の枠組み(6局面)に基づいて報告することを目的とした。 方法:市内の小中学校において実施した2011~2020年の取組を対象とし,PAIREMモデルの6局面について評価した。 結果:計画:骨強度調査は別調査の追加調査として計画され,市内の希望校を対象として実施されたが,骨強度調査の具体的な到達目標は設定していなかった。採用:10年間で中学校による協力の申し出(採用)がなくなったものの,小学校では61.5%から84.6%に増加した。実施:骨強度調査の結果を活用した健康教育が展開されるとともに,学校保健委員会(5校,計7回/10年)及び骨の研究部会(5回/10年)において骨強度に関する情報提供が行われた。到達:対象とした7,362人のうち,7,200人(97.8%)の高い到達度で骨強度を測定できた。全対象児童(100%)に対して、骨強度に関する情報提供が行われた。効果:具体的な到達目標が設定されていなかったため,骨強度に対する骨強度調査の効果(目標達成度)を評価することができなかった。継続:参加校における10年間の平均継続年数は8.36(標準偏差2.2)年であったが,個人に対する取組の長期的な継続効果については検討できなかった。 結論:学校における骨強度調査の取組により高い到達度で健康教育を実施できる可能性が示された。今後は健康教育の詳細を把握するとともに,骨強度に関する具体的な数値目標を設定し,その達成を目指した取組を実施することが課題である。
著者
平田 昂大 小熊 祐子 真鍋 知宏 橋本 健史
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
pp.2208, (Released:2023-03-31)

目的:栄区セーフコミュニティの活動の一環として実施されたアンケート調査から,栄区民が自主的に実施している運動・スポーツ中における有害事象(事故・けが)の現状と傾向を捉えることを目的とした。 方法:2017年に栄区が自主的に運動・スポーツを実施している者を対象に実施した「スポーツ活動時に発生した事故・けがに関するアンケート(選択式・自由記述)」から得られたデータを量的・質的に解析を行った混合研究である。回答が得られた518件のうち,解析が可能であった473件を解析対象として実施した。 結果:過去5年間の活動で有害事象があったのは94件(20%)であった。サッカー,バドミントン,バレーボールの順に報告数が多く,下肢の捻挫・靭帯損傷(26件),下肢の筋・腱損傷(20件),頭部・顔面の打撲(7件)が多く発生していた。自由記述の結果からアキレス腱断裂,膝関節前十字靭帯損傷,頭蓋骨骨折,大腿骨骨折,脳出血が発生していた。年代別では,40~50代の筋・腱損傷(16件),60~70代の転倒(11件)が特徴的であった。 結論:地域住民が自主的に実施している運動・スポーツ中において,足関節捻挫などの下肢の傷害や高齢者の転倒といった有害事象が発生していることが明らかとなった。これらに対する予防策,対策を講じる必要性が示唆された。
著者
鎌田 泰彰 原 直人 佐藤 司 新井田 孝裕
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.139-143, 2020 (Released:2020-07-15)
参考文献数
19

遮光眼鏡の色が自律神経に及ぼす影響について瞳孔径と心拍変動から検討した.対象は青年健常者14名とした.遮光眼鏡にはグリーン,グレー,オレンジの3色を用いた.検査は暗室で行い,被験者には仰臥位で眼前30 cmに固定した高輝度ディスプレイ(iPad,9.7インチ)の白色背景中心の十字を注視させた.遮光眼鏡装用前,装用中,装用後の瞳孔径(赤外線瞳孔計,Newopto)と,心拍変動解析(Reflex名人,クロスウエル)による自律神経活動指標の測定を行った.瞳孔はグリーンの遮光眼鏡で装用前に比べ装用後に縮瞳した.また,3色すべての遮光眼鏡で装用中に比べ装用後に縮瞳した.オレンジの遮光眼鏡で装用前に比べ装用中に散瞳した.心拍変動解析では装用前,装用中,装用後のいずれも有意差がなかった.遮光眼鏡の色は瞳孔径に変化をもたらすが,心拍変動には影響がなかった.
著者
鈴木 翔大 齋藤 圭汰 志築 文太郎
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2019-UBI-64, no.28, pp.1-8, 2019-12-03

我々は,VR 空間において 3 次元同期動作を用いた物体選択手法を提案する.同期動作とは,周期的に移動するターゲットに合わせて,ユーザが視線,手または物を動かすことを指す.提案手法では,VR 空間に選択対象となる物体,およびその周りに同期動作の対象となるターゲットを配置する.ユーザは,各ターゲットに対して,手を用いて同期動作を行い,同期動作が識別されるとターゲットに対応した物体が選択できる.ターゲットは,8 分割された初期位相(最小位相差:π/4),2 方向の回転方向(順方向および逆方向)および 3 軸の回転軸(x,y および z 軸)のうち,それぞれ 1 つずつを,パラメータとして持つ.したがって,ユーザは 8 位相× 2 方向× 3 軸= 48 個まで物体の選択が可能である.提案手法において,ユーザは,物体の大きさまたは配置密度の影響を受けない物体選択ができる.我々は,提案手法および既存手法を用いた物体選択の実験を行い,選択性能を評価した.
著者
田中 尚道 本村 孝幸 本村 信人 高田 孝充 柏 秀和 駒井 功一郎 TANAKA Naomichi MOTOMURA Takayuki MOTOMURA Nobuhito TAKADA Takamitsu KASHIWA Hidekazu KOMAI Koichiro
出版者
近畿大学資源再生研究所
雑誌
近畿大学資源再生研究所報告 = Annual report of the institute of resource recycling of Kinki University
巻号頁・発行日
no.7, pp.17-21, 2009-03-01

[Synopsis] From respect of initial cost and running cost to method making of organic waste by brandling compost a generation of greenhouse gas little, and method of making advantageous organic waste compost. Moreover, exhausted earthworm manure provided with the condition as compost, and was suggested the possibility to be able to use for the number of microorganism groups to grow a lot of crops. Therefore, the clarified necessity was admitted in physiology morphology the influence on the growth of crops of earthworm manure in the future and amount.
著者
金丸 英樹 佐藤 徹 菅田 真生 石井 大造 丸山 大輔 林 正孝 濱野 栄佳 井手口 稔 片岡 大治 高橋 淳
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
Journal of Neuroendovascular Therapy (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
pp.jnet.oa.2015-0039, (Released:2015-10-02)
参考文献数
11
被引用文献数
4 1

要旨: 【目的】近年脳血管内治療は普及の一途をとげているが,病変へのアクセス時に,ガイディングカテーテル(GC)を母血管に干渉せず留置できるかどうかは治療の成否に関与する重要な因子の一つである.そこで,GC を留置する際に機械的血管攣縮(mechanical vasospasm; mVS)を惹起する因子について検討した.【方法】対象は2012 年8 月1 日より2014 年7 月31 日までの2 年間に未破裂脳動脈瘤に対しコイル塞栓術を施行した連続64 例とし後方視的に検討した.mVS の定義として,GC を留置した母血管径が25%以上狭小化するものとした.【結果】mVS は24 例(38%)に認め,そのうちGC のサイズ変更を要したものは5 例,その他の症例では先端位置を変えることで攣縮所見は全例軽快した.mVS と関連する因子として,より年齢が若いこと(p<0.001),女性(p=0.03),高血圧でないもの(p=0.03)を認めた.Body Mass Index,Adjunctive technique の有無,治療後のDWI 高信号域の有無,治療時間,部位(ICA/VA),抗血小板療法(Single/Dual)は関連を認めなかった.【結論】より年齢の若い症例,女性,高血圧のない症例では機械的血管攣縮を引き起こしやすいと考えられる.
出版者
かおる会
巻号頁・発行日
1967
著者
池田 知子 池田 孝博 青柳 領
出版者
一般社団法人 日本学校保健学会
雑誌
学校保健研究 (ISSN:03869598)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.155-163, 2017-08-20 (Released:2023-02-16)
参考文献数
35

【Objectives】Most Japanese and Korean young women desire to be slender. They start to dislike their body type during adolescence and begin to desire a slender body type similar to that of a professional fashion model. The aim of this study was to clarify similarities and differences between Japanese and Korean female university students in relation to height, weight, body mass index (BMI) and ideal BMI (IBMI), and age at menarche.【Methods】A questionnaire survey was conducted on 909 female university students (Japanese:448, Korean:461). The questionnaires were composed of the following items: age in years; height (H); weight (W); ideal weight (IW); and age at menarche (AM). BMI and IBMI were also calculated. The t-test and analysis of covariance (ANCOVA) were used to compare means between Japanese and Korean students.【Results】Results of the t-test showed significant differences between Japanese and Korean female university students in H, W, IW, BMI and IBMI. However, results of ANCOVA using AM as a covariable revealed differences only in W, IW and BMI. In formulas based on ANCOVA, IW was associated with BMI among Japanese students; however, the weak association was found among Korean students. Among both Japanese and Korean students, earlier AM was associated with higher W and BMI. No relationship was found between IBMI and AM among Korean students; however, relationships between earlier AM and higher IBMI and between later AM and lower IBMI were found among Japanese students.【Conclusion】Although Korean female students had lower BMI than Japanese students, Koreans had higher height and weight than Japanese. Furthermore, although BMI among both Japanese and Korean students were within a normal range, a desire for slenderness was still apparent, particularly among Koreans. The later AM was relating to low BMI in both countries. The desire for slenderness seen among younger generations will lead to delays in sexual maturity. Therefore, the importance of proper body image among females must be recognized from young age.
著者
近畿大学 中央図書館
雑誌
図書館だより = Toshokan Dayori
巻号頁・発行日
no.203, pp.1-4, 2023-06-01
著者
内山 真一郎 赫 洋美
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.8, pp.1759-1763, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

抗リン脂質抗体症候群は,若年性脳血管障害の原因になることはよく知られているが,脳卒中以外にも多彩な神経症状を呈することが最近注目されている.また,抗リン脂質抗体症候群は微小血管障害により脳症を合併することがあり,微小血管症性抗リン脂質抗体症候群(MAPS)という新しい概念が提唱されている.