著者
北川 勝彦
出版者
関西大学東西学術研究所
雑誌
関西大学東西学術研究所紀要 (ISSN:02878151)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.51-64, 2008-04-01

This study is a part of wider research in which this author has been so far investigating into various aspects of liberation struggles in Southern Africa. In particular, discussions have been focused on the relations between guerrillas war and peasant society and legacies of liberation struggles in the post-independent Zimbabwe. It is also intended to research on decolonization of imaginations which had been constructed under the European colonial rule in Africa. Visual images invented under colonialism have played significant roles in disseminating political landscape of Southern Africa. This means that the study is not only about visuality but also cultural contacts and political encompassment engendered by European expansion in Africa. Specific attention is paid upon the Matopos Hills south of Bulawayo in colonial Zimbabwe. In the process of colonization, European settlers explored, exploited and conquered the new lands and converted landscapes of the Matopos to their own one. In other words, Europeans tried to make colonial landscapes fit with their concept of what they had learned in Europe. To begin with, the word pictures by Thomas Baines, the main producer of visual images of the nineteenth century Rhodesian landscape is analyzed. To the next, the meaning of Rhodes' interment in the Matopos is considered as one of the most significant rituals of colonization of landscape. After his funeral on April 10th 1902 nothing was spared in installing Rhodes as the "spirit" of the land. Finally African view of the Matopos is taken not merely as the site of struggle but the deeply rooted imaginations of their landscape in the late 1970s liberation struggles. For African people the cave is the nucleus of a living and active landscape and Mwali cult and shrines of the Matopos does all things to the landscape of the hills. There is no doubt that combination of stone and water is central to their imagination of the landscape of the Matopos. This had been shaped by an interaction with hunter gatherers, cultivators and cattle-keepers for thousands of years although it seemed to nineteenth century European travelers so wild.
著者
丹菊 逸治
出版者
北海道大学大学院文学研究科北方研究教育センター = Center for Northern Humanities, Graduate School of Letters, Hokkaido University
雑誌
北方人文研究 (ISSN:1882773X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.113-122, 2012-03-31

Nivkh language has suffix -gun which shows accordance between verb and subject. TAKAHASHI Moritaka pointed out some examples of accordance between verb and object in Poronaysk dialect of the Nivkh language in his work of 1932. This head-marking tendency may be an influence from Sakhalin dialect of the Ainu language.
著者
岡田 敬司
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.69, pp.81-96, 1993-03-30

私達が日頃何気なく目にする風景も,注意して見れば,そこには<もう一つの世界>が隠されていることが感得できる苦である。それは無限の広がりを持った想像の世界であり,目に見える世界の裏側に潜む精神的風景である。私達の目に映ずる世界は,世界の現象的一側面であろに過ぎず,もしかすると,その背後に潜む世界こそ真の世界であるのかも知れない.可視的現象世界は,様々な寓意を信号として私達に送り続けている。これら無数のと言うべき信号を感受できるか否かは,私達の感受性の問題である。意識的に注意を向けてみれば,隠蔽された意味が有意義なものとして浮上して来るかも知れない。それこそ私達が求めて止まない<真実(の風景)>であるのかも知れない。この<もう一つの世界>の実在を検証する為に,ここに「詩的」という意味を篭めて,風景に内在された<もう一つの世界>の探索を試み,世界認識の拡大を試みてみようとするものである。
著者
リツ テイ
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-14, 2016-12-15

哲学史には多くの善と美の緊密な観点がある。それらは異なる前提をおい ているにもかかわらず,どの観点においても善と美は緊密な関係があるとい う結論が得られる。 当時の理論の核を構成した概念の対象は,現代ではいささか単純に見える けれども説得力がある理由の影響を受ける。われわれは理念と神の存在を信 じず,また理性自身の強さがすべての道徳と審美に干渉できるということを 信じない。現代では,形而上学的な概念が含まれた理論は「独断論」として 否定される。以前の重要な概念の連結作用の欠如がある場合に,善と美の関 係をどう処理すればよいかは熟考に値する問題である。善と美が密接に繫 がっているという観点は認識方面の錯覚や他の形で説明できるのか。あるい は,善と美は別の二つの概念であるのか,それともその中身に密接な関係が 含まれているのか。「独断」的に作られた統括的な概念が失敗に終わっている のなら,われわれはこの問題に新たな視野と研究方法を求めなければならな い。そこで,以下では主に認識論(主にピアジェの認識論の主張について) と言語哲学の視点から,善と美との間に不可分の関係があるという立場を論 証する。
著者
中根 悠 佐野 真紀
出版者
愛知教育大学特別支援教育講座・福祉講座
雑誌
障害者教育・福祉学研究 (ISSN:18833101)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.59-65, 2018-03

本研究は,ソーシャルワーク・アセスメントを実践するうえで核となる概念や方法が確立されていないまま,実践方法が展開されているという指摘に基づいて,先行研究の分析を通して現状におけるソーシャルワーク・アセスメントの意義と課題を考察することを目的とした。その結果,ソーシャルワーク・アセスメントの実施者はクライエントの主観的情報を含むあらゆる情報を収集・分析しているが,ケアマネジメントにならって使用されるようになったアセスメントツールでは,主観的な情報を書き起こすことができない,アセスメントを実施する際の援助者の主観をアセスメントツールでは考慮することができないという課題が明らかになった。そのため今後の研究では,アセスメント実施者の「技」の分析が必要になるということが示唆された。
著者
伊藤 佐奈美
出版者
愛知教育大学大学院・静岡大学大学院教育学研究科共同教科開発学専攻(後期3年博士課程)
雑誌
教科開発学論集 (ISSN:21877327)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.13-22, 2017-03-31

本研究では, 特別支援学校における軽度知的障害生徒の学校適応及び職業教育の充実に資するため, 特別支援学校に在籍する軽度知的障害生徒を対象に, 進路先決定の状況や, 特別支援学校入学後の目標設定及び学校生活の満足度等について質問紙調査を実施した。調査から, 軽度知的障害生徒の多くが, 特別支援学校で学ぶことは将来の生活や進路に役立つであろうという理由から, 特別支援学校高等部への就学を選択し入学してきており, 学校生活上の目標設定においても就職することなど社会自立することを挙げることが多いことが分かった。また, 特別支援学級に在籍していた生徒が多い学年の満足度が高いことが分かった。さらに, 1年生では漠然と就職することや, 社会自立するという目標をもつことが多いが, 学年が進むにつれて, 生徒は自分自身の課題について認識するようになり, より具体的な目標設定を行うようになることが認められた。今回の調査で得られた知見をもとに, 今後さらに, 生徒の自己理解を深め, 学校生活さらには将来の社会生活への適応を高められるような指導を追求していくことが重要だと考えている。
著者
栗林 睦美 野﨑 美保 和田 充紀
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.135-149, 2018-03-16

本研究では,知的障害者の学校卒業後が豊かで充実したものとなるためには,卒業前にどのような取組が求められているのかについて検討することを目的として,就労・生活・余暇の視点で卒業生の保護者を対象とした実態調査を行った。就労では人間関係・コミュニケーションなどで困難はあるが,職場の人が相談相手となることで,就労の安心充実につながっている現状がうかがえた。生活や余暇については家族と一緒にすごし,困難には家族が対応している割合が高かった。「親亡き後の将来の生活への不安」や「家族とだけではなく友達や支援者と余暇を過ごすこと」「余暇のレパートリーを増やすこと」等の生活や余暇に対する課題も見出された。卒業後の長い生活を見据え「相談できる機関等の情報」「余暇に関する学習の機会」など,学校教育に求められることや取り入れていくべき内容についての示唆が得られた。
著者
和田 充紀 水内 豊和
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.45-53, 2018-03-16

本研究では,特別支援学校における主権者教育の現状を明らかにし,知的障害のある生徒に必要な教育内容,卒業後も社会を構成する一員である自覚をもち安心して意欲的に選挙権を行使できるようにするために必要な内容や方法を検討するための基礎資料を得ることを目的として,全国の知的障害特別支援学校を対象として主権者教育の現状と課題について調査を実施した。その結果,知的障害特別支援学校において,9割以上の学校において主権者教育に取り組んでいる現状が示された。自治体による出前授業を利用し,選挙管理委員会から選挙用具を借用する取り組みは生徒の理解と関心を高めていることがうかがえた。課題としては,知的障害者用の授業用資料の充実や,学校全体での教育の充実,そして卒業後も社会につなげていくためには,家庭や選挙管理委員会との連携と実際の投票時の配慮などが示された。
著者
田邉 正明 TANABE Masaaki
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.495-503, 2018-01-04

学校では「おや?」とか「何か、気になるなあ。」という子どもの姿に出会う。多くは、話を聞く等の対応だけで解決できる程度の一過性のものが多いが、中には、その頻度が高く、心配になる児童がいる。これらの言動等は、本人も嫌で何とかしたいと考えていることが多い上、周囲の仲間とのトラブルになることもある。早い対応が必要である。教育関係者は、この言動や様子を「困り感」と表現し、特別支援教育の枠を拡大して、通常教育の場での適切な支援を模索している。本実践事例がその一助になれば幸いである。
著者
天野 智裕 AMANO Toshihiro
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.445-451, 2018-01-04

本研究では、若手教員の指導力等の育成における、ユニバーサルデザインの視点からのアプローチの有効性について、小学校の若手教員への指導力向上に関するアクションリサーチや若手教員及び管理職からの聴き取り調査をもとに検討を行った。その結果、若手教員育成におけるユニバーサルデザインの視点からのアプローチは、(1)具体性、(2)効率性、(3)共有性の3点において有効性が認められた。
著者
濱田 匠 菊池 紀彦 HAMADA Takumi KIKUCHI Toshihiko
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.429-434, 2018-01-04

本報告では、事物を見て楽しむ活動に興味関心が高いものの、事物を操作する活動が限局している重症児(以下、「A 児」とする)を対象に、さまざまな事物操作の獲得を目的に作業療法(以下、「OT」とする)を実施した。OT では、A 児の事物を操作する活動に関する作業遂行能力の評価を行った上で、探索活動が可能となる課題を設定し指導を行った。その結果、A 児の事物を操作する活動が拡大した。重症児が事物を操作する活動を獲得するためには、手の機能の評価を基にしてできる動作と困難な動作を把握した上で、彼らが能動的な探索活動が経験できる環境を設定し指導を行うことが重要であると考えられた。
著者
丹羽 克文 郷右近 歩 NIWA Katsufumi GOUKON Ayumu
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.129-132, 2018-01-04

近年、特別支援学校においては、スケジュール表を用いた指導が多く行われている。本稿では、国内の教育現場において導入が進められた背景について検討を行った。先行研究を分類した結果、スケジュール表を用いる目的には「子どもの安心・安定を目的として用いる場合」と「自発的な行動を促すために用いる場合」があること、そして、スケジュール表の形式には「活動の手順を示すもの」と「生活の時間の流れを示すもの」があることが明らかとなった。従来、スケジュール表を用いた指導の有用性や効果は多く報告されてきたものの、いくつかの課題も浮かび上がってきた。すなわち、事前にスケジュールを伝えることでかえって不安になる場合や、順序や時間という概念を一様ではない形式で表現している場合である。今後は、上記の課題を解消するために、教育実践を通したさらなる検討が必要であることが示唆された。
著者
山下 玲香 都築 繁幸
出版者
愛知教育大学特別支援教育講座・福祉講座
雑誌
障害者教育・福祉学研究 (ISSN:18833101)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.29-36, 2018-03

本研究は,小学校4年生から6年生の児童を対象に休み時間の利用・過ごし方が行動様式にどのように影響しているのかを明らかにするために男女差や学年差の観点から検討した。A県内B市の小学校3校の4年生から6年生の児童,471名を分析した。その結果,行動様式尺度として「学級協力」,「友人関係の維持」,「遊びの創造」,「遊びの探求」の4因子が抽出された。そして屋外でのボール遊びや遊具,休み時間の関わりの対象,男女の混合,学年,遊び仲間の勧誘の要因が行動様式に何らかの影響を与えていることが示唆された。これらの要因に加え,男女差の要因が「友人関係の維持」において,学年差の要因が「学級協力」と「遊びの探求」において影響していることが示唆された。休み時間にこれらの要因が含まれる活動を取り入れて児童の運動意識が変容していくかどうかを検討することが今後の課題とされた。
著者
長田 洋一 都築 繁幸
出版者
愛知教育大学特別支援教育講座・福祉講座
雑誌
障害者教育・福祉学研究 (ISSN:18833101)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.9-17, 2018-03

本研究の目的は,自立活動の心理定な安定に焦点を当てた指導を通級指導教室で行っていくための心理劇の実施要件を明らかにすることである。対象児は,知的な遅れが認められる,通常の学級に在籍する小学5年女子と4年男子の自閉症スペクトラム(ASD)児2名である。心理劇は童話を用い,対象児の積極性を促進するために戦いの場面のある童話を授業者が予め選定し,筋書きに従って演じさせた。演じる姿をビデオ録画に収め,対象児に視覚的なフィードバックを与え,自分のポジティブな面を認識させた。その結果,1)ビデオ視聴時の反応は,両児童とも初期の段階は無反応な状態であったが,次第に表情や言語による反応を示すようになり,終盤には動作による反応も示すようになった。2)授業の行動では両児童とも自発性が高まった,3)学級担任の通常の学級での対人関係の評価が向上した。これらのことから自立活動に焦点を当てた指導として心理劇を通級指導教室で適用していくことの要件等が議論された。