著者
若林 時郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-6, 1986-10-25 (Released:2020-09-01)
参考文献数
10

Four master plans made by the Japan Housing Corporation are much changed. Some of major factors which made them changed were actual conditions of the site; the boundary of developing area, the attainment of land acquisition and the method of development. In Tsukuba, 80% of 1800ha, of the land acquired was used for the research and educational institutions, the land acquisition was so important that the boundary and the method were arranged for the purpose of its attainment. Master plan must be transformed according to these evolving factors, but act on them guiding to log-ranged goal of the development.
著者
天間 雄祐 小尾(永田) 紀翔 林(高木) 朗子
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.94-99, 2019 (Released:2019-12-28)
参考文献数
23

昨今の脳神経科学の発展は著しく,脳の作動原理を次々に明らかにしてきたものの,統合失調症の病態生理は未解明な部分が多く,したがって病態生理に立脚した根治薬は存在しない。しかしながら,人類遺伝学をはじめとするさまざまなヒト由来サンプルや所見より,グルタミン酸作動性シナプスの異常が統合失調症の病態生理として示唆されている。そこで本稿では,精神疾患関連遺伝子のモデル動物を切り口に,モデル動物だからこそ可能となる操作的・侵襲的実験手法を用いた実験で,どのようなシナプスパソロジーが明らかにされているかについて述べる。最後に,われわれが開発したシナプスを時空間的に直接光操作することができるシナプスプローブを紹介する。このように最先端の技術を駆使した仮説検証を繰り返すことにより,精神疾患の解明を目指すわれわれの戦略について述べる。
著者
檀上 寛
出版者
史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.635-669, 2009-07-31

東アジアの国際秩序に関する従来の研究は、中国王朝が与えた官爵・王号から朝貢国の序列を検討することはあっても、国際秩序を原理面から考察したものは皆無であった。本稿は東アジア世界に働く国際秩序の原理性に着目し、爵制的秩序、官僚制的秩序、宗法秩序の三秩序の存在をまず明らかにする。このうち朝貢体制を支えるのは前二者の尊尊の君臣秩序であり、親親の宗法秩序は朝貢体制の埒外にある諸国家を、擬制的血縁関係により中国中心の国際秩序の中に取り込むものであった。この宗法秩序の役割が大きく変化するのが明代である。明は対外関係を朝貢制度に一元化し、極めて厳格な政治体制を採用する。さらに全ての朝貢国に冠服を下賜して宗法秩序を適用し、華夷一家の理念世界を可視化することで朝貢体制を正当化した。今まで朝貢体制と無縁であった宗法秩序が朝貢体制に内在化し、朝貢一元体制をイデオロギー的に補強したところに明の特徴があったといえよう。
著者
中村 雅俊 池添 冬芽 梅垣 雄心 小林 拓也 武野 陽平 市橋 則明
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101053, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】ハムストリングスのストレッチング方法は主観的な伸張感により,近位部を伸張するには股関節屈曲位での膝関節伸展,遠位部を伸張するには膝関節伸展位での股関節屈曲が推奨されている.しかし,これら2種類のストレッチング方法の違いが近位部と遠位部の伸張性に及ぼす影響について客観的な指標を用いて比較した報告はなく,科学的根拠は乏しいのが現状である.そこで本研究は剪断波超音波診断装置を用いて,これら2種類の異なるストレッチング方法がハムストリングスの各部位における伸張の程度に及ぼす影響を検討し,ストレッチング方法の違いによって近位部と遠位部を選択的に伸張できるかを明らかにすることを目的とした.【方法】対象は整形外科的疾患を有さない健常男性15名(年齢23.8±3.2歳)とし,利き脚 (ボールを蹴る) 側の半腱様筋(ST)と大腿二頭筋長頭(BF)を対象筋とした.対象者をベッド上背臥位にし,骨盤後傾を防ぐために反対側下肢をベッドから下ろして骨盤を固定した状態で他動的に股関節90°屈曲位から痛みを訴えることなく最大限,伸張感を感じる角度まで膝関節伸展を行うストレッチング(KE),膝関節完全伸展位から痛みを訴えることなく最大限,伸張感を感じる角度まで股関節屈曲を行うストレッチング(SLR),股関節90°屈曲・膝関節90°屈曲位の安静時の3条件での筋の伸張の程度を評価した.筋硬度の測定には超音波診断装置(SuperSonic Imagine社製 Aixplorer)の剪断波エラストグラフィ機能を用いて,STとBFそれぞれ大腿長の近位1/3(近位),1/2(中間),遠位1/3(遠位) の筋硬度を無作為な順番で測定した.筋は伸張されると筋硬度が増すことが報告されているため,伸張量の指標として筋硬度を用いた. 統計学的処理は,STとBFにおける各部位の安静時とKE,SLRの条件間の違いをScheffe法における多重比較を用い検討した.また安静時に対するKEとSLRの変化率を求め,各部位におけるKEとSLRの変化率の違いと近位,中間,遠位の部位による違いについてScheffe法における多重比較を用い比較した.なお,有意水準は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】対象者には研究の内容を十分に説明し,研究に参加することの同意を得た.【結果】STの筋硬度について近位部は安静で39.6±31.8kPa,KEで398.4±125.8kPa,SLRで354.3±109.4kPa,中間部は安静で61.0±23.2kPa,KEで507.9±71.5kPa,SLRで472.6±81.5kPa,遠位部は安静で66.5±29.3kPa,KEで504.3±103.6kPa,SLRで478.4±151.2kPaであった.BFにおける近位部は安静で30.6±12.8kPa,KEで361.4±91.8kPa,SLRで343.3±92.6kPa,中間部は安静で45.4±32.3kPa,KEで386.4±147.6kPa,SLRで392.3±98.8kPa,遠位部は安静で54.1±22.4kPa,KEで490.5±112.3kPa,SLRで425.8±109.5kPaであった.多重比較の結果,STとBFともに近位,中間,遠位部の全ての部位において安静条件と比較してKEとSLRで有意に高値を示した.また安静時に対するKEとSLRの変化率を比較した結果,STとBFの全ての部位においてKEとSLR間で有意差は認められなかった.安静時からの変化率について近位,中間,遠位の部位間で比較した結果,STとBFのKEとSLRともに部位による有意差は認められなかった.【考察】本研究の結果,KEとSLRの2つのストレッチング法はともにSTとBF両筋の全ての部位を伸張することが可能であった.さらに,KEとSLR間では全ての部位で有意差が認められなかったことより,どの部位でも両ストレッチング方法による伸張の程度に違いはないことが明らかとなった.また,近位,中間,遠位部の比較においても有意差が認められなかったことより,部位による違いはないことも明らかとなった.これらの結果より,二関節筋であるSTとBFを伸張する場合にはKEとSLRの方法による違いはなく,両ストレッチングとも全ての部位において同じ程度のストレッチング効果が得られること,すなわちこれらストレッチング方法の違いによって近位部と遠位部を選択的に伸張することは困難であることが示唆された.【理学療法学研究としての意義】股関節を屈曲した状態から膝関節を伸展するストレッチングと膝関節完全伸展位から股関節を屈曲するストレッチングの両ストレッチング手技ともにハムストリングスの近位部,遠位部を一様に伸張する効果があることが明らかとなった.
著者
西山 伸宏
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.143, no.5, pp.443-447, 2023-05-01 (Released:2023-05-01)
参考文献数
5

This paper introduces the research of nanomachines utilizing boron chemistry. Boron neutron capture therapy (BNCT) has beeing attracting increasing attention as a minimally invasive cancer treatment, and p-boronophenylalanine (BPA) has been approved as a potent BNCT drug. However, intratumoral retention of BPA remains to be improved. Recently, we have developed a BPA delivery system [poly vinyl alcohol (PVA)–BPA] utilizing PVA. PVA–BPA altered the uptake pathway of BPA by cancer cells and significantly improved the intracellular retention in cancer cells. in the in vivo experiments, PVA–BPA showed improved tumor accumulation and a remarkable tumor growth inhibition upon thermal neutron irradiation. On the other hand, a useful delivery system of bioactive proteins has been strongly demanded. In this study, we have developed the ternary complex micelles for the protein delivery utilizing tannic acid (TA) and block copolymer containing a boronic acid group. The ternary micelles improved the blood retention and tumor accumulation of the loaded proteins, and realized a tumor tissue-selective enzymatic reaction in the enzyme delivery.
著者
細谷 美代子
出版者
筑波技術大学学術・社会貢献推進委員会
雑誌
筑波技術大学テクノレポート (ISSN:24354856)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.50-55, 2014-03

国語教科書における障害に関する記述はその時代の社会一般が障害をどうとらえているかを映すものである。平成22年検定済小学校国語教科書5種58点を調査した。調査の結果,聴覚障害と視覚障害に関わる教材について次のことが分かった。 1.視覚障害関係教材は聴覚障害関係教材より多い。 2.全体的に手話への関心は減少したが,手話をテーマとする優れた新教材が現れた。 3.視覚障害と点字に関しては3本の安定教材がある。学校教育における最も重要な学習材である教科書教材に障害者の姿と障害観がどのように現れているか持続的に検証していくことが必要である。
著者
甲斐 裕子
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
日本体育・スポーツ・健康学会予稿集 第72回(2022) (ISSN:24367257)
巻号頁・発行日
pp.51, 2022 (Released:2022-12-22)

コロナ禍に伴う、外出自粛・運動の場の閉鎖・テレワークの急拡大等により、人々の身体活動量が減少した。特に、高齢者では、社会的交流の低下とともに、フレイルや認知症のリスクが上がったと報告されている。一方で、2021年はスポーツ実施率が過去最高を記録するなど予想外の報告も出てきている。海外では、経済的に豊かな地域に住む住民は、日常生活で減少した身体活動を余暇の活動で補っているが、貧しい地域の住民はそうでないことなどが報告されている。我が国でも、緊急事態宣言後の高齢者の身体活動の回復度合いは、社会的つながりによって違いがあることが明らかになっている。すなわち、コロナ禍に関連した身体活動量の変化には、社会経済状況が関与している可能性があり、健康格差を拡大させてしまう懸念がある。このような状況を打破するために、各地でオンラインを活用した運動の機会の提供が試みられているが、その検証は緒に就いたばかりといえる。本シンポジウムでは、最初にコロナ禍に伴う身体活動・運動・スポーツの変化について整理し、その後、我々が行っているオンライン運動教室の実践研究について紹介する。
著者
籔内 陽斗 松井 藤五郎 武藤 敦子 島 孔介 森山 甲一 犬塚 信博
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.FIN-030, pp.32-39, 2023-03-04 (Released:2023-03-04)

ファンド(投資信託)の中には目論見書に記された運用方針と実際の運用方針が異なる場合がある。先行研究では実際の運用方針に基づくファンドのグループ分けを目的に、月次リターンの時系列に対してk-meansとUMAPを組み合わせた手法を用いてファンドをクラスタリングする方法が提案された。しかし、k-meansによるクラスタリングではラベル情報を一切使用しないという問題がある。本論文では、インデックスファンドのラベルは正しいと仮定し、ラベル情報を使用可能な手法であるOne-class SVMを導入する。ところが、通常のOne-class SVMでは、ラベルが付与されたインデックスファンドだけをインデックスと判別するモデルを作成するため、インデックスに類似した隠れインデックスファンドをインデックスと判別することができない。この問題を解決するために、本論文ではOne-class SVMモデルの出力値に着目し、One-class SVMの出力を校正する新しい方法を提案する。提案手法を同一の指標をベンチマークとするファンド群に対して適用することで隠れインデックスファンドを見つけることができた。
著者
Tetsuya MANABE Kazuya SABA
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
pp.2022WBP0001, (Released:2022-12-02)

This paper proposes an algorithm for estimating the location of wireless access points (APs) in indoor environments to realize smartphone positioning based on Wi-Fi without pre-constructing a database. The proposed method is designed to overcome the main problem of existing positioning methods requiring the advance construction of a database with coordinates or precise AP location measurements. The proposed algorithm constructs a local coordinate system with the first four APs that are activated in turn, and estimates the AP installation location using Wi-Fi round-trip time (RTT) lateration and the ranging results between the APs. The effectiveness of the proposed algorithm is confirmed by conducting experiments in a real indoor environment consisting of two rooms of different sizes to evaluate the positioning performance of the algorithm. The experimental results showed the proposed algorithm using Wi-Fi RTT lateration delivers high smartphone positioning performance without a pre-constructed database or precise AP location measurements.
著者
中村 志保 郡司 朋子 木村 愛美 西村 麻衣 菊川 千波 菊地 紗和子 村上 純子 上田 渚 石倉 智子 鶴川 香緒利 横須賀 美紀 奥森 留美子 神前 あい 井上 吐州
出版者
日本視機能看護学会
雑誌
日本視機能看護学会誌 (ISSN:24333107)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.8-10, 2018 (Released:2019-02-01)
参考文献数
4

目的:甲状腺眼症の斜視手術後患者に対するリハビリテーション( 以下リハビリ) として、効果的で簡易な方法を検討し、 病棟オリジナルの視野チャートを作成した。看護師の指導にて実施したので報告する。 方法:甲状腺眼症による複視のため斜視手術を行った15 名を対象に、視能訓練士の助言を得て作成した視野チャート にて、入院時・手術翌日・退院時に両眼単一視野(以下単一視野)の変化を比較した。またこれを用いた術後のリハビ リ方法を指導し、退院時にアンケートを実施し有用性を評価した。 結果:対象患者全員が、視野チャートを用いたリハビリが分かりやすく、積極的に取り組めたと回答した。入院時と退 院時の単一視野の比較では、14 名が拡大し1 名は明らかな変化がなかった。 考察:視野チャートにより注視目標を明確にでき、簡易的なリハビリが考案できた。また患者がリハビリに積極的に取 り組めた。よって斜視手術後における視野チャートは有効であった。