著者
山谷 清志
出版者
特定非営利活動法人 日本評価学会
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.3-15, 2002-09-25 (Released:2010-06-15)
参考文献数
10
被引用文献数
3

わが国の政策評価の起源は、改革志向の強い地方自治体にルーツを持つ事務事業評価に業績測定を加えた方式と (三重県)、中央省庁 (とくに旧通産省での「政策レビュー」) に起源を持つ方式と二つ存在する。この二つが整理されず、さまざまなところで錯綜しているため、わが国の政策評価はその特徴が両者の問で揺れており、一見、複雑な様相を呈している。ただし、その中に明確な特徴も見られる。たとえば内部評価・自己評価、事前評価の志向の強さ、予算編成と関連付けたいという意志、定性評価ではなく定量評価への傾斜、そして客観性への固執である。こうしたシステム設計の段階での特性が、わが国の評価をどういった方向に導くのであろうか。ここではこの問いに対する答えを予測するために、2002年現在提示された課題に注目する。すなわち、定性的評価の可能性、公共事業 (とくにビッグ・プロジェクト) 評価の方法、公平性という評価基準などである。もっとも、こうした課題を議論するためにはまず、研究者と実務家がどのように研究体制を組むのかという前提条件を整備する必要がある。
著者
ビアルケ (當山) 千咲 柴山 真琴 高橋 登 池上 摩希子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.172, pp.102-117, 2019 (Released:2021-04-26)
参考文献数
19

本研究は,ドイツの補習校に通い,ドイツ語を優勢言語,日本語を継承語とする独日国際児の事例において,二つの異なるジャンルの二言語の作文力が,小4から中3まででどのように形成されるのかを分析した。対象児は,日本居住の日本語母語児に比べ産出量や語彙,構文の多様性等の伸びが遅れながらも,談話レベルでは母語児に近い評価の作文を書いていた。その背景を二言語作文の縦断的分析により探ったところ,優勢なドイツ語に牽引されるように日本語も伸び,まず接続表現や構文の複雑化によって論理的つながりが改善され,次に全体構成や内容の高度化が生じることがわかった。またドイツ語作文のレベルに近い日本語作文を,限られた日本語の表現手段を工夫して書いているが,複雑な内容の説明における文法的誤用や漢字熟語の不足等に表現上の困難が見られた。以上の発達過程の特徴から,補習校での指導への示唆を抽出した。
著者
筧 捷彦
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.179, 2023-03-15

情報入試研究会10周年を記念して,これまでの活動を振り返るとともに,次の10年に向けてやるべき課題を展望する.
著者
平田 祐太郎 石井 美恵子
雑誌
第46回日本集中治療医学会学術集会
巻号頁・発行日
2019-02-04

【目的】クリティカルケア領域の看護師が記録した肺音聴診結果を表す用語の実態調査と、記録された用語と看護師の背景との関連を明らかにする。【方法】実態調査では看護師の記録を対象に肺音聴診結果を表す用語について適切用語記録率を算出した。質問紙調査ではA県医療機関ICU所属看護師に対し基本属性と共に不適切用語14カテゴリーを使用する際の意識について4段階評定法で評価を行い、そのうち肺音に直接関連する6カテゴリーの平均点を合計し不適切用語合計点を算出した。また看護記録実施者に影響を与える要因についても調査を行った。適切用語記録率の関連要因を探るため、従属変数を適切用語記録率、独立変数を基本属性としt検定、一元配置分散分析を行った。また適切用語記録率と不適切用語合計点の相関についてPearsonの相関係数を算出した。【結果と考察】研究同意を得た看護師46人のうち質問用紙の回収率は100%、有効回答率は97.8%であった。実態調査では全カテゴリーの適切用語記録率は71.0%であったが、そのうち「呼吸音」カテゴリーでは適切用語記録率が16.4%と低く不適切用語の全てが「エア入り」であった。適切用語記録率との関連を認めたのは認定看護師教育課程でフィジカルセスメント学習経験をもつ群であり、十分な時間をかけたActive Learningによる学習経験が関連していると考えられた。看護記録は先輩看護師の記録や指導など周囲からの影響を受けている傾向が観察され、「エア入り」についても記録を簡素化するために作られた造語であり先輩看護師からの伝承により使用されていると推測された。適切用語記録率と不適切用語合計点は相関を認めたことから不適切用語に関して正しい知識で修正できれば適切用語記録率にも影響されることがわかった。【結論】実態調査では全カテゴリーの適切用語記録率が71.0%であった。「呼吸音」カテゴリーでの適切用語記録率は16.4%であり、そのうち不適切用語の全てが「エア入り」という用語であった。適切用語記録率はフィジカルアセスメントを認定看護師教育課程で学習した群との関連が認められ、さらに不適切用語合計点とは相関を認めた。看護記録に影響を与える要因としては先輩看護師の指導や記録などがあることが考えられた。このことから認定看護師が適切な用語による看護記録を継続し看護師へ指導することで正しい知識が伝承され、適切な用語による記録が可能となると示唆された。
著者
Angem Librando-Descallar Zhengyi Ling Takuma Haga Tatsufumi Okino
出版者
THE SESSILE ORGANISMS SOCIETY OF JAPAN
雑誌
Sessile Organisms (ISSN:13424181)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-12, 2023-03-14 (Released:2023-03-14)
参考文献数
48

Shipworms of the family Teredinidae were collected from driftwood along the coastal areas of Hokkaido between October 2020 and November 2021. Identification of species recorded a total of five species pervaded wooden debris: Teredo navalis Linnaeus, 1758, Lyrodus pedicellatus (Quatrefages, 1849), Bankia setacea (Tryon, 1863), Bankia bipennata (Turton, 1819), and Bankia carinata (Gray, 1827), the latter two were warm-water elements and considered a new record of species discovered from the temperate zone of Hokkaido waters. This suggests the possibility that ocean currents and suitable environmental conditions caused the settlement of these teredinids in driftwood along the vast coastal stretches of Hokkaido. Also, B. bipennata and B. carinata have been most likely distributed along the Sea of Japan and brought accidentally by typhoons from the Kuroshio region and Tsushima and Tsugaru currents to Hokkaido, respectively. Moreover, biogeographic patterns within Teredinidae from other coastal areas in the country and elsewhere were examined from the available literature.
著者
高橋 亮吾 Dai Yidan 上田 容子 易 勤
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.391-395, 2021 (Released:2021-06-20)
参考文献数
24

〔目的〕寛骨臼関節唇と腸腰筋の位置関係および形態特徴を肉眼解剖にて調査を行うこと.〔対象と方法〕解剖学実習体6体12関節(男性3名,女性3名,平均年齢87.2 ± 7.9歳)を用い大腰筋と腸骨筋の腹側および背側を測定し筋・腱成分の割合を算出した.〔結果〕縦幅は全長74.1 ± 6.6 mmに対し,腹側は腸骨筋74.1 ± 6.6 mmと大腰筋34.3 ± 19.1 mm,大腰筋腱39.8 ± 21.2 mm,背側は大腰筋腱74.1 ± 6.6 mmであった.横幅は全長38.6 ± 5.8 mmに対し,腹側は腸骨筋26.7 ± 5.2 mmと大腰筋10.6 ± 3.7 mm,背側は大腰筋腱16.8 ± 5.5 mmと腸骨筋腱8.8 ± 6.1 mmであった.〔結語〕寛骨臼関節唇と接触する腸腰筋の背側の多くは大腰筋腱で構成されていた.

1 0 0 0 軍事史学

著者
軍事史学会編集
出版者
軍事史学会
巻号頁・発行日
1965
著者
江口 瞳
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.4_603-4_612, 2017-09-07 (Released:2017-10-21)
参考文献数
18

先行研究をもとに倫理的ジレンマ尺度のアイテム80項目を作成し,全国がん診療連携拠点病院と全国緩和ケア病棟の,終末期がん患者の看護に携わっている看護師4,500人に調査し,1,337名の回答を得た。項目分析,因子分析の結果7因子58項目が採択され,第Ⅰ因子から,【説明不足により患者・家族の選択権が保証されていない】【意思決定を支援するための看護が見出せない】【患者のニーズに応じた看護を提供できていない】【医師との意見が食い違う】【患者の状況よりも化学療法や延命処置が優先される】【患者が置き去りにされたまま治療が進む】【患者と家族の意見が食い違う】であった。因子全体の尺度のCronbach’α 係数は .861であり,内的整合性が確認された。撫養ら(2014)の看護師の職務満足度尺度を基準とするPearsonの積率相関係数はr =-.260(p<.01)であり負の相関が認められた。
著者
山手 佑太 豊増 七奈 竹垣 毅
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.22-00001, (Released:2022-03-24)
参考文献数
19
被引用文献数
2

日本国内におけるヒョウモンダコHapalochlaena cf fasciataの分布域,体サイズと成熟の年変動を16府県で採集された97個体に基づいて推定した。本種は房総半島以南の太平洋沿岸と福井県以南の日本海側および瀬戸内海で確認され,南西諸島では確認されなかった。生殖腺重量指数と体サイズおよび個体数の変化から,本種は秋から翌春にかけて成熟し,春から初夏にかけて産卵・卵保護すると推察された。また,寿命は約1年で,雌雄ともに繁殖後に死亡していると推察された。
著者
女鹿 潤哉
出版者
北海道考古学会
雑誌
北海道考古学 (ISSN:02872161)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.93-108, 2006-03