著者
須賀 良一
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.27, no.7, pp.611-616, 1987-12-01 (Released:2017-08-01)

In our clinical practice, we often see depressive patients with a past history of physical illness. But it is unknown whether or not there is a significant relationship between depression and physical illness. Problems on the relationship of these two factors are summed up as follows : 1) Is there a significant relationship between depression and physical illnesss? 2) If there is, why is it? I took notice of the temporal cluster between the onsets of depression and physical illness to solve these problems. Purpose of this report is to give an answer to our questions. The samples were 61 patients (56.4±11.9 years old) who were diagnosed as major depression by Research Diagnostic Criteria. I interviewed them and made a survey of the past history of physical illness, the period between the onsets of depression and physical illness, psychosocial stressors (psychological situations of "over load" or "loss") prior to the present depressive illness and premorbid character (Typus melancholicus, etc). I made a statistical analysis by the method of Yokoyama of whether or not a temporal cluster between the onsets of depression and physical illness was significant. Then I investigated a relation of psychological stressor and premorbid character to the onset of psysical illness. The results were summarized as follows : (1) There was a significant temporal cluster between the onsets of depression and physical illnesses, which were gastro-duodenal ulcer, gastritis, asthma, irritable bowel syndrome and cerebral apoplexy. (2) Most of these four diseases except cerebral apoplexy occurred under the psychological situation of "over load", and they are categorized into psychosomatic disorders. (3) Cerebral apoplexy was a possible psychological risk factor for depression. (4) Most of the patients had a premorbid character of "Typus melancholicus." From the results described above, two reasons can be considered for the significant temporal cluster between the onsets of depression and physical illness. One reason is that some of physical illnesses, e.g. cerebral apoplexy, are a possible psychological risk factor for depression. The other is that psychological stressor and premorbid character of "Typus melancholicus" facilitate the onsets of both some physical illnesses and depression.
著者
佐藤 和紀 高橋 純 安里 基子 齋藤 玲 吉野 真理子 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.041-044, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
11

教員養成大学の学部1・2年生を対象に,情報モラル教育の基礎知識を学び,現職教員による模範授業映像を視聴した上で,情報モラル教育の授業設計を学習させるための講義を開発し実施した.講義の事前事後に情報モラル指導の自信を測定する質問紙調査を行った.その結果,全質問項目の得点の上昇が見られた(研究1).自由記述では,スモールステップで指導案を作成するワークシート(以下WS)の効果が期待された.そこで研究2は,足場かけの有無によるWSを2種類用意することにより,効果を調べたところ,1年生には足場かけ無しWS が,2年生に は足場かけありWS が効果的であった.
著者
齊藤 紀子
出版者
日本音楽学会
雑誌
音楽学 (ISSN:00302597)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.137-153, 2020 (Released:2021-03-15)

本論文は、義務教育とも音楽の専修課程とも異なる環境である女学校で音楽を学んだ日本人女性の卒業後の暮らしにとり入れられた音楽について明らかにすること、音楽の演奏を主たる目的としない生活空間としての住宅(あるいは家庭)のなかで実践された音楽について明らかにすることを目的とする。 上記の目的を遂げるため、松山女学校と神戸女学院を卒業した駒井静江を事例に、家族新聞『団欒』に掲載されたアメリカ紀行や、国内外で収集された楽譜資料を調査した。 第1の目的については、結婚するまでの間、出身校に加え日ノ本女学校で英語や音楽を教えて後進の日本人女性の教育を支えていたこと、また、遺伝生物学者の夫駒井卓の海外赴任に伴ってニューヨークに滞在する間、週に2回のピアノのレッスンを受け、音楽会に通って多様な時代・国の作品を鑑賞し、同地で活動する同時代の作曲家の作品も含む楽譜を収集するなど、豊かな音楽経験を積んでいた実情が明らかとなった。 第2の目的については、アメリカから来日したW. M. ヴォーリズWilliam MerrellVories(1880~1964)に自宅の設計を依頼し、矯風会などの社会活動に精力的にとり組むなかで、ピアノや蓄音器を囲むひとときを夫婦で楽しんでいたことが明らかとなった。 これまでの洋楽受容史研究では、日本の家庭に備えられたピアノは、中流階級以上のステータスシンボルとして論じられることが多かった。国内外でピアノのレッスンを受けた静江の事例は、既往研究からはみえてこない音楽との向き合い方を具体的に示す貴重な存在である。本調査を教養教育としての音楽、生涯教育としてのピアノについて学術的に考えていく緒として位置づけ、20世紀前半の日本人による自主的な西洋音楽の学びについて解き明かしていくことを今後の課題とする。
著者
櫻井 雅夫
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.78, no.7, pp.59-86, 2005-07

はじめに第一部 アメリカの海外投資保証制度 一 開発途上国における米系企業の国有化、一九六〇年代 ~七〇年代 ニ アメリカの投資保証制度 三 CIAとITTのチリ内政関与第二部 米系企業の国有化とOPIC 序説 一 交渉当事者としての被保険者 二 投資家が交渉した現金による解決 1 ラルストン・プリーナ事件 2 ノーザン・インディアナ・ブラス事件 3 投資家(企業)による自発的交渉 三 投資家が交渉し解決した事件でOPICが資金上関与し たもの 1 ミナ・マチルデ事件 2 ペスレヘム・チリ・アイアン・マインズ事件 3 レイノルズ・メタルズ事件 4 パーソンズ・アンド・ホイットモア事件とセーロ事件 5 解決交渉におけるOPICと投資家との間の協力 6 解決交渉におけるOPICと投資家との間の衝突分野 --(七八巻六号) 四 OPICと被保険者との間の交渉で解決された事件 1 ITT事件 2 ブレイドゥン・カッパー事件 (付)AAAの仲裁判断で解決された事件 1 ヴァレンタイン・ペトロリアム・アンド・ケミカル対AlD事件 2 リヴィア・カッパー・アンド・ブラス対OPIC事件 五 OPICと外国政府との間で交渉された解決策 1 フェアーン・フーズ事件 2 チリ・カッパー(エクソティカ鉱山) 事件結論--(以上本号)資料
著者
神尾 道也
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

1.クリガニン配偶行動の観察クリガニの配偶行動の全体を明らかにするために配偶行動を観察した。その結果、クリガニは脱皮の直後にしか交尾を行わないSoft Female Mating型の配偶行動、即ち交尾前ガード、メスの脱皮とそれに引き続く交尾を示した。飼育下では性比はオスの配偶行動に影響を与えなかった。また、複数のペアを一つの水槽で飼育すると一つのペアの脱皮直後のメスから放出された交尾行動刺激フェロモンが隣のペアのオスの交尾行動をひき起こすことが観察され、養殖環境下におけるフェロモン濃度の管理が正常な交尾行動を維持するために重要である事が明らかとなった。2.抱きつき行動刺激フェロモンメスの尿特異的に存在する化合物を2次元NMRを用いて検索したところ、コハク酸、トリメチルアミンオキシド、酢酸塩および尿素が検出された。これらの化合物の活性試験を行ったが個々の化合物および混合物は活性を示さなかった。LC-MSを用いて分析したところ、フォトダイオードアレイでは検出されなかったメス特異的成分が複数確認され、現在構造解析中である。3.電気生理学的フェロモン検出法の開発フェロモンは複数成分から構成されていると考えられるため、個々の成分を検出するためにフェロモン受容器からの電気生理学的応答を利用する方法を考案した。フェロモン受容器である第一触角の外肢の神経束からメス尿に対する応答が記録され、本法はフェロモン成分の検索に有効であると考えられる。
著者
辻野 喜夫
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.A94-A103, 1998-11-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
49
著者
吉田 寧子 村上 雅志 藤本 英治 竹田 菊男
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 = Journal of Japan Society on Water Environment (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.41-46, 2004-01-10
参考文献数
19
被引用文献数
2

Alkylphenolpolyethoxylates (APEOs) have been widely used as nonionic surfactants in various industrial and commercial products. There are two different degradation pathways of APEO. One is the gradual degradation of AP(n)EO to AP(n-1)EO, to subsequent degradation products, and finally to alkylphenol (AP). The other is through the formation of alkylphenol ethoxy acetic acid (APEC). We examined the quantitation method for these substances related to APEO [NP(1-15)EO, OP(1-10)EO, NP(1-10)EC] by high-performance liquid chromatography/mass spectrometry. Method detection limits (MDL), calculated from the replicate analyses of spiked deionized water, were 0.0018 [NP(4)EO]-0.0095[NP(8)EO] (<i>&mu;</i>g&middot;<i>l</i><sup>-1</sup>), 0.0048[OP(5)EO]-0.0090[OP(7)EO] (<i>&mu;</i>g&middot;<i>l</i><sup>-1</sup>), 0.0038[NP(8)EC]-0.0072[NP(5)EC] (<i>&mu;</i>g&middot;<i>l</i><sup>-1</sup>). The quantitation method that we developed has sufficiently low detection limits and can be applied to the influent and final effluent of a sewage treatment plant.
著者
掛川 泰朗 磯野 理 西川 隆
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.312-319, 2016-06-30 (Released:2017-07-03)
参考文献数
28
被引用文献数
1 2

脳血管障害による右半球病変に伴って身体パラフレニアとフレゴリの錯覚を合併した2 症例を報告した。脳血管障害によるカプグラ症候群やフレゴリの錯覚などの人物誤認症候群の報告は未だ少数である。 Feinberg ら (1997) は, 身体パラフレニアを, カプグラ症候群と同型の病態構造を有していると指摘しているが, 身体パラフレニアとカプグラ症候群の合併の報告はみられない。一方, 身体パラフレニアにフレゴリの錯覚の合併をうかがわせる記述は少数見出された。身体パラフラニアの患者における麻痺肢への態度は一定の既知感があるという意味でむしろフレゴリの錯覚に近いかもしれない。身体パラフレニアと人物誤認症候は右半球病変, とりわけ前頭葉病変に共通した責任病巣があるものと考えられており, これまで注目されてこなかったが, フレゴリの錯覚と身体パラフレニアはより高率に合併している可能性がある。
著者
津田 淑江 小寺 俊子 大家 千恵子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.1009-1020, 2002-10-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
30

本研究では女性の食生活と低体重児出産および適正体重児出産との関係を調べた.食物摂取頻度および食行動パターンの調査を行い, 妊娠1年前の母親の食物摂取頻度, 年齢, 身長, 体重と新生児の体重を調べた.調査データーから低体重児出産婦および適正体重児出産婦の平均値には違いは見られなかった.しかし低体重児出産婦は適正体重児出産婦よりBMI19.5未満の人が多かった.食物摂取頻度調査の結果, 両出産婦ともエネルギー, タンパク質, カルシウム, 鉄の摂取量が低かった.また低体重児出産婦はコンビニエンスストアやスーパーマーケットの惣菜の利用が多く, 3食外食でも平気, スナック菓子をよく食べる, ダイエットで食事制限の経験があり, 偏食がある事が明らかとなった.これから次の世代を出産する女性にとって, この現状を改善し, 低体重児出産防止のために, 若いころからの家庭での食教育が重要であることが示唆された.
著者
飯島 滋明
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集. 社会科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.1-15, 2020

日米安保条約では,「日本国の安全に寄与」するためにアメリカ軍が日本に駐留することになっている(6条)。しかしアメリカ軍人は日本で戦闘機を手放しで操縦していたり,オスプレイなどの訓練ではデッキをあけて住宅地に向けて銃を構えている。アメリカ軍による墜落事故・落下事故・不時着は日常茶飯事である。「未亡人製造機」と言われるほど「墜落事故」が多いオスプレイは日本全土を飛び回っている。横須賀基地では日本との約束を守らずに放射能にさらされた物質の搬出をおこなっている。こうした米軍の行動により,「戦争や軍隊によって自己の生命を奪われない権利,あるいはそれらによって生命や身体が危険にさらされない権利」である「平和的生存権」が奪われ,脅かされている。 また,在日アメリカ軍人などによる犯罪について,日本の法で裁くことができず,民事上の賠償も支払わせることができない。アメリカ政府が肩代わりすることもほとんどなく,アメリカ軍人が払うべき賠償金を日本政府が支払っている。アメリカ原子力空母の放射性物質搬出の事例や日本人警備員の「銃携帯」の個所でも紹介したように,アメリカは日本の法令,あるいは日本との約束を守らない。日本は「主権国家」とは言えない状況にある。

1 0 0 0 戦争論

著者
クラウゼヴィッツ著 篠田英雄訳
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1968