著者
平田 勇人 新田 克己
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.77-78, 2019-02-28

判例は法律解析のための重要な知識源である。判例には双方の主張と論理展開、裁判官の判断理由と結論が示されている。判例は多くの情報を含んだ情報源にも拘らず、その利用方法が十分に開拓されていなかった。その数少ない例である米国の判例に基づく論争システムにHYPOやCATOがあるが、判例主義の国では妥当しても、日本のように法令に基づくルールベースの国においては妥当ではない。そこで過去の判例で使われた法的判断の価値観の要素(法的トポス)を抽出し、法的トポス間の関係を整理した。ファクタに基づく判例の記述に、新たに法的トポスの概念を導入して、判例の解析を行い、判決予測の可能性を調べることを目的とする。
著者
坂本 晃一
出版者
日本福祉教育・ボランティア学習学会
雑誌
日本福祉教育・ボランティア学習学会研究紀要 (ISSN:24324086)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.136-145, 2017

小学5年生の総合的な学習の時間(全12時間)として行った、人権課題「同和問題」を扱った授業実践。本校のある墨田区は、同和問題(皮革産業)などの地域の重点課題への理解推進のため、人権尊重教育に力を入れてきた。本校は、東京都教育委員会による「人権尊重教育推進校」の指定を受け、「東京都人権教育プログラム」に基づいて研究してきた。この人権尊重教育実践では、福祉教育で最も大切とされる「差別の心」の変容というアプローチを中心に分析していく。3年生で学習した「皮革産業」を発展させ、5年生はと畜・解体を行う「食肉市場」を取り上げた。単元の前半では、多くの児童が食肉市場で働く人々について「残酷で怖い人」というイメージを持ったが、単元の後半では、従業員の方から話を聞き、食肉市場に対する差別的な手紙について考える授業を通して「大切な仕事。自分の心の中にも差別の心があった。相手を正しく知ることが大切」と気付くことができた。
著者
村上 幸人 久枝 良雄 尾崎 俊章 横野 照尚 谷 祐太郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.445-451, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
27

ビタミンB12誘導体の反応性に関するアキシアル配位塩基の効果を明らかにするために,α-配位座に分子内塩基を有する疎水性ビタミンB12[Cob(II)(α-Im)6C1ester]ClO4,β-配位座に分子内塩基を有する疎水性ビタミンB12[Cob(II)(β-Im)6C2ester]ClO4,配位塩基でキャップした疎本性ビタミンB12[Cob(II)(Im:cap)5C1ester]CIO4,を合成した。電子スピン共鳴(以下ESRと略記する)スペクトルおよびサイクリックボルタンメトリーによる検討から,これらの錯体はほぼ完全なbase-on型で存在し,分子内配位塩基をもたない疎水性ビタミンB12[Cob(II)7C1ester]ClO4に50倍モルのN-ひメチルイミダゾールを添加した状態に匹敵することを明らかにした。アルキル化反応においては,コバルト+1価は四配位構造のためアキシアル配位塩基の影響は小さいが,アルキル錯体の光開裂反応におヘセいては,アキシアル配位塩基の立体的および電子的効果により反応はいちじるしく促進された。また,β-配位面側に分子内配位塩基が導入された錯体では,コパルト-炭素結合生成反応が抑制された。
著者
山内 脩 小谷 明
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.369-382, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
68
被引用文献数
11

生体系の金属イオンにはタンパグ質に組み込まれて存在するものや低分子錯体として存在するものなどがあり,それぞれなんらかの存在理由をもっている。モデル低分子錯体の挙動を明らかにすることは,生体系低分子錯体の挙動はもとより金属イオンと一般の生体物質との相互作用の様式と役割を理解する基本となるとともに,未知の錯体の存在やその機能を示唆することにもなるであろう。アミノ酸,ペプチドの錯形成反応より,低分子混合配位子錯体に鞍いて静電的相互作用,水素結合,あるいは芳香環スタッキングという弱い相互作用が配位子間に起こりうることが明らかとなった。また,DNAインターカレーターであるいくつかの芳香環含有白金(II)錯体とモノヌクレオチドとの間で希薄水溶液中安定な会合体が形成されることから,これをモデルとして核酸の関与する非共有結合性相互作用のエネルギーに関する知見を得た。

1 0 0 0 OA 十牛図解

著者
斎藤松洲 画
出版者
道会本部
巻号頁・発行日
1916
著者
長尾 幸徳 大山 司 阿部 芳首 御園生 堯久
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.1, pp.90-96, 1988-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

10-メチルアクリドン類と置換ベンゼン類の縮合反応により10-メチル-9-フェニル-9,10-ジヒドロアクリジン誘導体を合成し,酢酸で発色させたときの可視吸収スペクトルにおよ蔭す置換基の効果を検討し,PPPMO(Pariser-Parr-PoPle molecular orbital)法などを用いてその発色機溝を考察した。10-メチル-9-フェニル-9,10-ジヒドロアクリジン誘導体(9-(p-Y置換フェニル)-X置換体)のうち,X=H,2-NMe2:Y=NMe2,NEt2の化合物は塩化ホスホリルを縮合剤として即いる方法,X=H,2-NMe2:Y=H,Cl,OCH3の化合物はGrignard反応を用いる方法,X=3-NMe2:Y=Hの化合物はフェニルリチウムを用いる方法で,相当する10-メチルアクリドン類と置換ベンゼン類の縮合によりそれぞれ合成した。このようにして合成した9,10-ジヒドロアクリジン誘導体を酢酸で発色させたときの可視吸収スペクトルを測定し置換基の効果を検討した。またその発色状態のPPPMO法計算から求めた励起のさいのπ電子密度の変化から,置換基の種類,置換位置による発色機構の違いが吸収スペクトルに大きな影響をおよぼしていることがわかった。
著者
伊藤 怜子 清水 恵 佐藤 一樹 加藤 雅志 藤澤 大介 内藤 明美 森田 達也 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.135-146, 2020

<p>厚生労働省の受療行動調査におけるQuality of life (QOL)を評価する項目について,全国から無作為抽出した20〜79歳の一般市民2400名に対して郵送法による自記式質問紙調査を実施することにより,その国民標準値を作成することを目的とした.さらに,SF-8<sup>TM</sup>, Patient Health Questionnaire-9(PHQ-9), Eastern Cooperative Oncology Group Performance Status(ECOG-PS), Memorial Symptom Assessment Scale(MSAS)などとの関連も検討した.分析対象は978部(41.1%)で,性年齢階級別人口統計によって重み付けした40歳以上のQOL指標の標準値は,「体の苦痛がある」33%,「痛みがある」33%,「気持ちがつらい」23%,「歩くのが大変」15%,「介助が必要」3%であった.本研究結果は,今後,受療行動調査を用いて全国的かつ継続的に患者の療養生活の質を評価し解釈していくにあたり,重要な基礎データとなる.</p>
著者
Nomura Kyoko Minamizono Sachiko Maeda Eri Kim Roseline Iwata Toyoto Hirayama Junko Ono Kyoichi Fushimi Masahito Goto Takeshi Mishima Kazuo Yamamoto Fumio
出版者
BioMed Central
雑誌
Environmental Health and Preventive Medicine (ISSN:1342078X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.30, 2021-03-05

Background We aimed to estimate the prevalence of depressive symptoms as well as suicide-related ideation among Japanese university students during the stay-home order necessitated by the coronavirus disease 2019 pandemic in Japan, and offer evidence in support of future intervention to depression and suicide prevention strategies among college and university students. Methods The data for this cross-sectional study were derived from the Student Mental Health Survey conducted from May 20 to June 16, 2020 at a national university in Akita prefecture. Among the 5111 students recruited, 2712 participated in this study (response rate, 53%; mean age ± standard deviation, 20.5 ±3.5 years; men, 53.8%). Depressive symptoms were identified by using the Patient Health Questionnaire-9 (PHQ-9). Results The prevalence of moderate depressive symptoms based on a PHQ-9 score ≥10 and suicide-related ideation based on question 9 of PHQ-9 ≥1, which encompasses thoughts of both suicide and self-harm, was 11.7% and 6.7%, respectively. Multivariable logistic regression analyses showed that risk factors for depression included being a woman, smoking, alcohol consumption, and social network communication using either video or voice. For suicide-related ideation, alcohol consumption was the only risk factor. Exercise and having someone to consult about worries were associated with decreased risk of both depressive symptoms and suicide-related ideation. Conclusions Negative lifestyles of smoking and drinking, and being a woman, may be important risk factors for depressive symptoms, whereas exercise and having someone to consult about worries may be protective factors.
著者
北嶋 英彦 高橋 俊章 堂下 豊史 毛海 敬
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.2, pp.239-242, 1988-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
12
被引用文献数
1

The palladium-catalyzed alkynylation of 4, 6-disubstituted 2-iodo-1, 3, 5-triazines [1] (substituent a, NMe2; b, Ph; c, OMe) with monosubstituted acetylenes [2] (substituent a, Ph; b, COOMe; c, CMe2OH) afforded the corresponding cross-coupling products [3] in moderate yields except for the case of [2 c]. The cross-product [3 ac] reacted with [1 a] to give bis [4, 6-bis(dimethylamino)-1, 3, 5-triazin-2-yl]acetylene.
著者
指田 孝男 本杉 賢司 赤羽 可奈子
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.169-176, 1989-03-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

高精度 (±1%RH) な静電容量型湿度センサを開発するため, 感湿材料としての高分子の性質を調べた. カルボニルまたは水酸基を有する高分子材料について検討した結果, ポリ酢酸ビニル, ポリメタクリル酸系エステル, 及び酢酪酸セルロースが1.5%RH以下のヒステリシスしか示さない有望な感湿材料であること, 高分子材料の吸脱湿による比誘電率の変化は, 高分子中の親水基への水分の吸着に起因し, 水分吸着は, 親水基の種類だけではなくまわりの疎水性に影響されることを確かめた.
著者
青木 幸聖 穴田 一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.990-995, 2020-04-15

近年,完全情報ゲームであるチェス,オセロ,将棋といったゲームでは人間のトッププレイヤと同等の実力を持つ人工知能(AI)が実現されている.一方,不完全情報ゲームにおいては,ポーカーでは人間のトッププレイヤと同等の実力を持つAIが実現されているが,麻雀では実現されていない.なぜなら,本研究が対象とする「麻雀」は完全情報ゲームであるチェスや将棋と異なり,対戦相手の所持している手が見えないため,相手の状態や状況の予測が難しいうえ,同じ不完全情報ゲームであるポーカーより考えられる戦局が多岐にわたるゲームだからである.そのようななか,近年トッププレイヤに近い強さを持つといわれる水上ら(2013, 2014)による麻雀AIが発表されている.しかしこのAIは役を考慮した鳴きができないという問題点がある.一方,原田らは「Complete Hand Extraction(CHE)」で構築できる可能性の高い役を考慮した着手を実現した.そこで本研究では,役構築を考慮可能な原田らの手法「CHE」を用いて,役構築を考慮した鳴きが可能な麻雀AIを構築し,CHEと対戦させることによりその有効性を確認した.
著者
卯西 昭信 高橋 裕宣 下村 与治
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.2, pp.236-238, 1988-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
5
被引用文献数
4

2-Chloro-4-(2-chloroethyl amino)-6-alkoxy-1, 3, 5-triazine reacted with p-toluidine at 120-130°C to give 4-(p-toluidino)-2, 6, 7, 8-tetrahydroimidazo[1, 2-a][1, 3, 5]triazin-2-one [5] in a good yield. But when the reaction was carried out at 80°C, the product was 2-(p-toluidino)4-(2-chloroethyl amino)-6-alkoxy-1, 3, 5-triazine [4]. Reaction of [4] with p-toluidine at 120-130°C did not give [5].
著者
江沢 太一
出版者
学習院大学
雑誌
学習院大学経済論集 (ISSN:00163953)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-9, 1970-06

ヘクシャー・オーリンの定理を典型的一例とする国際貿易の静学理論においては,各国の資源賦存量一例えば資本ストックおよび労働一が一定と前提されているが,時間とともに資本蓄積および労働力人口の増加が進行するにつれて,貿易のパターンはどう変るであろうか。またこの場合,経済体系全体の推移はどうなるであろうか。例えば資本蓄積もしくは経済成長の経路は,どのような条件の下で安定的といえるであろうか。このような動学過程の分析はこれまで数多く行なわれてきたが,特に鬼木・宇沢によるもの〔5〕がこの方面での一つの重要な貢献であると思われる。ケンプの近著〔4〕,第10章においてもほぼ全面的にその結果が継承されている。 本稿の目的は,筆者が先に行なった二部門成長モデルにかんする分析〔1〕を基に,上記の鬼木・宇沢モデルに従って開放体系における経済成長経路の安定性の問題を考察することにある。特に分析の前提条件を可能な限り一般化して扱うことにする。