著者
豊福 明
出版者
日本歯科薬物療法学会
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.117-120, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
13

Historically, chronic oral pain with unknown origin had been treated as a “psychogenic” condition in dentistry. Although tricyclic antidepressants have been widely used to treat chronic oral pain such as glossodynia or atypical odontalgia, the mechanisms on how they work is not precisely elucidated still now. Strong evidences have been accumulated on pathophysiological interactions between chronic pain and psychosocial factors. Dopamine system has been found to play a key role for bridging chronic pain and psychosocial factors. To treat chronic oral pain better, we dentists should search for a new pharmacotherapy based on brain function, especially with a focus on the relationship between chronic oral pain and dysfunction of mesolimbic dopamine system.
著者
宮腰 靖之 竹内 勝巳 安藤 大成 北村 隆也 永田 光博
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.407-408, 2006-09-20
参考文献数
5

In the fall of 1999-2001, hatchery-reared masu salmon <I>Oncorhynchus masou</I> juveniles were stocked in southwestern Hokkaido rivers. Catches of these fish in coastal commercial fisheries were estimated by sampling landings during 2001-2003. Recovery rate estimates ranged between 0.67 and 0.84% (mean of 0.75%), approximately 1.8 times and 0.36 times those reported previously for fry and smolts, respectively.
著者
林 直保子
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.19-32, 1993
被引用文献数
1

これまで行われてきた囚人のジレンマ(PD)研究は、PDを孤立した2者関係として捉えるにとどまり、集団内に存在する2者間におこる状況として捉えることをしてこなかった。本稿では、3者以上の集団と、その中に生れる複数のPD関係を考えることにより、従来のPD研究の限界を克服することを目指している。そのために本稿では、集団の各成員が自分のつきあう相手を選択し、相互指名によってPD関係が成立するという状況――「ネットワーク型囚人のジレンマ」を設定する。このような状況では、特定の2者間に将来の関係が保証されていないために、PDにおける戦略的行動によって相互協力関係を築くことは難しくなる。従ってこのような選択的交際状況においては、孤立した2者PDにおける相互協力達成のためには最も有効であるとされてきたtit-for-tat(TFT)戦略は、そのままの形で有効性を発揮することはない。本稿では、ネットワーク型PD状況ではどのような戦略が可能で、また有効なのかということを調べるために、Axelrod(1984)が同一相手との反復PDにおいて行った「戦略のコンピュータ選手権」という方法をネットワーク型PDに用いた。その結果ネットワーク型PD状況で最も有効な戦略は、相手の裏切りに対しては非指名という形で対応するout-for-tat(OFT)戦略であることが明らかにされた。このOFT戦略は、TFTと非常に良く似た性質をもつ戦略であり、対象選択レベルに適用されたTFTと言うことができる。
著者
岡野 正
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.912, 1981-06-15

螢光眼底撮影の最近の進歩は実に目覚ましく,とくにhardwareの主体を構成する眼底カメラに関しては,本邦ではC社・K社・M社・N社・O社・T社など数多いメーカーの開発の努力もあって,容易に良質の螢光眼底写真が撮れるようになった。しかしsoftwareの面では,なお多くの混乱や試行錯誤がみられ,ことにフイルムの活用法については撮影器機の進歩にはるかにとり残されている感がつよい。 螢光眼底撮影では問題を臨床に限っただけでも,解像力の良いmicroangiography的な個々の毛細血管まで微細に写そうとする場合とrapid sequence angiographyとして眼底の血行動態の時間的造影諸相を記録する場合との二つの面がある。両者それぞれ意義があり,理想的な螢光眼底撮影のroutineでは,頻回にしかも良質の映像を記録したいというのが螢光眼底の専門家ならずとも眼科臨床一般のつよい要望である。だが,この二つの性格は手技上必ずしも両立しえないようである。例えば通常使われている36枚撮り白黒フイルム(例:トライX,ネナパン400,イルフォードPH5など)を使った場合,はじめから毎秒3駒などの高速度で使えば12秒でフイルムは終ってしまう。しかも,通常は36枚全部が螢光用に使われる訳ではない。我々の教室では,最初の1駒は患者の名前などのデータ記録用,次の2駒は検眼鏡所見の白黒写真とし,4駒目から螢光造影の記録をはしめる。
著者
松井 克憲 鹿野 共暁 長橋 ことみ 大川 直子 有澤 奈良 成瀬 香織 鈴木 留美 稲本 裕
出版者
静岡産科婦人科学会
雑誌
静岡産科婦人科学会雑誌 (ISSN:21871914)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.126-130, 2019-09

ペグフィルグラスチムは持続性のG-CSF刺激作用を保持し、末梢血中の白血数を増加させる働きをもつ。症例は55歳。再発卵巣癌に対して、DC療法 (ドセタキセル70 mg/m2+カルボプラチン AUC≓ 5) とペグフィルグラスチムを投与中であった。DC療法4コース投与後に発熱と全身倦怠感を主訴に来院した。抗菌薬投与を行ったが、解熱を認めなかった。精査目的に撮影した造影CTで胸部大動脈の壁肥厚と左側優位の両側胸水貯留を認めたため、大動脈炎と診断し、プレドニゾロンの投与を開始した。症状はただちに軽快し、大動脈の壁肥厚も改善した。がん化学療法時に発熱とCRPの上昇を認めた症例は、細菌感染症以外にも血管炎を考慮する必要がある。
著者
内海 真衣
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.307, 2018

目的Lesch−Nyhan症候群は舞踏病様アテトーゼや口唇、指等を噛む自傷行為等により生活面で様々な困難さを抱えやすい。自傷行為に対する有効な治療法はなく身体抑制等、対症療法が用いられる。本報告では入所当初、情緒不安定さが顕著であった本症候群利用者に対する心理支援について検討する。症例19歳、男性A。家族との面会・外泊前後で情緒不安定となり「寂しい」「家に帰りたい」と訴え、より強固な身体抑制を求めることもあった。また自傷行為や汚言に対しては「わざとじゃない」「みんなに僕の病気のことをわかってほしい」と訴え、自分を「情けない」と涙することもあった。経過入所生活と情緒の安定を目的に心理支援を行った。心理士の勤務にあわせて週4〜6回、約30分の個別の時間を設けた。個別の中ではAの話を丁寧に聴き共感的理解に努めた。そしてAの思いを関係者に伝え関わりを助言し周囲とつなぐように支援した。またAが安心して楽しく過ごせるような環境調整を他職員と協働して行った。少しずつ個別の中で気持ちを言語化し消化できるようになり調子の波はありながらも落ち着いて過ごせる日が増え、約10か月後には「ここに来てよかった。僕のことを理解してくれる人がいるから」という言葉が聞かれるようになった。考察Aの行動障害や舞踏病様アテトーゼは精神的ストレスや気持ちの揺れと連動して強まり、自分の意志で抑制できないことで情緒的に混乱した。そして汚言は周囲との意思疎通を困難にした。これらがAの心理的苦痛となっていた。このようなAの体験世界や心理的側面に理解を示しながらAの健康的で肯定的な部分と対話するように関わり続けたことが情緒の安定につながったと考えられた。そして入所生活の安定には職員から障害特性も含めて理解されているという安心感や介助等に対する信頼感、生活上の楽しみや役割が寄与したと考えられた。倫理的配慮本報告にあたり本人および保護者の同意を得た。
著者
内田 照久
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.71-86, 1998-12-30 (Released:2017-08-31)

This study found that segment duration is perceived categorically in Japanese. Using a speech time-scale modification algorithm, PICOLA plus 2, the nonword /kesonato/ pronounced by a native Japanese male was manipulated to generate stimulus continua. The durations of /s/, /n/, /a/, and /t/ closure interval were manipulated in four continua. In the first experiment, three stimulus pairs which had the same disparity in duration were selected from the short, long, and middle region of each continuum. Forty-eight randomized trials were presented to twenty native Japanese, who were asked individually to distinguish the stimuli by the ABX method. Pairs from the short and long regions of the continua were not accurately discriminated while pairs from the middle region were. In the second experiment, 44 stimuli were selected from every continuum. They were presented to the subjects for identification in Hiragana (Japanese characters). The second result demonstrated the existence of a moraic phoneme boundary paralleling the discrimination peak in the first experiment. This research concluded that native Japanese perceive the duration of relatively steady-static sounds categorically. And also it is suggested that native Japanese utilize an automatic duration detection routine.

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1946年09月21日, 1946-09-21
著者
永野 峻祐 小根山 裕之 大口 敬 鹿田 成則
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.841-849, 2010

本研究では,路面電車の利用者増加策としての車両更新効果を明らかにすることを目的として,東急世田谷線の車両更新に着目し,東急世田谷線の評価や満足度の変化,それに伴う利用機会の変化について,アンケート調査・分析を行った.分析の結果,利用促進効果や認知&好感度UP効果は車両の物理的改善やデザインの変化に強く影響を受けることが示された.一方,個人が元々持つ運行サービスレベルの評価や,公共交通に対するイメージや考え方に影響される可能性があることもわかった.また,年齢により車両更新の捉え方に違いがあり,特に年齢層が上がるにつれ利用者の満足度が向上しており,利用促進効果や認知&好感度UP効果も高いことが示された.
著者
丹羽 さがの 酒井 朗 藤江 康彦
出版者
お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター
雑誌
お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター紀要
巻号頁・発行日
no.2, pp.39-50, 2004

近年我が国では、子どもたちに「生きる力」をはぐくむ教育が重視されている。この流れのなかで求められているのは、教育の「長期的な視野からの一貫性」(秋田、2002)であり、特に、幼稚園・保育所と小学校の連携は、いわゆる「学級崩壊現象」との関連から語られるなど注目されている。本研究では、幼稚園、保育所、小学校の連携に向けて基本的に必要なものは、立場が違う者同士が理解し合い、協力し合う姿勢であると考え、連携に向けた基礎的資料の収集を目的として、幼稚園、保育所、小学校の教諭、保護者を対象とした、質問紙法による意識調査を行なった。現在の子どもたちの姿については「自主性・積極性」、日常生活、園・学校生活に必要な「基本的態度」のいずれとも、保護者の方が教諭に比べ、全般的に高く評価していた。育てたい子どもの姿については、「自主性・積極性」と「基本的態度」とも、小学校保護者、幼稚園・保育所保護者、小学校教諭、幼稚園教諭・保育所保育士の4調査対象者間で、重視する程度に違いがあった。学校不適応の背景要因の認識では、「家庭にある問題」「子どもの生活の変化」「小学生をめぐる問題」で、4調査対象者間に認識の違いが見られた。幼保小連携は、まだ始まったばかりの新しい取り組みである。本研究からは、これからのよりよい幼保小連携に向けた取り組みにおいて、連携関係者の互いの理解に資するような、基礎的資料が収集できたものと考える。
著者
福冨 言
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 社会科学系列 (ISSN:02879719)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.67-89, 2007-03

本研究は、日本のマーケティング研究の学術誌である『季刊マーケティング・ジャーナル』と『マーケティング・サイエンス』に過去10年間(1994年~2004年)において掲載された全論文を対象にその内容を分析するものである。この分析のため、各論文の執筆者が“何を説明しようとしているのか”、“その説明の際にどのような要因を重要視しているのか”について集計した。前者を“被説明変数”、後者を“説明変数”と呼び、各論文において用いられている尺度の種類とともにダミー変数を作成し、相関分析をおこなった。 その結果から、近年日本のマーケティング研究の2つの柱石を確認することができる。第1の柱石とは、“メーカーの対外的・戦略的な行動”を“メーカー間の競争や協調といった水平的関係に関する変数”と“メーカーに内在する変数”(技術や資産など)に注目して説明しようとするものである。 第2の柱石は消費者行動に関する研究である。ほぼ半数の論文が“消費者の購買行動”や“消費者の内的な特性”を説明変数としていることがわかる。特に“消費者の内的な特性”(製品知識や関与水準など)は“消費者の購買行動”を説明する際によく用いられている。ただし、消費者に関するこれらの変数を用いた実証研究はリアクティブな尺度を用いた調査に依存していることを確認した。その他の発見事実については本文中において触れる。 以上のことから、日本のマーケティング研究者の関心は、メーカーの行動と消費者の行動・特性を主要な変数とすることに集中しているといえる。この集中傾向は“マーケティングとは何か”、あるいは“マーケティング研究とはどのような研究か”という問いに対する学界の1つの回答であると同時に、日本の学界において見過ごされてきた研究課題をも示唆するものであろう。