著者
永井 晋 永村 眞 山家 浩樹 岡本 綾乃 西田 友弘 高橋 悠介 西岡 芳文 山地 純 井上 和人 永山 由梨絵
出版者
神奈川県立歴史博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

「重要文化財 金沢文庫文書」4149通について、その本文の校訂、年代推定、紙背文書を利用した関連文書群の復元を行い、「重要文化財 称名寺聖教」との接続の関係をあわせて考察し、称名寺収蔵資料群の一群としての金沢文庫古文書の資料的価値を定める努力を行った。その成果は、「金沢文庫文書検索システム」としてデータベースを構築し、インターネットでの公開をめざしたが、接続のための環境整備が調わず、金沢文庫図書室でのスタンドアローンとしての公開となった。データベースでは、古文書本文・書誌情報・画像(古文書表裏)を金沢文庫図書室で公開した。
著者
ケリー W.W. 宮原 かおる 杉本 厚夫
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-12,146, 2003-03-21 (Released:2011-05-30)
参考文献数
16
被引用文献数
2

この論文は、近代スポーツに潜む深遠なアイロニーについて論じる。それは、スポーツ場面において、われわれの多くがしばしば経験する勝利ではなく負けについて、あるいは成功を味わうことではなく、敗北に直面することについてである。勝利の満足ではなく敗北の失望は、プレーヤーにも観客にも共通している。本論では負けることに関して大まかに3つのタイプに分ける。ひとつは絶えず必要に産み出される敗者のような「日常的な敗北」、そして、解雇、放出、辞職といったような完全な失敗としての「致命的敗北」、さらに前二者の中間にあって、負けを繰り返す「反復的敗北」である。反復的敗北は受け入れることと説明することが最も難しい敗北である。地域の絶大なる人気を誇るが負けてばっかりの大阪プロ野球チーム、阪神タイガースを事例として、プレーヤーとファンが如何にして反復的な敗北を捉え、調整して、そして受け入れるのかを、いくつかの要因によって分析する。これらの要因には、多くのスポーツに共通の要因、スポーツとしての野球に特有な要素、日本の野球に特有な要因と阪神タイガースに特有の言いわけを含む。著者は苦々しい敗北という結果にもかかわらず、人々はプレーし続け、また見続けるという文化的に屈曲させられた言いわけと構造的なパターンのセットを識別しなくてはならないと考える。そして、さまざまな場面で「敗北の論理」は単一の要因によって説明されるものではなく、複合的なモデルによって説明されるものなのである。
著者
井上 純一
巻号頁・発行日
2005-11-18

HUSCAPに登録済みの2004年度版「情報理論講義ノート」の改訂版です。講義スライドも同時に利用できます。 なお、下記URLからもダウンロードできます。 http://www005.upp.so-net.ne.jp/j_inoue/index.html
著者
大島 俊之
出版者
神戸学院大学
雑誌
神戸学院法学 (ISSN:03862046)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.73-110, 1999-05
著者
山本 秀和 小山 浩
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.662-672, 1997-07-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
103
被引用文献数
7

大規模集積回路(LSI)は,シリコン単結晶基板(ウエハー)を用いて製造ざれる.これまで,デバイス特性向上の要求に対し,ウエハーの品質は充分なマージンを持ち,大きな問題は起こさなかった.しかし,近年その状況が大きく変化してきている.シリコンウエハーの製造プロセスは,結晶引ぎ上げとウエハー加工に大別されるが,両者に起因したデバイス不良が発生し始めた.そこで,これらの不良をともに改善できるエピタキシャル成長ウエハーが注目されている.ざらに,マルチメディア時代の半導体デバイスを開発する上で,一つのプレークスルーをもたらす薄膜SOIウエハーも本格的に検討され始めた.ここでは,これらデバイス不良の現状を解説し,次にその解決策としてのウエハー仕様の変更と次世代ウエハーの展望について述べる.
著者
鈴木 真
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.319-348, 2001-12

This article analyzes fiscal problems existing before and after the enthronement of Emperor Yongzheng 雍正帝, taking the cases of auditing the silver reserves of the Board of Revenue and its deficits. Then, the author clarifies the relationship between regulations concerning corruption by the bureaucracy concerned with the fiscal affairs and the establishment of Imperial power.Emperor Yongzheng, who was well informed about fiscal corruption, intended to grapple with reform as soon as he ascended the throne.The establishment of Imperial power and taking hold of the empire’s purse strings were indivisible. Solving of the silver reserve deficit was an immediate problem.Yongzheng ordered Yi Qinwang 恰親王 and Boldo, who had been his advisors since he was a prince, to audit the silver reserves of the Board of Revenue. Consequently, it was found in the silver deficit amounted to two million six hundred thousand liang.Yongzheng ordered former members of the Board to compensate the deficit. However, there were some bureaucrats who did not comply. They were Manchu bannermen. This fact suggests that the substance of the deficit did not involve simple illegal acts by bureaucrats but it was related to Manchu bannermen.From such a viewpoint, the author clarifies the background of the deficit caused by Board member Hifene and a clerical official of the Reserves, Zeng Dengyun 曽登雲, in order to detail the embezzlement.Emperor Kangxi 康煕帝’s princes participated in both cases. Especially in the case of Zeng Dengyun, fiscal administration was affected by the embezzlements caused by vertical relationships among the Eight Banners, between banner princes and banner bureaucrats, and their bondservants, or between banner bureaucrats and their employees.Therefore, Yongzheng, who intended to establish his power, had to carry out reform immediately after his enthronement. Furthermore, the fact Yongzheng appointed followers under his influence to the bureaucracy and tried to resolve the fiscal problems suggests a necessity to understand the fiscal history of the Qing dynasty in terms of the influence of the Eight Banners.
著者
中村 修也
出版者
文教大学
雑誌
教育研究所紀要 (ISSN:09189122)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.43-54, 1997-12

SPEEDという小学6年生を含む歌手グループの出現は、これまでの安穏としていた義務教育の存在を考え直させる機会を与えてくれた。援助交際や芸能活動などで、若者が高額収入を得る方法は一般化しつつある。教育が富国強兵をスローガンにしてきたならば、日本は十分豊かになり、目的を果たしたことになる。では今後、教育の必然性はどこにあるのか。
著者
関 奈緒 齋藤 玲子 佐々木 亜里美 田邊 直仁 岩谷 淳 岡崎 実 磯谷 愛奈 大面 博章
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は,(1)学区内の地域住民のインフルエンザ発症率と学童の発症率は強い正の相関を示すこと,(2)児のワクチン接種及び「こまめな手洗い」には発症予防効果が認められるが,「マスク着用」は発症リスクを増加させること,(3)情報提供シートのみの行動変容介入は十分ではないことを明らかにした。学童の発症予防は地域の流行制御対策の核であり,予防行動の実施促進に向けたより効果的な介入方法が必要と考えられた。なお,3日以上の学級閉鎖(学年・学校閉鎖を含む)は当該学区における閉鎖後の学童の発症率抑制効果が認められたが,地域住民の発症率抑制効果は認められなかった。
著者
櫻井 準也 Junya SAKURAI 尚美学園大学総合政策学部 Shobi University
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 = Bulletin of policy and management, Shobi University (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.99-113, 2017-09-30

現代のポピュラー・カルチャー(大衆文化)の一つであるわが国の漫画には、多くの作品に考古学者が登場する。その作品数は1990年代になるとさらに増加し、そのジャンルも多岐にわたる。また、数多くの遺跡や考古学者が登場する長期連載の青年漫画が出現すること、考古学者が登場する少女漫画が増加することも1990年代の特徴である。さらに、この時期の考古学者キャラクターには従来のようなサファリ・ルックの中年男性も存在するが、実際の考古学者イメージに近いキャラクターも多くみられる。この傾向は1980年代後半からの傾向を踏襲するものであるが、その背景として発掘現場などの詳細な調査に基づく作品制作、人物表現の精緻化、さらにはわが国において考古学者が認知されてきたことが考えられる。The archaeologist appeared in Japanese comics which are one of the contemporary popular cultures at many works. In 1990s, the number of works further increases and the genre is also various. Moreover, it is also the features of Japanese comics of the 1990s that the youth comics of the long-term series in which many archaeological sites and archaeologists appear, and that the number of the girls' comics in which an archaeologist appears increases. Furthermore, while the middle-aged male of Safari look like before existed in the archaeologist character of this time, many characters similar to an actual archaeologist came to be seen. This distinction has followed the tendency of the archaeologist character of the second half of the 1980s, and can consider the works based on the research of archaeological site spot, and elaboration of character expression, and also archaeologist has recognized in Japan as that background.
著者
三内 悠吾
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.73-78, 2018-10-24 (Released:2018-10-24)
参考文献数
13

ヒガシシマドジョウCobitis sp. BIWAE type C の生活史には未解明な部分が多く,産卵環境や仔魚・稚魚の育成環境についても同様である.著者は河川内の浅い水域において本種の卵を採集・確認したので報告する.
著者
山田 尚勇
出版者
国立情報学研究所
雑誌
学術情報センター紀要 (ISSN:09135022)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.73-112, 1995-03-31
被引用文献数
1

ワープロが普及し、常時活用する者が増えるとともに、かな漢字変換などのわずらわしさを嫌って、「直接」入力法に関する関心が高まっている。本稿ではかつて筆者たちが行なった2ストローク入力法についての、約10年まえの紹介の自後経過をまず報告し、次いで当時から問題であった、技能習熟訓練を普及させる努力の現状と、特に小中学生からの習熟に欠かせない、人間工学的に配慮された小型キーボードの開発の必要性について述べる。最後に、変換入力法における文字使いをもっと知能的に改善する方略と、ローマ字入力におけるつづり方の統一について考察する。なお付録として、アメリカ合衆国ミネソタ州における、キーボードの使い過ぎによって起こったとする手の異常に対して起こされた損害賠償請求裁判の経過の速報と評価をつけてある。
著者
宮下 剛輔 栗林 健太郎 松本 亮介
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.677-686, 2020-03-15

システムの大規模・複雑化にともない,サーバの構築・運用を効率化するために,サーバの設定状態をコードで記述する手法が数多く提供されている.それらの手法を効率良く扱うプロセスとして,テスト駆動開発の手法をサーバ構築に応用したProvisioning Testingという手法が提案されている.この手法を支援するテストフレームワークもいくつか登場しているが,あるものは特定の構成管理ツールに依存,またあるものはOSごとの違いを自ら吸収しなければならないなど,汎用性に難がある.シェルコマンドを直接記述する必要があり,可読性に難があるものも存在する.そこで本論文では,生産性や保守性を向上するために,サーバの設定状態を汎用的かつ可読性の高い宣言的なコードでテスト可能なテストフレームワークを提案する.提案手法では,汎用性を高めるために,OSや構成管理ツール固有の振舞いを整理して一般化し,運用業務で発生するコマンド群を体系化・抽象化した汎用コマンド実行フレームワークを定義する.続いて,テストコード記述の抽象度を高め可読性を上げるために宣言的な記法で汎用コマンド実行フレームワークを操作できる制御テストフレームワークを定義する.これにより,管理者がOSや構成管理ツールの違いを気にすることなく,可読性の高いコードでサーバの設定状態を容易にテストできるようになり,サーバの運用・管理コストを低減できる.提案するテストフレームワークをServerspecと名付けた.提案手法の評価は,生産性,保守性に加え,拡張性,実装公開後の影響の4つの観点で行った.
著者
Masaharu TSUBOKURA Yuko NABESHIMA Michio MURAKAMI Tsuyoshi NEMOTO Toshiyuki KAMBE Saori NONAKA Yuki SHIMADA Yurie KOBASHI Akihiko OZAKI Tomoyoshi OIKAWA
出版者
The Japan Academy
雑誌
Proceedings of the Japan Academy, Series B (ISSN:03862208)
巻号頁・発行日
vol.96, no.2, pp.70-78, 2020-02-10 (Released:2020-02-10)
参考文献数
31
被引用文献数
13

Responding to the radiation-related concerns of parents/guardians with infants/small children is an important public health issue for regional recovery after radioactive contamination. This study summarizes the results of a systematic internal contamination screening of infants/small children, aged 0–6 years, using BABYSCAN and individual counselling sessions with physicians about radiation concerns from 2014 to 2018 in Minamisoma City. Of 3,114 participants, no one was found to have internal contamination with radioactive caesium with a detection limit of 50 Bq/body. The questionnaire survey showed a decreasing trend of concerns about food contamination and playing outside as possible causes of internal contamination over time. Because people’s concerns were diverse in counselling sessions, individual responses are required. This study showed that examinations using BABYSCAN provide an opportunity for direct dialogue between the parents/guardians of infants/small children and experts. This can be considered a model case for risk communication conducted by the local government after a radioactive contamination incident.
著者
住元 真司 稲田 由江 三輪 英樹 三吉 郁夫
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2019-HPC-172, no.6, pp.1-6, 2019-12-11

本稿では,Arm SVE プロセッサである A64FX 上で可変ベクトル長バイナリを用いた著名 HPC ベンチマークプログラムの評価について報告する.A64FX は Arm SVE アーキテクチャに対応しているため実行時に SIMD ベクトル長を変更できる上,独自にメモリバンド幅も変更可能である.これらの機能を用いて著名ベンチマークの実行特性を評価する.