著者
藤原 正規 中澤 公揮 甲谷 繁 塚本 効司 小渕 修平 上田 寛樹 川島 祥 上田 昌宏 清水 忠
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.2020-068, 2021 (Released:2021-03-30)
参考文献数
15

基礎薬学系実習の評価において,これまで汎用されていた実習レポートの評価だけでなく,技能と態度も含めた総合的な評価が求められている.本研究では,物理系薬学実習の受講生に対してアンケートを実施し,レポートルーブリックおよびピア評価の導入に対する意識を調査した.アンケートのCS分析の結果,レポートルーブリックに対して,重要維持項目となったのは,「目標の明確化」と「課題の具体化」であった.一方,要改善項目は「学習意欲の向上」と「目標達成意欲」であった.ピア評価において,重要維持項目となったのは,「実習実施における必要性」,「学習意欲の向上」と「自身の実習態度への影響」となり,要改善項目は示されなかった.以上の結果から,基礎系実習科目において,レポートルーブリックは,受講生に対して目標の明確化および課題の具体化という点で影響を与え,ピア評価は,受講生自身の実習態度に影響することが示された.このため,両評価を組み合わせた評価を行うことが必要であることが示された.
著者
鈴木 聡 阿部 悟朗 尤 郁偉 石橋 秀昭 伊藤 理
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経外科救急学会 Neurosurgical Emergency
雑誌
NEUROSURGICAL EMERGENCY (ISSN:13426214)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.73-79, 2021 (Released:2021-03-24)
参考文献数
9

口腔内不衛生に起因し,中枢神経障害を主たる症状とする重症感染症二例を経験した.症例1は53歳の男性.発熱とけいれん,意識障害にて救急搬送された.頭部・顔面CT検査にて,左硬膜下膿瘍が存在すると共に,上顎洞から前頭洞にかけて広汎に膿が貯留していた.細菌培養にてα‒streptococcusが同定された.抗生剤大量投与にて頭蓋内感染は鎮静化した.齲歯が多数見られた.未治療の糖尿病もあり,口腔内の不衛生と糖尿病が相まって歯性上顎洞炎,硬膜下膿瘍を来したものと考えられた.症例2は63歳の男性.発熱とけいれん,意識障害にて救急搬送された.頭部CT・MR検査にて,頭蓋内に散在する出血巣と梗塞巣あり.心エコー検査にて僧帽弁に疣贅が見られた.感染性心内膜炎に伴う心原性脳塞栓症,細菌性動脈瘤破裂に伴う脳出血と考えられた.血小板減少もあり,播種性血管内凝固症候群(DIC)を呈していた.細菌培養にてStaphylococcus aureusが同定された.抗生剤大量投与,トロンボモデュリン投与を行い,感染症,DICは改善の方向に向かったが,腎不全の進行,頭蓋内出血にて来院4日後に死亡された.口腔内不衛生に伴う全身感染症・中枢神経障害は,稀ではあるが重篤な転帰をもたらすことがある.口腔内ケアが困難か怠っている患者,あるいは後天性免疫不全症候群など重度な免疫不全状態にある高リスク患者ではなく,一般市民に起きた事も注目すべき点であると考える.
著者
木村 幸一郎 伊藤 毅
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
vol.60.2, pp.41-44, 1958-10-05 (Released:2017-08-30)

早稲田大学理工学部音響研究室に新しく造られた無響室及び残響室の音響特性がほぼ明らかになったので、ここに報告する。この音響測定室は、早大理工学部の建築学科及び電気通信学科の共同管理の下に、主として建築音響に関する測定を行う目的で建造されたものであつて、一つの隔壁を境とした残響室と無響室とから成り、隔壁には窓が設けられている。この測定室の附属設備は、デンマークのBruel & Kjaer会社製の音響測定装置一式より構成されており,その内容は次の通りである。[table]以上の設備によつて、建築材料の吸音率や透過損失は勿論、電気音響機器の特性測定、音場の騒音レベルの測定、消音器の音響減衰度の測定、送風ダクトの音響減衰度の測定等各種の音響測定が可能である。尚本測定装置の費用の一部は昭和31年度の文部省、私学設備助成金によるものである。
著者
倉田 和範 船着 裕貴 林田 一成 安部 大昭 小幡 賢吾
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1619, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】入院患者は活動量が大きく低下し,廃用症候群が進行することが報告されている。リハビリテーション(リハ)中に歩行練習等を通じ活動性向上を促しているが,時間的にも限界がある。このため,リハ時間外の病棟内における活動性をいかに向上させるかが重要であると考える。しかし,患者は他者の見守りや介助を敬遠しがちであり,杖や歩行器などの歩行形態を問わず,歩行自立とすることが望ましい。これらのことから,病棟内歩行自立に影響する因子を検出することで,より安全かつ客観的に歩行自立を判断することが可能になると考える。そこで,入院患者における病棟内歩行自立に関連する因子を抽出することを,本研究の目的とした。【方法】対象は2016年4月以降に整形外科病棟でリハを開始,および2016年9月までに退院した75歳以上の入院患者160名。このうち退院時に寝たきり,立位などの測定姿勢困難,認知症または精神疾患による患者の理解困難,測定の同意が得られない,急遽の退院等によるデータ欠損,入院前から歩行困難,に該当した85名を除く75名を調査対象とした。診療録より年齢,性別,下肢疾患の有無,Mini Mental State Examination(MMSE)および退院時のFunctional Independence Measure(FIM)を抽出し,退院時に握力,大腿四頭筋筋力,Short Physical Performance Battery(SPPB)およびFall Efficacy Scale(FES)を評価した。歩行形態は問わず,退院時のFIMの移動・歩行項目の6点以上を自立群,5点以下を非自立群とし,病棟内歩行自立可否によって2群に分けた。統計学的解析として,連続変数に対しては正規性を確認した後に,wilcoxon順位和検定または対応のないt検定,カテゴリ変数に対してはχ2検定を用いて単変量解析を行った。次に多変量解析として病棟内歩行自立可否を従属変数,有意差が認められた変数を独立変数として多重ロジスティック回帰分析を行った。有意水準は危険率5%未満とした。【結果】自立群35名,非自立群40名であった。単変量解析の結果,有意差が認められたのは年齢(自立群82.3歳vs非自立群87.2歳),握力(32.9%BWvs27.6%BW),大腿四頭筋筋力(22.5%BWvs16.4%BW),SPPB(7.9点vs3.8点),MMSE(25.5点vs18.5点),FES(30.9点vs26.2点)で,性別および下肢疾患の有無は有意差を認めなかった。多重ロジスティック回帰分析の結果,病棟内歩行自立に関係する因子としてMMSEおよびSPPBが抽出された。オッズ比はMMSE1.82,SPPB2.12であった。ROC曲線を用いてカットオフ値を算出したところ,病棟内自立歩行可否のカットオフ値はMMSE23点,SPPB6点であった。【結論】病棟内歩行自立可否を検討するうえで,年齢や下肢疾患の有無よりも,認知機能と身体機能が重要な因子であることが示された。得られたカットオフ値を用いることで,根拠に基づいた入院患者の歩行自立を検討できるのではないかと考える。
著者
齊藤 信夫
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

インフルエンザ流行防止策として学級閉鎖の効果を解析するため、閉鎖状況の情報収集を行ったが、解析に十分な閉鎖回数、期間がみられなかった。今後、他地域でも情報収集を行う必要がしめされた。流行防止対策として、最も重要であるワクチンの効果について解析を行った結果、ワクチンの発症防止効果は2011/2012~2013/2014シーズンでインフルエンザAに対して32%、Bに対して13%と低い防御効果であった。ワクチン効果が低い要因として、毎年、連続してワクチンを接種するとワクチン効果が用量依存的に下がるということを統計学的に示すことが世界で初めてでき、感染症領域で最も権威ある国際誌で発表した。
著者
柳 奈津子 小池 弘人 小板橋 喜久代
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.29-35, 2003-02-01 (Released:2010-04-23)
参考文献数
21
被引用文献数
6 6

【背景・目的】本研究の目的は, 呼吸法によるリラックス反応について明らかにすることである.【対象と方法】リラクセーション技法の練習が初めての健常女性79名 (実験1 : 35名, 実験2 : 44名) を対象とした。実験1では, 被験者全例が呼吸法を行う実験群と安静のみの対照群の両群を実施した.5分間の呼吸法または安静の実施を実施中とし, 実施前後の脈拍, 血圧を測定した.実験2では, 無作為に22名ずつ実験群と対照群の2群に分け, 実施前, 実施中, 実施後に各3分間の脳波を測定した.【結果】実験群では, 実施後に脈拍数は有意に減少したが, 対照群では変化はなかった.血圧は両群ともに変化はなかった.α波は, 実施後に実験群では増加し, 対照群では低下し両群間に有意差が認められた.β波は, 実施後に実験群では低下し, 対照群では増加したが有意差はなかった.【結論】呼吸法は安静に比べて脈拍数を減少させ, α波を増加させることが明らかとなった.呼吸法は初回練習者でも他のリラクセーション技法と同様の反応が得られると考えられた.
著者
都築 啓晃 西島 孝則 岡村 勝正 尾山 廣
雑誌
日本薬学会第141年会(広島)
巻号頁・発行日
2021-02-01

【目的】 ワサビノキ ( Moringa oleifera ) は主にモリンガと称され、インド北西のヒマラヤ山麗を原産地として熱帯地方で栽培される。日本ではスーパーフードとして栄養価について注目されることが多いが、原産地においても、葉・花・莢・種子・根などが伝統医学であるアーユルヴェーダとして利用されてきた歴史がある。しかしその一方で、薬効に関しての科学的検証は未だ限られており、今後の研究の蓄積が望まれている。そこで本研究では、ワサビノキの新規機能解明の一環として、その種子抽出物における各種評価試験を実施した。【方法】1. ワサビノキ種子をグリセリン溶液にて抽出した2. ラット肝ホモジネートを用いて、5α-リダクターゼ反応に対する阻害試験を行った3. テストステロン処置したLNCaP細胞の増殖に対する抑制作用を評価した4. 上記処置におけるprostate-specific antigenのmRNAを定量解析した5. 汚泥水 (OD600=1.5) に対する濁水浄化活性の検討を行った【結果】 ワサビノキ種子抽出物に5α-リダクターゼ反応の阻害作用をはじめ、各種の男性ホルモン活性に対する阻害作用が確認された。さらに、同素材には濁水浄化作用も観察された。【考察】 テストステロンは5α-リダクターゼによってディハイドロテストステロンに変換され、より強力な受容体リガンドとして作用する。この一連の作用機構は筋肉や骨の形成においては不可欠とされているが、その一方、過剰な男性ホルモンの活性は前立腺肥大症や若年性脱毛症の要因となることが懸念されている。今回、我々が見出したワサビノキ種子抽出物の抗アンドロゲン作用は、上記のような症例に対する対症療法の一つとなる可能性を示唆した。また近年、機能性の化学物質を高配合した洗剤・シャンプー剤などに起因する生活排水が水質汚濁を招き、環境負荷を高めているとの疑念があるが、このようなケースにおいても、水質浄化作用を備えた天然由来資源を製品開発へと利用することで、製品の消費プロセスにおける持続可能な環境負荷軽減に貢献できると考えられる。

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1905年09月18日, 1905-09-18
著者
大阪市土木部 [編]
出版者
大阪市土木部
巻号頁・発行日
vol.昭和13年版, 1938
著者
小渕 千絵
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.1-6, 2021 (Released:2021-03-26)
参考文献数
25

声の韻律情報は,言語情報の意味,文法構造としての指標,感情理解や声の自然性に関与するとされているが,聴覚障害児者では,韻律情報の知覚や利用には限界があるとする先行研究が多い.そこで補聴器装用,および人工内耳装用の聴覚障害児者におけるアクセントやイントネーション,感情などの韻律情報に関する知覚や産生の研究に焦点をあて,自験例を含めて現状と今後の課題について検討した.いずれの報告にしても,補聴器装用児者の韻律情報の知覚や産生では,平均聴力や低周波数帯域の聴力程度,聴覚活用程度などにより不良となり,人工内耳装用児者では低周波数帯域の残聴の程度や対側の補聴器使用,装用時期,装用期間によって韻律情報の知覚や産生に影響した.これらの基準に当てはまらず韻律情報処理が可能な例や,音楽的なトレーニングにより改善する可能性も示唆されており,今後はさらなる要因検討や標準検査の開発などが必要と考えられた.
著者
三島 大暉 宇陀 則彦
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.51-70, 2021-02-28 (Released:2021-03-26)
参考文献数
33

2019年4月に改正文化財保護法が施行され,地域における文化遺産の活用が重視されるようになった.しかし,地域で活用が期待される文化遺産の情報は発見されにくい現状がある.本研究では,そのような地域文化遺産情報の発見可能性の向上のため,市区町村がWebに公開する文化財リストを地域文化遺産情報のコア情報として集約し,Linked Dataにより他の情報源との連携を可能とするメタデータモデルおよびシステムの機能要件を提案した.本メタデータモデルおよび機能要件に基づき,「地域文化遺産情報発見支援システム」を構築して評価した結果,市区町村が刊行・公開する書籍やWeb情報を含む信頼性の高い地域文化遺産情報を横断して発見できることを確認できた.