著者
高橋 庄二郎
出版者
一般社団法人 日本口蓋裂学会
雑誌
日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.49-61, 1990-07-31 (Released:2013-02-19)
参考文献数
80

口唇裂'口蓋裂は世界のすべての民族にみられる,最も頻度の高い顎顔面の先天奇形であり,日本人は理由は明らかでないが,口唇裂・口蓋裂の発生頻度の最も高い民族である.口唇裂・口蓋裂の発生機序と発生原因に関する最近の考え方が述べられた.口唇裂'口蓋裂の成因は異質性であり,そのため発生機序も複雑である.一般に,一次口蓋の破裂である口唇裂は内側鼻突起と外側鼻突起の下方端における癒合不全によって,二次口蓋の破裂である口蓋裂は口蓋板の接触不全によって生じると考えられている.口唇裂・口蓋裂に関連する症候群を除く通常の口唇裂・口蓋裂は一般に多因子しきいモデルで説明されている.日本人における口唇裂・口唇顎口蓋裂と単独口蓋裂を発端者とする家系調査の結果は多因子遺伝の予言によく一致し,前者の分離比分析の結果は弧発例の84.6%が単純な劣性遺伝様式で説明されえないことを示した.一方,実験動物において口唇裂・口蓋裂を誘発する環境因子が数多く見い出されている.ヒトでは妊娠母体の風疹ウイルス感染とステロイド剤および抗てんかん剤の服用が注目されるべきである.
著者
講談社文芸文庫編
出版者
講談社
巻号頁・発行日
2013
著者
臺丸谷 美幸
出版者
国立研究開発法人水産研究・教育機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

アメリカ合衆国市民として朝鮮戦争へ従軍した日系アメリカ人二世に焦点をあて、従軍が彼らの社会生活へもたらした影響をジェンダーとエスニシティの視点から解明した。カリフォルニア州出身者を対象とし、日系新聞の分析、退役軍人へのインタビュー調査、朝鮮戦争記念碑建設などにみる従軍経験の再記憶化の考察を行った。日系二世たちにとって従軍経験は退役後の社会参入を促し、進学や就職へ直結する生活基盤を築く契機となったが、この背景には1950年代の冷戦対立と国内の人種政策が密接に絡んでおり、これは合衆国における移民の排除と包摂を巡るポリティクスとして捉えることが可能であることを示した。

1 0 0 0 OA 大函館論

著者
阿部覚治 著
出版者
紅茶倶楽部
巻号頁・発行日
1928

1 0 0 0 OA 法学通論

著者
小山松吉 著
出版者
尚文堂
巻号頁・発行日
vol.第1分冊, 1929
著者
浜田 知久馬
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.153-157, 2002-07-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
4
被引用文献数
1
著者
源 宣之
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.213-222, 2004 (Released:2005-06-17)
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

狂犬病は, 狂犬病ウイルスの主に咬傷からの感染によって起こる人獣共通感染症で, 人では恐水症とも呼ばれている. 発病した場合, 重篤な神経症状を伴ってほぼ100%死亡する極めて悲惨かつ危険な疾病である. 本病は紀元前23世紀頃より既に人類に知られていたが, 多くの急性感染症の発病が減少した今日においても, 世界におけるその発生状況は旧西欧各国を除いてここ数十年大きな変化はない. 日本では1957年を最後に本病の根絶に成功したが, アジア各国を含めた世界の発生状況には憂慮すべきものがあり, 我が国の防疫対策はおろそかに出来ない.
著者
安野 浩一朗 岩塚 雄大 西畑 剛 古牧 大樹 森屋 陽一 伊野 同
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_90-I_95, 2012 (Released:2012-09-18)
参考文献数
9
被引用文献数
1

2011年3月11日に発生した東日本大震災は,今まで築き上げてきた構造物の設計における考え方や手法などの妥当性を根底から改める必要性を投げかけられるものであった.これまでは,一定の想定設計値に対する安全性を確保することのみを対象に構造物を設計してきたが,外力が想定を越えた場合の構造物の変形に関する知見は殆ど蓄積されておらず,それらに関する知見の構築は今後の重要な課題と考えられる.本研究では,外洋護岸に設置された消波ブロック群に着目した水理模型実験を行い,設計津波を越えた津波外力場におけるブロック群の大規模被災の形態,そのメカニズムや想定される周辺への影響などについて基礎的な知見を得ることを目的とした.
著者
稲田 由美子
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.389, pp.120-122, 2007-10

フランスでの5年間にわたる修業後、「文明楼」(東京・麻布)、「フレール・ジャック」(自由が丘)などで料理長を務め、93年、東京・恵比寿に「MUSHROOM」を開業。フランス滞在中、野生のキノコに魅せられ、現在でも天然キノコのシーズン中は、毎週のように自らキノコ狩りに出かける。
著者
山本 芳明
出版者
学習院大学
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.7, pp.276-257, 2008

嘉村礒多は、昭和三年から八年にかけての短期間に、自らの身辺を題材とした、三十ほどの短編小説を書いただけのマイナー作家であるにも拘らず、彼の文学史的な地位は大変高い。嘉村が正典に登録されているといっても誤りではない。こうした事態をもたらしたものは、発表された作品に対する、同時代の評者の熱烈な支持と考えられる。それは同時代評を検討することによって確認することができる。デビュー以来、モダニズム文学・プロレタリア文学の両陣営から一定の肯定的評価を得ていた嘉村であったが、転換点となったのは、昭和五年一月号の「新潮」に発表された「曇り日」であった。この作品によって、嘉村は私小説という限定を突破して、時代を超えた人間性を描いた作家として認知されるに至った。作品は主人公の「私」の卑小さを徹底して描いており、その一貫した筆致が同時代の評者に強烈な印象を与えていた。ただし、「曇り日」は嘉村の文壇的地位を決定的に高めたわけではなく、昭和七年が嘉村を文壇の頂点に押し上げた年となる。
著者
城 憲秀
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-08-30

病原体やがんに対して中心的役割を果たす「T細胞」の産生臓器「胸腺」は、思春期以降に退縮する。このため、末梢T細胞は加齢の影響を受けやすく、増殖能低下・炎症性サイトカイン産生能の上昇など様々な機能的変容を来す。この現象は「T細胞老化」と呼ばれ、多くの加齢関連疾患の基礎をなすことが明らかになってきた。申請者らは加齢に伴いT細胞のミトコンドリア量と膜電位が低下することを見出した。本研究では、1)胸腺退縮に伴いT細胞のミトコンドリア障害を誘導する機構、および2)ミトコンドリア変化がT細胞老化の機能的特徴に果たす役割を解明し、3)T細胞老化を正常化する介入法を探索することを目的とする。

1 0 0 0 OA 検閲と日本人

著者
山本 武利
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

GHQは1945年9月1日から1949年11月31日まで検閲を行った。CCDとCIEを使って巧みに日本人を統治した。郵便など通信やメディアの検閲で日本人の諜報活動を把握した。CCDの雇用者は日本人であったが、検閲の存在の公表を許さなかった。そうしながら、日本では新憲法で言論の自由が保証されているといった巧みな戦術・戦略を実行した。左翼メディアや少数の右翼メディアは巧妙な検閲体制に批判しが、多くのメディアは軍事裁判、発行禁止、没収、、パージ、用紙統制のしたがった。こうして日本人とメディアを使った日本のアメリカ化が促された。
著者
山本 武利
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

CCDはコミュニケーションの監視とインテリジェンスにつながる情報の獲得を目的としていた。監視の目的は、軍事的な安全の確保と治安を乱すコミュニケーションの排除であった。日本政府の降伏条件への服従の度合いを探る工作を行った。とくに日本の民主化に注視していた。そのために郵便、電信、メディアの検閲に力を入れた。そのために多数の日本人を採用して検閲者にした。能力のある日本人を現場で教育し、役に立つものは抜擢し、能力がないと見た者は整理した。日本人は次第に協力的になり、検閲者として重宝されるようになった。とくに日本人女性の能力を評価し、管理職DACに採用した。日本での検閲は成功したとGHQは判断した。
著者
Noboru Hamada Jaeduk Yoshimura Noh Yasuyuki Okamoto Miki Ueda Toshiaki Konishi Toshimichi Fujisawa Koichi Ito Kunihiko Ito
出版者
The Japan Endocrine Society
雑誌
Endocrine Journal (ISSN:09188959)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.645-649, 2010 (Released:2010-07-30)
参考文献数
22
被引用文献数
6 10

There is some debate over the clinical utility of measuring serum TgAb to assess the presence of thyroid autoimmunity. To clarify the relationship between TgAb levels and thyroid autoimmunity, a histological examination of thyroid tissue was carried out on unselected living individuals with detectable serum TgAb. 146 patients with a pathological diagnosis of follicular adenoma were selected as subjects. Focal lymphocytic infiltration (FLI) was defined as lymphocytic aggregates of more than 200 in number. A thyroid gland in which 0-1 FLI was observed in a few visual fields of low magnification (20 × 4) in thyroid tissue adjacent to a tumor was judged to be normal and a thyroid gland in which 2 or more FLI were observed was diagnosed as focal lymphocytic thyroiditis (FLT). Serum levels of TgAb and TPOAb were measured by radioimmunoassay. Out of the 146 patients, 18 had detectable serum TgAb and 16 had detectable serum TPOAb. All but one (i.e. 94%) of the 18 TgAb positive patients had FLT and 14 out of the 16 TPOAb positive patients had FLT. The sensitivity (17/32; 53.1%) and specificity (113/114; 99.1%) of TgAb for detecting FLT were higher than those (14/32; 43.7% and 112/114; 98.2%) of TPOAb, but the differences were not significant. In 9 patients who were TgAb positive (but TPOAb negative), 8 (88.9%) had FLT. These results throw doubt on the Laboratory medicine practice guidelines published in Thyroid 2003, in which measuring TgAb is not usually necessary for detecting autoimmune thyroid disease. At least measuring TgAb by sensitive assay is useful for assessing the presence of thyroid autoimmunity in Japan, an area with high iodine intakes.
著者
新藤 哲也 牛山 博文 観 公子 安田 和男
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.29-35, 1999-02-05
参考文献数
19
被引用文献数
1 3

市販及び野生キノコ合計54種85検体のシアン含有量を調査した結果, 18種44検体からシアンが検出された. 市販キノコではニオウシメジが最も多く86~283μg/g (<i>n</i>=11) のシアンが検出された. 次いでマイタケで1.8~46μg/g (<i>n</i>=6) 及びシロアワビタケで1.1~26μg/g (<i>n</i>=7) と高い値であった. 採取した野生のキノコでは1.0μg/g以上のシアンを検出したものはみられなかった. また, キノコ中のシアンは遊離型で存在していると推察した. ニオウシメジを網焼きした場合, やや焼きすぎの6分間加熱でも加熱前の65%のシアンが残存した. また, 水煮した場合でも, キノコ中に27%が残存し, 煮汁に19%が溶出した.
著者
河合 眞澄
雑誌
文学史研究 (ISSN:03899772)
巻号頁・発行日
no.44, pp.1-9, 2004-03

一、演劇への依存と類型的人物 : A、伏姫と八重垣姫 : 曲亭馬琴の読本『南総里見八犬伝』第十二回には、伏姫が犬の気を受けて懐胎する条があり、そのとき伏姫は、止水に映った自分の顔が犬に見えたことに驚く。この趣向は、実は浄瑠璃『本朝廿四孝』四段目で、上杉謙信の息女八重垣姫が、許婚武田勝頼に危急を知らせようとして、諏訪法性の兜をひそかに持ち出す場面に想を得たものと考えられる。……