著者
山本 早里
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.107-112, 2021-03-01 (Released:2021-03-01)

教育施設における色彩計画の2事例を挙げ,コンセプト,内容,効果を詳述した。1件目は筑波大学の築40年,約4000戸の学生宿舎を毎年数棟ずつ改修した事例,および福利厚生施設の改修の事例である。建物の形状を利用してアクセント色を用いたり,隣接する棟に共通するベース色を用いたり工夫をした。2件目は茨城県立土浦第三高等学校で,築40年を経て改築した事例である。外部にはあまり使われない色をアクセント色に使い独自色を高めたり,特別教室の各室のイメージカラーによるアクセント色を内部色彩に用いたりした。これらの色彩計画の結果,学生や生徒によい影響が見られるなどの効果が得られたことに言及した。
著者
海老澤 直美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.93, 2021-03-01 (Released:2021-03-01)

2021年3月号の特集は「色彩による情報提供」です。数多あふれる情報から欲しい情報を瞬時に得ようとする時,まずは目に入る情報のうち文字ではなく色で判断していることが多いのではないでしょうか。例えば,トイレの入口のマークで男性が青,女性が赤という色がもし逆だとしたら間違える確率は高くなるのではないでしょうか。図書館などの現場においても,利用者に情報を的確にわかりやすく提供するにあたり,案内表示,オンライン蔵書目録のインターフェース,什器類の空間デザインなど,あらゆる所で色彩が関係しています。また,プレゼン資料やデータ分析における可視化など情報を視覚的に分かりやすく伝える手段としても色彩は用いられています。さらに,色覚バリアフリーという言葉があるように,色の識別に困難を持つ人もおり,色使いには配慮が必要です。そこで今回の特集では,情報提供を的確に行うために,色彩がどのように活用できるか,基礎知識や注意点を解説するとともに活用事例を紹介します。まず初めに,篠田博之氏(立命館大学)からは,色とは何か,そのメカニズムなど色彩の基礎知識を解説いただき,さらに応用技術やアイディアを紹介いただきました。続いて,日髙杏子氏(芝浦工業大学)からは,色彩という情報のコミュニケーションを取るために編み出された,色の表現方法のひとつである色彩を体系的にした表色系について解説していただきました。そして,山本早里氏(筑波大学)からは,実際に手掛けられた教育施設の建築物・インテリアの色彩計画の事例を紹介いただき,色彩の持つ効果と重要性を解説いただきました。三浦まゆみ氏(インリビングカラー)からは,資料作成における誰もがわかりやすく見やすいユニバーサルデザインの基本を解説いただき,対象者や目的別の資料作りを効率よく作成する色使いのポイントを具体的に紹介いただきました。最後に,伊賀公一氏(NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構)からは,色識別に困難を持つ人は色がどう見えるのか。そして,色で情報を目的どおりに伝えるためにはどのようにすべきかを当事者としての視点からも解説いただきました。本特集が,読者の皆様のお仕事などにおいて,色彩の重要性を把握し,色彩を活用して情報を的確に伝える一助となれば幸いです。(会誌編集担当委員:海老澤直美(主査),南山泰之,南雲修司,長谷川幸代)
著者
福地 康玄 外間 伸吾 福嶺 紀明 上原 大志
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.H2-113_1-H2-113_1, 2019

<p>【はじめに】</p><p> 大胸筋完全断裂は比較的稀な疾患とされているが、近年報告例が増えており、受傷後早期の外科的治療を施せば良好な成績が得られるとされている。しかし、術後に対する理学療法の報告は少なく、未だ確立されていないのが現状である。今回、大胸筋断裂後に縫合術を施行した症例の理学療法を経験したため、考察と課題を踏まえ報告する。</p><p>【方法】</p><p> 症例は46歳、男性、左利き。バスケットボール審判、高校バスケットボール部コーチである。平成29年9月12日、ベンチプレス(85kg)をしている際、水平外転を強制され左肩を受傷。当院受診し、MRIにて大胸筋皮下断裂と診断。近医紹介となり、平成29年10月16日に大胸筋縫合術施行。手術はフットプリント(LHB groove外側)に骨溝を作製し、3本アンカー挿入。Mason-Allen法にて6針縫合。その後退院となり、平成29年10月27日より外来リハビリ開始。術後プランは、2週まではスリング、バストバンドにて固定。3から5週間はスリングのみ、肩甲上腕関節の他動運動開始(外旋は下垂位で中間位まで、挙上は内旋位で90°まで)、5週から制限なく可動域運動可、8週から抵抗運動開始、3ヶ月から軽負荷運動許可、5ヶ月から制限なしであった。評価はリハビリ終了の目安である5ヶ月目とした。筋力改善の評価として乳頭部胸囲の周計(5週と5ヶ月を比較)と徒手筋力計モービィMT-100(酒井医療社製)を使用し測定。単位はkgfと設定した。計測肢位は屈曲90°伸展0°内転30°外転30°内旋0°外旋0°水平外転(肩甲骨面上肘屈曲位)と設定し、2度計測しその平均値を健側と患側にて比較した。</p><p>【結果】</p><p> 胸囲は5週の99cmから5ヶ月で102cmと3cmの拡大を認めた。肩関節可動域は 屈曲165°伸展30°外転170°内旋Th10第1肢位外旋60°第2肢位外旋80°とほとんど正常可動域まで改善が見られた。筋力(左/右)は屈曲にて21.75/19.7、伸展にて23.95/22.2、内転にて25.5/27.8、外転にて17.2/17.35、内旋にて11.25/15、外旋にて18.7/23.05、水平外転にて18.3/20.45であり健患比においても80%以上の改善が見られた。</p><p>【考察】</p><p> 奥脇<sup>1)</sup>は、完全断裂の場合スポーツ選手では積極的に手術を進めており、保存的に治療した場合、多くは筋力低下や疼痛が残存すると報告している。また内山ら<sup>2)</sup>は、手術時期について、早期(6週間以内)手術例は痛み、筋力回復、スポーツへの復帰率、満足度とも陳旧例(6週間以上)や保存例に比べ有効であると報告している。本症例においても、早期に手術に及んだ結果、可動域や筋力において良好な成績を示し過去を裏付ける結果となった。今回、理学療法を行うにあたって難渋した点が、固定期間中の安静時痛や動作時痛といった疼痛である。過去の症例報告より固定期間は3週又は、4週の固定期間という報告が多く、また固定肢位は屈曲、内転、内旋位にてスリング、バストバンド固定が主流とされている。今回は5週間の固定期間であったが、上記でも述べた通り、予後は良好であり固定期間においては問題ないと思われる。しかし、固定期間中に大胸筋の過度な緊張による安静時痛や腋窩部にて神経痛が出現し、可動域練習等を行うにあたって難渋を示す場面が多々見られた。本多ら<sup>3)</sup>は、外転装具では肩関節が水平内転位となるため大胸筋の緊張が緩むとして外転装具を使用している。スリング、バストバンドでは固定肢位において常に腋窩や術部圧迫状態であることが疼痛を助長していると考え、外転装具を固定手段の一つとして考慮することも必要ではないかと考える。</p><p> 文献1)奥脇透: 陳旧性大胸筋皮下断裂の一例.肩関節.1996:20:379-382.</p><p> 2)内山善康,繁田明義,他: 大胸筋腱皮下断裂に対する術後成績—Endobuttonを使用した骨内埋め込み術—.肩関節.2009:33:773–776.</p><p> 3)本多孝行,鈴木晶,他: Knotless Anchorを用いて修復した陳旧性大胸筋断裂の1例.整スポ会誌.2018:38:158-161.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は、当院倫理委員会にて承認を 得た。患者には ヘルシンキ宣言に基づいて文書と口頭にて意義、方法、不利益等について説明し同意を得て実施した。</p>
著者
五十君 靜信
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.101-105, 1998-03-31 (Released:2012-09-24)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1
著者
上田 元
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.417-437, 1989
被引用文献数
1

習志野市における行政過程への住民参加の実態を検討する.行政は,市民本位の生活空間管理をめざしてコミュニティ単位に領域組織を編成し,これに参加する有志市民の組織化を試みた.しかし,行政領域に基づくこの試みは,住民側の既存の領域的な近隣組織と葛藤を生じ,結局後者が参加の主体となった.これは市政に参加する市民代表の性格を曖昧にし,市民の行政への要望や参加のあり方を局地化することになった.そこで,このように制度化した参加がいかなる実効性をもつのかを,近隣組織への加入率と提出された要望の実績によって評価したところ,街区ごとにかなりの差が認められた.そしてこの差には,入居時期と住宅事情,旧住民・就業産業状況等,世帯の類型・流動性の違いが一義的に対応ずることがわかった.また,市民の要望は,市民の生活環境評価の善し悪しや,宅地開発の形態を反映しているが,在来区域は制度の実効性に問題がある街区を多く抱えている.
著者
川島 拓馬
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.1-17, 2017-07-01 (Released:2018-01-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本稿では、名詞「模様」が文末に位置して助動詞相当の形式として機能する用法について、その成立から定着に至るまでの歴史的展開を考察した。「模様だ」自体は明治期の新聞に出現しており、大正から昭和初期にかけて継続的に用例を見出せる。記事文体の口語化に伴って1920年代に「模様あり」という形態が衰退すると文末用法への偏りが著しくなり、これによって文末形式として「模様だ」が定着したと言える。ただし「模様」の前接要素の点から見ると未だ現代語と同様の特徴を獲得したとは言えず、助動詞化が進んだのはそれ以降と考えられる。こうした「模様だ」の成立は名詞性の捨象による通時的変化と捉えることができ、更にヨウダの構造変化との類似点および「様子だ」との関係性についても指摘した。
著者
横式 龍夫 田口 雄三
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.1518-1528, 2008-12-01

2007年は電力及び動力用にボイラ設備を設置している一部事業者において,大気汚染防止法や水質汚濁防止法等の公害防止法令の不適切な設備管理の事例が発生し,社会的にも大きな関心事となった。その後,法令順守徹底の観点から,環境省検討委員会や事業者毎の調査検討が行なわれ,不適正事案の分析及び今後の取り組み指針が整理されている。<BR>窒素酸化物(以下NO<SUB>x</SUB>と称す)は,大気汚染防止法のばい煙の一つとして,規制されている物質であるが,環境省検討委員会や各社公表資料においても最も多くの不適正事案が紹介されている。<BR>NO<SUB>x</SUB>の発生原理やその低減技術はボイラメーカ各社や各種公知文献等でも過去に数多くの発表が行なわれているが,ここでは今後の法令順守や環境対策への取り組みの一助とするために改めて整理してみたので紹介する。
著者
大石 拓 森澤 豊 安枝 浩 秋山 一男 脇口 宏
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1163-1167, 2004-11-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1

症例は11歳女児と10歳男児の姉弟である. それぞれ1999年5月と10月に気管支喘息を発症した. 劣悪な家族環境と発症年齢が高いことから心因性の喘息発作が疑われていた. 母親も2001年から喘息発作が出現した. 詳細な病歴聴取の結果, 室内清掃がなされておらず, ゴキブリが多数生息していることが判明した. CAP-RASTでは3例ともゴキブリが陽性反応を示したことから, ゴキブリが主要アレルゲンの気管支喘息と考えられた. 本邦では喘息も含めたゴキブリアレルギーはあまり認知されていない. 本邦においても喘息のアレルゲンとしてゴキブリの存在を念頭におくべきであると考えられた. 1964年にBerntonらが最初にゴキブリアレルギーを報告して以来, 海外では多数の基礎, 臨床研究が報告され, アメリカの都市部で救急外来を受診する喘息児の多くはゴキブリが主要アレルゲンであることが報告されている. しかしながら, 本邦ではゴキブリアレルギーの認知度は低い. 今回, 心因性喘息と考えられていたがゴキブリが主要アレルゲンと考えられた気管支喘息姉弟例を経験したので報告する.
著者
岩崎 勝彦 イワサキ カツヒコ Katsuhiko Iwasaki
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.89-107, 2012-03-20

サービス業は、我が国の生産するGDPの7割、また産業別就業者数の7割を占める(2010年)。製造業と比較して生産性の伸びが低いのはやむを得ないが、しかし今後サービス業の生産性をあげ、ものつくりと同様の「成長エンジン」として生産性や収益性を高める必要性があることも事実である。本稿では、ポーターの「ポジショニング論」とは異なる、日本が長年にわたり培ってきた「ものづくり現場」の発想(=『アーキテクチャ(設計思想)と組織能力の組合せ』)からみた「ポジショ二ング」の視点をベースに展開する。これは、所謂「擦り合せ型」ものづくりをサービス業の分野において適用した場合、どのような共通点や相違点があるのか、またその生産過程を調べることによって、収益力にどのように繋がっていくのかを、サービスの特徴を踏まえながら分析することを狙いとしている。身近な事例として、旅館・ホテル業を取り上げ、日本的サービス「おもてなし」が、どのような仕組みで品質を維持・安定させ、同時に収益力とどのように両立するのか、も併せて考察する。
著者
森 拓也 澳 昂佑 川原 勲 木本 真史
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1336, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】パーキンソン病患者の歩行に関して,すくみ足の出現は転倒リスクとなり,特に歩行開始時に問題となりやすい。歩行の開始の筋活動としては下腿三頭筋の筋放電の低下による下腿前傾より歩行は開始される。しかしパーキンソン病患者はヒラメ筋のH反射が亢進し,筋放電が増加するとの報告があり,これらがすくみ足や転倒につながると考えられる。Duvalらによるとパーキンソン病症例に対して,ストレッチによる伸張刺激が同名筋の筋放電量を減少させるとの報告があり,また足関節傾斜板を利用した下腿三頭筋の伸張の介入にて立位回転速度が改善したとの報告も見受けられる。よって,これらの知見の示す事は,パーキンソン病患者における下腿三頭筋の伸張運動効果が歩行能力改善において有効な反応を引き出す治療手段であると考えられる。しかし,パーキンソン病における足関節の傾斜刺激による重心動揺の変化や歩行の筋活動を示した報告は数少なく明らかになっていない点が多い。よって,本研究の目的は,足関節傾斜板を用いた足関節傾斜刺激が立位時重心動揺,歩行時筋活動に与える影響を明確にする事である。【方法】対象はパーキンソン病を7年羅病した症例である(性別:男性 年齢:85歳)。パーキンソン病期分類はHoehn-Yahrの病期分類StageIIIであった。(実験1)介入課題については,通常の理学療法に加え足関節矯正起立版10°の上に立ち,なるべく膝関節は完全伸展位にて身体を前方に倒す事を課題とした。介入時間としては1分間の介入を3回実施し足関節傾斜刺激が重心動揺に与える影響を介入前後で検証した。立位時重心動揺変化は重心動揺計(アニマ社製フォースプレートMG-100)にて測定した。測定としては介入前後共に1分間の測定を計3回行い,足部重心の位置を前後中心と左右中心の距離より算出し,3回の平均距離を算出した。また同時に表面筋電図(Noraxon社製myosystem 1400 以下EMGとする)にて立位における左右前脛骨筋,腓腹筋外側の計4筋の筋活動も測定した。筋電電極(Ambu社製ブルーセンサー)は標的筋に対して筋線維の長軸方向へ平行となるようにし,電極間距離を20mmとし貼付した。貼付方法はHermie.Jらの方法に従って貼付した。介入前後の立位における各筋における平均振幅を算出し,足関節の戦略の変化を測定した。(実験2)実験1同様の介入課題を行い,介入前後でEMGでの歩行解析を行った。計測における標的筋,電極貼付方法に関しても実験1同様である。歩行周期の解析については立脚期の指標としてフットセンサースイッチを使用し,またEMGとビデオカメラと同期させ目視による確認も行った。歩行解析として5歩行周期における立脚期の前脛骨筋,腓腹筋外側の平均振幅を算出し,介入前後での比較を行った。歩行動作能力の指標として,10メートル歩行テストの計測も行い,歩行速度と歩数の介入前後の変化を比較した。【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づいて,対象者の個人情報の保護に留意し,阪奈中央病院倫理審査委員会の承認を得て実施し,対象者に説明と同意を得た。【結果】(実験1)立位時重心動揺結果は【介入前】左右中心0±0.3cm,前後中心-1.9±1.2cm【介入後】左右中心0±0.04cm,前後中心0.7±0.3cmであった。立位時平均振幅結果は【介入前】左前脛骨筋8.0±3.7μV/左腓腹筋外側8.6±4.4μV/右前脛骨筋18.9±10μV/右腓腹筋外側24.4±15.2μV【介入後】左前脛骨筋24.9±11.4μV/左腓腹筋外側11.4±3.8μV/右前脛骨筋32.4±10.9μV/右腓腹筋外側26.7±7.2μVであった。(実験2)5歩行周期の各筋の立脚期平均振幅結果は【介入前】左前脛骨筋47μV/左腓腹筋外側48.9μV/右前脛骨筋86.2μV/右腓腹筋外側59.4μV【介入後】左前脛骨筋63.6μV/左腓腹筋外側42.6μV/右前脛骨筋118.4μV/右腓腹筋外側53.6μVであった。10M歩行テストの結果は【介入前】19.7±1.6秒(30.6±1.6歩)【介入後】16.6±1.5秒(26±0.6歩)であり,介入直後にてすくみ足の減少がみられた。【考察】今回の足底板傾斜板による下腿三頭筋の伸張運動にて,立位時重心動揺が前方に移動し,歩行能力が改善する傾向が見られた。これは足関節が傾斜する事で下腿三頭筋においてのストレッチング効果が生じ,H反射の減少等の影響によって,下腿三頭筋の筋放電量が減少した結果と考えられる。効果は即時的な変化であるが,歩行練習開始時の有用な一助となる可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】パーキンソン病患者に対して,足関節傾斜板という簡便で短時間な介入方法は,歩行練習に効率よく介入できる可能性や自宅内での自主練習等に利用できる可能性が示唆された。
著者
川岸 敬子
出版者
国語学研究と資料の会
雑誌
国語学研究と資料 (ISSN:03855546)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.35-47, 1982-07-31
著者
吉廣 尚大 櫻谷 正明 高場 章宏 河村 夏生 筒井 徹 加藤 之紀 吉田 研一 橋本 佳浩
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.39-46, 2021-02-28 (Released:2021-02-28)
参考文献数
16

背景:ゾテピン(以下,ZTN)は糖尿病に使用できるが,集中治療室(以下,ICU)せん妄に使用した報告はない。目的:ICUせん妄患者にZTNとクエチアピン(以下,QUE)を比較し効果と安全性を評価すること。方法:単施設前向きコホート試験で,初回投与翌日せん妄症状改善と最大血糖値180mg/dL以上の患者割合を評価した。結果:20例を組み入れ, 11例をZTN群に割り付けた。ZTN群の9例が糖尿病であった。初回投与翌日せん妄症状改善の患者割合はZTN群で54.5%(n=6),QUE群で66.7%(n=6)であった(p=0.67)。内服後最大血糖値180mg/dL以上の患者割合は63.6%(n=7),66.7%(n=6)であった(p=1.00)。 結論:ZTNは有害事象を増やさずにQUEと同程度にせん妄症状を管理できることが示唆された。
著者
小柳 弘恵 鶴巻 陽子 島田 友子
出版者
名桜大学
巻号頁・発行日
no.23, pp.109-115,

フリースタイル出産は、「自由な姿勢」「自由な場所」「自由な心」で出産するスタイルである。産婦が自分の本能に合わせて自発的に動くため、産痛は軽減され、過剰な医療介入がなく自分と胎児の力で出産することから「自分で産んだ」という感覚を持ち、出産満足度が高いといわれている。WHOの勧告でも「胎児の安全性が確保できれば産婦はできるだけ拘束のない自由な姿勢で過ごすことができるように配慮されるべき」と記されている。しかし、沖縄県内の産科施設でフリースタイル出産を導入している施設はあまりない。本年、本学に助産学専攻科が開設された。その記念事業としてフリースタイル出産介助法の講習会を開催した。分娩時の損傷も少なく産痛軽減効果、出産満足度が高いフリースタイル出産が沖縄県北部で普及することを祈念して企画したものである。本稿では、講習会の概要および受講者の感想と、そこから見出された沖縄県北部における助産実践能力の向上と「安全・安心・満足できる」出産・育児環境整備のために本学が担う役割について報告する。
著者
山本 亜衣 新冨 瑞生 河野 光登 巴 美樹
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.149-158, 2021 (Released:2021-03-01)
参考文献数
29

70歳以上の高齢者を対象とし、「低脂肪豆乳(不二製油株式会社)」を食事(みそ汁)に2カ月間添加し、低脂肪豆乳摂取による栄養状態改善および抗炎症作用を検討した。被験者は軽費老人ホームに入所中の高齢者17人とした。2014年9~12月に実施し、試験食摂取期間は低脂肪豆乳(不二製油株式会社)85 mLを朝食のみそ汁に添加した。評価項目は身体計測、簡易栄養状態評価表(MNA®- SF)、喫食量調査、血液検査であり、九州女子大学倫理審査委員会の承認を得て実施した。MNA®-SFの合計は摂取期8週が後観察期との差分において有意に高値を示し、栄養状態は維持していた。摂取期4週、摂取期8週にたんぱく質の摂取量が有意に増加し、カリウムは目標量、マグネシウムは推奨量に近似した。推定糸球体濾過量は前観察期と比較して摂取期4週、摂取期8週に有意な差は見られなかった。TNF-αは摂取期8週で前観察期、後観察期より有意に低下した。低脂肪豆乳の摂取は70歳以上の高齢者へのたんぱく質投与を腎機能に負担を掛けずに可能とし、栄養状態の維持やTNF-α低下作用による抗炎症作用に寄与すると考えられた。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1876, pp.10-13, 2017-01-30

小雨が降る中、現実路線への修正を期待する声を打ち消すように、トランプ新大統領は約16分、熱弁を振るった。自国の産業や労働者を犠牲に、外国の繁栄を支援してきたと指摘。それを全て、「米国第一主義」に転換する。この"歴史的"な演説を、経営者・専門家はどう聞いたのか。7つの注目発言から「トランプ演説」を読み解く。
著者
竹田 剛
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.896-901, 2017 (Released:2017-09-01)
参考文献数
27

自尊感情は神経性過食症の一次予防から三次予防までに関わる心理的要因として, 古くから注目を集めてきた. 近年でも自尊感情のもつ発症因子としての側面・調整変数としての側面・維持因子としての側面のそれぞれにおいて, 新たなモデルや介入方略の提案がなされている. そこで本研究ではこれらについての総括を行い, 神経性過食症研究および治療上の展望を論じた. その結果, 近年のモデルや介入方略は自尊感情の向上を通して, 体型への懸念が過食などの症状に対してもつ影響力を直接的あるいは間接的に減じることを治療のねらいとしており, 神経性過食症の中核症状についての効果を有することが示唆された. またさまざまな心理療法を統合する意義をもちうることからも, 自尊感情の概念的理解を深め, 介入方略の理論体系をより明確なものにしたうえで, 自尊感情を向上させるアプローチを開発することが神経性過食症の治療上有意義であると考えられた.
著者
Farah SAAD Lisa ROGERS Radhouene DOGGUI Ayoub AL-JAWALDEH
出版者
Center for Academic Publications Japan
雑誌
Journal of Nutritional Science and Vitaminology (ISSN:03014800)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1-12, 2021 (Released:2021-02-28)
参考文献数
30
被引用文献数
1

Vitamin A is an essential nutrient necessary for human growth and development, with critical roles in vision, immune function reproduction and maintenance of epithelial cellular integrity. Inadequate intake of vitamin A places populations at risk of developing diseases associated with vitamin A deficiency (VAD). VAD is highly prevalent across the Eastern Mediterranean Region (EMR) in children under 5 y and women of childbearing age. Therefore, infants and young children, pregnant women and postpartum women are commonly targeted by supplementation programs. Although, vitamin A supplementation has been shown to decrease preventable childhood diseases and deaths related to VAD, supplementation of vitamin A has been greatly misused in several countries within the EMR raising concern around the process of supplementing the target population. Countries across the EMR have reported different supplementation practices depending on the income level of the country, the availability of vitamin A and the prevalence rates of VAD. Although some countries had higher supplementation rates than others, the concern lies in the middle-income countries and their supplementation practices. Some of the countries across the region do not follow the World Health Organization’s (WHO) guidelines for vitamin A supplementation for the recommended age groups. The objective of this study is to assess the vitamin A supplementation practices across the countries in the EMR, determine the gaps in the supplementation practices and the issue with supplementing to healthy populations where VAD is not a public health concern, and provide recommendations for proper vitamin A supplementation within the region.
出版者
巻号頁・発行日
vol.274 備後三原城,