著者
石川 信一 菊田 和代 三田村 仰 酒井 美枝 大屋 藍子
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は,児童青年の不安とうつに対する認知行動療法(CBT)の有効性をランダム化割付比較試験において検討することであった。電話による簡易スクリーニングと,事前査定の結果,包含基準に合致し,かつ参加に同意した51名を対象とした。対象者はランダムに先に介入を実施するCBT群と,後から実施するWLC群とに割り付けられた後,8回の介入を受けた。事前,事後,3ヶ月,6ヶ月にアセスメントを行った。分析の結果,主診断から外れる割合と重篤度について,事後においてはCBT群の方がWLC群よりも改善していることが示された。以上のことから,CBTによって児童青年の不安とうつの問題が改善することが示された。
著者
岩本 光雄
出版者
日本人類学会
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.191-202, 1975

渦状紋にその渦状隆線の渦巻き(巻き開く)方向によって3亜型(Wr,Wo,Wu)を区別し,これら3亜型の出現様相を日本人の場合を主とする若干の標本によって検討した。左右手間の側差がいちじるしく,そのため左右対称指間で同亜型が組合う傾向は必ずしも明らかではない。一卵性双生児の対応指間ではその傾向が明らかに認められる。利手との関係は明らかでない。最後に人種差の可能性に関して言及した。
著者
安藤 史江 上野 正樹
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.429-456, 2013-06-25 (Released:2016-07-25)
参考文献数
40
被引用文献数
3

修正したCrossan, Lane, and White (1999) の4I フレームワークに基づき、活用と探索をともに実現する両利きの経営に関する事例分析を行ったところ、活用成果を得るためには組織資源の十分な投入がなされる一方、探索については外部資源の積極的な活用を促す限定的な資源配分に留まる傾向が見出せた。質問票調査の結果もこれを支持した。
著者
謝 心範 山本 理
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.73-81, 2020

新型コロナウイルス感染症が中国の武漢で突然爆発的に蔓延した現象は世界の人々へ大きな驚きと衝撃を与えた.医療現場では,確実な治療法や治療薬も無い局面にどう対応すべきか混乱し,確かな効果を求める切迫した願いも強くなった.そのような状況下,漢方薬の出番があり,自然植物由来の「三薬三方」(3 つの薬と3 つの方剤の意)すなわち,金花清感顆粒,連花清瘟カプセル,血必浄注射液と宣肺敗毒湯,清肺排毒湯,化湿敗毒方の作用と効果がCOVID-19 感染症の現場から報告されたので紹介する.「三薬三方」は,植物由来成分の潜在力を総合的に利用し,人体自身の自己治癒力と免疫系の賦活,障害要因に対する抵抗力強化を可能にするものである.新型コロナウイルス感染症の現場から報告されている「三薬三方」の様々な効果は単一成分によって発揮されているのではないことは明白である.作用機序,原料,処方,加工法,効果,安全性の向上など更なる研究が必要である.
著者
原 やす子 和泉澤 真紀 石井 久美子 阿部 晃久 大橋 英治 丸山 務
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 = Japanese journal of food microbiology (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.63-67, 2003-07-31
被引用文献数
7 4

国内で市販されている鮮魚介類およびそのまま食されるいわゆるready-to-eat水産食品における<I>Listeria</I>属菌および<I>L.monocytogenes</I>の汚染実態調査を行い, 以下の結論を得た.<BR>1.調査した35品目394検体中, <I>Listeria</I>属菌は7品目40検体, <I>L.monocytogenes</I>は6品目23検体から検出され, ready-to-eat水産食品からの検出率が高率だった.<I>L.monocytogenes</I>が検出されたready-to-eat水産食品はネギトロ, スモークサーモン, スジコ, 明太子, 加熱済みタコであった.<BR>2.<I>L.monocytogenes</I>の汚染菌量はスモークサーモン (1検体) の4.3cfu/gと加熱済みタコの1.5cfu/g以外はすベて1.0cfu/g以下であった.<BR>3.分離された<I>L.monocytogenes</I>は6血清型に分類され, そのうち最も多かったのは1/2aであった.
著者
本堂 毅 米村 滋人 尾内 隆之 渡辺 千原 鈴木 舞 平田 光司
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

専門的知識は,私たちの社会の中で重要な役割を果たしています.これは科学に限らず,経済学や法学,哲学や芸術学など,人文社会科学と呼ばれる分野の知識にも当てはまります.しかし,これまで科学については,その専門的知識の性質や限界がよく研究されてきたのですが,人文社会科学と呼ばれる分野の知識については,殆ど研究がありませんでした.そこで,人文社会科学の専門的知識についても,科学の専門的知識とどのような点で同じ性質を持ち,どのような点で異なる性質を持つのかを調べます.これによって,私たちが様々な判断をするときに,人文社会科学の専門的知識をどうやったらより有効に活用できるかを明らかにしたいと思います.
著者
大野 裕幸 遠藤 涼 中埜 貴元 篠田 昌子
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

筆者らは、日本における測量としての地図作成に導入可能な高精度な地物抽出を実現するべく研究に取り組んでいる。セマンティックセグメンテーションによる地物抽出の評価用データセットとしていくつかのデータセットが知られているが、それらは日本国外を対象としたものであるほか、数都市程度のデータセットであり地域多様性が高くはない。そのため、日本での測量としての地図作成における地物抽出性能評価用のデータセットとしてそれらを用いるのは適切でないと考えている。そこで、日本における地図作成で実際に使われている空中写真を対象として、高い地域多様性を持った地物抽出性能評価用データセットを構築することを目的として、1967年以降に日本で空中写真撮影が実施された1328地区から均等に評価範囲を抽出して評価用データセットを構築した。さらに、pix2pix及びU-Netを使用し、道路と建物について我々が構築した評価用データセットと既存の評価用データセットによる評価結果とを比較して考察することで、我々が構築した評価用データセットで十分に信頼できる地物抽出の性能評価を実施することができるとの結論を得た。
著者
吉永 隆記
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.122, no.8, pp.1345-1373, 2013

The research done recently on the activities of provincial-based proprietors of the warrior class (kokujin 国人) during the Muromachi and Sengoku periods tends to place emphasis on their relationship to the shoguns of the time. However, while it is clear that kokujin did profit from their connections to the shogunate while in Kyoto, their activities in the capital were by no means confined to that relationship alone. The present paper attempts to describe the actual circumstances surrounding kokujin life in the capital and thus clarify its true meaning. It was the custom of kokujin who managed the provincial estates donated to Toji temple, like the Niimi Clan of Bicchu Province, to locate kinsfolk in Kyoto in order to further their political and economic interests, including appointments to act on Toji's behalf at the temple's estates located in their home regions. In the case of the Niimi Clan, their Kyoto activities resulted in the appointment to the office of Mikurashiki 御蔵職, which involved the management of the storehouses (Kurodo-dokoro 蔵人所) and financial affairs of the imperial family and became intimately connected with iron production in various provinces. During the Tokugawa period it was the Matsugi 真継 Clan who would wrest the office of Mikurashiki from the Niimi Clan and thus govern over the country's cast iron founders ; but during the preceding Sengoku period, it was the Niimi Clan who set the precedent of imperial control over the iron founders of the Kinai Region. As the manager of Toji's Niimi Estate, the Niimi Clan was able to utilize the estate's iron production facilities to its advantage through commercial traffic with the ironmongers of the Kinai Region, whom the Niimis also employed to carry the estate's tribute to Toji temple in Kyoto. In other words, in their close dealings with Kinai merchants on the commercial routes in search of cast iron, the Niimis used these connections in their successful management of Toji's estate. It was through this process that the Niimi Clan set up its relations with the iron founders of the Kinai Region and profited from the office of Mikurashiki to the benefit of both parties. The author concludes that kokujin of the Sengoku period were ambitiously involved in the aggrandizement of their interests through their activities in the capital of Kyoto in the midst of diverse personal relationships with the capital's most powerful people, including not only the shogunate, but also the great religious institutions and the imperial family, thus protecting their interests both at their local seats of power and at the central core of authority in the capital.
著者
夜久 正雄
出版者
亜細亜大学アジア研究所
雑誌
アジア研究所紀要
巻号頁・発行日
vol.7, pp.295-307, 1980
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1699, pp.34-37, 2013-07-15

鈴茂が扱う寿司ロボットは多岐にわたる。セントラルキッチン向けから個人経営のレストラン用まで、作るものも握り寿司から軍艦巻き、巻き寿司など多様だ。大型機械では、1時間に4000本もの巻き寿司を製造できる。
著者
新城 明久 内村 正幸
出版者
The Japan Society of Veterinary Epidemiology
雑誌
獣医情報科学雑誌 (ISSN:09128913)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.29, pp.13-15, 1992-12-25 (Released:2010-05-31)
参考文献数
12

牛の人工授精に用いられている凍結精液を溶解し, 8倍に薄め, 20℃で1, 600ガウスの静磁場を8時間にわたり経時的に照射した。精子の生存率は対照区に比較し, 7時間後はやや高くなり, 8時間後は有意に高くなった。このことから磁場が精子に延命効果を及ぼすことが示唆された。