著者
Kim Min-Su Nam Tchi-Chou
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.409-411, 2006-04-25
参考文献数
18
被引用文献数
3 22

脳波検査(EEG)は鎮静または麻酔の評価のための有効な方法である.本研究の目的は,ミニチュアーシュナイザー犬(4.2〜6.1kg,1〜2歳)における針刺激の鎮静効果を脳波検査におけるスペクトルエッジ周波数(SEF)によって調べることである.「GV20と龍会」穴が20分間針刺激された.鎮静レベルは,処置前,処置中および処置後のSEF95値とRamsayの鎮静スコアーによって評価した.GV20または龍会穴の針刺激中,SEF95値は有意に減少し,終了後処置前値に回復した.Ramsayの鎮静スコアーは同様に刺針中適切な鎮静レベルを示した.本研究の結果,犬におけるGV20または龍会穴での針刺激は鎮静を誘導する有用な方法であると結論された.
著者
小柳 裕子
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

プロポフォールは今日最もよく用いられている静脈麻酔薬である。近年ヒトにおいて,プロポフォールによる意識消失時に,プロポフォール誘発アルファ波が観察されることが報告されている。しかし、そのアルファ波の発生メカニズムやプロポフォール誘発アルファ波と意識の消失の関連性についてヒトや実験動物における詳細な検証はなされていない。本研究は,ホールセル・パッチクランプ法を用いて,大脳皮質を含む急性脳スライス標本において錐体細胞の発火同期性に対するプロポフォールの影響を詳細に検討し,プロポフォール誘発アルファ波の発生機序をシナプスレベルで解明することにより,プロポフォールを含め種々の麻酔薬の作用機序の核心的な部分を解明することを目的とした。大脳皮質において代表的な抑制性介在ニューロンであるfast-spiking(FS)ニューロンおよびFSニューロンから投射を受ける錐体細胞から同時ホールセル記録を行い,シナプス前細胞に相当するFSニューロンをアルファ周波数帯である10 Hzで発火させている間,シナプス後細胞に相当する2つの錐体細胞の発火タイミングは同期傾向を示した。一方,2つの錐体細胞のうち1つのみFSニューロンからの入力を受ける錐体細胞間では,FSニューロンを先行発火させても発火の同期は見られなかった。また,FSニューロンを1,5,および20 Hzで発火させた場合,シナプス後細胞に相当する2つの錐体細胞の発火同期は10 Hzで発火させた場合と比較して弱かった。以上の結果から大脳皮質は,プロポフォールによりアルファ周波数帯特異的に発火タイミングを調節する局所回路を構成している可能性が示唆された。また,これらの発火タイミング調節に抑制性神経回路が重要な役割を果たしていると考えられた。これらの成果の一部は,北米神経科学会議2015においてポスター発表を行った。
著者
小柳 裕子 小林 真之
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

プロポフォール誘発性アルファ周波数帯の発生に対する視床-皮質中継ニューロンの寄与を検討した。実験には4週齢のVGAT-Venusラットを用い,イソフルラン吸入麻酔下で側頭部を開頭(直径約1 mm)し,視床後内側腹側核小細胞部(VPMpc)へ到達するためのマイクロシリンジ刺入位置を検討した。インク注入後イソフルラン5%吸入下で断頭し,脳を取り出したのち,マイクロスライサーを用いて急性脳スライス標本を作製し,インク注入部位の確認を行った。その結果,オス・メスともbregmaより-3.6 mm,側方1.1 mm,深さ6.4 mmの位置で5 μL注入した場合にVPMpcに局所注入を行えることが分かった。次に,同様の方法を用いてマイクロシリンジにてpAAV5.CAG.hChR2(H134R)-mCherry.WPRE.SV40をVPMpcに局所注入し,約4週間の回復期間ののち,島皮質を含む急性脳スライス標本を作製し,蛍光観察下で島皮質におけるVPMpcからのニューロン投射を確認した。その結果,島皮質のうち顆粒層から不全顆粒層にかけて,II/III層深部を中心にVPMpcからの投射があることがわかった。さらに,島皮質ニューロンの発火応答に対する視床―皮質入力の影響を検討するため,島皮質錐体細胞からホールセル記録を行い,光刺激によってChR2発現ニューロンのみを特異的に発火させた際の錐体細胞の発火応答を検討した。その結果,錐体細胞はChR2発現VPMpcニューロンからの興奮性入力を強く受けており,VPMpcニューロンの発火に呼応して錐体細胞から活動電位または興奮性シナプス後電位が記録されることが分かった。プロポフォール(10 μM)灌流投与により,光刺激によるVPMpcニューロン活性化に同期した島皮質錐体細胞の律動応答は,仮説に反して変化を示さなかった。
著者
中村 晴幸 山内 達郎 西田 泰章 山崎 順一 砂崎 俊二 山元 浩幸 石田 薫
出版者
The Institute of Image Information and Television Engineers
雑誌
映像情報メディア学会大会講演予稿集
巻号頁・発行日
pp.117, 2003 (Released:2004-03-26)

Conventional converters without motion compensation tend to exhibit double images and other picture-quality problems when handling scenes that contain motion.We develop a compact and lightweight PAL-HDTV standard converter which converts directly between PAL and HDTV.Accurate motion vector detection is achieved by two-way motion detection for smooth transitioning.
著者
及川 一摩 物部 浩達 高橋 純平 土屋 和彦 HEINRICH Benoit GUILLON Daniel 清水 洋
出版者
一般社団法人 日本液晶学会
雑誌
日本液晶学会討論会講演予稿集 (ISSN:18803490)
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.6, 2005

今回、我々はカラミティック液晶の高移動度化を狙い、コアの対称性が高く(C2h)、双極子モーメントが小さいと推測される新規1,4-dithienylbenzeneカラミティック液晶(8-TPT-8)を合成し、メソフェーズの相転移挙動と電荷輸送特性について検討したので報告する。
著者
吉永 慎也 鈴木 桂治 田中 力 佐藤 雄哉 横沢 翔平 古田 仁志 和田 貴広 田中 力 鈴木 桂治 亀山 歩
出版者
国士舘大学体育学部附属体育研究所
雑誌
国士舘大学体育研究所報 = The annual reports of health, physical education and sport science (ISSN:03892247)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.83-89, 2019

プロジェクト研究課題:アスリートの競技能力と生理学的応答の関係における多角的評価プロジェクト研究の概要:本プロジェクトでは、大学生世代のアスリートを対象として、①各競技種目に求められる運動強度を生理学的指標を用いて定量化すること、②運動負荷試験を実施し各競技及び性に応じたトレーニング強度について検討した。本年度は、夏季、冬季の記録系種目における大学生アスリートの最大及び最大下運動能力を定量化し、各種目の至適トレーニング強度を横断的に比較した。本報では、その成果について報告する。
著者
長峰 高志 太田 公規 遠藤 泰之 Januszko Adam Kaszynski Piotr
出版者
日本薬学会化学系薬学部会
雑誌
反応と合成の進歩シンポジウム 発表要旨概要
巻号頁・発行日
vol.29, pp.58-59, 2003

典型的な液晶であるカラミティック液晶としての性質を示す分子の多くは、芳香環などの剛直な構造に、柔軟なアルキル鎖と分極性を与える極性官能基を組合わせた棒状の構造を有する。これらの構成部分の構造により、様々な性質を示すが、剛直な基本構造部分は安定性、色、誘電率、液晶相の温度範囲などの物性に大きな影響を与える。最近、芳香環に替えて2,2,2-bicyclooctane(BCO)を有する液晶性化合物が、研究されている。一方、<i>p</i>-カルボラン (1,12-dicarba-<i>closo</i>-dodecaborane) は二十面体構造の含ホウ素クラスター化合物であり、高い耐熱性と疎水性を有する。<i>p</i>-カルボランは、BCOと共通の球形の分子形状と直線的な置換基配向を有する上に、炭素上に容易に置換基を導入しうるというBCOにない合成上の利点をもつ。そこで、<i>p</i>-カルボランを基本骨格とする新規液晶分子の合成を目的として、図に例として示す化合物を含め10種の化合物を設計・合成して、その相転移を測定した。その結果、多くの化合物が明確にカラミティック液晶の一つであるネマティック液晶としての性質を示した。
著者
奥田 大樹 田中 大介 美濃部 亮太 内田 欣吾 清水 洋
出版者
一般社団法人 日本液晶学会
雑誌
日本液晶学会討論会講演予稿集 (ISSN:18803490)
巻号頁・発行日
vol.2013, pp._PA45-1_-_PA45-2, 2013

The alkyl homologues of azobenzene-triphenylene mesogen (1C-n: n=11-16) exhibit both thermal and photo-induced phase transitions among calamitic smectic and discotic columnar mesophases with the change of molecular anisotropy. However, one can see the difference in phase transition parameters between the shorter (1C-11 and 12) and longer (1C-13〜16) homologues. The optical texture observations of these homologues on a glass and polyimide-coated substrates indicated that the molecular conformation (relative positioning) of the azobenzene moieties and the central triphenylene differs with a critical point of the alkyl chain length between 1C-12 and 13.
著者
宇根 義己
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.127-141, 2018-10-28 (Released:2019-09-28)
参考文献数
20

本研究は,インド繊維・アパレル産業の空間構造を,産業構造の特性,主要産地の発展過程と企業の取引関係および労働者の供給圏から明らかにした。主要工程の空間的特徴を分析したところ,紡績工程はタミル・ナードゥ州が群を抜いて高い拠点性を有していること,織布工程はマハーラーシュトラ州,タミル・ナードゥ州,グジャラート州が中心であり,州内には複数の織布産地が形成されていること,縫製(アパレル)工程は比較的分散傾向を示すことがそれぞれ確認された。紡績産地であるコインバトールと織布産地であるスーラトの事例から,産地間および企業間の取引においては,仲介業者や卸売業者が発注者と受注者を結びつけ,これらが工程間および産地間の取引を媒介し,斯業の地域間工程間分業を可能としていることが明らかになった。労働者の供給圏については,2000年代以降に南インドにおいて北・東インドからの移動労働者を大量に受け入れていることが確認され,斯業における現業労働力は全国的に北・東インドの移動労働者に依存する構造となっている。
著者
宮島 直美 坂本 暦 松本 尚英 大川 尚士
出版者
一般社団法人 日本液晶学会
雑誌
液晶討論会講演予稿集 (ISSN:18803539)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.91-92, 1996

Nickel(II) and copper(II) complexes of [M(salen)] type, stubstituted with (3,4,5-trihexadecenoxybenzoyl)oxy groups at both ends, have been newly prepared and their mesomorphic behaviors characterized. It proved that they have desirably low melting and clearing temperatures, and the mesophase is commonly of smectic type. This is in contrast to the case of discogenic oxovanadium(IV) complex analogues,<sup>1</sup> which indicates that the kind of central metal atom in [M(salen)] mesogens is a primarily important factor in determining the mesophase type.
著者
邑田 仁
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.185-208, 1995-01-28
被引用文献数
7

マムシグサ群は長い偽茎と, 葉軸の発達する鳥足状小葉により特徴づけられるテンナンショウ属マムシグサ節sect.Pedatisectaの一群である。形態的に多型であり, 多くの分類群が記載されてきたが, 遺伝的には分化がきわめて小さいことが明らかになっている。また, 群内で認められた形態群間に低頻度ではあるが中間型がある, 自然雑種がある, F_1雑種の花粉稔性が低下しない, など雑種形成を通じて遺伝的な交流があることを示唆する状況証拠もある。しかし一方では, 多くの場所で, 異なる形態群が形態上の差異を保ちつつ同所的に分布しているのも事実である。本稿では, 低頻度の中間型を除いた場合, マムシグサ群内にどのような形態群が認められ, どのような分布を示すかについて現在までの知見をまとめることを試みた。また, 認めた形態群に関して発表されている学名との対応を試みた。マムシグサ群を, 花期が遅く, 仏炎苞が葉よりも遅く展開し, 舷部内面に細かい縦皺がある第1亜群(カントウマムシグサ亜群), 花期が早く, 仏炎苞が葉よりも早く展開し, 舷部内面が平滑な第2亜群(マムシグサ亜群), 花期や仏炎苞展開のタイミングがそれらの中間的で, 舷部内面や辺縁にしばしば微細な突起を生ずる第3亜群(ホソバテンナンショウ亜群)に大別する。第1群にはカントウマムシグサ(トウゴクマムシグサ), ミクニテンナンショウ, コウライテンナンショウ, ハチジョウテンナンショウ, オオマムシグサ(イズテンナンショウ, ヤマグチテンナンショウ), ヤマトテンナンショウ, ヤマザトマムシグサ, ヤマジノテンナンショウ, スズカマムシグサ, 第2群には, マムシグサ(ヤクシマテンナンショウ), ヒトヨシテンナンショウ, タケシママムシグサ, 第3群にはホソバテンナンショウ, ミャママムシグサ, ウメガシマテンナンショウ, "中国地方型のホソバテンナンショウ", などが認められる。しかし, 現地調査はまだ不十分なものであり, フェノロジーやポリネーターに関することも含め, より詳細な検討が必要である。
著者
青柳 憲昌 岩月 典之 藤岡 洋保
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.77, no.678, pp.1997-2005, 2012-08-30 (Released:2012-10-15)
被引用文献数
1

A five-year “National Treasure Important Art Structure Emergency Repair Project” was undertaken from 1946 in the wake of World War II but at first made little progress. It was found necessary to establish a new “National Treasure” classification in order to justify the large number of historic buildings to be included under a limited national budget. The undeniable appeal to national sentiment shown in the new definition of “National Treasure” was seemingly related to the contemporary slogan “Build the Cultural Nation.” The Council of Cultural Properties appointed by the Ministry of Education finished designating most of these structures by 1955. The revised concept comprised three overlaid values: Scarcity in terms of age or uniqueness, Representativeness of style and each period's characteristic building types, and Aesthetic Value, whether in design or construction.
著者
夏秋 優 山下 紀子 相模 成一郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.160-164, 1992 (Released:2010-08-25)
参考文献数
13

成人アトピー性皮膚炎患者において抗核抗体の検査を行ったところ, 36名中20名が陽性 (40倍以上) であり, そのうち80倍以上を示したのは6名であった. 血清IgE (RIST) 値との関連をみると, 抗核抗体陽性者は総IgE値が高い傾向にあったが, 皮膚炎の発症時期や, 気道アトピーの既往・合併の有無と抗核抗体との間には明らかな相関は認められなかった. また, 顔面における皮疹の程度と抗核抗体価との間にも関連性はみられなかった.アトピー性皮膚炎患者における抗核抗体の出現の意義については不明であるが, 橋本病を合併してきた患者を自験しており, 注意深く経過を観察する必要があるものと思われた.