著者
杉本 俊介
出版者
日本経営倫理学会
雑誌
日本経営倫理学会誌 (ISSN:13436627)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.49-59, 2023-03-30 (Released:2023-05-04)

Virtue ethics approaches in business ethics have received increasing research attention in recent years. In these studies, wisdom, courage, temperance, justice, team spirit, teamwork, collaboration, and integrity are specifically mentioned as virtues, but are these regarded as virtues in the Japanese business scene? This presentation aims to identify the qualities that are regarded as virtues in the Japanese business scene, on the basis of the management philosophy of Japanese companies. Text mining is employed to investigate the virtues included in management philosophy and their frequency. KH Coder is used to extract the virtues from frequently occurring words in the management philosophy. The extracted virtues are contribution, trustworthiness, creativity, fairness, responsibility, and so on. From this, it is evident that the virtues in the Japanese business scene are very different from those found in previous studies.
著者
秋元 有子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.106-119, 2017 (Released:2017-04-21)
参考文献数
29
被引用文献数
2 2

医学的診断基準における算数能力の障害は算数障害として位置づけられ, 数処理システムや数的事実・手続き的知識からなる計算システムの問題から生じる計算障害がその中核と考えられている。算数数学の学習困難にはこれまでの研究から, 神経心理学的欠陥に基づく複数のサブタイプが提唱されてきた。本研究では数学的思考の手続き的知識と概念的理解の2つの区分を使って過去のサブタイプを分類し, 新たな知見も加えた基準を用いて算数のつまずきの具体的な症状の分析を行った。男19名, 女12名からなる対象児31名は1名を除きWISC-III, WISC-RでFIQ90以上で, 算数の評価, 治療教育を主に小学校高学年以降に行っている。日本の文部科学省の学習障害の定義にも照らし合わせて算数能力の障害と考えられる4つの群が得られた。計算手続きの問題が顕著な2つの群は明らかに算数障害と考えられたが, 具体物の配分・分割に著しいつまずきを示す群や, 操作の内化に重要なイメージが思い浮かばない群の対象児には数式の意味理解など概念的理解の問題が顕著に認められた。算数のつまずきを, 数学的思考の視点から概念的理解を含めて検討することの重要性が示唆された。

7 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1919年12月06日, 1919-12-06

7 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1900年08月20日, 1900-08-20
著者
角田 明良
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.14-21, 2023 (Released:2022-12-27)
参考文献数
12

目的:温水洗浄便座(BT)による洗浄と便失禁(FI)の関係をみる.方法:FI 85例でBTの洗浄方法をLikert scaleで評価した.患者は再診まで洗浄の中止を指導した.FIはFI Severity Index(FISI)で評価し,follow-upのFISI scoreがbaselineの1/2以下で実質的改善(SI)とした.結果:再診例は81例(95%)で,洗浄中止期間は4週(2-20週)であった.FISI scoreはbaselineよりfollow-upで減少し[18(8-49)vs. 12(0-43);p<0.0001],SIは46%(37/81)であった.follow-upでは38%(31/81)でFIが消失した.FIのSIは随意収縮圧と,baselineのFISI scoreは洗浄の頻度と相関した.結論:BTによる洗浄はFIの要因であることが示唆された.
著者
れいのるず秋葉 かつえ
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.54-71, 2021-12-31 (Released:2021-12-31)
参考文献数
22

欧米言語学研究においては、人称代名詞は比較的安定したカテゴリーで、歴史的に変化することが少なく、他言語からの借用もほとんど例がないとされてきた。しかし、代名詞の変化・借用の例はないわけではない。とくに、日本語の人称詞は、ほとんど常に変化してきたし、中国語からの人称詞の借用の例も数えきれない。ここでは、現代日本語の二人称代名詞である「君」が、かつては「君主」の意味を持つ名詞であったこと、江戸後期実証学的儒学者たちの間で対等関係の二人称として漢語「足下」が使われるようになり、さらに国学者たちの間で「君」が「二人称」として使われるようになったことを書簡例によって検証する。明治期には自称詞「僕」に対応する二人称として文化的上流階級の間で広がったが、「僕」ほどには一般に広がらず、現在では、目下・年下・女性に対して使われる傾向が見られ、「君」がメジャーな二人称として存続する可能性は少ないと推測される。
著者
横川 昌史
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
no.77, pp.51-56, 2023-03-31

海岸植物のマツナ Suaeda glauca (Bunge) Bunge の大阪府における確実な分布記録はこれまで知られていなかったが,国立科学博物館植物標本室(TNS)において明治29年(1896年)に大阪府泉南郡岬町淡輪で松田定久によって採集されたマツナの標本を見いだした.この標本の詳細と合わせて,大阪府におけるマツナの分布記録の変遷についてまとめて報告した.
著者
千坂 知世 山尾 大 末近 浩太
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アジア経済 (ISSN:00022942)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.2-26, 2023-03-15 (Released:2023-03-30)
参考文献数
58

イランのイスラーム革命防衛隊(IRGC)は,1979年革命から現在までイランの革命体制を国内外の脅威から守るという重要任務を担ってきた。その一つに周辺諸国のシーア派支援のための派兵が挙げられる。しかし,海外派兵には安全保障のジレンマや経済制裁など国益と相反する問題が生じる可能性がある。このようなパラドクスを孕むIRGC派兵をイラン国民がどのように捉えてきたのか。言論統制の厳しいイランにおいて,IRGCという体制そのものを象徴する組織に対する正確な世論を測ることは困難とされてきた。本論文では,そのような「社会的望ましさバイアス」の問題に対して,独自に実施したサーベイ実験を通じて克服を試みた。その結果,IRGCの海外派兵支持者はイラン全国で約35パーセントにとどまること,さらに支持/不支持の差は,体制への支持,信仰心,経済状況ではなく,対米意識の異なる回答者の間で最も強く有意に見られることがわかった。これは,革命体制への追従や宗教理念に基づく非合理性によって語られることの多かったこれまでのイラン対外政策研究とは異なる見方を示唆するものである。
著者
丸尾 幸嗣 山下 敦子 飼沼 亨 小松 哲郎 田中 綾 山根 義久
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.15-18, 2002-01-31 (Released:2010-09-09)
参考文献数
5

高所落下症候群の猫2例を報告する。9および6ヵ月齢の若齢猫は6および7階から落下し, 左大腿骨遠位成長板骨折および右尺骨近位骨折・橈骨頭脱臼を受けた。受傷後, 全身状態の回復を待って, それぞれの骨折・脱臼の整復・固定術を実施した。予後はいずれも良好であった。今後このような症例は増えてくる社会背景があるが, 飼主への啓蒙により予防することが大切である。
著者
川崎 賢太郎
出版者
農林水産省 農林水産政策研究所
雑誌
農林水産政策研究 = Journal of Agricultural Policy Research (ISSN:1346700X)
巻号頁・発行日
no.36, pp.13-29, 2022-02-22

政策効果に関して信頼性の高いエビデンスを得るためには,因果関係を評価できる適切な手法を利用することが重要である。本稿では,回帰不連続デザイン及び差分の差分法をレビューした川崎(2020;2021)に続き,操作変数法に焦点を当て,その基本的な概念や農業経済学分野における応用例を紹介する。There are several econometric methods for evaluating the causal impact of agricultural policies. In previous studies, the regression discontinuity design and the difference-in-differences method were reviewed (Kawasaki 2020, 2021). In this study, we review the basic concept of instrumental variable method and its applications in the field of agricultural economics.
著者
森 雅秀
出版者
Japanese Association of Indian and Buddhist Studies
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.420-412, 1993-12-25 (Released:2010-03-09)
参考文献数
18
被引用文献数
1
著者
岩崎 賢
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.131-156, 2013-06-30 (Released:2017-07-14)

アステカ文明などの舞台となった古代メキシコ(メソアメリカ)では、「花」は地上のあらゆる生命に関する神話的起源の地「タモアンチャン」を表現する重要なシンボルであった。古代メキシコにおけるこの「花」の文化的宗教的意味について触れた研究は、既にいくつか存在する。しかし十六世紀前後に作成されたスペイン語・ナワトル語(アステカ人が使用していた言語)の文献資料を検討する中で、しばしばこの「花」の主題が「笑い」という主題と強く結びついていることに、筆者は気付いた。このことは従来の議論では、あまり注意されることのなかったことである。そこで本論では古代メキシコの宗教詩や神話における、「花」と「笑い」に関係する事例をいくつかとりあげ、さらに「笑い」の宗教的意味を探るために植民地期以降のメキシコ先住民の神話的伝承を検討することで、「笑い」が「花」と同様に、優れて宇宙創成的な意味を帯びた主題であったことを論じる。