著者
久保田 早苗 工藤 綾子 岩渕 和久
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.87-96, 2020-05-25 (Released:2020-11-25)
参考文献数
17

本研究の目的は,理学療法士の訓練時における感染予防意識と行動について明らかにすることである.感染管理認定看護師が所属する施設に勤務する理学療法士,5施設計18名を対象に半構造化面接を行い,感染予防意識と行動に関する語りをコード化,類似するコードをカテゴリー化し,質的帰納的に分析した.理学療法士の感染予防意識は432生成され,98サブカテゴリー,28カテゴリーに分類され,5コアカテゴリーが抽出された.コード数の多いコアカテゴリーとして,【職種間の感染予防策の認識の差と危機管理意識】【感染症患者の増加によるリハビリ調整の困難さと超高齢社会への危機感】などが生成された.理学療法士の感染予防行動は684生成され,93サブカテゴリー,25カテゴリーに分類され,7コアカテゴリーが抽出された.コード数の多いコアカテゴリーとして,【感染症や指示による手順通りの防護服の着脱と定期的な白衣・リネンの交換】【感染症情報の確認・連絡による日常や汚染時の清掃徹底】などが生成された.患者との接触が多い理学療法士が行う標準予防策は感染症の有無や健康状態によって予防策を決めていくことではないことを理解し,実践していくことが求められる.また,感染事例に応じて自らが判断し根拠をもった知識の習得を目指す必要がある.
著者
村岡 洋文
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1-2, pp.27-43, 2008-03-31 (Released:2013-08-28)
参考文献数
43

和歌山県本宮温泉の成因解明のため,その湧出を規制している石英斑岩貫入岩体のK-Ar年代や化学分析値等を検討した.本宮温泉の熱源は四国海盆拡大軸の沈み込みによる高い熱流量に求められる.K-Ar年代測定の結果は高山岩株が14.6 Ma,川湯岩床が14.4 Maを示す.化学成分のQ-Or-Ab系相図から,高山岩株や川湯岩床は深度約 20 km付近で発生したと推定される.高山岩株や川湯岩床の主成分や微量成分は典型的なSタイプ花崗岩で,音無川層群の砂岩に類似し,アナテクシスの融解度が限定された条件で,フリッシュ堆積物のうち,砂岩が選択的に融解した可能性を示す.本宮温泉の熱水貯留層は周辺のフリッシュ堆積物に比べて,冷却節理に富み浸透率の高い石英斑岩岩床や岩脈に求められる.地殻熱流量の高い地域に,深度20 km程度から地上まで透水体が存在すれば,広範な熱水対流が起こる.これが本宮温泉の成因といえよう.
著者
櫻井 隆
出版者
The Japan Lung Cancer Society
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.353-357, 2009

ほとんどの人が住み慣れたところではなく,病院という本来医療を提供するはずの場で,人生最期の時を過ごして亡くなっていく.終の住処として入所したはずの施設からも最後には追い出され病院へ救急搬送されてしまう.受け取る病院サイドも緩和ケアの延長線上にある終末期医療への対応が負担となってしまう.病院,医療依存型の往生際ではなく,住み慣れた家であたりまえに過ごして有終の美を飾る,そんな地域での死を支える在宅ケア,地域の看取りの文化を再構築できればいい.あなたもわたしも/仕事が終われば家へかえる/それと同じように/人生という仕事が終わる時は/家にかえろう<br>
著者
藤田 恒春
出版者
吉川弘文館
雑誌
日本歴史 (ISSN:03869164)
巻号頁・発行日
no.816, pp.63-71, 2016-05

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1905年04月04日, 1905-04-04
著者
日野原 重明
出版者
日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.2-4, 1997-01-25
参考文献数
3
著者
板倉 憲政
出版者
日本学校メンタルヘルス学会
雑誌
学校メンタルヘルス (ISSN:13445944)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.197-203, 2017 (Released:2020-11-13)
参考文献数
22

【問題と目的】本研究の目的は,親子間での担任教師に関するコミュニケーションと高校生の教師に対する信頼感および登校回避感情との関連を検討することであった。【方法】インターネット調査会社MELLINKSに登録している対象者の中で,本調査への協力同意が得られた高校生250名(男子125名,女子125名)を対象に質問紙調査を実施した。調査内容は,親子間での担任教師に関するコミュニケーション,教師に対する信頼感,登校回避感情であった。【結果】親子間での担任教師に関する肯定的コミュニケーションと生徒の教師に対する安心感および役割遂行評価の間に正の関連が示された。また,親子間での担任教師に関する否定的コミュニケーションと生徒の教師に対する不信および登校回避感情の間に正の関連が示された。【考察】本研究の結果から,生徒の認知する保護者の教師に対する信頼感が,生徒の教師に対する信頼感の規定要因になっている可能性が示唆された。高校における不登校支援では,母親の担任教師への評価を肯定的に変化させる支援が有効であると考えられる。
著者
川村 秀樹 谷岡 利朗 舩越 徹 石津 寛之 岡田 邦明 高橋 昌宏
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.1122-1125, 2011 (Released:2011-11-25)
参考文献数
8
被引用文献数
2

術前化学療法後に胃切除を施行し,乳糜腹水を発症した2例を経験した.症例1:66歳,男性.大動脈周囲リンパ節転移,右鎖骨上リンパ節転移を認めS-1+CDDPを2クール施行し画像上リンパ節転移は消失.幽門側胃切除,D2+化療効果判定のため16b2リンパ節を切除.術後1カ月から乳糜腹水が顕在化し,その後3カ月の保存的治療を行うも治癒せず手術を施行.術中,明らかな乳糜の漏出点は認めず,有効な外科治療は不能.その後2週間の保存的治療で軽快.症例2:64歳,男性.大動脈周囲リンパ節転移を認め術前化学療法としてS-1+CDDPを3クール施行し画像上リンパ節転移は消失.症例1と同様の手術を施行.術後1カ月から乳糜腹水を発症し2カ月の保存的治療で軽快.これまで大動脈周囲リンパ節転移陽性胃癌7例に術前化学療法を行ったが,その内2例に乳糜腹水が発症した.大動脈周囲リンパ節転移陽性胃癌に対する術前化学療法は術後乳糜腹水のリスクを高める可能性がある.
著者
田中 覚
出版者
日経BP社 ; 1992-
雑誌
日経情報ストラテジー = Nikkei information strategy (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.84-87, 2016-07

シニア層固有の人気商品が、ライオンの「ホワイト&ホワイト」。1960年代発売のロングラン商品である。60代で5位、70代で2位、80代では1位に躍り出る。購入シェアは2.0%だが、リピート率は3カ月で15.6%とカテゴリー平均の3倍。
著者
馬場 芳之 藤巻 裕蔵 吉井 亮一 小池 裕子
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.53-64,107, 2001-05-31 (Released:2007-09-28)
参考文献数
25
被引用文献数
21 21

ミトコンドリアDNAは母系遺伝で,組換えがおきないこと,および塩基置換頻度が高いことなどから,多型解析に適した遺伝子である.ミトコンドリアDNAの中でも特に塩基置換頻度が高いコントロール領域を用い,日本に生息するニホンライチョウに関して,個体群の遺伝的多型を調べた.生息地から採集した脱落羽毛を試料として用い,ライチョウ類に特異的なプライマーを作成し,2度のPCRを繰り返すことによって十分な量のDNAを増幅した.ニホンライチョウとエゾライチョウ各1サンプルに関してコントロール領域全領域の塩基配列を決定し,ニワトリ,ウズラの配列と比較したところ,ニホンライチョウとエゾライチョウのコントロール領域中央部,central domain,には CSB-1, F box, D box, C box 領域が認められ,両側の left domein と right domein に置換が多くみられた.コントロール領域left domainの441塩基対の配列を決定し,飛騨山脈の4地域から採集されたニホンライチョウ21サンプルは,すべてハプロタイプLM1であった.また赤石山脈で採集されたニホンライチョウ1サンプルからはハプロタイプLM2であった.同じ領域を分析した北海道のエゾライチョウ36サンプルでは21ヶ所の塩基置換が検出され,21個のハプロタイプに分別されたことに比べ,ニホンライチョウの遺伝的変異は非常に少ないことを示した.花粉分析によると,ニホンライチョウの主要な生息場所であるハイマツ帯がヒプシサーマル期の前半(6,000-9,000年前)にほとんど消失するほど縮小したことが示されている.このような生息環境の変遷がニホンライチョウ個体群にボトルネックを引き起こし,遺伝的変異が非常に低くなったと考えられる.
著者
山本 晃
出版者
養賢堂
雑誌
機械の研究 (ISSN:03685713)
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.p1023-1026, 1986-09