著者
勝倉 りえこ 伊藤 義徳 児玉 和宏 安藤 治
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.139-147, 2008-02-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
16
被引用文献数
2

目的: 外来患者に対して,簡便で手軽なマインドフルネスに基づくストレスリダクションプログラムの効果を検討することを目的とした.方法: 外来患者8名を対象に,1カ月間,自宅での瞑想訓練の実施と,毎回の練習前後の気分状態と,ベースラインから3カ月後フォローアップまでの6段階における特性指標(心身の健康度,認知的スキル,認知スタイル,スピリチュァルな精神的態度)の測定を行った.結果と考察: 瞑想訓練による気分への即時的改善効果は認められなかった.特性指標の変化として,心配に関するネガティブな信念といったメタ認知的信念の改善が認められた.また,これらの効果の媒介要因である破局的思考を緩和させる認知的スキルの向上と,自動的処理思考が減少した.さらに訓練を十分に行えた患者のほうが,認知的スキルの獲得が促進された.本プログラムが医療現場における日常臨床を補完する可能性が示唆された.
著者
武田 邦彦
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1_41-1_47, 2008 (Released:2008-02-13)
参考文献数
21

The basic program of general education of engineers is based on European culture from the times of ancient Greece to the 20th century. However, when considering its results, such as colonialism and the World Wars, this system can be said to lack the most important goal of “culture,” which is “to accept the existence of others.” In particular, the cooperation of European culture and engineering has ravaged the weaker cultures and is currently causing severe environmental problems in nature. Therefore, when considering the general education of engineers, it is indispensable to doubt European scholarship and to analyze what is lacking in current Japanese educational programs. Then, it is desirable that the relationship between the mind and the body, the characteristics of the Japanese climate, and the essence of Japanese artisanship be taken into consideration. It may also be beneficial to study the Ainu culture for its qualities as a peaceful culture.
著者
大木 富 Tom Ohki
出版者
神奈川工科大学
雑誌
神奈川工科大学研究報告.A,人文社会科学編 (ISSN:09161899)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.23-33, 2003-03-20

The purpose of this paper is to consider the numerology in John Milton's "On the Morning of Christ's Nativity." This poem consists of the Proem (4 7-line stanzas and 28 lines) and the Hymn (27 8-line stanzas and 216 lines). Rostvig (1975) pointed out that the overall structure of the Hymn combines two patterns, a sequence of 12-3-12 and another of 1-9-7-9-1 stanzas. Davies (1975) indicated three beginnings in this poem: (1) the actual beginning of the poem; (2) stanza 3 of the Proem, the outermost limit of the symmetrical structure centered at stanza 13 of the Hymn; (3) stanza 1 of the Hymn, the beginning of the Hymn as a sequence of 15-11-1 stanzas Empson (1974) showed the ambiguity of the symbolism of Lucifer in Milton's poetry. Lucifer (stanza 6 of the Hymn) and the total number of lines of the Hymn 216(=63) provide clues to the numerology in this poem. The first section deals with Rostvig (1975) and Davies (1975). The second section analyzes the complex and intricate symbolism of the number 6 in the Hymn. The third section interprets Milton's use of other symbolic numbers. The final section discusses anamorphosis emerging from the symbolism of the number 6.
著者
竹村 智子 枯木 幸子 光永 知和子 飯嶋 幸子 大音 清香 井上 賢治
出版者
日本視機能看護学会
雑誌
日本視機能看護学会誌 (ISSN:24333107)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.23-26, 2018 (Released:2019-02-01)
参考文献数
8

目的:A 病院病棟看護師の手指衛生についての認識や実施状況を調査し、今後の院内感染防止活動の示唆を得ることを目的とした。 方法:期間は2017 年3 月~ 4 月。対象者は病棟看護師15 名。 日勤業務に就いている看護師1 名に観察者1 名が30 分間同行し、直接観察法を用いて看護行為に伴う手指衛生を行うタイミングと手順について観察した。また、手指衛生の5 つのタイミングについてアンケート調査を実施した。 結果:手指衛生の実施率は72.7% であった。患者に触れる前より後の実施率の方が高かった。手順の遵守率は、アルコール手指消毒剤が3.8%、手洗いが12.1% であった。実践できない理由で多かったのは「忙しい」で11 名が回答した。 考察:手指衛生の手順が遵守できないのは、認識の低さが影響しているといえる。不十分な手指衛生行動を自覚できるような啓発活動が必要であり、適切な手指衛生が習慣化できるよう継続的に行うことが必要である。
著者
嶋守 一恵 近藤 啓子 小野寺 直人 佐藤 悦子 諏訪部 章 櫻井 滋
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.268-274, 2017-09-25 (Released:2018-03-25)
参考文献数
14

手指衛生は医療関連感染防止のために重要な感染対策であるが,その遵守は十分ではない.我々は,看護管理者に積極的な関与を促す「手指衛生向上プログラム」の導入が,擦式アルコール手指消毒薬(ABHR)使用率(L/1,000patient-days)とメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)発生率(件数/1,000patient-days)に与える影響を検討した.本プログラムは看護部目標の成果尺度として,ABHR使用率を一般病棟で15,クリティカル部門で30と設定し,各看護師長に目標達成を義務付けた.また,看護師長会議で毎月のABHR使用率とMRSA検出数を報告し,リンクナースと感染症対策室が目標達成の支援を行った.その結果,一般病棟のABHR使用率は,導入前の平成25年度は9.3であったが,導入後の平成27年度は17.5に増加し(p<0.05),目標を達成した.同時期のMRSA発生率は0.52から0.37に減少した(p<0.05).クリティカル部門のABHR使用率も,平成25年度の41.9から,平成27年度では78.8に増加し(p<0.05),MRSA発生率も1.84から1.63へと減少傾向を示した.以上により,手指衛生の推進を看護部の目標とし,病棟の中心的存在である看護師長の関与のもと組織全体が積極的に取り組むことが効果的であり,本プログラムは手指衛生の向上に有用であることが示唆された.
著者
松田 睦史 岡林 剛史 中川 健 長谷川 博俊 鶴田 雅士 北川 雄光
出版者
日本内視鏡外科学会
巻号頁・発行日
pp.275-281, 2016-05-15

◆要旨:患者は60歳代,男性.便潜血陽性を主訴に近医を受診し,大腸内視鏡検査で直腸癌(Ra, cT1b, N0, M0, cStageⅠ)を認めた.また,PSA高値のため行った針生検では,前立腺癌(T2c, N0, M0, StageⅡ)も合併していた.低侵襲性を考慮し,根治術を同時に施行する方針となった.手術はまず,後腹膜アプローチで前立腺全摘および両側閉鎖リンパ節郭清を行った.その後,腹腔内アプローチで低位前方切除,D3リンパ節郭清を行い,回腸人工肛門を造設した.術後経過は良好であり,第11病日に退院となった.直腸癌,前立腺癌の同時性重複癌に対し,同時に腹腔鏡下手術を施行した報告は少ない.自験例は腹腔鏡下に手術を行うことで患者に負担が少なく,低侵襲に同時根治切除を施行することができた.
著者
小池 智幸
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.2661, 2017 (Released:2017-11-20)
参考文献数
2

【背景】ガイドラインでは,早期胃癌ESD非治癒切除患者に対してリンパ節転移の危険性から追加外科切除が推奨されているが,全例に追加外科切除を行うことは過剰医療となる可能性がある.そこで,本研究では,早期胃癌ESD後の治療方針決定のためのスコアリングシステムを確立することを目的とした.【方法】本研究は,2期にわけて行った.Development stageでは,ESD非治癒切除後追加外科切除を行った1,101例を対象とし,ロジスティック回帰分析を用いてリスクスコアリングシステム(eCura system)を作成した.Validation stageでは,eCura systemをESD非治癒切除後経過観察となった905例に当てはめ,癌特異的生存率(CSS)よりeCura systemの検証を行った.【結果】Development stageでは,5つのリンパ節転移リスク因子をβ回帰係数による重みづけから,3点:リンパ管侵襲,1点:腫瘍径>30mm,SM2,静脈侵襲,垂直断端陽性とした.続いて,患者を低リスク(0-1点,リンパ節転移率2.5%),中リスク(2-4点,同6.7%),高リスク(5-7点,同22.7%)の3群に分類した.Validation stageでは,CSSが3群間で有意差を認め(log-rank test:P<0.001),それぞれ5年CSS:99.6%,96.0%,90.1%であった.多変量Coxハザード回帰分析では,低から高リスクになるにつれて胃癌死のリスクが上昇する傾向を認めた(P trend<0.001).また,eCura systemの胃癌死に対するC statisticsは0.78であった.【結論】eCura systemは早期胃癌ESD非治癒切除患者の胃癌死を予測可能であった.eCura systemにて低リスクの場合には,ESD後経過観察もオプションとなりうる.
著者
棚原 翔平 Shohei Tanahara
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2016-03-25

摩擦現象は最も身近な物理現象のひとつであるが,そのメカニズムの詳細は未だに解明されていない.近年,表面制御技術の進展や原子間力顕微鏡(AFM)や摩擦力顕微鏡(FFM)などの計測技術の発展により,ミクロな視点から摩擦を解明しようとするナノトライボロジーという分野が確立した.我々はこれまで、原子間力顕微鏡(AFM)と水晶マイクロバランス(QCM)を組み合わせたエネルギー散逸顕微鏡(AFM-QCM)を用いて,ナノスケール接触面におけるエネルギー散逸および有効的な弾性力を測定してきた.これまでの研究から,ナノスケール接触面のエネルギー散逸および有効的な弾性力は基板周期ポテンシャルを反映した基板振幅依存性を示すことが明らかになってきた.共振状態の水晶振動子上の試料基板にAFM 探針を接触させると,接触面のエネルギー散逸や有効的な弾性力の増加により水晶振動子のQ 値および共振周波数fR が変化する.試料基板とAFM 探針を接触させた状態でAFM 探針を走査させると,試料基板の表面構造によってエネルギー散逸や有効的な弾性力がさらに変化する.AFM-QCM では表面のAFM でトポ像を測定すると同時に,QCM によるエネルギー散逸像および有効的な弾性力像を取得できる.本研究では,3MHz SC-cut 水晶振動子の中心にHOPG(高配向熱分解グラファイト)基板を貼りつけた試料を用意し,トポ像と同時にエネルギー散逸像および有効的な弾性力像を測定した.図1 にSi3N4探針-HOPG 基板における典型的な表面スキャン像を示す.測定は室温大気中で行われ,スキャン範囲は500 nm x 250 nm,分割数は128 x64 である.図1(a)はトポ像であり,グラファイトの典型的なステップ構造が測定されている.このステップの高さは4 nm で12 層程度の構造であると考えられる.図1(b)はQ 値の逆数の変化,つまりエネルギー散逸像であり,ステップ構造の部分でエネルギー散逸の増加が観察されている.図1(c)は共振周波数fR の変化,つまり有効的な弾性力像であり,エネルギー散逸と同様に,ステップ構造で弾性力の増加が観察されている.
著者
伊東 保志 赤滝 久美 三田 勝己 渡壁 誠 伊藤 晋彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J86-D2, no.1, pp.130-139, 2003-01-01

筋音図(Mechanomyogram; MMG)とは収縮筋上の体表面上に現れる微細な振動を記録した信号であり,筋線維の収縮に伴って発生する側方向への圧力波に起因し,筋の機械的な活動を反映する.本研究では,筋力低下に至るまでの持続性収縮時の非定常なMMGを時間-周波数解析し,筋疲労に伴う運動単位の活動様式の変化をMMGから推察することを目的とした.実験では,上腕二頭筋を最大随意筋力の20%と80%(20%と80% MVC)で等尺性に持続収縮させ,このとき記録されたMMGを短時間フーリエ変換法を用いて解析し,RMS 振幅と平均周波数を求めた.20% MVCでのMMGのRMS振幅は収縮開始時に若干減少した後に漸増した.平均周波数は当初増大したが,その後はほぼ一定値を保った.一方80% MVC の場合,RMS 振幅は連続的に減少し,平均周波数はいったん増大した後に減少した.このようなMMGのRMS振幅と平均周波数の経時的変化は筋疲労の発生に伴うMU 活動様式の変化を反映しており、MMGによる筋疲労のモニタリングの有用性が示唆された.

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1915年03月26日, 1915-03-26

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1927年01月07日, 1927-01-07
著者
数野 千恵子 畑中 裕貴
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

【目的】昨年度、硬度の異なるミネラルウォーターを用いて寒天ゼリーを調製したところ破断荷重に差が見られることを報告した。今回、その原因がCaやMgによる影響かについて検討した。また、CaおよびMgが水のおいしさに与える影響、水と寒天ゼリーのおいしさは関係しているかについて官能評価を行い比較検討した。<br>【方法】1) 試料水の調製方法:硬度1468(製品C)とRO水を混合し、硬度30~1400に調製した。2) CaおよびMgを添加して硬度30・硬度315・硬度1468の模擬水を調製した。3) 寒天ゼリーの調製方法:粉末寒天に各試料水を加え膨潤し、撹拌しながら加熱した。試料液を加熱し溶解し定容後、流し箱に詰め、冷却したものを寒天ゼリーとした。4) 破断測定はクリープメーターで、粘度測定は粘度計で測定した。5) 官能評価:①硬度30(製品A)・硬度315(製品B)・硬度1468(製品C)の市販のミネラルウォーター、②CaおよびMgを添加した模擬水、③模擬水を用いて調製した寒天ゼリー3種類について評点法および順位法による官能評価を行った。6) 味覚分析は味認識装置を用いた。<br>【結果】1) 寒天ゼリーの破断荷重は、硬度30から硬度が高くなるに伴い徐々に下がり、硬度600が最も低くなった。硬度600~1500は一定の傾向は見られなかった。また、粘度測定では硬度が高くなるに伴い動粘度が高くなった。2) 官能評価①は、評点法では総合的なおいしさの項目で製品Cが他の2つに比べて低い評価だった。後味のすっきりさ・のどにひっかかる感じの項目でも製品Cは低い評価であった。3) 官能評価③は、順位法では製品Bの模擬水寒天ゼリーの評価が高かった。4) 味覚分析では、硬度が高いほど、後味である旨味コクは強かった。硬度が高くCa含有量の多い水は後味が残りやすく、硬度が低くCa含有量が少ない水はすっきりとした味に感じ、後味が好ましかった。

1 0 0 0 OA 近世歯科学

著者
佐藤運雄 著
出版者
歯科学報社
巻号頁・発行日
vol.前編, 1911