著者
井上 佑貴 伊藤 雄一 尾上 孝雄
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.293-301, 2019-09-30 (Released:2019-09-30)
参考文献数
17

In this research, we propose a tube display, TuVe as a novel flexible display applicable to various shapes of surface. It is possible to wrap the tube around the surface of an object and present information. In this paper, first, we investigate the system configuration to generate droplets. Next, we discuss about the method to control positions of the droplets. In addition, we also propose a calibration method to define the relationships between the pump drive time and droplets' positions. Then, we evaluate the performance of proposed system with experiments. As a result, we confirmed that it was possible to control the positions accurately of colored droplets by the proposed calibration method.
著者
杉山 雄一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.113-115, 2016 (Released:2016-02-23)
参考文献数
5
被引用文献数
2

薬学に基盤を置く研究者の強みとして、基礎研究領域(有機化学、生化学、分子細胞生物学、生命物理化学、薬理学、薬物動態学など)に知悉していることがあげられる。リバーストランスレーショナルリサーチ(rTR)においては、研究へのとりかかりとして“臨床上での問題点からスタート”し、“問題点のメカニズムを基礎研究により明らかに”し、最終的には、臨床上にフィードバックされることが必至となる。rTRは基礎研究に強い薬学研究であるからこそ目指すべき取り組み方である。
著者
定永 恒明 定永 史予 八尾 博史
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.921, 2001-08-15

Torsades de pointesとはQRS波が螺旋状に極性を次々と変えていく多形性心室頻拍である。通常数拍〜十数拍続いて自然停止するが,時として心室細動へと移行し突然死を来すこともある危険な不整脈である。心電図ではQT延長を伴って出現することが多い。その原因として遺伝性QT延長症候群以外には薬剤の副作用が多い。薬剤では抗不整脈薬の副作用による場合が最も多いが,抗生物質,抗真菌薬,向精神薬でも出現することがある。向精神薬(特に抗精神病薬,抗うつ薬)には抗不整脈薬であるキニジン様の薬理作用を有することが多く,心電図上QT延長を来すことが少なくなく,精神科領域での突然死にはQT延長を背景とした不整脈によるものが多いといわれている。通常,心拍数で補正したQTc値で440msec以上をQT延長と診断している。 国立肥前療養所の向精神薬内服患者(平均クロルプロマジン換算量1,000mg/日)350人による検討では,約50%の患者のQTcが440msec以上であり,さらに5%の患者ではQTcは500msec以上であった。この検討では専門医がQT時間を測定したが,通常の心電図の自動解析によるQT時間測定にはかなりの誤差がみられることが多いので注意が必要である。
著者
高橋 孝喜 桑田 昇治 徳永 勝士
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

1991年秋に行われた国際組織適合性ワークショップのデータに関して、特に地域差、民族差の観点から解析した。また1992年9月には、シベリアバイカル湖畔のブリアート族におけるHLA調査も行った。これらの結果に加え、昨年までの成果を考え合わせると、東アジアにおいていくつかの特徴的なHLAハプロタイプが異なる分布パターンをとっていることが示された。このような複数のパターンが見られることの解釈として、東アジアにおける民族移動が単純なものでなく、いくつかの異なる先祖集団が異なる時代に異なったルートを経て移住拡散してきた可能性が高いと考えられる。特に日本人の起源と形成過程に関しては、モンゴル周辺や朝鮮半島付近に源を発する民族の影響が主体を成し一部には中国南方の集団からの影響もあったものと推定された。1)B52-DR2を高頻度にもつ集団が中国北方より朝鮮半島を経て北九州や近畿地方に移住してきた。2)B44-DR13で特徴付けられる集団が、朝鮮半島付近より北陸地方などの日本海沿岸に到った。3)B54-DR4を持つ集団は、中国南部に発して、南西諸島や九州四国、本州の太平洋岸に達した。4)B46-DR8をもつ集団はその遠祖が中国南部にあり、朝鮮半島経由かあるいは直接に北九州に到達した可能性が考えられる。今後もより広範かつ詳細な調査を進めて、以上の仮説を検証する必要がある。
著者
乾 浩明 町田 明敏 橋本 淳 信原 克哉
出版者
Japan Shoulder Society
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.471-474, 2001

This study examines the glenoid cavity using three-dimensional MRI. Forty volunteers were enrolled in the study. Three-dimensional scapular images were reconstructed using an open MRI and computer software. The tilting angles of the glenoid bone were measured in five consecutive axial planes perpendicular to the glenoidal long axis. Cross sections were divided into three types (concave, flat, and convex)according to the shape on each plane.<BR>The average tilting angles for the five planes from the bottom to the top were 3.3&plusmn;4.1,1.4&plusmn;3.8, -0.6&plusmn;1.9, -1.4&plusmn;3.3, -6.2&plusmn;3.3 degrees anteriorly, indicating that the three-dimensional bony structure of the glenoid was twisted anteriorly to posteriorly. Images on the bottom plane consisted of 82.5% concave type,15% flat type, and 2.5% convex type, while only 3 cases (7.5%) showed a concave shape in the top plane. The shape of the glenoid cavity is thought to be conducive for glenohumeral motion and stability.
著者
ブレクモア ロバート J
出版者
Kanagawa Prefectural Museum of Natural History (Kanagawa Prefectural Museum)
雑誌
神奈川県立博物館研究報告(自然科学) (ISSN:04531906)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.48, pp.55-60, 2019 (Released:2019-09-01)

ヤマトミミズ Amynthas japonicus (Horst, 1883) は、1820 年代収集されたシーボルトのコレクションに基づき記載された日本在来のミミズ3 種のうちの1 種である。ヤマトミミズ以外の2種は比較的よく知られていて、現在の分布もよく判っているのに対して、ヤマトミミズは初出以降、全く記録されていない。タイプ産地と考えられる長崎で採集を試みたが、ヤマトミミズを採集することはできなかった。これに加えて既存の調査結果を精査した結果、ヤマトミミズはほぼ200 年もの間にわたって記録がなく、非常に珍しい種類であるかあるいはおそらく絶滅してしまったということが示唆された。現在、ヤマトミミズはIUCN レッドリストでは「DD データ不足」(“絶滅した可能性あり”)と位置づけられているが、これは「EX 絶滅」と再位置づけするべきと考えられる。本種は、記録に基づけば、日本からの最初のミミズの絶滅種であり、無脊椎動物としても2 番目の絶滅種と考えられる。本稿では、最新の情報に基づく現在の日本のミミズの分類のチェックリストを付記した。
著者
竹田 誠
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.93, pp.2-ES-1, 2020

<p>In December 2019 a pneumonia outbreak by the novel coronavirus, SARS-CoV-2, occurred in Wuhan City, China. The disease was named as COVID-19. Information on the SARS-CoV-2 genomic sequence was first released on 10 January 2020. We urgently started development of genetic diagnostic methods for SARS-CoV-2. On 14 January, soon after receiving the prototype designed primers, we have received the first clinical specimens suspected for COVID-19. We urgently started assessment of the primers and the laboratory diagnosis testing for SARS-CoV-2 in a parallel way. After the nightlong assessment/testing, the first COVID19 case in Japan was confirmed. The patient was a returnee from Wuhan. Until 22 January, we have established the nested RT-PCR diagnostic method/protocol for SARS-CoV-2, and urgently distributed the primer set/protocol to ~ 80 prefectural public health laboratories (PHLs) nationwide, because the Chun Jie holidays starts in China on 24 January and many Chinese tourists visit Japan. As we concerned, sporadic COVID-19 cases with an epidemiological linkage to Wuhan have detected in Tokyo, Aichi, Nara, Hokkaido, and Osaka prefectures after 24 January. Following the nested RT-PCR method, we have established the real-time RT-PCR diagnostic methods for SARS-CoV-2, and distributed the primer/probe set to ~ 80 PHLs on 30–31 January. However, the laboratory workload increased dramatically, because Japan has started to accept 829 returnees (15 were shown to be SARS-CoV-2-positive later) from Wuhan using government chartered flights on 29 January and screen ~3,500 passengers and crew (&gt;600 were shown to be SARS-CoV-2-positive later) on a cruise ship quarantined in Yokohama for SARS-CoV-2. About one month and a half has passed, a significant number of COVID-19 cases via unknown infection route are currently detected in many prefectures in Japan (total 239 cases, as of 2 March 2020).</p>
著者
吉岡 信和
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.1134-1139, 2011-08-15
被引用文献数
1

セキュリティの考慮には専門的知識が必要であり,一般のエンジニアが安全なソフトウェアを開発するのは難しい.個々のセキュリティ機能がいかに安全に作られていても,その設定や使い方が間違っている場合,それがシステムの脆弱性になってしまう.そこを攻撃され,重要な情報が漏洩してしまう可能性があるため,セキュリティは注意深く開発する必要がある.そこで,セキュリティの専門知識を整理し,セキュリティの正しい再利用を促進するためのソフトウェアパターンとして,セキュリティパターンが注目されている.本稿では,セキュリティパターンの技術の研究動向と,今後のセキュリティパターンの展望を解説する.
著者
江渡 浩一郎
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.1127-1133, 2011-08-15

建築家Christopher Alexanderによって提唱された建築設計手法パターンランゲージは,建築業界において大きな反響を巻き起こしたにもかかわらず,定着しなかった.後に,Kent BeckとWardCunninghamという2人の研究者によってソフトウェア業界へその方法論が導入され,結果として,デザインパターン,アジャイルソフトウェア開発,Wikiなどといった成果として花開いた.本稿では,パターンランゲージの誕生から現在のソフトウェアパターンへの応用に至るまでの歴史を概観する.
著者
紙谷 喜則 イッサ.ザカリア アブドゥルスディ 比恵島 裕美 守田 和夫 八木 史郎
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.141-146, 2008-09-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
10

強酸性電解水は, 次亜塩素酸塩を含むため, 強い殺菌効果があることが知られている。その殺菌効果により, 手指消毒液生成装置として医療機器に承認され, また, 食品添加物として日本の厚生労働省によって認可された。現在, 強い農薬を使用している農業分野では, 代替農薬として使用されることが期待されている。農業の分野では, 主に, 地下水を使用して電解水を生成される。地下水には様々なイオン種が存在するために, 強酸性電解水を生成する上でpHバッファー効果を有する。従って, 被電解水の水質が強酸性電解水の殺菌効果へ及ぼす影響を検討した。試験に使用される被電解水は, 日本の地下水の水質調査結果からアルカリ度に注目し, NaHCO3を希釈調整して用いた。本報告書では, 炭酸イオンの濃度と強酸性電解水のpHの相関を確認した。電気分解に用いられる原水のアルカリ度 (炭酸イオンに濃度) が0mg/L (純水) の時に, 食品添加物に規制された中心値 (pH2.5) になる電解電流値は8Aであった。この電解電流値で生成すると, 炭酸イオン濃度が68mg/Lの時, 食品添加物に規制された上限 (pH2.7) となることが確認された。また, 日本で使用される地下水の最大アルカリ度は150mg/L以下であり, その時のpHは3.3まで上昇した。pH3.3とpH2.7 (規格値上限) にて同じ有効塩素濃度に調整し, 大腸菌を用いて殺菌速度を比較したところ, pH3.3の方が早い傾向が見られた。強酸性電解水の生成に炭酸イオンを含んだ, 地下水を使用しpH承認範囲 (pH2.5±0.2) から外れ, pHが3.3になったとしても, 大腸菌を用いて確認した結果, 殺菌速度に大きな影響は無かった。
著者
久野 春奈 小谷 卓矢 武内 徹 和倉 大輔 和倉 玲子 兪 明寿 槇野 茂樹 森脇 真一 花房 俊昭
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.520-525, 2012 (Released:2012-12-31)
参考文献数
38
被引用文献数
1 1

症例は72歳男性.2008年11月より両肩・手指の関節炎が出現.手指関節のレントゲン検査で,傍関節骨粗鬆,関節裂隙狭小化,骨末端の嚢胞性変化を認め,手指関節の造影MRI検査で,造影された滑膜の増殖と骨融解の所見を得たため関節リウマチと診断した.関節リウマチに対し,2008年12月よりMTX 4 mg/週による治療を開始し,2009年2月よりAdalimumab(ADA)40 mg/2週を導入したところ,関節炎の著明な改善を得た.以後,関節リウマチは臨床的寛解を維持していたが,2010年4月より両手掌,足趾,四肢,鼠径部に水疱と鱗屑を伴う比較的境界明瞭な紅斑が出現した.皮膚生検により乾癬様皮疹と診断し,ADAを中止したところ4ヶ月の経過で皮疹は改善した.抗TNF剤による乾癬様皮疹は稀であるが,注意するべき副作用であり,文献的考察を加え報告する.