著者
氏家 誠
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

エンベロープウイルスの膜融合蛋白質のheptad-repeat(HR)領域を標的とした抗ウイルスペプチド薬(HRP)は、ウイルスの膜融合活性を阻害する事で、ウイルス感染を抑制する。しかしながら、HRPは、細胞表面から直接侵入するウイルス※には高い抗ウイルス活性を示すが、エンドソームには取り込まれにくいため、エンドサイトーシスで細胞に侵入するエンベロープウイルスにはほとんど効果がない。本研究では、HRPにコレステロール(Chol)を結合することでエンドソーム指向性に改変したHRPを作製し、細胞表面経路又はエンドサイトーシス経路で細胞侵入する各種コロナウイルス(CoV)を用いて抗ウイルス活性を評価した。この結果、HRP-cholは、CoVの細胞表面経路だけでなくエンドサイトーシス経路も効率良く阻止する事を明らかにした。これらの結果から、エンドサイトーシス経路を主な細胞侵入経路とするその他のエンベロープウイルス(インフルエンザウイルス・エボラウイルス等)にも、HRP-cholが応用可能であることが示唆された。※最近の研究では、これまで細胞表面で膜融合を起こし細胞表面から侵入すると考えられてきたHIVやRSVなども、エンドサイトーシスを利用して感染する事が報告されている。ここでは、従来の「エンドサイトーシス侵入経路」と区別するためこれらの細胞侵入方法を「細胞表面侵入経路」とした。
著者
松尾 睦 細井 謙一 吉野 有助 楠見 孝
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.43-57, 1999 (Released:2011-08-16)
参考文献数
48
被引用文献数
1 1

本研究の目的は、自動車販売会社における営業担当者の知識獲得プロセスを検討することにある。販売方略に関する手続的知識は、定性的および定量的な質問紙調査によって測定した。分析対象となる108名の営業担当者を、経験年数に応じて新人群 (営業経験3年未満) 、中堅群 (3年~9年) 、ベテラン群 (10年以上) に分類した上で、手続的知識と販売業績について相関分析を行ったところ、営業経験を積むほど手続的知識と販売業績の正の相関が強まることが明らかになった。この結果は、営業担当者の知識が経験によって宣言的レベルから手続的レベルに変換されるというAnderson (1982、1983) の認知的スキル獲得モデルによって解釈できるとともに、エキスパート研究における10年ルールと対応するものである。
著者
西尾 和記 加嶋 健司 井村 順一
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.459-468, 2009 (Released:2011-11-03)
参考文献数
15

In this paper, we investigate the state preparation problem of quantum noiselsss subsystems for the quantum Markovian systems via quantum feedback control. The controlled dynamics we consider are given by the so-called stochastic master equation including the coupling terms with the environment. We formulate the problem as a stochastic stabilization problem of an invariant set. This formulation allows us to utilize the stochastic Lyapunov technique and derive a globally stabilizing controller. The effectiveness of this method is evaluated by applying it to the 3-qubit systems subject to the collective noise.
著者
佐藤 雄大 鹿野 和彦 小笠原 憲四郎 大口 健志 小林 紀彦
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.115, no.1, pp.31-46, 2009-01-15 (Released:2009-06-05)
参考文献数
51
被引用文献数
4 3

本研究は,秋田県男鹿半島西南部に分布する中新統台島層について調査し,その岩相と層序を明らかにした.台島層はデイサイト火砕岩,玄武岩質安山岩溶岩および同質火砕岩,淡水成堆積岩から構成され,下位より双六沢礫岩,双六沢デイサイト,双六玄武岩,館山崎デイサイト,椿砂礫岩の5部層に区分される.台島層を構成する火山岩の岩相と層序,これまで報告されてきた放射年代は,男鹿半島西部の内陸に分布する野村川層と同じであり,また,共に門前層を不整合に覆い,西黒沢層に覆われることから台島層と野村川層は対比可能である.台島層および野村川層火山岩は,それらの放射年代に基づけば,約21 Maに噴出・定置した可能性が高い.それらはバイモーダル組成で量も多く,いずれも古地磁気偏角は現在とは異なる北西を指す.したがって,台島層・野村川層火山岩の噴火は,日本海の急速な開裂の始まりを示す可能性が高い.
著者
大口 健志 鹿野 和彦 小林 紀彦 佐藤 雄大 小笠原 憲四郎
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.114, no.Supplement, pp.S17-S32, 2008-09-18 (Released:2011-12-22)
参考文献数
53
被引用文献数
3 1

最近数年間,とくに火山岩が厚く累重している赤島層や門前層,台島層を対象に,火山岩の噴出・累重様式や噴出環境を調べ,個々の火山岩相を識別し,火山岩相相互の関係を明らかにして,その岩相層序を組み立て直す作業に取り組んできた.この巡検ではその成果の一端として,台島層を構成するカルデラ充てん堆積物,始新世~漸新世のマグマ水蒸気爆発噴出物,水際に定置した後期始新世の火山噴出物,前期始新世の火砕流堆積物と火山角礫岩など,始新世~前期中新世のリフティングに伴う火山活動で形成された様々な火山岩相を紹介する.また,火山岩相解析が火山岩を主体とする地層の火山学的側面を明らかにする上で効果的であることを示す実例の一つとして,戸賀火山の噴出物と構造を紹介する.
著者
杉本 琢真 吉田 晋弥 相野 公孝 大西 稔治 塩飽 邦子
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.93-96, 2003-05-31 (Released:2012-10-29)
参考文献数
11

Using the agar medium inoculation method, three isolates of Phytophthora sojae were tested for virulence on six cultivars. In about 10 days, they were classified into race A, B or H, respectively. That period was from 14 to 19 days earlier than the conventional flooding inoculation method. Our proposed new method is available for the pathogenic test of Phytophthora sojae.
著者
松村 記代子
出版者
社団法人 日本印刷学会
雑誌
日本印刷学会誌 (ISSN:09143319)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.081-085, 2012 (Released:2012-05-17)
参考文献数
5

Paper money was born as a substitute for metal money in distant commercial transactions. With its denominations eventually becoming fixed numbers, it developed into a currency used by a large number of unspecified people. As the circulation of paper money increased, counterfeiters began to try their hands at producing more. Anti-counterfeiting measures became an important factor in paper money production. Anti-counterfeiting technologies have been improved dramatically over the years: today, color- and pattern-shifting elements are used to make counterfeiting harder and counterfeited money easier to spot in a new technological environment.
著者
宮本 研
出版者
白水社
雑誌
新劇 (ISSN:05830486)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.42-52, 1974-04
著者
古澤喜明 小川梨恵 金子洋平 齋藤孝道
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.571-572, 2014-03-11

SSL/TLSなどのセキュリティプロトコルでは,通信に乱数生成および暗号化/復号といった高負荷な演算処理を伴うため,システム全体のパフォーマンスの低下やスループットの低下を招くことがある.解決策の一つとして,暗号処理に最適化されたモジュールにオフロードする方法がある.本論文では,HTTPS通信におけるオフロードの効果を評価するため,SSL/TLSを用いた通信を解析し,通信全体における暗号処理の割合を計測した.さらに,オフロードの有無により,オフロードがHTTPS通信全体にどの程度パフォーマンス向上に寄与するかを考察した.