著者
秀島 翔
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2011

制度:新 ; 報告番号:甲3318号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2011/3/15 ; 早大学位記番号:新5622
著者
星野 祐子
雑誌
十文字学園女子大学紀要 = Bulletin of Jumonji University (ISSN:24240591)
巻号頁・発行日
no.47, pp.91-104, 2017-03-24

近代日本における外来語の受容と定着過程をみてみると、明治期は、文明開化をきっかけに西洋語由来の外来語が、日本語の語彙体系に大量に組み込まれた時期としてみなすことができる。続く大正期は、外来語のカタカナ表記が徐々に定着し、表記の標準化が図られた時期として、そして、昭和初期は、大正期に大衆化した外来語が徐々に整理され、定着していく途上の時期として捉えることができる。さて、外来語の流入は、新しい文化の流入と等しいわけだが、新しい文化として、庶民に最も身近であったものは、おそらく食文化ではないだろうか。そこで、本研究では、グルメ雑誌の先駆けである『月刊食道楽』を資料に、明治末期、昭和初期における外来語の使用実態とその機能を分析する。庶民生活の中で、「食」にまつわる外来語はどのように表現されたのだろうか。 明治期『食道楽』と昭和期『食道楽』をそれぞれ比較したところ、明治期『食道楽』は、欧米の食文化を伝えるために、言わば文脈上必須の語として外来語が用いられていたことが明らかになった。そのため、読み手への工夫として、ルビや付記の活用がみられた。ただし、日本語文における外来語の取り入れ方については、パターンがあるわけではなく、形式に原語の名残がみられることも多かった。和語と外来語の結合についても、現代から言えば違和感のあるものも多く、廃れていった結合パターンも散見された。また、外来語を使用することでの文体面での効果としては、スタイリッシュな響きの演出、カタカナ表記の使用による漢字・ひらがなとの差別化などが挙げられる。そして、昭和期『食道楽』では、外来語の使用がより一層戦略的になった。外来語使用に、洗練された現代的な印象を求めるのは明治期と相違ないが、文脈の助けを受け、皮肉や滑稽さの伝達に外来語が効果的に使われるようになったのである。この点に明治期と異なる外来語の使いこなしを認めることができる。
著者
松本 〓子 青木 邦男
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.439-449, 1993-06-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
34

5, 6歳児352名 (男児183名, 女児169名) を対象に, 幼児の運動能力に影響する要困について, 運動能力測定および質問紙による調査を実施し, そのデータを数量化I類を用いて分析した.その結果, 以下のことが明らかになった.(1) 男児の運動能力に影響する要因として, 「歩行開始時期」, 「徒競走の成績・母」, 「動作性IQ」, 「遊び回数・母」, 「遊び友達の人数」, 「遊び場所」, 「出生順位」, 「身体活動状況」の8要因が抽出された.この8要因の男児の運動能力に対する重相関係数はR=0.5801である.(2) 男児の運動能力を促進するのは, 早く歩き始めること, 母親の徒競争 (学生時代) の成績がよいこと, 母親の子どもとの遊び回数が多いこと, 多くの遊び友達と広い場所で遊ぶことである.(3) 女児の運動能力に影響する要困として, 「テレビ視聴時間」, 「身体活動状況」, 「遊び回数・母」, 「言語性IQ」, 「歩行開始時期」, 「通園時 (往復) 徒歩時間」, 「出生順位」, 「徒競争の成績・母」の8要因が抽出された.この8要因の女児の運動能力に対する重回帰係数はR=0.5134である.(4) 女児の運動能力を捉進させるのは, テレビ視聴時間が短いこと, 身体活動が活発であること, 母親との遊び (静的受容的遊び) 回数が少ないこと, ある水準以上の言語性IQがあること, 歩行開始が早いことである.(5) 男女とも運動的遊びを含む身体活動量の多さが幼児の運動能力の発達を促すと結論づけられるので, 幼児の日常生活の中に身体活動量を増す機会を意識的に作る必要があろう.
著者
伊藤 永喜 佐野 洋子 小嶋 知幸 新海 泰久 加藤 正弘
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.187-194, 2005 (Released:2006-07-14)
参考文献数
17

閉塞型睡眠時無呼吸低呼吸症候群 (obstructive sleep apnea hypopnea syndrome : 以下, OSAHS) に対する治療目的に導入した経鼻的持続陽圧換気療法 (nasal continuous positive airway pressure : 以下, nCPAP) が, 言語機能回復に奏効したと考えられる失語症例を経験した。症例は43歳, 右利き男性。脳静脈洞血栓症に対するシャント手術後に脳内出血を発症, 右半身の不全麻痺と重度失語症が残存。発症8ヵ月後に江戸川病院にて, 本格的な言語訓練開始となる。病前より夜間無呼吸・いびきがあり, 終夜睡眠ポリグラフィ (PSG) の結果, 中等度閉塞型睡眠時無呼吸低呼吸症候群と診断された。失語症に対する言語訓練が開始されてから約2年経過した時点よりnCPAPを開始したところ, 失語症状の中でも回復に困難を示していた標準失語症検査での発話の項目などで検査上顕著な改善を認めた。また日常の発話においても流暢性が増して意思疎通性が大幅に改善した。以上より, nCPAP治療がOSAHSを合併する失語症者の言語機能回復に奏効する可能性が示唆された。
著者
中村茂夫著
出版者
中山文華堂
巻号頁・発行日
1965
著者
櫻井 民人
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.61, pp.201-203, 2010

<p>Pure pollen of tea <i>Camellia sinensis </i>is known to be an excellent food for the production of offspring by adult thrips but is difficult to obtain. Therefore, the effect of commercially available bee pollen of <i>C. sinensis </i>or <i>C. japonica </i>on reproductive performance was compared with that of pure pollen of <i>C. sinensis </i>in <i>Frankliniella occidentalis</i>. The number of eggs deposited by females differed significantly among the three types of food: the bee pollen of <i>C. japonica </i>was less effective than the others, whereas the bee pollen of <i>C. </i><i>sinensis </i>was comparable to the pure pollen. No significant difference was observed in hatchability or adult emergence rate among the pollen types. These results suggest that the bee pollen of <i>C. sinensis </i>can be used as food for the efficient rearing of <i>F. occidentalis</i>.</p>
著者
倉重 真明
出版者
九州精神神経学会
雑誌
九州神経精神医学 (ISSN:00236144)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.96-103, 2015-08-15 (Released:2017-07-11)
参考文献数
5

平成27年3月9日,兵庫県淡路島で,精神障害者による殺人事件が起きた。病状不安定なため家族は心配し,警察や保健所などの関係機関に,何度も相談していた。過去にも,同様なケースは多く見られる。悲惨な事件を繰り返さない為には,「事件がなぜ起きて,なぜ防げなかったのか」を振り返り,対策を練る必要がある。何よりも,事件を未然に防ぐことが大切である。筆者は,26年間の往診の経験から,関係機関と連携した精神科医による往診が,有効な解決策の一つであると考えた。当事者と家族の困難時に寄り添い,不安を軽減し,状況に応じて判断を下すのは,現行法上,精神科医にしかできない仕事である。危機介入しても,すべての事件を防げるわけではないが,数は減らせるはずである。そのためには,無理のないシステムを作り,実践することこそ重要であろう。そこで,筆者のクリニックにおける往診の取り組みを報告すると共に,手上げ方式による,精神科往診輪番事業を提案した。