著者
石田 奈那 吉中 季子 小野川 文子
出版者
道北福祉研究会
雑誌
道北福祉
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-16, 2018-03

【要約】10代女性の妊娠・出産は、学業中断、経済不安や社会的孤立などが問題点となることが多く、社会から否定的に捉えられ、その存在自体が偏見の対象となっている。本研究では、5人の若年母親の語りから、妊娠までの決意、学業への思いをとらえ、現代の10代で妊娠・出産を経験するまでの葛藤の実態を明らかにした。
著者
三宅 なほみ 齊藤 萌木 飯窪 真也
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.441-458, 2011

The Consortium for Renovating Education for the Future, founded at the University of Tokyo in 2009, has been striving to help teachers develop a networked community for creating authentically learner-centered classrooms. The classes are designed on a cognitive framework where the constructively interactive components during classroom student discussions provide individual students with a chance to express and reflect upon their own ideas as well as others, for integrating and constructively deepening them. This community currently involves more than 100 teachers coming from sixty-nine schools, ranging from elementary to high-schools. The paper reports its success for helping teachers to create sub-communities around their locations as well as their subject areas, so that they could collaboratively share the prime plans for similar classes and reflect upon their outcomes. Discussions on future plans conclude the paper.
著者
大〓 秀行 福田 昌彦 大鳥 利文
雑誌
あたらしい眼科 = Journal of the eye (ISSN:09101810)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.105-108, 1998-01-31
参考文献数
16
被引用文献数
32
著者
宮本 守 木内 豪
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 第18回(2005年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
巻号頁・発行日
pp.51, 2005 (Released:2005-07-25)

人口増加や生活水準の高度化などの都市成長により,都市の熱環境は近年大きく変化している.水圏においても河川水温上昇や淡水化など人為的要因による問題が考えられる.本論文では東京都区部とその周辺地域を流れる荒川下流部を対象として河川水温の長期変動傾向の分析と水熱輸送統合モデルを用いた水温変動の原因解明を行った.その結果,最近20年間の河川水温は新河岸川と荒川の岩淵水門より上流部において顕著な上昇傾向を示していた.逆に隅田川と荒川下流部では,20年間の観測結果からは顕著な水温上昇は観られなかった.また数値計算によって,1998年から2000年までの3年間の河川水温の挙動を再現し,その結果から下水処理水が冬期に約3℃程度河川水温を上昇させていることも確認された.
著者
吉岡 泰夫 早野 恵子 徳田 安春 三浦 純一 本村 和久 相澤 正夫 田中 牧郎 宇佐美 まゆみ
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.251-257, 2008-08-25 (Released:2010-10-22)
参考文献数
5
被引用文献数
1

患者医師間のラポールに基づく協力関係の構築や, 両者の情報共有による合意形成は, 適切なコミュニケーションを基盤として実現される. 安全で信頼される医療を実践するためにも, 医療コミュニケーションの適切化は不可欠である. この研究は, そのために効果的なポライトネス・ストラテジーを明らかにすることを目的とする.1) ポライトネス・ストラテジーとその効果について, 医療面接の談話分析により調査課題を抽出, 患者医師双方に対して面接調査, WEB調査を実施した. さらにWEB討論会で論点を明確化した.2) 敬称「さま」や多重謙譲などの過剰な敬語を, 患者は, 慇懃無礼で, 医師から心理的距離を置かれると感じている. ラポールに基づく協力関係の構築には逆効果と, 患者医師双方が意識している.3) 患者は医師に敬称「さん」や簡素な敬語の使用を期待している.それらには, 敬意を表すと同時に, 適度に心理的距離を縮める, ポジティブ/ネガティブ両面のポライトネス効果があるからである.4) 医師が, 患者の方言を理解し, 同じ方言を使うことは, 親近感を生み, 心理的距離を縮めるポジティブ・ポライトネス効果があり, 患者をリラックスさせ, 患者からの医療情報の収集を円滑にする.5) 称賛する, 楽観的に言うなどのポジティブ・ポライトネス・ストラテジーは, 患者の状況やその時のフェイス (親近欲求か不可侵欲求か) により成否は分かれるが, 成功すれば行動変容をもたらす.
著者
田中 章浩
出版者
東京女子大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

内容が理解され,記憶に残りやすいのはどのような音声であろうか.常識的には,魅力的で感情豊かな声は理解や記憶を促進し,笑顔でしゃべれば話の内容の理解や記憶も促されると考えるだろう.しかし,本研究ではそうした話し方はむしろ逆効果である可能性に着目する.具体的には,(1)音声の感情情報処理が音声言語の理解・記憶に及ぼす影響,(2)音声の魅力情報処理が音声言語の理解・記憶に及ぼす影響,(3)視覚情報処理が音声言語の理解・記憶に及ぼす影響,以上3点の検討を通して,記憶に残りやすい音声の要件を明らかにすることを目的とする.3年目である平成29年度は,上記項目(3)に関する検討を進めた.項目(1)および項目(2)では,聴覚呈示される音声に含まれる言語情報と非言語情報の関係という切り口から検討した.項目(3)では,視覚呈示される非言語情報と聴覚呈示される言語情報の関係に着目し,顔の表情と魅力が音声言語理解に及ぼす影響について検討した.実験では視線計測も併用し,表情の種類によって顔の注視部位がどのように変化し,それがどのように課題成績に影響を及ぼすのかを分析した.実験の結果,発話者が喜び顔であり,かつ観察者が発話者の口元を注視している場合に文章理解が促進された.音声の感情情報処理が音声言語の理解・記憶に及ぼす影響(項目1),および音声の魅力情報処理が音声言語の理解・記憶に及ぼす影響(項目2)は妨害的なものであった.これに対して本年度の結果からは,顔の表情の視覚情報処理が音声言語の理解・記憶に及ぼす影響は促進的であることが示された.
著者
高岡 詠子
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.80-84, 2019-12-15

100回を迎えた「ぺた語義」の記念として,ペた語義を立ち上げたメンバの一人である筆者が,ぺた語義を始めた経緯,情報教育関連の当時~現在に至るまでの状況の変化等について語る.中学生・高校生の情報科の探究活動を推進することや高等学校情報科と情報入試の流れについて詳細を述べる
著者
川野 義武 宮崎 哲哉 豊田 貴信 堀 恵輔 竹島 里香 林 良文
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第27回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.160, 2011 (Released:2011-12-22)

【目的】中枢神経系患者における体幹機能へのアプローチは重要である。この方法の一つとして、ストレッチポール(以下SP)を応用したアプローチの展開が進んでいる。日本コアコンディショニング協会(以下JCCA)の推奨するコアリラクゼーション、コアスタビライゼーション、コアコーディネーションの段階に基づくコアセラピーは、脳卒中片麻痺患者の治療にも十分応用可能な概念である。コアセラピーについて、健常者や運動器疾患を対象とした各関節アライメントの変化と下肢筋力や下肢協調性、柔軟性等の先行研究は存在するものの、脳卒中片麻痺患者を対象とした研究は未だ少ない。そこで今回、脳卒中片麻痺患者に対して、ストレッチポールを用いたコアセラピーが立位制御機能に及ぼす影響を検討することを目的に、アプローチ前後の重心動揺を測定し、若干の知見を得たので報告する。【方法】対象は、当院回復期病棟に入院中の脳卒中片麻痺患者6名(年齢58.2歳±8.4、右片麻痺3名、左片麻痺3名)とした。取込基準は、支持なしでの開眼、閉眼での立位保持が30秒以上可能な者とした。介入内容はJCCAが提唱するベーシックセブンによるコアリラクゼーションプログラムから抜粋した7項目と、ストレッチポール上でのコアスタビリティープログラム6項目を加えたエクササイズ(以下SP-Ex)、計13項目とした。実施時間は合計10分以内とした。なお基本姿勢の保持ならびに動作遂行に関して、随時必要な徒手的介入を施した。測定には重心動揺計(酒井医療株式会社製ActiveBalancerEAB-100)を用いた。条件として、裸足にて両足部の内側縦アーチ頂点間を20cm離した立位を設定基本肢位とし、静的立位で開眼、閉眼を各15秒間、アプローチ前後に各々1回ずつ測定した。測定指標は総軌跡長、外周面積、矩形面積とした。統計的手法にはWilcoxonの符号付順位和検定を用い、有意水準5%にて比較検討した。なお被験者には研究の趣旨と個人情報の取り扱いに関し、書面にて十分に説明。同意を得た上で研究に参加していただいた。【結果】開眼時では、アプローチ前後の総軌跡長・外周面積・矩形面積において有意な変化は認められなかった。症例毎では、総軌跡長にて3例に減少傾向、残り3例に増加傾向が認められた。外周面積と矩形面積について、2例で減少傾向、残り4例に増加傾向が認められた。一方、閉眼時では、総軌跡長・外周面積・矩形面積いずれにおいても有意に減少しており(p<0。05)、6例とも減少傾向が認められた。【考察】閉眼で総軌跡長、外周面積、矩形面積の減少を認めたことは、重心動揺の振れ幅を制御できるようになったと解釈できる。今回の対象者は一側性の片麻痺患者を介入対象としており、視覚情報の遮断から、開眼時とは異なり脊柱や脊柱起立筋群、足底などの接地面の固有受容器感覚を含む感覚入力が正中位指向の改善に影響したのではないかと考えられる。またSP-Exによるコアスタビリティーの向上に加え、SPという不安定な場面でのベーシックセブンは体幹の不安定性のある片麻痺患者に対して、コアスタビリティーとしてもすでに作用し、筋出力の向上につながったのではないかと考えられた。 一方、開眼時よりも閉眼時において、アプローチ前後の静的立位バランスは改善傾向にあった。この要因として、対象者特性を考慮すると亜急性期から回復期に属する片麻痺患者であり、視覚からの情報に対して何らかの情報処理エラーが生じやすく、閉眼時よりも開眼時ではコアの安定性による影響が反映されにくいと考えた。【まとめ】今回片麻痺患者に対し、ストレッチポールによるコアリラクゼーション・コアスタビライゼーションを中心としたアプローチを実施し、静的立位バランスへの即時的効果を検証した。結果、閉眼時の重心動揺指標は有意に減少しており、静的な立位制御機能に対して、足底からの固有受容器感覚を含む感覚入力や正中位認識の改善が期待できるのではないかと考えた。 日常遂行される動作は視覚情報を取り入れながらのものとなるため、今後は視覚情報と固有感覚器感覚とのリンク可能なアプローチ方法を考え、実施することが必要と考えられた。また今回の研究から、多様な症状を示す脳卒中片麻痺患者を対象とする際には、感覚機能やUSNの有無、麻痺の程度などの特定したグループのデータ収集も必要と考えられた。
著者
芳賀 直樹 中山 雅紀 藤代 一成
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 39.14 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.99-102, 2015-03-07 (Released:2017-09-22)

グルーヴとは,演奏における音のうねり,リズムのノリや一体感などを包括する大局的な音楽特徴のひとつである.よい演奏には不可欠の要素とされるものの,自在にグルーヴを表現するためには多くの音楽経験を積む必要があるとされる.本研究では,様々な音楽ジャンルにおけるグルーヴを演者に効率的に理解させる可視化システムSeeGrooveを提案する.ジャンルごとに,実際のプロの演奏より抽出されたMIDIデータが記録されており,それらと入力データとの差分を求めることによってグルーヴの程度を定量化する.可視化に際しては,ユーザの嗜好や必要な情報に応じて,2つの可視化モードと2通りのビューの組合せを変更することが可能である.
著者
對東 俊介 堂面 彩加 高橋 真 関川 清一 稲水 惇
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3O2017, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】運動は健康維持に重要な役割を果たしており,疾病予防や治療手段として有用である.しかしその一方で,高強度有酸素性運動負荷にて血中の酸化ストレスが増加することが報告されており,運動には負の側面も存在する.この酸化ストレスは,活性酸素の産生とその活性酸素を還元する抗酸化物質の量のバランスによって決定される.もし抗酸化物質による防御能が活性酸素の産生増加に適応できなかった場合,そのバランスが崩れ,活性酸素が高まった状態となり,この活性酸素は種々の疾患の病因と関連があると報告されている.運動という言葉は一般的に有酸素性運動を指すことが多いが,無酸素性運動もあり,スポーツや日常生活活動においては有酸素性運動と無酸素性運動の2つの側面を組み合わせた身体活動が行われている.先行研究では無酸素性運動後の酸化ストレスについて報告しているものは少なく,不明な点が多い.そこで本研究では,30秒間の無酸素性運動であるWingate Anaerobic Testを実施し,その前後で活性酸素の指標として血漿中ヒドロペルオキシド濃度を,抗酸化物質の指標として血漿中抗酸化力の変化を検討し,無酸素性運動負荷後に生体における酸化還元反応の全体像を明らかにすることを目的とした.【方法】健常若年者11名(年齢: 21.4±1.7歳,身長: 171.6±7.4歳,体重: 58.8±5.7kg)を対象とした.無酸素性運動負荷として,無酸素パワー測定用自転車エルゴメータ(POWERMAX-VII; Combi)を使用し,Wingate Anaerobic Testを実施した.対象者は体重の7.5%の負荷にて30秒間の全力ペダリング運動を行い,無酸素性運動能力の指標であるパワーとピーク回転数を測定した.対象者は,十分な安静の後に運動負荷前,運動負荷直後,運動負荷15分後に指尖より採血を行い,血中乳酸測定器(Lactate Pro; Arkray)にて血中乳酸濃度を測定した.また,フリーラジカル評価装置(Free Radical Elective Evaluator; Diacron)を使用して,derivatives of reactive oxygen metabolites テストにより血漿中ヒドロペルオキシド濃度を,biological anti-oxidant potential テストにより血漿中抗酸化力を測定した. 【説明と同意】測定の趣旨・方法について口頭および書面にて説明を行い同意を得た.本研究は広島大学大学院保健学研究科心身機能生活制御科学講座研究倫理委員会(承認番号:0906)の承諾を得て実施した.【結果】対象者の最大パワーは480.7±55.9 wattであり,最大回転数は139.0±13.5 rpmであった.また,安静時および運動負荷直後の血中乳酸濃度は,それぞれ2.0±1.3 mmol/L,14.6±2.3 mmol/Lであった.血漿中ヒドロペルオキシド濃度は運動負荷前後で有意な変化を認め(P = 0.024),運動負荷前と比べ運動負荷直後(P = 0.005)と運動負荷15分後に有意に増加した(P = 0.034).一方血漿中抗酸化力も運動負荷前後で有意な変化を認め(P < 0.001),運動負荷前と比べ運動負荷直後(P < 0.001)と運動負荷15分後に有意に増加した(P < 0.001).血漿中ヒドロペルオキシド濃度と血漿中抗酸化力の関連を検討した結果,いずれの測定時間においても有意な相関を認めなかった.【考察】本研究の結果から30秒の無酸素性運動負荷は運動直後の血漿中ヒドロペルオキシド濃度を増加させ,その増加は運動終了15分後も継続していることが明らかとなった.これは無酸素性運動負荷による血中乳酸濃度の上昇が一因となり,活性酸素の産生増加に影響したと考えられた.また,抗酸化力も同様に運動負荷直後に増加し,15分後も運動負荷前と比べ有意に高値を示した.これは,無酸素性運動負荷によって上昇した血漿中ヒドロペルオキシド濃度の増加に対応するため,抗酸化物質が増加した結果であると考えられた.一方,いずれの測定時間においても血漿中ヒドロペルオキシド濃度と抗酸化力に有意な相関関係を認めなかったことから,それぞれの指標の変化には運動負荷前の酸化ストレスの個体間差が影響している可能性が考えられた.【理学療法学研究としての意義】本研究により30秒間の無酸素性運動負荷は,活性酸素の産生と抗酸化物質を増加させることが明らかとなった.またその関係は運動負荷15分後も変化しないことが明らかとなった.この結果は運動負荷による酸化ストレスの変化の一端を明らかにし,酸化ストレスを増加させない運動療法を考案する一助となる研究である.
著者
Sumin Lee Ken’ichiro Nakashima
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.1811, (Released:2019-12-07)
参考文献数
24
被引用文献数
4

The present study sought to examine the effects of the shift-and-persist strategy on the psychological outcomes of individuals with a low socioeconomic status (low-SES). Although previous research has shown that this type of strategy has beneficial effects on the physiological responses and health of individuals with low-SES, its effects on psychological outcomes have not been thoroughly studied. The present study investigated the relationship between shift-and-persist tendencies, childhood SES, and depressive tendencies using two samples. We performed multiple regression analysis of the obtained data. The results of study 1 (N=99 female undergraduates) showed that an individual’s tendency towards depression was negatively related to their persisting tendency, but not their shifting tendency. This relationship was replicated in study 2 (N=662 working adults). Although the results do not correspond with previous research, our finding that persisting is connected to psychological outcomes, such as depressive tendencies, is important.