著者
井上 仁
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.432-435, 2019-04-15

SNSはスマートフォンの普及に伴い,幅広い年齢層でコミュニケーションの手段の1つとして利用されている.本稿では,まず高校生のスマートフォンとSNSの利用状況を概観する.また,大学におけるSNSの利用状況に関する調査結果を報告する.次に,日常生活におけるコミュニケーションツールと学習システムとの乖離について述べ,それを解決するための一手段として筆者らが開発し提供しているSNSを利用した医学英語と学習環境を説明する.最後にSNSを利用した学習環境の将来構想を述べる.
著者
印南 一路 堀 真奈美
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.33-68, 1999

わが国の急速な高齢化の進行に伴い,寝たきり老入の介護問題は,解決を要すべき緊急課題の一つと認識されている。しかし, 寝たきり老人に関しては, 全国レベルでの大まかな推計, 医学的な原因分析や,現場からの現状報告があるものの,全国の市町村レベルにまで踏み込んで,寝たきり老人の実態を把握し,寝たきり老人発現の地域格差や環境要因を追究した研究報告は,これまで存在しない。<BR>そこで本研究は, 平成5 年度以降策定された「老人保健福祉計画書」にある市町村別在宅寝たきり老人数のデータを用いて,まず年齢階層別の在宅寝たきり老人の発現率の地域格差を検証した。次に,全国市町村の医療福祉サービスデータ,地域特性データ(自然環境,人間環境,経済環境,医療福祉環境,文化環境)を用いて,在宅寝たきり老人発現の要因構造モデルを構築し,さまざまな要因が発現率に与える影響と要因間の影響を定量的に測定した。なお,特別養護老人ホーム(以下,特養と略す)のある地域では,在宅寝たきり老人が施設に入所している可能性があるため,環境要因構造モデルは,総合モデル,特養なしモデル,特養ありモデルの三つに分け分析した。その結果,以下が明らかになった。<BR>(1)年齢構造を考慮しても,在宅寝たきり老人の発現率には大きな地域格差が存在し,高年齢階層ほど発現率の地域格差が拡大する。これまで在宅寝たきり高齢者発現率の地域格差は,老齢人口の偏りによって説明されてきたが,年齢階層別の寝たきり老人の発現率はほぼ一定であるという主張には根拠がないことになる。<BR>(2)在宅寝たきり老人の発現率に直接強い影響を与えるのは,人間環境と医療福祉環境であり,自然環境,経済環境,文化環境の影響は主として間接的なものにとどまる。<BR>(3)人間環境変数は,全般的に在宅寝たきり老人発現率に直接強い効果が観察された。特に核家族割合は負の直接効果が出た。通常,核家族割合が高いということは家庭内介護者が少ないことを意味する。したがって,家庭内介護者の少ない地域では,在宅寝たきり高齢者発現率が低くなるということである。また,核家族割合は非農家世帯と相関が強いため,農家世帯割合が低いと在宅寝たきり老人発現率が低く,農家世帯割合が多いと発現率が高いことになる。<BR>(4)医療福祉環境は,総合モデルと特養なしモデルでは直接効果をもっていたが,特養ありモデルでは,直接的関係がなかった。これは特別養護老人ホームのある地域では,その他の医療福祉サービスの充実度は,在宅寝たきり老人の発現率には直接関係しないということを意味する。<BR>(5)自然環境, 人間環境医療福祉環境間の複雑な関係が観察された。
著者
相澤 孝司 菅野 昭
出版者
The Japanese Society for Experimental Mechanics
雑誌
実験力学 (ISSN:13464930)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.67-73, 2013-03-28 (Released:2013-09-28)
参考文献数
12

The main role of conventional safety helmets is to protect the human head from external forces. So far the design of standardized helmets has placed an excessive emphasis on mechanical performance from this standpoint. During wearing the helmets, users experience high temperature rise in the head as well as excessive perspiration and an oppressive feeling. These discomforts prevent users from wearing the helmets. Behavior of air flow around the helmets needs to be studied in order to examine air cooling effects while users wear the helmets. Several techniques such as smoke wire, tuft and smoke injection methods have been applied to visualize air flows around the helmets which a mannequin wears in a low-velocity type wind tunnel. The pressure distributions on the outer surfaces of the helmets are measured on pressure transducers using diffusion type semiconductors. The stream lines and pressure distributions on the outer surfaces of the helmets are clarified by the present experiments. It is expected that the helmets are designed more rationally based on both fluid mechanics and the present experimental data.
著者
三觜 康弘 古川 修
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.39-44, 2012 (Released:2012-04-16)
参考文献数
9
被引用文献数
3

二輪車用タイヤは,四輪車用タイヤとは挙動が大きく異なる.二輪車用タイヤの場合,路面に垂直な軸まわりに,キャンバ角に起因するモーメントが大きく発生する.これまでこのモーメントの発生メカニズムが明らかでなかった.本報ではこのモーメントの発生メカニズムや計算方法,車両の挙動に与える影響について述べる.
著者
高橋 佳奈 藤本 梓 藤本 淳
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.192-200, 2018

<p>広汎型重度慢性歯周炎患者を歯周基本治療にて治療した一症例について報告する。</p><p>患者は42歳女性。3ヶ月前から歯肉の発赤,腫脹が著しく出血が多くなったため前医を受診,当院を紹介され来院した。臨床所見は全顎的に歯肉の発赤,腫脹を認めた。特に上顎左側部には炎症性歯肉増殖がみられた。プロービング時の出血(BOP):31.9%,プロービングポケットデプス(PPD):4 mm以上52.1%,O'Leryのプラークコントロールレコード(PCR)50%。エックス線所見では下顎前歯部および臼歯部の一部に垂直性骨吸収を認めた。</p><p>検査結果の説明と口腔清掃指導を繰り返し行い,スケーリング・ルートプレーニングを行った。患者のモチベーション向上の一環として,長期経過や生活背景を患者とともに確認し,口腔内の状態について患者自身の理解の向上を図った。歯周基本治療が進行するとともに口腔清掃状態が向上し,歯肉の腫脹が消退した。再評価時にデンタルエックス線写真上で歯槽骨の改善を観察したため,歯周外科治療は行わず,口腔機能回復治療を行った。2015年9月サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)へ移行した。</p>
著者
〔伊能忠敬//測量・製作〕
出版者
巻号頁・発行日
vol.第92図 上総・安房(安房・天津村・洲崎・上総・勝浦村), 1873

1 0 0 0 OA 批判の作法

著者
高村 直助
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.106, no.9, pp.1630-1632, 1997-09-20 (Released:2017-11-30)
著者
黒崎 篤
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.272-275, 2013-03-01

コグネックスはこの10年間,新しい欠陥検査システムのあり方を提案してきた。<BR>1つは欠陥判定(分類)などの検査システム本体の機能に関連した新たな運用にあり,もう1つは欠陥検査システムと連携した高精度なワインダー・コントロールやモニタリング・システムとの同期など,検査システムの新たな連携および拡張である。<BR>今回,これまでの検査システムの進化や最近の試みなどに触れると同時に,今後の欠陥検査システムの進んでいく方向性について展望を述べる。<BR>1999年にリリースした欠陥検査システム「スマート・ビュー(SmartView)」をもって,本格的に国内紙パルプ業界に欠陥検査システムの供給を始めている。それまでアナログ検査システムが主流の中,「デジタル処理による欠陥検出」や「画像処理による欠陥判定」の概念を持ち込んだシステムである。<BR>「スマート・ビュー」の特長は,「デジタル画像処理による欠陥判定」にあるが,同時に,その検査結果をいかに活用するかという観点から,「プロセス改善」や「生産性の向上」に寄与するスマート・ビュー関連製品も開発してきた。ライン・シンクロナイゼーション,スマートシステム等,本文に詳しく紹介する。<BR>今後の展望としては,従来の欠陥検査システムが使ってきたラインCCDカメラとは異なるタイプのセンサとの連携がより一層強化されることになるだろう。異なるタイプのセンサとは,1つはエリアCCDカメラであり,モニタリング・システムのカメラ(SAカメラ)やコグネックスの汎用画像処理センサ(In―Sight)などである。もう1つはプロセスに設置されている計測機器関係で,その情報を欠陥検査システムに取り込むことで,欠陥との関連性が把握でき,欠陥発生の原因究明の強化になるほか,検査システムが単に欠陥情報を持ったシステムということだけではなく,総合的な品質情報を管理するシステムへと変化していくことになろう。
著者
緒方 裕光
出版者
THE SOCIETY FOR RISK ANALYSIS, JAPAN
雑誌
日本リスク研究学会誌 (ISSN:09155465)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.2_3-2_9, 2009 (Released:2012-03-09)
参考文献数
16

We need to describe or deal with uncertainty in risk analysis because risk inherently involves chance or probability. There have been many discussions to define uncertainty in risk analysis. However, different types of uncertainty appear in risk analysis in different ways. Some of them are quantifiable by probabilities, some are not. The appropriate method to characterize the uncertainty, which can be caused by incomplete knowledge or stochastic variability, depends on the kind of its source. The most important result of considering uncertainties in risk analysis is an insight that its consideration gives to the risk assessor. This review presents the basic concepts to deal with uncertainty in risk analysis.

1 0 0 0 OA 本草綱目紀聞

著者
水谷豊文 著
出版者
神谷三園 写
巻号頁・発行日
vol.[23],
著者
井上 順子 小山内 靖美
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.211, 2006

現在インターネットや携帯電話等における情報検索サービスが発展し、誰もが必要な情報を入手できるような基盤が整ってきている。探すことのデザインには、大別すると2種類のタイプがある。あらかじめ目的がはっきりしている「検索」と目的が曖昧もしくは無い「探索」である。ネットワーク上の情報を活用するためには、「探索」を目的とした情報空間のデザインの必要性が高まると考えられる。本研究では、Webサイトでの情報探索のかたちを発想する手がかりとして、人が日常空間で情報を探す活動を調査した。その活動から情報探索サービスの提案を行った。日常空間における情報探索の調査、インタフェースのデザインプロセスについて報告する。
著者
巽 広輔
出版者
The Polarographic Society of Japan
雑誌
Review of Polarography (ISSN:00346691)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.3-7, 2000-05-01 (Released:2010-06-28)
参考文献数
3
被引用文献数
1
著者
孫 媛 井上 俊哉 西澤 正己
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

近年,各種の大学ランキングが発表されてマスコミを賑わし,社会的に大きな影響力を持っている。しかし,大学ランキングでは大学を一元的に順序づけるため,大学の順位にのみ目が向けられがちである。また,論文数や論文の引用数などから算出されるビブリオメトリックス指標に大きく依拠しており,教育面の比重が軽い。本研究は,大学の研究活動だけでなく学修・教育活動をも重視して,それらを捉える指標を探索的に検討し,大学を多元的に評価・診断するための方法について提案を行った。
著者
村島 彩加
出版者
Japanese Society for Theatre Research. Comparative Theatre Section
雑誌
西洋比較演劇研究 (ISSN:13472720)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.80-93, 2011

Matsumoto Kôshirô VII (1870-1949) is now remembered for his authentic rendition of kabuki classics. However, in his youth, he was interested in Western culture and learned English, Western dance and the violin. Worthy of special mention is his experiments with Western make-up, which he learned from <i>Making Up</i> (Witmark & Sons 1905), a stage make-up manual by American actor James Young.<br>Kôshirô had photographs of his wearing Western make-up taken and published themin Japanese theater magazine <i>Engei Gahô</i> serially, under the title of "hensô". Literally meaning "to change one's looks," "hensô" can imply more than changing one's appearance by putting on make-up. I would argue that Matsumoto's engrossment in Western make-up prefigured the subsequent development of interest in facial expressions as an acting technique, which was advocated by theatre theorists and practitioners who had seen or studied Western theater in early twentieth century Japan. The irony with this is that, while those who emphasized the importance of "hyôjyô" - a rarely used word then meaning facial expressions - and sought guidance for Kôshirô's "hensô" series pursued a new style of acting to get rid of old kabuki, Kôshirô studied Western make-up for his acting in kabuki theater.<br>Kôshirô's photos have not been fully appreciated because his experiments with Western make-up were considered an amateurish hobby. However, considering the influences his study had on shingeki actors - he taught Western make-up methods at Tokyo Haiyu Yôseijo, a training facility for shingeki actors - it is necessary to cast a new light on Kôshirô, who is usually understood as a superb Meiji-era kabuki actor endowed with a beautiful body suitable for kabuki classics. Certainly, he was a pioneer in modernizing kabuki acting as well as a mediator between kabuki and modern Japanese theater.
著者
餅川 正雄
出版者
広島経済大学
雑誌
広島経済大学創立五十周年記念論文集
巻号頁・発行日
pp.255-291, 2017-07-31

一般消費税は,世界の多くの国で採用されている付加価値を課税ベースとしている租税である。国家の財政収入の確保という視点から,その位置付けが大きなものとなっている。大きな政府を前提として,付加価値税の存在を肯定的に捉える見方もある一方で,これを否定的に捉える見方も存在する。積極的論者も消極的論者も,実質的な租税負担者(担税者)である国民の視点から見ると,付加価値税は,所得税のように累進的な課税ができないため,非累進的(逆進的)であり,"vertical equity(垂直的公平)"が損なわれるということについて異論を唱える者は少ない。本研究では,消費税について学問上の諸類型に基づいて,一般消費税として分類される3つの単段階税(①製造者売上税,②卸売売上税,③小売売上税)と2つの多段階税(④取引高税,⑤付加価値税)の特徴について,納税モデル(tax payment model)を設定して理論的に考察し,それぞれの長所と短所を明らかにした。本研究では国民の視点から検討した結果,この消費税(付加価値税)が企業課税化していることを前提としても,またどのような類型の消費税を採用したとしても,あらゆる物品・サービスが消費税(付加価値税)相当額だけ値上がりすることは避けられず,国民に選択の余地は残されていないことが分かった。そうであるがゆえに、近い将来、消費税率を二桁代に引き上げるとしたら個人の担税力を度外視した不公平税制となり、国民の経済格差を拡大することに繋がる。それは日本国憲法の要請する応能課税原則を逸脱する恐れがあることを指摘する。1.はじめに 1.1 消費税の仕組み 1.2 日本の消費税の現状 1.3 問題意識 1.4 研究対象と研究方法等 1.4.1 研究対象 1.4.2 研究方法 1.4.3 研究の前提 2.学問上の消費課税の類型に関する研究 2.1 ‌「直接消費税(direct consumption tax)」と「間接消費税(indirect consumption tax)」 2.2 ‌「一般消費税(general consumption tax)」と「個別消費税(individual consumption tax)」 2.3 個別消費税の課税根拠(justification) 2.4 ‌「単段階一般消費税((single-stage general consumption tax)」と「多段階一般消費税(multi-stage general consumption tax)」 2.5 消費税の諸類型の分類 2.6 一般消費税を採用する意義 3.納税モデルによる単段階一般消費税の研究 3.1 基本的な納税モデルの設定 3.2 単段階一般消費税の納税モデル 3.2.1 製造者売上税(manufacturer's sales tax)の考察 3.2.2 卸売売上税(wholesale sales tax)の考察 3.2.3 小売売上税(retail sales tax)の考察 4.納税モデルによる多段階一般消費税の研究 4.1 多段階一般消費税の二つの類型 4.2 多段階一般消費税の納税モデル 4.2.1 取引高税(turnover tax o/gross receipts tax)の考察 4.2.2 付加価値税(value-added tax)の考察 5.おわりに