著者
河崎,善一郎
出版者
プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, 2008-07-25

近年の研究成果によれば,雷雲内の電荷分離は,着氷電荷分離機構により理解できる.すなわち通常成熟期の雷雲では,電荷構造は雷雲上部から下部にかけて正負正の三重極構造となっている.そして落雷は雷雲の成熟期に最も頻繁に発生,概ね中層の負電荷域から稀に上層の正電荷域から開始する.また雲内の電荷間での中和で放電の完結する雲放電は,落雷よりもさらに頻繁に発生する.これらの議論を踏まえ,本稿では最後に,雷放電進展の様相を,VHF波帯広帯域干渉計による観測結果として紹介している.
著者
Noble Gregory W.
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.51-76, 2011

Japan lacks political leadership and wallows in pork, critics charge, yet from the late 1990s Japanese leaders exercised surprising restraint over aggregate spending, and reoriented budgetary expenditures from distributive outlays such as public works toward social welfare and other forms of programmatic spending. The departure from particularism reflected not only commonly-cited electoral and bureaucratic reforms strengthening the hand of the prime minister, but also the efforts of senior LDP policy experts such as fiscal hawk Yosano Kaoru and rising tide advocate Nakagawa Hidenao to combine with sections of the bureaucracy, particularly officials seconded to the cabinet from the Ministry of Finance and METI. to overcome factional and backbench resistance and restrain expenditures. LDP leaders eventually reached a consensus on the need to increase taxes, but failure to convince the public contributed to the LDP's downfall
著者
船越 徹 積田 洋
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
vol.327, pp.100-107, 1983-05-30 (Released:2017-08-22)
被引用文献数
14

本研究により街路空間の心理構造の全貌を解明でき, 全ての種類の街路空間に適用できる心理因子軸13因子軸を設定することができた。これにより, 様々な街路空間について評価・分析等を客観的に行うことが可能となったと言える, 以後, 街路空間の定量的記述方法(物理量分析)を開発し, 本研究で得られた心理因子軸を用いて街路空間構成要素との相関研究を行うことにしている。
著者
エルヴイン・ニーデラ
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.481-492, 1983

哲学, 心理学, 社会学, 特に言語学の分野では, 多領域に亘る様々な理論を背景に言葉と思考との関連性が論じられているが, 現在なお意見の一致をみるに至っていない.これは, 言葉と思考の本義が問われる時, 常に生じる問題であり, 例えば,言葉を意志疎通の手段と定義するならば, 動物ですら言葉を有すると言えるであろう. この場合, 我々の言葉の特に人間的な面を動物の伝達方法と判別するのは困難となる. また, 心理学者, O.Setzの説のように, "考えること" を "Know How" と定義するならば, 猿も "考える" ことになる. 猿は手の届かぬ所にあるバナナを棒を利用して獲得するからである. 人間個有の思考能力を勘案する時, 人間の思考を単に動物的能力の上昇したものにすぎぬと解するのは, 適切とはみなされえないだろう. この小論では,特に, 人間の言語獲得能力とその再生的, 生産的思考性の考察を基に, 言葉と思考の関連性が論述される.
著者
宮崎 昭 上坂 章次 池田 清隆
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.133-140, 1967

イネ科青刈飼料作物の硝酸塩含量の草種,系統による差異を知るために,春の青刈飼料4種,夏の青刈飼料3種をそれぞれ同一条件下で栽培しその硝酸塩を定量した.また青刈トウモロコシについては10系統を用いて同じくその硝酸塩を定量した.第1試験では春の青刈飼料としてエンバク,ライムギ,オオムギ,コムギを用い1965年4月6日から約10日目ごとに5回刈取り,その硝酸塩を定量した.その含量は全般に少なく乾物中KNO<sub>3</sub>として2%以下であり,生育に伴う変化もそれほど著しくはなかつた.しかし全期間を通して青刈コムギの硝酸塩含量は他の3種のそれより少なく,つねに1/2程度であつた.またコムギを除いて他の3種の作物の硝酸塩含量は刈取期ごとに異なつていたので,いずれが,より硝酸塩を蓄積しやすいということはなかつたが,出穂期にはオオムギにやや多くの硝酸塩が含まれており,乾物中KNO<sub>3</sub>として1.08%であつた.第2試験では夏の青刈飼料としてトウモロコシ,ソルガム,テオシントを用い1965年8月24日から約8日目ごとに5回刈取り,さらに出穂期にも刈取つてその硝酸塩を定量した.本試験では生育の初期に40日余り降雨がなかつたので,最初の2回の刈取期には硝酸塩含量はいくぶん少なかつたが,そののち雨が降ると非常に高くなり,乾物中KNO<sub>3</sub>として5%以上となつていた.しかしその後は生育期が進むにつれて減少し,出穂期ごろには1%前後であつた.つぎに草種による差異をみると,全期間にわたつて硝酸塩含量がつねに高いものはなかつたが,生育の後期にはソルガムにやや硝酸塩が多いようであつた.第3試験では青刈トウモロコシ10系統を用い,1965年6月22日から約7日目ごとに5回刈取り,さらに出穂期にも刈取つてその硝酸塩を定量した.まず青刈トウモロコシの硝酸塩含量は刈取期が早いときには乾物中KNO3として6~10%も含まれていたが,生育期が進むにつれて激減し,ふつう青刈飼料として用いる程度に生育したものではその硝酸塩含量は大低の場合1.5%以下であつた.つぎに系統による差異をみると,各刈取期ごとに硝酸塩を多く含むものとそうでないものと量あつた.そして生育期のはじめごろには系統間の差異は大きいようであつた.これら3つの試験において,青刈飼料作物の硝酸塩含量は環境条件によりかなり影響されるようにみうけられた.したがつて硝酸塩を多く蓄積しない作物をみつけていくには,草種,系統による硝酸塩蓄積の差異を知ることは大切であるが,硝酸塩蓄積に大きな影響を及ぼす環境条件を知ることも大切であろうと推察された.

1 0 0 0 OA 史記評林130卷

著者
明凌稚隆輯
巻号頁・発行日
vol.[27], 1000
著者
岡崎 正規 山根 一郎 佐藤 幸一 小林 裕志
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.219-225, 1983

青森県十和田湖の北東部の火山灰地帯の山間部において,草地基盤を造成した。切盛土工は,急傾斜の局部だけをえらび,盛土の縁端部には転圧工法を適用して崩壊防止策を講じた。その切土部,盛土部の両方に牧草を生育させねぼならない。まず盛土部において種々の方法によって牧草栽培の試験を行った。盛土部には,この地域の土壌の下層土で,しかも不良土であるアオバンとアカツチとがほぼ1:2の割合で混合されていたが,適切な施肥を行えば良好な牧草地を確立することができた。すなわち,10aあたりイタリアンライグラス,オーチャードグラスをそれぞれ2kg,ラジノクローバー1kgを用い,元肥には苦土石灰100〜150kg,P_2O_530kg,NとK_2Oを5kg施用したのち雨天日の多い晩夏8月中下旬に播種する。そして翌春早く,N,P_2O_5,K_2Oをそれぞれ5kgづつ追肥に用いればよいと思われる。
著者
遠藤 紘一
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.17, no.7, pp.184-187, 2008-08

タイガー・ウッズが使うゴルフクラブを使えば、誰でもボールを300ヤード以上も飛ばせるかといえば、そうではない。むしろ普通のクラブよりますます飛ばなくなったり、球筋が定まらずに苦労したりする可能性もある。 1990年代後半から"魔法の杖"の経営改革ツールとして登場したERP(統合基幹業務)パッケージとは、そういうものではなかったかと私は考えている。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1182, pp.158-162, 2003-03-10

2月20日に米カリフォルニア州で開かれた全米プロゴルフツアーの「ニッサンオープン」。2週連続の優勝を狙っていたタイガー・ウッズは終盤の17番ホールで、目をつり上げ、激しい怒りの表情を見せた。パットを打つ瞬間に観客の携帯電話の着信音が鳴り、集中を妨げられたウッズがミスショットをしてしまったからだ。
著者
内藤, 若狭
出版者
巻号頁・発行日
vol.[280],
著者
HIROHISA SUIDO MANABU MIYAO
出版者
The Society for Antibacterial and Antifungal Agents, Japan
雑誌
Biocontrol Science (ISSN:13424815)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.41-48, 2008-06-10 (Released:2010-06-28)
参考文献数
27
被引用文献数
7

The aim of this study is to develop a growth inhibitory material against some pathogenic microorganisms, using beneficial bacteria such as Bifidobacterium species and certain types of vegetables which can be good substrates for the growth of the beneficial bacteria. At first, various vegetable juices were screened for the growth promotion of Bifidobacterium longum etc. Among the vegetables tested, broccoli (Brassica oleracea L. var. botrytis L.) and cabbage (Brassica oleracea L. var. capitata L.) showed excellent growth promoting activities for B. longum. Secondly, the B. longum-fermented broccoli (BFB) and Lactobacillus pentosus-fermented broccoli (LFB) supernatants were prepared and the growth inhibitory activities against Candida albicans were determined. Both of them showed dose-dependent, growth inhibitory effects, and the effect of BFB was superior to LFB. It was thought that the superior effect of BFB could be mainly attributed to the acids, especially acetic acid, produced by B. longum. BFB also inhibited some pathogenic bacteria such as Streptococcus mutans and Porphylomonas gingivalis. In conclusion, broccoli was found to be a good growth-promoting substance for B. longum. The fermented product, BFB, appears to be a usable material that inhibits the growth of C. albicans and some pathogenic bacteria.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.505, 2010-10-08

千葉県流山市に都市再生機構が整備を進める流山新市街地地区に、見慣れない二つの調整池が並ぶ。一つは治水のために必要な市野谷調整池、もう一つは水鳥が工事中に"仮住まい"するための暫定調整池だ。 市野谷調整池は、暫定的に掘削したあとで市街地の区画整理を待ち、さらに深さ3mを掘削する手順で整備することになっていた。
著者
福岡 義隆
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.751-762, 1993
被引用文献数
1

まず始あに,最も古典的で著名ないくつかの文献と筆者自身の考えに基づいて,気候学と気象学の違いを論考する.気象学が人間不在でも成り立つ大気の科学であるのに対して,気候学は必ず人間の存在と密着した大気の科学であるとする.気候学をも含め自然地理学は,隣接の理工学の手法を取り入れるが,解析・理論的解釈の段階で人間的要素を色濃くもった地理学独自の哲学・思想が必要である.<br> それゆえに,気候学は自然地理学の一つ,あるいは地理学そのものとしての存在理由があるはずである.その存在理由は'Physical-Human Process.Response'と称するW. H. Terlungのシステム論における5番目のカテゴリーによって確信づけられる.筆者はそのようなcontrol systemの説明のために3っの具体的な気候学の研究例を紹介した.その一つはW. H. Terlungが論じているように"都市気候学"の研究である.ほかの一つは"災害気候学"に示され,そのうちの一つとして年輪に記録される干ばつの気候に関する研究を紹介した. 3つ目は"気候資源に関する研究"で,これも最も地理学的な気候学の一つと考えられる.というのは,それらの研究が自然エネルギー利用の伝統的方法における気候学的考えに拠るものであるからである.最後に,いつまでも他分野に仮住まいすべきではなく,気候学という現住所にいて地理学という本籍(本質)を全うすべきことを主張した.
著者
Kenji Suzuki Rimpei Kamamoto Katsuhiro Nakagawa Michinobu Nonaka Taro Shinoda Tadayasu Ohigashi Yukiya Minami Mamoru Kubo Yuki Kaneko
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
SOLA (ISSN:13496476)
巻号頁・発行日
pp.2019-018, (Released:2019-04-10)
被引用文献数
5

A field observation was carried out along the coast of the Japan Sea in the 2016-2017 and 2017-2018 winter seasons, using the Ground-based Precipitation particle Image and Mass Measurement System (G-PIMMS) to evaluate the Global Precipitation Measurement Mission (GPM) dual-frequency precipitation radar (DPR) precipitation type classification algorithm. The G-PIMMS was installed at Kanazawa University and Ishikawa Prefectural University, which are around 10 km apart from each other. The G-PIMMS observations showed that the major precipitation particle type (graupel or snowflake) was different in the precipitation types classified by the GPM DPR algorithm.