著者
國嶋 俊輔 鳥丸 猛 大宮 泰徳 赤田 辰治
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.127, 2016

白神山地には世界最大級のブナ林が分布しており、世界的にも希少な森林生態系が形成されているが、地球温暖化により現存のブナ林存続が危惧されている。本研究はブナの持つ環境適応能力を調べることにより、白神山地の環境保全に役立てることを目的としている。産地の異なるブナ実生の乾燥耐性を比較解析するため、青森県の白神山地、岩木山、鰺ヶ沢、岩手県の安比高原、山形県の戸沢村、鳥取県の大山など、合計7か所の異なる産地由来のブナ実生全90個体をコンテナ毎に9個体ずつ植え、対照区44個体、乾燥区46個体に分けて、樹高と幹直径の成長量と葉面積を比較解析した。その結果、乾燥区においては対照区に比べて肥大成長が遅延し、葉面積が減少する傾向が見られたが、個体数が限られていた為にどちらも有意な差としては検出されなかった。一方、乾燥ストレスにより強い発現誘導を示す<i>FcMYB1603</i>の機能解析を行うため、シロイヌナズナに遺伝子導入して恒常的に発現させたところ、長期の乾燥に対する強い抵抗性を示した。このシロイヌナズナ形質転換体を用いたマイクロアレイ解析によって、転写因子FcMYB1603の標的遺伝子を同定するための網羅的な探索を行っている。
著者
布野 修司 脇田 祥尚 青井 哲人 牧 紀男
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.62, no.491, pp.135-139, 1997
参考文献数
14
被引用文献数
4 2

The purpose of this study is to consider the principles of space formation of houses, villages and the cities focusing on the cosmology that decide physical arrangement. We selected Cakranegara in Lombok island, Indonesia, as a case study. Lombok island attracts us from several view points. As is well known, there runs Wallace line between Lombok and Bali island. Lombok island is also interesting in terms of religion. Most of Balinese are Hindu though over 90 % of the population in Indonesia are Muslim. Islam is dominant in Lombok island, but we can see the strong influence of Bali Hindu in the western part of the island. The fact that Hindu and Muslim people coexist in a small island is worthy to be investigated. Cakranegara is the city we firstly discovered if allowed to exaggerate its importance in the history of Indonesian cities. Karangasem Kingdom in Ball built Cakranegara as a colonial city in 18th century. Though Cakranegara was in the far east of Indian civilization at that period. We guess Cakranegara was constructed ideally based on the ancient idea of Hindu City. It is very interesting that Nagara- Kertagama; the Lontar paper that describe the Jawa and Majapahit kingdom in the 14th century, was discovered within the Kraton (palace) of Cakranegara. This paper is the first paper of a series of study on Cakranegara. This paper defined the purpose of study on Cakranegara and clarifies street's pattern, land division as the first step of a series of study on Cakranegara.

1 0 0 0 OA 賀茂社記録

出版者
巻号頁・発行日
vol.第52冊,
著者
稲垣 久和
出版者
東京基督教大学
雑誌
キリストと世界 : 東京基督教大学紀要 (ISSN:09169881)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-19, 2012-03

人間が生きること,それも「善く生きること」は哲学の出発点にあった。そのために,今日では道徳,倫理だけでなく,政治,経済,教育,福祉が関わる。これら全体が関わるところに現代人の「幸福な生活」が可能になる。21世紀の文明の変転期には,枢軸時代の大思想を再解釈していく必要性が出てきている。キリスト教と同時に,東アジアの伝統と対話しつつ儒教の「天と良心」,仏教の「慈悲と四諦(=苦集滅道)」の認識を深めて欲望をコントロールしつつ,他者と地球環境を配慮(ケア)するような「ケアの倫理」の確立に向かいたい。倫理を発想するスタイルとしては,「正義の倫理」は孤立した抽象的個人の見地に立ち,普遍的原理を結論するだが「ケアの倫理」は,具体的状況における対人関係を前提として,奉仕と同情に基づいた判断をする。 学問は内容が学際的であればあるほど哲学的な認識論と存在論が明らかにされなければ,ただの総花式の寄せ集めになってしまう。経済,政治,法律,道徳,倫理。宗教まで扱わねばならない今日の福祉学には,ますますその傾向が強くなっている。では今日の福祉学の背景となる哲学とは何か。われわれは公共哲学に基づいた福祉。すなわち公共福祉を提起したい。 キリスト教の果たすべき社会的責任とは,十字架の贖罪愛を通した common grace から来る。アリストテレス的な「友愛」をさらに上から"引っ張る"アガペーの隣人愛をもって,キリスト者は「よきサマリア人」としてのケアの倫理を社会に実践する主体となるべきだ。これは NPO 等の中間集団で発揮され市民社会の原動力となる。賀川豊彦の協同組合運動も現代の市場経済のゆがみを是正しようとした。そして彼の行動はキリストの十字架の贖罪愛から来ているのであり,すべての現代の希望もまたここから出てくるのである。
著者
小林 優 吉高 淳夫 平川 正人
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.28(2001-FI-066), pp.135-142, 2002-03-15

本論文では、利用者の分類に対する意図をクラスタリング結果に反映させ、かつ、文書クラスタリングを効率よく行うために、適切なクラスタ代表を求める手法を提案する。本手法では、利用者の分類例示に基づいて形成されるクラスタの主題を表す特徴要素を多く含む文書をサンプルとして選出し、そのサンプルをクラスタに追加することで、クラスタ代表の算出を行う。ここで、追加されたサンプルによっては、適切なクラスタ代表を求めることができない場合があるため、サンプルの追加と除去、クラスタ代表の算出を繰り返し行うことによって、クラスタ代表を洗練する。
著者
松本 早苗 浅井 隆 新宮 興
出版者
克誠堂出版
雑誌
麻酔 (ISSN:00214892)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.213-217, 2007-02

1 0 0 0 OA 諸名家手簡

巻号頁・発行日
vol.[4],
著者
小林 健介 須藤 幸雄 明石 興彦
出版者
日本脈管学会
雑誌
脈管学 (ISSN:03871126)
巻号頁・発行日
vol.53, no.May, pp.71-74, 2013-05-10 (Released:2013-05-10)
参考文献数
25
被引用文献数
1

要 旨:比較的稀な上肢の静脈性血管瘤(venous aneurysm; VA)を経験したので報告する。症例は71歳女性。40歳頃から右肘部内側の皮静脈が拡張しVAと診断した。VAは体表から透見でき上肢の挙上で虚脱した。静脈エコーや単純CTが診断に有用だった。局所麻酔下に瘤を切除した。炎症所見や内部血栓は認めず,術後の再発もなかった。上肢のVA切除術は低リスクで高い根治性が認められる。
著者
石川 仁憲 風間 隆宏 中川 儀英 青木 伸一 田中 秀治 小峯 力 中山 昭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_826-I_831, 2016
被引用文献数
7

わが国の海水浴場では,毎年多くの溺水事故が発生している.海水浴場における意識なしの溺者を含む救助は毎シーズン1,000~3,000件,応急処置は10,000~25,000件であり,溺水の要因は主に離岸流,風等であった.また,海水浴場における具体的な傷病として,刺胞毒を有するクラゲやエイ等による被害が多いことが分かった.溺水や傷病を未然に防ぐためには,海水浴場の危険性を明らかにし,海岸利用者に周知することで事故防止を図るとともに,適切なリスク管理による海水浴場の運営が望まれる.そこで,わが国の海水浴場における溺水の要因や傷病の特徴,監視救助体制の課題などを考慮した海岸利用者の安全性に関するリスク評価手法を検討し,安全な海岸利用に影響を与える要因(ハザード)とそれによる溺水や傷病(ケガ等)が起こりうる可能性を考慮したHazards & Risksと,事故防止・監視救助体制などのBeach management & Patrol systemに関わる評価項目,評価指標,評価方法,さらに安全性の高い海水浴場の条件(総合評価)について提案した.
著者
上田 憲治
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.41-55, 2016

<tt>僅かな燃焼性を有する冷媒R1234ze(E),R1234yf,R32 は地球温暖化係数が低く,ヒートポンプへの採用が期待されている.これら冷媒を機械室に設置される水冷チラーと屋外に設置される空冷ヒートポンプに使用した場合の火災・火傷等の事故確率を算定した. 算定には同一構造となる従来機器の漏洩事故統計データを分析し,急速漏れ,噴出漏れ事故を対象とした.着火源の抽出では同時期に報告された微燃性冷媒の燃焼特性を用いた.その結果,適切な機械換気を備えることで事故確率は3.89× 10</tt><tt><sup>-12</sup></tt><tt> 件/台・年となり安全とされる値より十分小さいことが判った.</tt><tt> </tt>
著者
高市 健二 平良 繁治
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.13-21, 2016

2011 年から開始した家庭用エアコンの燃焼性ハザードに対するリスク評価は対象製品の全てで評価を終了した.本レポートではそのリスクアセスメントの評価手法について概括し,冷媒リークシミュレーション,着火源評価,FTA の評価などを通して,壁掛けエアコンでの各微燃性冷媒によるリスク評価結果が得られた過程を示す.また家庭用エアコンでリスクが高い1 対1 接続の床置き形エアコンのFTA 結果から見直しやリスク低減策により着火確率が許容値以下になった経緯も記述する.
著者
伊藤 浩志
出版者
みすず書房
雑誌
みすず
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.60-74, 2016-08
著者
村山 徹郎
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.541-551, 1999-06-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
59
被引用文献数
2 6

Electrophotography is one of the most prevalent copier and printer technologies. Photoreceptors play a major role in the electrophotographic process. Nowadays, organic photoconductive materials have been most widely used for photoreceptors. Azo and Phthalocyanine pigments are major charge carrier generation materials (CGMs). Hydrazones and arylamines are used as charge carrier transport materials (CTMs). Some models for carrier generation and transport mechanisms have been proposed, Based on these models, molecular structural effects of CGMs and CTMs have been investigated and some new compounds showing good performances have been synthesized.
著者
田中 美穂 児玉 聡
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.96-106, 2014-09-26 (Released:2017-04-27)

高齢化に伴い、世界的にも認知症患者は増加傾向にある。世界各国は、能力の無い人の終末期医療の意思決定に関する諸問題の解決策を模索しているのが現状である。そうした試みの一つが、英国のMental Capacity Act (MCA,意思能力法)2005である。特徴的なのが、能力が無くなった場合に備えて代理人を設定する「永続的代理権」と、さまざまな権限を有した代弁人が、身寄りのない人の最善の利益に基づいて本人を代弁する「独立意思能力代弁人制度」である。本稿では、この2つの制度に焦点をあてて、MCA2005の実態を把握し、終末期医療に及ぼす影響を明らかにするため、国の公式文書や報告書、学術論文などを使って文献調査を行った。そのうえで、司法が抱える課題を指摘した。日本国内においても認知症の増加によって、能力が無い人の終末期医療の決定が大きな問題となるであろう。事前指示のみならず、代理決定も含めた行政ガイドライン、法的枠組みの必要性について議論する必要がある。