著者
齋藤 武馬 西海 功 茂田 良光 上田 恵介
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.46-59, 2012 (Released:2012-04-27)
参考文献数
61
被引用文献数
3

メボソムシクイPhylloscopus borealis (Blasius) は,旧北区北部と新北区最北西部のスカンジナビアからアラスカまで,南端は日本まで繁殖する渡り鳥である.僅かな形態形質の違いから,これまで7の亜種が記載されてきたが,その分類には統一した見解がなく,分類学的混乱がみられる.この問題を解決するため,著者らはこれまでに繁殖分布域の全域において,分子系統学,形態学,音声学的手法を用いた解析を行い,メボソムシクイの地域個体群間の差異を明らかにしてきた.さらに,著者らは利用可能な学名の正しい適用を決めるため,渡り中継地及び越冬地から採集されたタイプ標本のミトコンドリアDNAを解読した.その結果,ミトコンドリアDNAの配列,外部形態,音声の変異の一致から,従来認識されてきたメボソムシクイには3つの独立種を含むことを明らかにした.それは,Arctic Warbler Phylloscopus borealis(ユーラシア北部~アラスカ西部),Kamchatka Leaf Warbler P. examinandus(カムチャツカ・千島列島・サハリン・北海道知床半島),Japanese Leaf Warbler P. xanthodryas(本州・四国・九州)である.さらに,これらの種について種和名を提唱し,Arctic Warblerをコムシクイ,Kamchatka Leaf Warblerをオオムシクイ,Japanese Leaf Warblerをメボソムシクイとすることを提案した.
著者
雨宮 淳三 天本 広平 佐伯 拡三 姫木 学 岡本 嘉六
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.147-153, 1989-03-15

市販食肉(生食用馬肉, 鳥胸肉, 豚ロース肉, 豚挽肉)の細菌汚染状態を調査し, 以下の成績を得た.1.汚染の指標細菌として, 生菌数, 大腸菌群数, ブドウ球菌数, 嫌気性菌数, 低温細菌数を調べたところ, これらの指標細菌相互の相関係数は-0.31〜0.51であり, 関連性は薄く, それぞれ汚染の異なった側面を示すものと考えられた.豚挽肉はいずれの菌種についても菌数が多かったが, 馬肉, 豚ロース肉および鳥肉についても決して少ない菌数ではなかった.スライス肉相互の菌数の差は比較的小さく, 生食用馬肉では大腸菌群数と低温細菌数が少なかったものの, 他の菌数はほぼ同程度であった.このことは, 流通過程で食肉相互の汚染が交差し増大すること, 汚染菌数は食肉の種類によるよりも取扱いの適否に基ずくことを示すものと思われる.2.冷蔵保存した時の生菌数, 嫌気性菌数, 低温細菌数の推移は, 豚ロース肉が豚挽肉より進行が約半日遅いものの, 肉の形状による差異がないことから, 食肉の腐敗の進行は主として保存当初の汚染細菌によって決まるものと考えられる.嫌気性菌数は生菌数とほぼ同様の推移を示したが, 低温細菌はより速やかに増殖し腐敗に大きく関与しているものと考えられた.異臭発生時の菌数は, 生菌数と嫌気性菌数は約7.5,低温細菌数は約10であり, ついでネトの発生がみられた.3.分離した嫌気性菌のうち約半数が偏性嫌気性菌であり, API嫌気システムによる簡易同定ではCl.beijerinkiiが多くを占め, そのほかはFusobacterium symbiosum, Bacteroides spp.などであった.4.ブドウ球菌No.110培地で分離した368株のブドウ球菌の中で, 約30%がコアグラーゼ陽性であったが, コアグラーゼ活性の弱いものが大半であり, その中の55株がS.aureusと同定され, 3株がA型エンテロトキシンを産生した.MSEY培地とETGP培地におけるコアグラーゼ陽性株の性状を調べたところ, マンニット分解能および亜テルル酸塩還元能を有している株は, それぞれ, 76%, 95%であったが, 卵黄反応が陽性であったのはS.aureus株の27%に過ぎなかった.両培地とも, S.aureus集落の典型的性状として, 卵黄反応陽性をあげていることから, S.aureusの一部を見逃す危険性があると考えられる.また, コアグラーゼ反応の弱い株でもエンテロトキシンを産生していることから, 判定に際してはこの点を留意する必要がある.
著者
伊藤 良子
出版者
京都市立看護短期大学
雑誌
京都市立看護短期大学紀要 (ISSN:02861097)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.25-34, 2013-02-01

両下肢末梢方向リズミカルアインライブングを施行した時の心理・主観・自律神経系の反応を明らかにすることを目的に健康成人女性14 名を対象にクロスオーバーランダム化比較試験を行った.10分間のストレス負荷後,実験群には下肢アインライブング,対照群には安静保持を各10 分間施行し,その後16 分間の安静保持を行った.測定指標はフェイススケール・RE 尺度・VAS 法・SD 法・POMS・心拍変動スペクトル解析・表面皮膚温とした.実験群と対照群との介入後の2 群間比較では実験群でのフェイススケール・VAS 法・SD 法で有意(p < .05)のリラックス感覚の増加,HF 値(副交感神経活動指標)の介入中の6 分間と介入後の2 分間での有意(p < .05)の増加, 心拍数の介入中の10 分間での有意(p < .05)の減少を認めた.以上から下肢アインライブングによる主観的緊張緩和効果と副交感神経系活動の活性化作用が明らかになり,リズミカルアインライブングのリラックスケアへの活用の可能性を確認できた.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケーション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.575, pp.52-56, 2011-12-01

モバイルトラフィックの急増に伴って日本でも定額制の廃止が示唆される事態になった。この問題はネット中立性の観点から幅広い議論が必要だ。有識者の考えを紹介しつつ、主な論点を洗い出す。 スマートフォンの急拡大によるトラフィック増大により、国内携帯電話事業者からパケット定額制の見直しを示唆する発言が飛び出している。 発言の主はソフトバンクの孫正義社長。
著者
実積 寿也
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.13-27, 2015

情報通信技術(ICT)の急速な進歩を背景に、コンテンツ産業は、日本の持続的成長・発展を支える基盤産業としての貢献が期待されている。そのため、同産業に対して何らかの成長阻害要因が予見される場合は、相応の政策的対処を検討し、望ましい産業組織を育成する必要がある。近年のインターネットプロトコル(IP)技術の高度化は、ネットワーク産業とコンテンツ産業を垂直統合した新しいプレイヤーを生みつつあり、これら新型プレイヤーは、独占力のレバレッジを通じて競争政策上の新たな課題をもたらす懸念がある。具体的には、モバイルブロードバンド(BB)が主流になるにつれ、プロバイダ市場の寡占化が進み、コンテンツ・ディストリビューションの効率的確保が阻害される可能性がある。そのため、モバイル BB 事業者に対し一定の規律を与えることは、BB 市場の効率性改善の観点のみならず、コンテンツ産業育成の観点からも重要である。米国のネット中立性規制は、その際、良い参照例となろう。

1 0 0 0 OA 源氏物語

著者
紫式部
出版者
巻号頁・発行日
vol.[35],
著者
大谷 渡
出版者
関西大学
雑誌
關西大學文學論集 (ISSN:04214706)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.77-100, 2005-12-20
著者
財前 裕一
出版者
九州大学大学院地球社会統合科学府
雑誌
地球社会統合科学研究
巻号頁・発行日
vol.7, pp.45-57, 2017-09-25

China's claims of territorial rights over the entire South China Sea are based on the nine-dash line. At the same time, Taiwan draws on the same doctrine to assert sovereignty over the same stretch of water. Both countries have secondary sovereignty rights, which includes ownership of territorial sea baselines and islands in the South China Sea, while sharing their profits. However, China and Taiwan both claim their status as "the traditional China" should afford them primary sovereignty rights. This thesis will aim to shed light on how primary and secondary sovereignty have developed in the South China Sea through Sino-Taiwanese relations, particularly cross-strait cooperation. We analyzed a "report" (houkokusho) published by the National Chengchi University's (Taiwan) Institute of International Relations in collaboration with the National Institute for South China Sea Studies (China). The results showed that even non-political partnership has seen some progress, but collaborative efforts in general have not improved many critical areas. Specifically, it appears that cooperation over secondary sovereignty shared by both banks in the South China Sea does not work when in conflict with primary sovereignty claims in cross-strait relations.
著者
平井 敬二
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.349-356, 2005

ニューキノロン薬の先駆けとなったノルフロキサシンが臨床現場で使用され始めて20年以上が経つが, その後も数多くのニューキノロン薬が開発されてきている。これらの新薬の開発と並行してキノロン薬の作用機序, 耐性機構の研究も飛躍的に進歩してきた。本総説ではわれわれの研究内容も含め, キノロン薬の作用機序, 耐性機構研究の約四半世紀の歴史を紹介する。<BR>(1) 作用機序: 標的酵素 (DNAジャイレース, トポイソメラーゼIV) 研究: われわれがキノロン研究を開始した1975年当時ではキノロン薬の詳細な作用メカニズムはまだ不明であったが, ノルフロキサシンを発見したのと同時期にキノロン薬がDNAジャイレースに作用することが報告された。その後DNAジャイレースの研究が進み, 作用様式 (キノロン・DNA・酵素の3者複合体), 抗菌力との相関, 耐性化機構 (耐性決定領域での変異) などが明らかとなった、さらにDNAジャイレース以外に新たな標的酵素としてトポイソメラーゼWが1990年に見出され, その研究からグラム陽性菌に対する抗菌力, 高度耐性化との関連が明確となった。<BR>(2) 膜透過性 (排出機構) 研究: ノルフロキサシンを用いた研究から, 大腸菌をはじめとする腸内細菌では外膜のポーリンと呼ばれる透過孔を介してキノロン薬が菌体内に透過することを明らかにした。一方, 緑膿菌におけるノルフロキサシン耐性機構の解析から膜透過性に関与する<I>nfx</I>B, <I>nfx</I>C, <I>nal</I>B変異遺伝子を見出したが, この耐性機構についてはその後多くの研究者により精力的な研究が行われ, キノロン薬に限らず緑膿菌の薬剤耐性に排出ポンプが大きく関与していることが明らかにされた。<BR>最近, プラスミド性のキノロン耐性 (qnr遺伝子) が中国や米国で報告された。この発見は新たなキノロン耐性として今後の課題となりそうである。
著者
有吉 恵美子
出版者
福岡女子大学
雑誌
香椎潟 (ISSN:02874113)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.9-20, 1960-07-01
著者
岩崎 重三
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.5, no.59, pp.456-457, 1898-08-20
著者
広重,豊国
出版者
丸久
雑誌
駅路の錦
巻号頁・発行日
1854