著者
高井蘭山
出版者
巻号頁・発行日
vol.[1],
著者
窪田 諭 森井 拓 三上 市藏 石川 知憲 松林 豊
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.87-96, 2006 (Released:2011-12-20)
参考文献数
14
被引用文献数
2

道路を適切に維持管理するためには, 空間属性と時間属性を考慮した道路管理情報を一貫した履歴情報として保存・蓄積して一連の事業で活用する必要がある. 本研究では, 道路管理で発生する空間属性と時間属性を四次元情報として収集, 蓄積, 管理, 共有, 活用するために, 四次元情報の構築方法と情報を取り扱う道路マネジメントシステムを提案し, そのプロトタイプを構築した. プロトタイプシステムは空間データ基盤, 道路情報モデル, モデルライブラリ, 共通インターフェイス, システム共通機能, 道路データベース, 道路アプリケーションシステムの構成とし, 道路アプリケーションシステムとして四次元情報表示機能, シミュレーション支援機能, 進捗管理機能を開発した.
著者
張 萍
出版者
佛教大学
雑誌
社会学部論集 (ISSN:09189424)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.1-14, 2009-09-01

本稿の目的は,中国における高齢者虐待を定義付けることにある。人口高齢化の加速と高齢者人権意識の高まりにつれて,高齢者虐待という元来家族の内部に隠された潜在的な問題が,すでに顕在化した社会問題になってきている。しかし,中国はまだ「高齢者虐待防止法」を制定しておらず,高齢者虐待の定義も確定されていない。高齢者虐待の実態を把握するためには,その定義を明確化する必要がある。敬老の伝統を持つ中国では,高齢者虐待の行為は真っ先に道徳違反のものとして世論から非難を浴びせられる。その行為が重い場合,違法犯罪のものとして刑罰の対象となる。それゆえ,高齢者虐待の定義を考える際に,道徳と法律という二つの側面から捉えなければならない。現代中国の道徳規範と法規定は昔のものとはずいぶん異なってきているが,従来から継承したものもある。本稿では主に親子関係を軸にして,高齢者権益に関わる道徳規範と法規定の変化を歴史的な視点から整理したうえで,中国の高齢者虐待に定義を下すことを試みた。
著者
菅原 憲明
出版者
日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.180-184, 1995-03-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
15
著者
千葉 勝吾 大多和 直樹 Shogo CHIBA Naoki OTAWA 東洋大学大学院 東京大学 Graduate School of Toyo University University of Tokyo
雑誌
教育社会学研究 = The journal of educational sociology (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.67-87, 2007-11-30 (Released:2017-02-28)

The school system continues to occupy a central position in the system of social distribution. However, the school is changing from a social screening institution, as it was in the 1970s, to a support institution. Schools now tend to support the decision-making of students based on their own academic achievements and career plans. It is difficult for schools to intervene in students' decision-making in the way they did in the 1970s. However, the relationship between student's school records and their academic and career achievements has not been broken down despite the drastic change in this internal process. In this paper, the authors describe this mechanism in the school by investigating one commercial high school in the Metropolitan area. The authors examine data from the "Student Kartes" of all students in 2002. In these documents, teachers record students' academic achievements and their process of career determing. The authors then analyze how students move between the various channels offered by the school to make academic and career choices, and show some typical patterns. The main conclusions are as follows. First, many students failed to attend group counseling formally provided by the school, and teachers need to give individual support to students. Second, ironically, due to the fact that academic affairs were not highly valued at the commercial high school and that academic competition was not stiff, students with a strong commitment to school tended to have better achievement than those who had a weak commitment. In that sense, the school, as a support institution, also functions as a social screening institution.
著者
西本 豊弘 篠田 謙一 松村 博文
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

茨城県取手市の中妻貝塚から、縄文時代後期初頭の人骨100体以上がひとつの小さな土壙墓からまとまって出土した。これまでに縄文時代の遺跡からは多くの人骨が出土しているが、ひとつの土壙からこのような多数の人骨が出土した例はない。しかも発掘状況から、被葬者は堀ノ内2式期のごく短期間のうちに死亡した集落内の血縁の濃い人々であったと考えられた。縄文時代の社会組織については、住居址や埋葬形式などの考古学的事例や民族学的事例から論議されてきたが、いずれも想像の域を出ていない。とりわけ、人骨から議論されたことは一度もない。考古学を専門とする西本は取手市の依頼により中妻貝塚の発掘報告書を刊行すると同時に、1994、95年にわたり形質人類学を専門とする松村を分担者として、科学研究費助成金(一般C)の支援を受け、人骨の復元・整理・記載等の作業をおこなった。また試験的にこれら被葬者のうち29体の歯の計測値にもとづく血縁関係の分析を行ったところ、この29体に2つの家系とみられるクラスターが見出された。今回の基盤研究(C)による研究では、一つには、中妻貝塚人の歯の計測値にもとづいて推定された血縁関係がどの程度まで信頼できるかを別の方法で検討することとし、さらには中妻貝塚以外の遺跡について血縁関係を追及することとした。前者については、分子人類学的手法として、歯根部からDNAを抽出することにより血縁解析を実行した。最終的に歯の形態とDNAによる血縁関係の突合せることによって、確信のもてる血縁関係を明らかにした。歯冠計測による血縁推定とDNAによる血縁解析との対比が大きく注目されるところである。従来の単独の方法による血縁推定は精度の限界から、推定がどの程度事実を反映しているのか、検証が困難であったからである。両者の方法による結果の突合せは画期的であり、血縁推定の有効性や方法論についても大きな進歩が期待される。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュ-タ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.570, pp.62-66, 2003-03-24

「情報システムは経営を支援するための道具。必要以上の機能を盛り込んでも、本業の妨げになるだけだ」。外食大手のサイゼリヤは、こうした方針に基づいて情報化を進めている。本部や店舗に導入しているシステムは一見シンプルだが、小さな工夫を地道に積み重ねることで業務の効率化を実現している。このところ外食各社の業績がさえない。
著者
松本 淳 財城 真寿美 三上 岳彦 小林 茂
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2017年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100131, 2017 (Released:2017-05-03)

1. はじめに 地球温暖化をはじめとする気候変動の問題は,地球の将来環境に大きな変化をもたらす懸念もあって,社会的にも大きく注目されている。気候変動の科学的認識には,気象観測データが必須で,人類の気候変動に関する知識は,正確な気候資料の有無に依存しているといっても過言ではない。正確な気候データの基礎となる近代的な気象観測は,17世紀にヨーロッパで始められ,300年以上の歴史がある(吉野, 2007)。一方アジアでは,主に欧米諸国の植民地化の過程の中で,19世紀後半から気象観測が継続的に行われるようになり,百数十年程度の気候データの蓄積がある。日本では1875年に気象庁の前身である東京気象台で気象観測が始まった。観測データは多くの国の気象機関で月報や年報などの印刷物として刊行・公開され,特に月別の統計値は,World Weather Records, Monthly ClimaticData for the Worldなど世界中のデータを網羅したデータとして刊行され,気候変動研究に活用されてきた。1980年代以降は,電子媒体での利用が一般的となり,CRU, GPCCなどでグリッド化されたデータが主に利用されるようになっている。しかし,アジア諸国では,1950年以前は多くの国が植民地だったこともあって,インドなど一部の国を除くと植民地時代の気象観測データは,ディジタル化が進んでおらず,気候変動研究に活用されていない。旧英領インドでも,現在のインド以外の領土(バングラデシュ,ミャンマーなど)の日データはディジタル化されていない。日本では,気象庁の区内観測所での稠密な気象観測データ日別値等はディジタル化されておらず,科研費等による日降水量のディジタル化が進められている(藤部他2008)。気象台とは別に,江戸時代に来日した外国人らによる気象観測が行われており,それらを活用した気候復元もなされている(Zaiki ,2006: 三上他,2013等)。明治時代には,灯台において気象観測が行われていたことも近年になって判明した。さらには戦前・戦中には日本の海外統治域のデータが多く存在する。そかしこれらのデータの多くはディジタル化されておらず,実態さえもよくわかっていない。小林・山本(2013)は戦時中のデータの実態を解明し,山本(2014, 2015)は戦前・戦中の大陸における気象観測の実態を明らかにした。このような古い気象観測データを掘り起こし,気候研究に利用できるようにする活動は,データレスキューといわれ(財城, 2011),国際的にも精力的に取り組まれている(Page et al. 2004等)。世界気象機構WMOのプロジェクトとして,Atmospheric Circulation Reconstructionsover the Earth (ACRE: http://www. met-acre.org/, Allanet al. 2011)が実施され,世界各地でデータレスキュー活動が進められている。このような状況を踏まえ,本シンポジウムでは世界各地に散在するアジア各国の戦前・戦中を中心とした気象観測データのデータレスキューの国内外での現状を整理し,今後の気候変動研究への活用について議論したい。2. シンポジウムの構成 本シンポジウムでは本発表に続き,まず東南アジアや南アジアにおける状況を2発表で概観する。続く5つの発表では,日本における様々の状況について明らかにする。最後にデータレスキューされた資料を活用した長期再解析の現状と課題を示す。別途,関連する発表を,グループポスター発表としている。これらを踏まえ,最後に科学史の立場から気候データレスキュー全般についてコメントを頂戴した後,総合討論を行う。参加者による活発な討論をお願いしたい。なお,本シンポジウムは,科学研究費補助金(基盤研究(S),課題番号26220202, 代表:松本淳及び基盤研究(B), 課題番号????????, 代表:財城真寿美)による成果の一部を活用して開催するものである。
著者
嶋田 英晴
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報.別冊
巻号頁・発行日
vol.25, pp.14-18, 2008-03-31 (Released:2011-10-12)
著者
大久保 暢子 牛山 杏子 鈴木 恵理 佐竹 澄子 小板橋 喜久代
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.121-130, 2011-04-20 (Released:2016-08-01)
参考文献数
65

日本看護技術学会技術成果検討委員会の一組織であるポジショニング班では,看護職が行うポジショニング技術を既存の研究成果と臨床知から言語化し,臨床看護師に広く公表していく活動をしている.本研究では,活動の第一段階として看護職が行うポジショニングの定義を明確にすることを目的とした.また看護学同様,理学療法学におけるポジショニングの定義を調査し,看護学の定義と比較検討した.調査対象は,国内の大学に所蔵される看護学分野および理学療法学の国内外の教科書および参考書計 253冊で,方法は,ポジショニングの言葉が記載されている箇所を定義,目的の観点から抽出し,看護学,理学療法学ごとに共通性を分析し,定義と目的と導いた.倫理的配慮は,対象書物に偏りがないよう関東にある大学の最新版を採用した.結果,看護学における定義を「対象の状態に合わせた体位や姿勢の工夫や管理をすること」とし,目的は,安楽,合併症 ・ 廃用症候群の予防,気分転換などがあがった.理学療法学の定義は,対象者以外に介助者との関係も含んだ内容であり,看護学とは異なる点があった.今後は,上記の定義を仮定義として扱い,さらに臨床看護師のポジショニング技術の実践内容を分析したうえで,看護におけるポジショニング技術の言語化を進めていく予定である.
著者
田中 良
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.24, pp.37-47, 1996-03

ベッケットが『ゴドーを待ちながら』で表現した通り、待つことは、十九世紀のジュリアン・ソレルやラスティニャックが抱いた野心とは全く別の、二十世紀の文学的テーマである。マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』では、この待つことがとりわけ重要なエピソードにおいて活用されている・本稿のテーマは、この小説に表れる様々な待つという行為あるいは状態を具体的に検証し、その機能と作者の意図を考察することにある。 第一に、待つことはプルースト的想像力にとっての磁場であった。確かに主人公は、ルーサンヴィルではその土地の女性の出現を求めて森をさまよい、ブーローニュの森ではスワン夫人を、パリの通りではゲルマント公爵夫人を待ち伏せながらも、そのどれにも成功していない。しかし彼にとって重要なことは、その待ち伏せによる実際的な接触より以上に、彼女達を待っている間での欲望と想像力の高揚であった。たとえステルマリア夫人との夕食の約束が直前にキャンセルされたとしても、彼はその時が来るのを待つ間に、約束していたブーローニュの森のレストランで彼女との官能的な夜を十分満喫していた。 第二に、待っことは変容の場であった。実際、主人公が何かを待っているとき、待たれているものは現れず・全く別の事態が生じている。シャンゼリゼ公園でのジルベルトとの再会、バルベックの海辺での少女達との出会い、シャルリュスの「変身」、サン・ルーの残酷さ、祖母の病気、二度のレミニサンス、などに関わる重要な場面は全て、主人公が何か別のものを待っているときに展開している。これはプルーストの語りの技法の問題であると同時に、偶然性を重んじるプルーストの思想の問題でもある。 要するに待っことは、方法論の上でも内容の上でも、『失われた時を求めて』にとって不可欠な要素であったといえる。