著者
林 英一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

2011年4月に日本学術擁興会研究者海外派遣基金第2回優秀若手研究者海外派遣事業にて派遣されていたガジャマダ大学文化科学学部歴史学科から戻り、1年間にわたる現地調査(現地の公文書館における文献収集と聞き取りを中心とするフィールドワーク)で得られたデータを整理した。その上で9月に『Merekayang terlupakan:Memoar Rahmat Shigeru Ono.Yogyakarta:Penerbit Ombak(邦題『残留日本兵の記憶』2011年、波出版社)』という著書をインドネシアで出版した。これはインドネシア語ではじめて残留日本兵について論じた本で、そのため様々な反響が現地で起こった。その模様については、『共同通信』、『毎日新聞』、『読売新聞』、『JAPAN TIMES』、インドネシアで最も影響力のある時事週刊誌といわれている『TEMPIO』などで記事が出た。また12月には『皇軍兵士とインドネシア独立-ある残留日本人の生涯』(2011年、吉川弘文館)という著書を日本で刊行した。これはインドネシア独立戦争後に残留日本兵がいかに国籍・市民権を取得し、現地社会に「内なる他者」として再統合されていったのかを、インドネシア残留日本人の典型的な人物であるフセン・藤山秀雄氏のライフヒストリーを描くなかで明らかにしたものである。以上のように現地語で研究成果を発表するとともに、現地側の視点から研究対象をとらえ直すことによって、従来、ジャーナリスティックな観点あるいは政治外交史の視角から、その歴史的役割が論じられていたインドネシア残留日本兵の実像に、社会文化史的な視点から迫ると込う.当初の目的をある程度達成することができた。
著者
川本 陽一 大岡 龍三
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
学術講演会論文集
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.2337-2340, 2007-08-24

Meso-scale climate analysis is very useful to understand the structure of the urban heat island. MM5, provided by National Center for Atmospheric Research, is one of major meso-scale model in the world. However, parameterization of ground surface in MM5 is to rather coarse to analyze urban climate. That is, in MM5, ground surface parameters are determined by most superior land-use in each mesh. However, this method is unable to represent detail urban structure, to say, the effect of Cool Island with green or water body is neglected. In this paper, ground surface parameterization in MM5 is modified to represent land-use fraction. Furthermore, effect of anthropogenic heat release is also incorporated in MM5.
著者
岡崎 亮太
出版者
福岡教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ボレル固定イデアル I の「Eliahou-Kervaire 自由分解」,「先行研究で得られた自由分解」の2つの分解について,I がコーエン=マコーレーならば,両者には閉球のセル分割が付随することを柳川浩二氏との共同研究で示した.両自由分解は離散モース理論を利用して構成することができ,本成果は,同理論で失われた幾何的情報を復元したと解釈できる.また,多項式環上の多重次数付き加群 M について,「M の自由分解の構成」,「M の根基の定義,及び,既存の結果の拡張(V. Ene 氏と共同)」,「アフィン有向マトロイドイデアルのコーエン=マコーレー性の特徴付け(柳川浩二氏との共同)」等を行った.
著者
荘林 幹太郎
出版者
学習院女子大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、連坦化促進のための手法として集落コミュニティによる農地所有の「一体化」が有効である可能性を検証することを主たる目的とした。事例地区に関する詳細な実証分析及び概念分析等を行った結果、土地所有者が協調して個別の所有権を大きく超える利用に対して規律をもたらす非農家主体土地所有者組合モデル(「新海モデル」)が、その規律がもたらす正の外部性が存在するときに土地利用効率上の大きな意味をもつことを明らかにした。それは「共有資源」の個別利用を主たる対象としたコモンズ論的に新たな視点を加えうるものであることも確認した。さらに、新海モデルの普及のために必要な政策的枠組みについての提案も行った。
著者
清水 康敬
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.677-683, 2005-06-15
参考文献数
6
被引用文献数
2

インターネット技術が進展し、教育用コンテンツがインターネットで提供され、インターネットを使用して学習することが可能となっている。そこで、教育用コンテンツの共有化と流通を促進するためのLOM(Learning Object Metadata 学習オブジェクトメタデータ)について解説する。LOMは、IEEEによりの国際標準化が進められ、諸外国ではLOMを使用した教育コンテンツを扱うWebサイトが運用されている。また、我が国においても国立教育政策研究所の教育情報ナショナルセンター(NICER)、メディア教育開発センター(NIME)において、LOMシステムの開発・運用が進められている。
著者
丹羽 祐介 長谷川 敏男 宿谷 涼子 大熊 慶湖 平澤 祐輔 池田 志斈
出版者
The Japanese Skin Cancer Society
雑誌
Skin cancer : official organ of the Japanese Society for Skin Cancer = 皮膚悪性腫瘍研究会機関誌 (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.90-93, 2010-05-15

73歳,女。約半年前より外陰部の腫瘤に気付いた。徐々に腫瘤が増大したので近医を受診し,皮膚生検にて有棘細胞癌の診断を受け,当科に紹介受診した。初診時,左大陰唇に5cm大の広基性隆起性腫瘤が存在した。また,外陰部全体が紅白色の萎縮性局面を呈し,陰核の消失,膣口の狭小化を伴っていた。腫瘍の周囲から2cm離し,肛門周囲と尿道周囲では1cm離して,腫瘍拡大切除術,および分層植皮術を施行した。同時に施行したセンチネルリンパ節生検術にて,両鼠径リンパ節に転移が検出されたため,両側鼠径リンパ節郭清術を併せて施行した。病理組織検査では,腫瘍部は角化傾向の強い異型細胞が増殖しており有棘細胞癌と診断した。腫瘍辺縁部では液状変性や真皮上層の帯状リンパ球浸潤,透明帯がみられたため,臨床所見と併せ硬化性萎縮性苔癬と診断した。外陰部に生じた硬化性萎縮性苔癬は有棘細胞癌の発生母地となり得るので,注意深く経過観察する必要がある。
著者
惣宇利 紀男
出版者
大阪市立大学
雑誌
經濟學雜誌 (ISSN:04516281)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.1-21, 1986
著者
清水 正嗣 松島 りん太郎 水城 春美 柳澤 繁孝
出版者
大分医科大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

臨床的には日常の診療において口腔前癌病変ならびに扁平上皮癌を有する患者の記録を行い,症例を重ねてきた.白板症における臨床所見と組織像との比較についてはdysplasiaの有無と発症部位との関連を調査したが,口腔に主として白板症の認められる頬粘膜,歯肉,舌の内では,舌が最もdysplasiaの発現し易い部位であることが本研究によって解明された.組織学的異型度と臨床視診型との関連については紅白斑型に異型を示す症例が目立って観察され,また,異型を示す症例ならびに多発性である症例に再発例が多い事が判明した。白板症が単発性であるか多発性であるかについては,その発症機序についても検索する必要があり,今後の課題の一つである。電気泳動法による分析に関しては等電点電気泳動法(IEF)とSDSポリアクリルアミド電気泳動法を用いてケラチンサブユニットの分析を行ってきたが,これらの分析では,泳動後のゲルを銀染色することにより感度の高い検出が行い得られ,小さな口腔内生検材料においても蛋白の検出が可能となった。しかしながら,口腔白板症ならびに扁平上皮癌組織よりClausenの方法他によって抽出したケラチン分画の分析ではケラチン以外にも数多くの蛋白が検出され,従来行われている二次元電気泳動のみによるケラチンサブユニットの検索法では正確なケラチンの同定が不可能と考えられ,ウエスタンブロッティングによるケラチンの同定が必要となった。現在,ケラチンに対するポリクロ-ナル抗体を用いてケラチンの同定が可能であるが,今後はモノクロ-ナル抗体による同定を行い,正確なサブユニットの構成を明らかにしたい。また,臨床的な予後に差異を生じさせる原因の解明についても,白板症ならびに扁平上皮癌は多様な形態,性質を有する事より,なお多くの生検材料の検索が必要であり,今後も継続していく方針である。
著者
岩橋 正雄 富田 政勝
出版者
新潟県内水面水産試験場
雑誌
新潟県内水面水産試験場調査研究報告 (ISSN:03861643)
巻号頁・発行日
no.3, pp.109-113, 1974

錦鯉の選抜育種において次代の親魚候補の選出を容易にする目的で数組の紅白,大正三色を使用,F1,F2での兄妹間交配を行なった。1. F2まで選抜した紅白については親魚の表面上の形質が優れているものほど優れた仔が入手できた。2. F1まで選抜した大正三色については親魚の形質が必ずしも仔と一度せず,表西上の形質だけで親魚候補を選抜することは問題があるように思われる。
著者
岩橋 正雄 富田 政勝
出版者
新潟県内水面水産試験場
雑誌
新潟県内水面水産試験場調査研究報告 (ISSN:03861643)
巻号頁・発行日
no.8, pp.74-79, 1980

紅白の発生、遺伝に関する基礎的な資料を得る目的で紅白、紅白から出現した赤無地、白無地を各々3代交配し、出現品種の種類と比率を調べた。1)赤無地×赤無地では全て赤無地が100%出現した。2)白無地×白無地における選抜の効果は認められたが、白無地は100%出現しなかった。3)紅白×紅白における選抜の効果は認められなかった。4)紅白×紅白における出現品種の分離比はまちまちで、その遺伝は質的形資でなく量的形質の遺伝様式に合致した。