著者
松田 勝敬 森 大毅 粕谷 英樹
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.67-75, 1999-12-30
被引用文献数
1

The lower formant frequencies of whispered vowels are known to be slightly higher than those of modal vowels. This paper attempts to interpret this phenomenon acoustically, based on an electrical circuit model of the vocal tract. Perceived naturalness of whispered vowels is shown to be associated with bandwidth of the lower formant and spectral tilt resulting from loose acoustic coupling between supra- and sub-glottal systems through a small glottal chink. Perceptual significance of the frequency shift of the lower formant in whispered vowels is also studied. Perceptual experiments showed in that vowel boundaries between modal and whispered vowels were not changed in four of six subjects for the /o/-/a/ stimuli and in two of six for the /i/-/e/ stimuli. The results indicated that frequency shift of the lower formant in whispered vowels is not necessarily associated with the compensation for vowel boundary shifts.
著者
藤本 雅子 前川 喜久雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.248, pp.29-34, 2002-07-19
被引用文献数
1

「疑い」や「落胆」などのパラ言語情報は日常の話し言葉では頻繁に生じる現象であるが,その生成メカニズムはよく理解されていない.パラ言語情報の伝達メカニズムを解明するための研究の一貫として,高速デジタルビデオによる喉頭の観察を実施した.3種類のパラ言語情報(「中立」「疑い」「落胆」)を意図して発話された一語文/駅/における声門面積と声帯間距離を計測した.またModal,Breathy,Creakyなどの発声様式による孤立母音/e/のデータを別途測定し,両者を比較した.その結果,「中立」発話ではModa1な発声が観察されるのに対して,「落胆」ではbreathyな,「疑い」ではcreakyな発声が行なわれていることが確認できた.パラ言語情報に起因するこのような発声様式の変化が母音部にも子音部にも観察され,発話の全体を通して維持されていることから,パラ言語情報に起因する発声様式制御の領域は発話全体であることが示唆された.換言すれば個々の分節音の制御ではなく,声質の制御であることが示唆されていると考えられる.
著者
竹本 浩典 足立 整治 北村 達也 本多 清志 モクタリ パーハム
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.97, pp.13-17, 2005-05-19
被引用文献数
2

喉頭腔の音響特性を求めるため, 5母音の声道断面積関数を用いて共鳴モード解析を行った.その結果, 喉頭腔の共鳴周波数付近では, 喉頭腔と咽頭腔との接続部で体積速度が増大するため, 喉頭腔を除く声道部分(主声道)に両端を開口端とする共鳴モード(開管共鳴)が生じることが示され, その共鳴は本研究に用いた声道では第4フォルマントであった.それ以外のフォルマントでは喉頭腔と咽頭腔との接続部における体積速度が小さいため, この部分を閉鎖端として主声道に片開き管の共鳴モード(閉管共鳴)が生じることも明らかになった.
著者
北村 達也 竹本 浩典 足立 整治 モクタリ パーハム 本多 清志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.178, pp.43-48, 2006-07-14

声帯振動に伴う声門開口面積の変化が喉頭腔で生じる共鳴(喉頭腔共鳴)に与える影響を調査した.成人男性3名の日本語5母音発声時の声道伝達特性を声門閉鎖および開放の条件で計算した結果,喉頭腔共鳴は声門閉鎖時にのみ3.0kHzから3.7kHzの周波数帯域に生じ,声門開放時には消失することが明らかになった.さらに,母音の実音声の声門閉鎖および開放区間を対象としたスペクトル分析によって,喉頭腔共鳴がピッチ周期内で出現と消失を繰り返すことが示された.これらの現象は,声門閉鎖時には喉頭腔が閉管となることにより喉頭腔共鳴が生じ,声門開放時には喉頭腔が開管となることにより喉頭腔共鳴が消えると説明できる.
著者
佐久間 健
出版者
工学系研究科マテリアル専攻
巻号頁・発行日
2008-05-22

報告番号: 乙16965 ; 学位授与年月日: 2008-05-22 ; 学位の種別: 論文博士 ; 学位の種類: 博士(工学) ; 学位記番号: 第16965号 ; 研究科・専攻: 工学系研究科マテリアル工学専攻
著者
清水 拓也 土方 嘉徳 西田 正吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.3, pp.538-550, 2008-03-01
被引用文献数
9 2

現在,商用Webサイトで利用されている推薦システムの多くは,協調フィルタリングを用いている.従来の協調フィルタワングによる推薦方法は,推薦の精度を向上させることに重点を置いて開発されてきた.そのため,既に知っているアイテムが多く推薦されるという問題があった.この推薦は,好みのアイテムをリストアップしてもらうことだけを考えたときには良い推薦といえるが,ユーザの満足度を考えたときには発見性の欠如のために必ずしも良い推薦とはいえない.本概究では,ユーザがどのようなアイテムを知っているかという情報をユーザから獲得し,この情報を用いたいくつかのアルゴリズムを提案する.これらのアルゴリズムは,ユーザの知らない好みのアイテムがどれだけ推薦されるかを示す特性であるNoveltyを向上させることを目的としている。本研究では,ユーザがどのようなアイテムを知っているかという観点でのユーザ聞,アイテム間の類似度を計算し,ユーザが知らないであろうアイテムを推測する.この方法と従来の嗜好に基づく協調フィルタリングを組み合わせることで,ユーザが知らない好みと思われるアイテムを推薦する.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア (ISSN:09154191)
巻号頁・発行日
no.118, pp.47-50, 1999-08

診療所で働く院長夫人は、多忙な院長にとっての心強い味方だ。しかし、場合によってはトラブルメーカーともなり得る。実際、問題のある夫人が原因で職員が定着しないなど、運営に支障が生じている例も少なくない。院長夫人と職員の関係は、何が原因でこじれてしまうのか。
著者
宮地 良樹 黒沢 元博 石川 治
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

アレルギー炎症の組織修復過程においは、線維芽細胞、肥満細胞、好酸球,マクロファージなどが参画すると考えられるが、とくに肥満細胞はその発症と遷延化を考える上で重要である。従来、肥満細胞は単に即時型アレルギー反応を惹起する細胞としてのみ評価されてきたが、近年肥満細胞由来サイトカインやメディエーターが解明されるに及んで、そのアレルギー炎症過程への干渉や炎症後リモデリング過程への介在などが極めて注目されるようになった。今回の研究ではアレルギー炎症後のリモデリング過程における肥満細胞の関与を検証するため、臍帯血から樹立したヒト肥満細胞を用いて、線維芽細胞との相互作用、とりわけ肥満細胞由来トリプターゼによる線維芽細胞増殖やコラーゲン産生への影響、さらには肥満細胞が産生する各種成長因子などを検討する中で、炎症後の修復過程における肥満細胞の役割を解明した。肥満細胞と線維芽細胞の共存培養系において線維芽細胞の増殖能が亢進したことから、肥満細胞由来トリプターゼやその抗体を用いた実験で、その本態は肥満細胞由来トリプターゼである可能性が示された。また、肥満細胞は、TGF-βやbFGFなどの成長因子を産生することで線維芽細胞の増殖を制御していることも判明した。線維芽細胞と肥満細胞が相互に干渉することでリモデリングを修飾するとすれば、その制御の視点から、ステロイド剤、抗アレルギー剤、抗酸化剤などがその制御にどの程度有用かを調べることも意義深い。また、皮膚に限らず、気道炎症をはじめとする他のアレルギー炎症性疾患、肺線維症や肥厚性瘢痕を含む線維化、強皮症における硬化などの線維化疾患の序と制御における肥満細胞の役割などが今後検討されるべきであろう。
著者
黒田 未来 東 敦子 津田 望
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.25-32, 2002-03-31

無発話の重度知的発達障害児に対し、表出手段として、サイン言語に加えて写真や絵、図形シンボルなど複数のAAC手段を指導した事例の経過を述べた。本症例は、対人関係が比較的よく、手指模倣が可能で、自発的なサイン表出がみられたことから、指導初期にサイン言語によるコミュニケーション指導を行った。その結果、サイン言語を表出手段として用いるようになったが、その後表出サインの増加に伴い、手指の巧緻性や記銘力の低さなどからコミュニケーションが取りにくくなったため、写真、パッケージ(「P&P」)などを用いたコミュニケーション指導を行った。最終的にサイン言語だけでなく、「P&P」や図形シンボルなど複数の手段を表出手段として併用することが可能となり、コミュニケーションの伝達性や、視覚的弁別力が高まるなどの変化がみられた。本事例を通して、重度の知的障害児にサイン言語を指導することの効果、手指の巧緻性や視覚的弁別力が比較的低い場合に、サイン言語や「P&P」など複数のAAC手段を併用することの効果、また、他者との円滑な「やりとり」を促すために、家庭や学校など諸機関と連携することの重要性について考察した。
著者
斉藤 一哉 野島 武敏
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集A編 (ISSN:18848338)
巻号頁・発行日
vol.78, no.787, pp.324-335, 2012 (Released:2012-03-25)
参考文献数
7
被引用文献数
2 3

This study illustrates a new strategy to fabricate arbitrary cross-section honeycombs. These types of honeycombs are usually manufactured from normal flat honeycombs by curving or carving, but the proposed method enables us to construct objective shaped honeycombs directly. We first introduce the concept of the kirigami honeycomb, which is made from single flat sheets and has periodical slits resembling kirigami (Japanese art of study folding and cutting). In previous studies, honeycombs having various shapes, including tapered and aerofoil honeycombs, were made using this method, and were realized by only changing folding line diagrams (FLDs). In this study, these 3D kirigami honeycombs are generalized by numerical parameters and fabricated using a newly proposed FLD design method, which enables us to draw the FLD of arbitrary cross-section honeycombs
著者
Taketoshi NOJIMA Kazuya SAITO
出版者
社団法人 日本機械学会
雑誌
JSME International Journal Series A Solid Mechanics and Material Engineering (ISSN:13447912)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.38-42, 2006 (Released:2006-07-15)
参考文献数
6
被引用文献数
12 65 22

By folding a thin flat sheet with periodically set slits or punched out portions into the third dimension, ultra-lightweight strong and functional core models are newly devised. The basic idea of this modeling arises from the application of origami technique to engineering. Based on the space filling models, fundamental flat cores and skew type sponge cores have been newly developed. By applying these models, such modified core models as curved cores and 3D honeycomb core are newly devised.
著者
永井 善之
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

児童ポルノの刑事規制根拠の明確化を目的とする本研究では、その規制の伝統に伴う法的議論の蓄積の豊富なアメリカにおける理論状況に係る比較法的な分析も踏まえて、その規制利益の個人的法益性の基本的妥当性を確認すると共に、この個人的法益を被写体児童の人格的利益、より具体的に自由の一種たる自己の性的姿態に係る情報権と構成する可能性について検証した。
著者
ブッシュ ジェリー
出版者
上武大学
雑誌
上武大学経営情報学部紀要 (ISSN:09155929)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.213-226, 2006-12-28

Japan has been dubbed a "pornographic society" attributable to the large-scale pornography industry in contemporary Japanese society. Furthemore, westerners who visit Japan are often struck by the ubiquity of sexually explicit material. While the pornography industry in the U.S., for example, is enormous, such material tends to be localized to certain corners of society, separate from the mainstream. However, in Japan, nudity and sexual images are regularly depicted in newspapers, magazines, and comic books, and are displayed in clear view of the general population. This essay addresses some prevalent attitudes toward sexuality which may contribute to the public display and massive consumption of pornography in Japan.