著者
佐藤 将
出版者
新潟県内水面水産試験場
雑誌
新潟県内水面水産試験場調査研究報告 (ISSN:03861643)
巻号頁・発行日
no.28, pp.1-5, 2004

2002年に新潟県内水面水産試験場で保有していたニシキゴイ親魚(紅白・大正三色♀27個体、♂12個体)、中国産コイの荷包紅鯉(♀1個体)および荷包紅鯉とニシキゴイの交雑魚(♀2個体、♂4個体)について、マイクロサテライトDNAマーカー(MFW-1*、MFW-18*、Cca-21*、Cca-30*)を用いて、DNA型(アリル型)による個体識別を試みた。各マーカー座の有効アリル数は1.3~3.4と低く、ホモ過剰またはヘテロ過剰の傾向を示した。紅白では、一部で全く同じアリル型の組合せを示す個体があったが、多くの個体は識別が可能であった。大正三色および交雑魚では、すべての個体でアリル型の組合せが異なり、アリル型の組合せによる個体識別ができた。
著者
岩橋 正雄 富田 政勝
出版者
新潟県内水面水産試験場
雑誌
新潟県内水面水産試験場調査研究報告 (ISSN:03861643)
巻号頁・発行日
no.4, pp.71-74, 1976-08

紅白が100%出現する親魚を養成する目的で紅白から得られた赤無地,白無地を純粋種又はそれに近い状態に選抜し,その間で交雑を行い紅白の出現率を調べた。1. 紅白の出現率は赤無地,白無地の選抜をかさねるほど高くなりF2においては最高99.6%平均90%に達し紅白は赤無地と白無地の中間種(F1)と認められた。2. 紅白型付の出現率は赤無地,白無地の選抜をかさねるほど退色因子の作用が強められ低下した。3. 今後退色因子の少ない赤無地,白無地を作り上げればF1の実用化が期待できる。
著者
小野 浩己 酒井 孝司 加治屋 亮一
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.189, pp.29-38, 2012-12-05

CFDを用いて建築室内の温熱環境解析を行う際には,壁面からの対流熱伝達量を高精度で予測できることが重要である。ところが,一般的な建築室内では壁面近傍の流れは自然対流が支配的であることが多く,広く用いられているレイノルズ平均乱流モデル(RANS)では必ずしも十分な精度が得られないことが報告されている。そこで本研究では,空間フィルタリング乱流モデル(LES)の中でも,より複雑乱流場の予測精度に優れたDynamic LESモデルに着目し,Tianらの自然対流流れ場における実測結果を用いてその精度検証を行った。また,建築分野における実用計算への応用を考え,格子解像度が低下した際の計算結果への影響についても検討を行った。その結果,Dynamic LESモデルが対流熱伝達量の予測に高い精度をもつことを明らかにした。また,格子解像度が低下した際にも,Dynamic LESモデルが他のモデルに比べて実測結果との差異が小さいことを明らかにした。
著者
多賀谷 昭 深山 智代 深山 智代 北山 秋雄 那須 裕 野坂 俊弥 多賀谷 昭 吉村 隆
出版者
長野県看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

中山間地域の里山における女性高齢者のグループ農業の実態を調査し,人々の健康と地域社会に及ぼす影響とグループ農業が成立するための諸条件を検討した。その結果,グループ農業の活動は,地域アイデンティティの表出としてとらえることができ,相互扶助ネットワークの強化,共同体の維持,文化の伝承など,その多面的な機能により,地域住民の心身の健康を増進し保障すると考えられる。グループ農業の成立には,表出すべき地域アイデンティティおよびそれを認知する者の存在が必須と考えられる。
著者
横溝 賢 村井 麻里子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.15, no.15, pp.24-27, 2010-03-30
被引用文献数
1

本作品は、愛媛県の伝統工芸である伊予水引の魅力を国内外に伝えることを目的に、商品の企画設計からブランドアイデンティティまでトータルにデザイン開発を行ったものである。従来の結納飾りや、金封飾りをリデザインするのでは、これまでの伝統工芸品の焼き直しである。主に慶事に用いる水引の伝統的風習を継承しつつも、現代の生活様式にあわせた、新しい「祝い」の様式を提示するテーブル周りの水引工芸品を企画した。水引には、贈り物に紅白の水引を掛ける伝統的作法としての文化的価値のほかに、しなやかな張りを持つ紙紐素材の技術的特性もある。本作品では、水引の歴史的・文化的価値がユーザーに伝わるようブランドのコンテクスト作りを行い、同時に水引素材の質的特性を効果的に用いたデザイン開発を行っている。
著者
竹森 利和 中島 健 庄司 祐子
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.61, no.584, pp.1513-1520, 1995-04-25
被引用文献数
22 1

We have developed a fundamental model of the human thermal system (AVA model) for the prediction of thermal comfort. The distinguishing feature of this model is a more precise description of heat transfer by blood flow (i. e., it includes arteriovenous anastomoses (AVA) of the extremities and a dual vascular network) than conventional models of human thermal systems. The following results were obtained : (1) The experimental verification under three different steady thermal conditions (22℃, 28℃ and 34℃) and an unsteady thermal condition (28. 1℃+ 47. 1℃+ 28. 3℃) suggests that the AVA model can simulate body temperature profiles well. (2) The visualized results of the model predictions demonstrate that the calculated tissue temperature and blood temperature distributions are physiologically plausible.
著者
棚澤 一郎
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.2-8, 1996-06

本稿は,『伝熱学つまみ喰い』と題して本誌Vol.2, NO.1に掲載された基礎講座の第2回目である。第1回目の目次は,1. 温度・熱・伝熱,2. 伝熱の三つのモード,3. 熱伝導,4. 対流伝熱,5. 結び,であった。第2回目の本稿では,物質移動を伴う伝熱について解説している。物質移動は,高温環境下でのヒトの体温調節のメカニズムである発汗と関連して重要である。主な内容は,序論,濃度の定義,分圧と湿度,フイックの法則,対流物質伝達,物質伝達と熱伝達のアナロジーなどである。
著者
石原 勲 村上 巧 南 秀一
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.63, no.614, pp.3370-3374, 1997-10-25
被引用文献数
1

Optical interferometers, such as the Mach-Zehnder interferometer, have often been used to measure the temperature of transparent fluids. In this paper, we utilize a Moire interferometer in which a conventional interferometer is combined with the Moire technique. By applying a fringe scanning technique to this Moire interferometer, a new fringe analytical system is obtained and the fringe analysis is automated with the aid of a personal computer. The temperature field of the air around a vertical heated plate under natural convection is measured and compared with the theoretical solution. The temperature measured using this system is in good agreement with the theoretical one. It is verified that this optical system is applicable for measuring the temperature of transparent fluids.
著者
伊與田 浩志 西村 伸也 野邑 奉弘
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.66, no.650, pp.2681-2688, 2000-10-25
被引用文献数
7 1

For clarification of the mechanism of heat and mass transfer in the early stages of superheated steam drying which accompanies condensation and evaporation, we had done both the experiments and the simple calculation for a semiinfinite heat transfer model. And we found the existence of "reverse point" at which neither condensation nor evaporation occurs in the early stage of superheated steam drying. In this report, in order to investigate the physical reason of the reverse point and its change according to the shapes of heat transfer model, similar analytical and experimental methods were applied for both a spherical and a large slab heat transfer models. As a result, restoration time changes in the range of 3.2〜10times the reverse time with changes of scale, heat transfer rate and initial temperature of the heat transfer models.
著者
清水 順一郎 井口 洋夫
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.755-764, 2001-10-05
被引用文献数
1
著者
小林 和彦
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1-16, 2001-03-05
被引用文献数
8 5

FACE(Free-Air CO_2 Enrichment = 開放系大気CO_2増加)は,何の囲いもしない圃場の空気中に直接CO_2を吹き込んで,植生の周りのCO_2濃度を高める実験手法である.FACEにより,大気CO_2濃度が上昇した時の植物や生態系の変化を,現実の圃場で観察できる.1987年にアメリカで始まったFACEは,今ではアメリカとヨーロッパを中心に世界中で,農作物,牧草,樹木,自然植生を対象にした研究に用いられており,日本でもイネのFACE実験が1998年から行われている.大気CO_2濃度の上昇が植物に及ぼす影響については数多くの研究があり,初期の温室や環境制御チャンバーでのポット実験から,近年のオープントップチャンバー等のフィールドチャンバー実験に至っているが,いずれもチャンバー自体が植物の生長を変化させ(チャンバー効果),それがCO_2濃度上昇に対する植物の応答を変化させている可能性がある.これに対してFACEは,チャンバー効果が無い上に,大面積の圃場を高CO_2濃度にできる特長があり,今や実用的な実験手法として確立しつつある.FACE実験の結果は,農作物の収量増加率については従来の実験結果をほぼ支持しているが,さらに収量増加に至る生長プロセスの変化やメカニズム,生態系の変化について,多くの新しい研究成果を生み出しつつある.今後は,FACE実験結果のモデリングへの利用,複数地点でのFACE実験実施と実験結果の比較解析,そして特に発展途上国でのFACE実験の展開が期待される.
著者
酒井 昇 福岡 美香
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

肉や魚を調理する過程においては、加熱されると同時に水分の移動と蒸発、タンパク変性に伴う収縮、さらに呈未成分の変化などが起こり、その過程は極めて複雑であるため、最適な条件を設定することは容易ではない。そこで本研究は、これを支援するために、調理・加工過程で進行する伝熱、それに伴う素材の変化を、定量的に記述するとともに、その結果を、コンピュータを用いて可視化する手法を開発した。具体的な調理としては、ローストビーフおよび焼き魚を取り扱った。ローストビーフ調理においては、反応速度論に基づいて加熱に伴うタンパク質および呈味成分の変化予測と可視化を行った。また、焼き魚過程においては、加熱に伴うタンパク質変性、呈色反応を定量化し、表面温度変化との関係を明らかとした。
著者
酒井 敏 梅谷 和弘 飯澤 功 伊藤 文 小野 耕作 矢島 新 飴村 尚起 森永 修司
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.337-351, 2009-05-31

ヒートアイランド現象など都市の熱環境を観測するための多点観測システムを開発した.都市部での観測では設置場所などの制約が大きく,小型軽量の観測機材が求められる.特に,熱的な応答を調べるために必要な放射計は,従来かなり大掛かりで都市部での観測は困難であった.ここでは,気温測定などのための基本的な温度センサに加えて,これらの放射に関するセンサを含め,市販の安価な部品を使って製作し,従来の熱環境を観測するシステムとほぼ同等の精度を有することを示す.