著者
長瀬 健一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究課題では、再生医療への応用を目的とし、細胞治療に用いる細胞を温度変化のみで分離するインテリジェント型分離基材の設計を行なった。ガラス基板、微細加工基板、マイクロファイバーの表面に温度応答性高分子であるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)を修飾し、37℃で細胞を接着させて20℃で細胞を脱着させる基板表面を作製した。この際、細胞種ごとの接着性の差を大きくする基材設計を行なう事で細胞の分離効率の向上を試みた。
著者
篠田 浩一 村田 奈芳
出版者
北海道農業研究センター
雑誌
北海道農業研究センター研究報告 (ISSN:13478117)
巻号頁・発行日
no.195, pp.13-21, 2011-08

1.北海道農業研究センターで育成したアリウム「札幌1号(ブルーパフューム)」,「札幌2号(スカイパフューム)」 の開花調節法の検討を行った。2. 促成開花には「札幌1号」は定植前に5℃で10~12週(2.5~3か月), 「札幌2号」は5℃で2か月程度の低温処理が必要である。3. 促成栽培で得られた鱗茎(切り下球)を用いて6月から低温処理を行うことにより10月からの開花が可能である。低温処理開始時期や低温処理期間を変えることにより,10月~1月までの連続した出荷が可能となる。4.-2℃で貯蔵した鱗茎を1~9月に定植したところ,いずれの定植日でも開花する個体が認められた。しかし,高温期に定植した場合,開花率や品質の低下がみられた。5. 長日処理には,開花率の向上や開花の促進,花茎の伸長促進等の効果が認められた。
著者
藤尾 圭志
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

特別研究員はまず腫瘍抗原特異的細胞傷害性T細胞モデルを作製した。用いた腫瘍細胞はマウス線維肉種p815にマウスアロ抗原H-2Kbを発現させたp815 Kbである。H-2Kb特異的T細胞レセプター(TCR) aKbのα鎖及びβ鎖をレトロウイルスベクターを用いてDBA2マウスCD8陽性細胞に感染させた。発現の確認出来るb鎖はCD8陽性細胞の50%で発現を認めた。aKb TCR感染CD8陽性細胞はp815Kbに対し強い細胞傷害活性を示し、同時にIFN-gを産生した。p815 Kb接種時にaKb TCR感染CD8陽性細胞を同時に接種することにより腫瘍の拒絶を認め、レトロウイルスベクター系によるTCR遺伝子導入で、生体内でも機能的な抗腫瘍細胞傷害性T細胞を作製できることが確認された。次にマウス皮下に形成されたp815腫瘍に浸潤したT細胞のTCRの回収を試みた。p815腫瘍に浸潤しているCD8陽性細胞ではVβ10陽性細胞が優位に増加しており、腫瘍浸潤T細胞からCD8陽性Vβ10陽性細胞をシングルセルソーティングを行いcDNAを合成し、PCRを用いてTCRα鎖及びβ鎖を回収した。回収したTCRプールから、SSCP法で腫瘍内への集積を確認出来たクローンと同一の配列のTCRb鎖を使用するTCRを選択した。選択したTCRをDBA2マウスCD8陽性細胞に感染させると、感染細胞はp815腫瘍に対し優位な細胞傷害活性を示した.感染細胞は腫瘍保持マウスへの移入により腫瘍への集積を確認した。よって腫瘍浸潤Tリンパ球からSSCP法を用いてTCRを回収し、レトロウイルスベクター系を用いてCD8陽性細胞に導入することにより生体内でも腫瘍特異性を示す、腫瘍特異的細胞傷害性T細胞を作製できることが確認された。
著者
石田 栄美 ISHITA Emi
出版者
名古屋大学附属図書館研究開発室
雑誌
名古屋大学附属図書館研究年報 (ISSN:1348687X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-11, 2012-03-31 (Released:2012-04-18)

Kyushu University established the Department of Library Science at the Graduate School of Integrated Frontier Sciences in April 2011. In the current rapidly changing information environment, we need to provide new models of information process, management and services. Our department offers integrated programs in library and information science, archival study, and records management. The curriculum includes theoretical, methodological, and practical elements. We also collaborate with the University Library and Archives and other related institutions. For example, one active librarian at the University Library is involved with our department as a fulltime lecturer, and other librarians teach students about cutting-edge information services and systems in academic libraries, such as cataloging, e-resource management, institutional repositories, university digital collections, and discovery services. Our department also is sending students to the Library as internship. We believe that this attempt benefits both students and librarians. In the future, the department hopes to get active librarians in other libraries as students and expand exchange with different researchers, students, and librarians.
著者
広川 由子
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.297-309, 2014-09-30

本稿は、占領期日本における英語教育構想を新制中学校の外国語科の成立過程に焦点を当てながら明らかにすることを目的とする。占領初期の米国国務省案は、民主的な教育制度の確立要件として英語教育とその大衆化を掲げた。これがSFEの勧告となり、それをCI&Eが具体化したことによって新制中学校に外国語科が導入された。一方、文部省は導入に消極的な姿勢を示しており、導入を決定づけた英語教育構想は、米国政府から提出されたものだったと指摘できる。
著者
前島 信 仲田 均 田村 要造 安田 久美 鈴木 由紀 佐々田 槙子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

確率論における重要な確率分布である無限分解可能分布の代表的なものに自己分解可能分布がある。それを拡張した新しい概念「α-自己分解可能分布」を提案し、新しい数学的な結果を得ると同時に、そのもとでそれまでの関連する結果を統一的に整理した。その応用の一例として、2次元ガンマ分布は自己分解可能ではないが、それが属するクラスを拡張したクラス群の中から特定した。また、狭義安定分布のレヴィ過程に関する確率積分による特徴づけの完全な証明に成功した。
著者
上田 周太朗
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

フェニックス銀河団は2011年にSouth Pole Telescopeにより発見され、z=0.596に位置する。その後の多波長観測から、この銀河団の中心に位置する銀河の中で、800M・/yrという非常に大きな星形成率を持つことが明らかになった。これほど大きな星形成率を持つ銀河団中心銀河は存在しない。先行研究では、銀河団高温ガスがX線放射により冷え、中心銀河に降着し(cooling flowと呼称)、そのガスが星形成を引き起こしているという主張がなされている。Cooling flowは本来全ての銀河団の中心領域で起きうる現象だが、冷えている途中のガスなどはいまだ未発見で、何らかのメカニズムで抑制されていると考えられていた。もしかするとフェニックス銀河団でのみ、cooling flowが抑制されていない可能性がある。抑制源として考えられているのが、中心銀河に存在する超巨大ブラックホール(SMBH)の活動である。我々は中心銀河に存在するSNBHの観測を通して、フェニックス銀河団の特異性を明らかに知るため、新たにX線観測を行った。高い分光性能とワイドバンド観測が可能なX線天文衛星「すざく」を用いて、我々はフェニックス銀河団の観測を行った。その結果、先行研究では未発見の中性鉄K輝線を初めて検出した。中心銀河の中に存在するSMBHの周囲に中性物質が大量に存在していることを示唆する。またX線スペクトルに強い吸収成分が存在し、埋もれたSMBHであることが判った。中性物質の柱密度と中性鉄K輝線の強度には相関が、SMBHのX線光度と輝線強度には反相関の関係があることが、銀河団に付随しない銀河のX線観測から示唆されている。このフェニックス銀河団の埋もれたSMBHの場合、柱密度と輝線強度には他の銀河と同様の相関を示すが、X線光度と輝線強度の関係は、他の銀河よりも大きい値を持つことが判った。この結果は、銀河団中心銀河と他の銀河で、SMBHの周辺環境が異なっていることを示唆する。その要因の1つがcooling flowかもしれない。これらの結果をまとめ、学術論文として出版した。
著者
小山 哲 小田中 直樹 佐々木 博光 橋本 伸也 長谷川 貴彦 長谷川 まゆ帆
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、日本における「西洋史学」の過去と現在を史学史的な視点から再考すると同時に、「西洋史学」を東アジアに固有の学問領域として捉え直すことによって、国境を越えた研究者間の交流と議論の場を構築することを目的として行なわれた。各年度に研究会を実施したほか、公開シンポジウム、国際会議を主催した(詳細ついては、添付した研究成果報告内容ファイルを参照)。最終的な成果の一部は、『思想』(第1091号、2015年3月)に特集「東アジアの西洋史学」として掲載されている。また、日本と韓国の西洋史研究者の交流の場として「日韓西洋史フォーラム」を組織した。
著者
西本 哲 三村 護 中川 征樹
出版者
神戸医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ファイバー束の性質を知るための方法として特性類を計算することがある.ファイバー束の中で最も重要なのが普遍束であり, その特性類を決定することは構造群の分類空間のコホモロジーを計算することにあたる.それを計算するための道具としてスペクトル系列があり, 今回は例外リー群E_7, E_8の分類空間のmod 3コホモロジーへ収束するスペクトル系列のE_2-項の代数構造を計算した.それから分類空間のコホモロジーと密接に関係している, Weyl群の極大トーラスの分類空間のmod 3コホモロジーへの作用による不変式環をE_7の場合に計算した.
著者
細野 高史
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

半導体デバイスをウェーハから切り出す「ダイシング」に応用することを目標に,レーザ溝加工を検討した.シリコンに形成した溝を評価したところ,腐食液中で加工した場合,空気中や水中での場合より熱により変質した層が少なかった.また低繰り返し・高ピークパワーのレーザと高繰り返し・低ピークパワーのレーザを比較した結果,後者の方が溝幅を小さくできたものの,繰り返し数が大き過ぎると溝周囲が過剰にエッチングされた.このような過剰エッチングは,腐食液の循環により抑制できた.さらに,シリコンばかりでなく4H-SiCについて,強酸化剤を含む溶液中で加工することで効率的に溝加工できることが分かった.
著者
中岡 哲郎
出版者
札幌大学
雑誌
産研論集 (ISSN:09169121)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-9, 1999-09-30
著者
梅津 郁朗 吉田 岳人 稲田 貢 香野 淳
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

シリコンに深い順位を持つ不純物の過飽和ドープすることができれば中間バンドを形成し太陽電池効率を向上させる可能性がある。本研究ではパルスレーザーを用いて結晶性を保ちながら不純物の偏析を抑制する試料作製法の指針を提示した。不純物として硫黄を用い電気的・光学的測定を行った結果、これまでに議論されていたように金属的振る舞いと中赤外光吸収の原因が共に中間バンドによるものであると考えると矛盾が生じることを明らかにした。そこで実験結果をもとに、それらの原因の新たな可能性を指摘した。
著者
竹中 康将
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、高効率触媒反応を利用した非可食性バイオマスから有用なオレフィン系モノマーを高選択的に合成する技術開発を行い、得られるバイオマス由来のオレフィン系モノマーを精密に重合する新規触媒を開拓し、バイオマス度の高い新規バイオベースポリマーを合成する技術の確立を目的とした。本研究の成果として、非可食性バイオマスを原料に用いたバイオマス度の高いバイオベースアクリル樹脂合成を達成し、各種測定機器を用いた物性評価を行うと同時に、β位にアルキル基およびアリール基を有する新規なアクリル樹脂合成を達成し、各種測定機器を用いた物性評価を行った。
著者
網田 健次郎
出版者
新潟県内水面水産試験場
雑誌
新潟県内水面水産試験場調査研究報告 (ISSN:03861643)
巻号頁・発行日
no.21, pp.29-31, 1995

第2極体放出阻止型雌性発生親魚の白無地から再雌性発生魚を作出して、その特性について検討した。1. 第2極体放出阻止型雌性発生子魚の紅白出現率は89.5%で、高率であった。2. 第1卵割阻型子魚は調査尾数がは少ないものの全て赤無地であった。3. 白無地と対照区である赤無地・白無地・紅白との交配では、子魚における紅白の出現率は50%前後であり、また赤無地・白無地の出現率は、それぞれの雄親魚により異なる傾向であった。4. 紅白子魚の平均赤斑量は、極体放出阻止型では26.5%、赤無地雄親魚からでは68.9%、白無地雄親魚では36.4%、紅白雄親魚では25.5%であった。