著者
藤井 勉 上淵 寿
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.263-274, 2010-09
被引用文献数
1 10

本研究は,達成目標理論における暗黙の知能観研究において,顕在的測度(質問紙)と,潜在的測度(Implicit Association Test:IAT)を使用し,顕在・潜在の両側面から,参加者の暗黙の知能観を査定し,課題遂行場面で生じる感情や行動パターンとの関連を検証した。実験1では,IATの再検査信頼性を確認した。同時に,IATは顕在的な測度とは関連がみられないことを示した。実験2では,自己報告の他に,課題遂行中の参加者の表情を他者評定し査定した状態不安と,質問紙およびIATで査定した顕在・潜在的な知能観との関連を検討した。結果は,先行研究からの仮説どおり,顕在的測度と潜在的測度は,関連する対象が異なった。顕在的知能観は,自己評定式の尺度の回答に関連していた一方,潜在的知能観は,他者評定による自発的行動に関連していた。従来の研究で扱われてきた,顕在的測度で査定される意識的な領域のみならず,潜在的測度で査定される無意識的な領域への,更なる研究が必要であることと,潜在的な知能観を意識化するアプローチを用いた介入方法も検討する価値があることを示唆した。
著者
鈴木 聡 森松 博史 江木 盛時 清水 一好 松崎 孝 佐藤 哲文 片山 浩 森田 潔
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.215-220, 2011-04-01 (Released:2011-10-05)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

術後の発作性心房細動の発生は,ICUや病院滞在日数,医療費の増加につながることが報告されており,その管理は重要である。我々は,食道癌術後に難治性の発作性心房細動を合併し,短時間作用型β1選択的遮断薬である塩酸ランジオロールを使用した7例を経験した。症例は51~87歳で,いずれも男性であった。複数の抗不整脈薬が無効であり,塩酸ランジオロール投与を開始した。初期の急速投与は行わず,4.3~33.5μg/kg/minと低用量の範囲で開始し,投与前と投与1時間後の心拍数は平均153[140, 167][95%信頼区間] /minから101[88, 116] /min(P<0.0001)と有意な低下を認めた。平均血圧は88[78, 94] mmHgから82[74, 89] mmHg(P=0.37)と有意な変化を認めず,重症な低血圧に陥る症例もなかった。6例では投与開始24時間以内に洞調律に回復した。複数の抗不整脈薬に抵抗性の食道癌術後発作性心房細動に対する低用量の塩酸ランジオロール投与は,大きな血圧の低下なく心拍数の安定をもたらした。
著者
原 信之 大田 満夫 古川 次男 吉田 猛朗 井口 潔
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.441-448, 1982-09-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
14
被引用文献数
2

127例の肺癌手術例を対象にして術後呼吸困難に及ぼす術前術後因子を検討した.肺葉切除104例中42%は術後呼吸困難がなく, 49%は軽度, 8%は中等度, 1%は重症であった.全肺摘除23例では, 軽度48%, 中等度35%, 重症17%であった.術後の呼吸困難の程度は, 術式, 術後肺機能, 気道感染の有無に強く影響された.全肺摘除患者に運動負荷試験を行ったが, いつれの症例も運動能力の低下があり, 軽度の負荷に対しても換気量, 酸素消費量, 心拍数は著明に増加した.
著者
空海 著
出版者
永田調兵衛
巻号頁・発行日
vol.1, 1900
著者
西村 睦 古牧 政雄
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

重水素透過誘起元素生成反応で用いられてきた複合膜の重水素透過特性を明らかにした。ガス透過法で、圧力が高いほど生成物の収率が向上することを明らかにした。電気化学的に重水素透過した試料をSIMSおよびICP-MS法で分析し、133Csから質量数139,140,141,142の物質への変換を示唆する結果が得られた。またWをイオン注入した複合膜においては、質量数190の物質への変換を示唆する結果が得られた。

1 0 0 0 OA 東洋養蚕新論

著者
新妻清吉 著
出版者
東京府養蚕改良五川社
巻号頁・発行日
1896
著者
小野 浩一 河野 友香 荒川 美樹
出版者
駒澤大学文学部心理学科
雑誌
駒澤大学心理学論集 : KARP (ISSN:13493728)
巻号頁・発行日
no.2, pp.131-138, 2000-03

個体が,いくつかのカテゴリからなる行動を繰り返し自発するとき,それらの行動は一連の行動連鎖を形成する。その行動連鎖のあるものは不規則的なものであり,またあるものは,規則的で定型的な連鎖パターンを示す。行動連鎖パターンは,個体が他個体と相互に交流するような場面においても出現する。このような行動連鎖パターンの特性を記述する一つの方法に系列分析(sequential analysis; Bakeman and Gottman,1986,1997)がある。本稿では,系列分析の考え方と方法を簡単に述べた後,それを2者間のジャンケン・ゲームに応用してその有効性を確認した実験結果を紹介する。
著者
守田 万寿夫
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器集団検診学会雑誌 (ISSN:13454110)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.11-19, 2002-01-15 (Released:2012-12-11)
参考文献数
14
被引用文献数
1

富山県内で実施される職域検診受診者を対象に, X線, PG同時併用による胃がん検診を実施した。X線は間接または直接造影法で実施した。PGはIRMA法にて測定し, スクリーニング基準をPGI≦70ng/mlかつPGI/PG II比≦3.0とした。X線またはPGで要精検とされた者全てに精検を勧奨した。対象者5,567名中過去3年間の胃がん検診受診割合は88.5%であった。要精検率はX線11.7%, PG23.6%, X線またはPG31.9%, 精検受診率はX線, PGともに要精検63.3%, X線のみ要精検55.4%, PGのみ要精検51.9%であった。発見胃がん症例数は10名であり, 3名はX線PGともに要精検, 7名はPGのみ要精検であった。早期がんは9名, 進行がんは1名であった。陽性反応適中度はX線0.8%, PG1.4%, 胃がん発見率はX線0.05%, PGO.18%であった。
著者
瀬川 昂生 岡村 正造 大橋 信治 小林 世美
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器集団検診学会雑誌 (ISSN:13454110)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.415-419, 2003-07-15 (Released:2012-12-11)
参考文献数
3

愛知県健康づくり振興事業団の平成3年から12年までの10年間の間接撮影による胃がん検診の成績に基づいて, その適正な要精検率について検討を行った。その結果, 要精検率が高くなるとともに胃がんの発見率および早期胃がんの比率が高くなっていたが, 胃がん発見率が0.07~0.09%であった年の要精検率を比較すると, 8.6~12%の間にあり, 要精検率を多くしてもがんの発見率の伸び率は高くなく, 全国集計の要精検率である10%代は一つの目安であると考えられた。今後は撮影技術および読影技術を高めてさらに要精検率を低くして, 的中率を上げる努力が必要であると考える。
著者
竹内 めぐみ 島宗 理 橋本 俊顕
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.41-50, 2005
被引用文献数
1 2

本研究では、自閉性障害のある小学校2年生の男子が家庭で自立課題に取り組めるように、大学の訓練室でワークシステムを用いた指導を行った。対象児の家庭環境と既存レパートリーのアセスメントから、6種類の課題と課題終了時の強化子を選択した。課題遂行行動を引き出すために有効で、かつ家庭に導入可能と考えられるワークシステムを訓練室に設定して訓練した後、家庭場面での課題学習を開始した。自立した課題遂行は家庭でも維持され、ワークシステムという単位で環境を設定することが、般化の促進につながることが示唆された。
著者
平澤 洋一
出版者
情報文化学会
雑誌
情報文化学会誌 (ISSN:13406531)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.17-26, 1997-09

文化の発達につれて民族は色彩基本語の数を増やしていき, 文化度と主要色彩語との間には高い相関性がある, とバーリン・ケイはいう。また, このような普遍論には相対論からの反論が出され, 論争を繰り返してきた。本稿では, 文献調査と実態調査をもとに, 意味論の立場から外界と認知と意味領域の問題を再検討し, 普遍論では説明のつかない言語事実を提示した。そして, 日本語の色彩系列では「青」が鍵になることをつきとめた。
著者
平澤 洋一
出版者
情報文化学会
雑誌
情報文化学会誌 = Journal of the Japan Information-culture Society (ISSN:13406531)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.17-26, 1997-09
参考文献数
6

文化の発達につれて民族は色彩基本語の数を増やしていき, 文化度と主要色彩語との間には高い相関性がある, とバーリン・ケイはいう。また, このような普遍論には相対論からの反論が出され, 論争を繰り返してきた。本稿では, 文献調査と実態調査をもとに, 意味論の立場から外界と認知と意味領域の問題を再検討し, 普遍論では説明のつかない言語事実を提示した。そして, 日本語の色彩系列では「青」が鍵になることをつきとめた。