著者
齊藤 隆志
出版者
東日本国際大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2001

本研究の目的はスポーツイベント経営を成功させるマーケティング要因を明らかにすることである。平成12年度では、いくつかの要因なかでもプロダクト要因が重要であり、そのプロダクトの質の向上を戦略的に目指していくプロデュースが最も重要な戦略であることが理論的に導かれた。スポーツプロデュース論において、人々のスポーツとの関わりは、本人が主体的に価値創造していく人間的成長の過程と考えられ、その手法は地域内で自発的発信される情報をコントロールすることであることがわかった。13年度はプロデュース論をさらに深め、スポーツに対し受動的な関わりと捉えられがちな、みるスポーツにおいても人々が主体的な関わりを目指したプロデュース論を展開し実証することをねらった。加えて成功しているプロスポーツチームの経営が地域密着を目指していることに着目し、地域住民がみるスポーツとしてプロスポーツを観戦する場合を念頭に置いて考察した。結果、観戦者は、スポーツ観戦を通じて、JリーグやIOCといったスポーツ組織が考えるスポーツ価値とは別に、観戦によって独自の意味解釈をし、主体的に彼らなりに価値づけていることがわかった。しかもそれは、社会的に認められる善良な価値ばかりでなく、大衆的価値である場合が多い。それは日常生活とつながりのある自分なりの解釈を行うということであり、自分なりの価値を見いだすことで主体性の感覚や自尊心を確立していると理解できる。一方、マーケターが経営活動を正当化するために主張するマーケター側の価値(Jリーグ百年構想やオリンピック運動)と、観戦者が主体的に意味解釈する価値とのギャップ構造を説明し、政治的にどのように施策を考えればよいかを議論しなければならなくなった。この関わりを促すためのプロデュースとは、地域内の情報流通を促し、その情報の質を上げるためのサポートに主眼を置かれるべきだと結論づけられる。
著者
渡辺 秀樹 大森 文子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

英語の動物名で人間比喩義を持つものを類ごとに全て収集・リスト化し、イヌ科、ネコ、鳥類、昆虫の人間比喩用法、代表的詩人の動物名使用の特徴について研究論文を発表した。本研究では動物名の縁語も含めて人間比喩用法における動物名の類義・対義のグループや複雑な構造性を明らかにしたが、このメタファーの構造性の提示が本研究の成果であり学界でも注目された。その成果は既に日本英語学会全国大会シンポジウム「これからのコロケーション研究」の講師として口頭発表し、今後『英語動物名メタファーの構造と歴史』(仮題)という学術書に記す。
著者
米元 聡 有田 大作 谷口 倫一郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.409-416, 2000-03-20
被引用文献数
18 1

A realtime marker-less motion-capture system is described that can easily and seamlessly map objects in the real world into a virtual environment. In general, virtual environment applications, such as man-machine seamless interaction, require the system to estimate the motion parameters for natural objects such as human bodies in realtime. To achieve this, the developed motion-capture system achieves multiple-camera fusion and reconstructs the parameters for complete humanbody motion using real-time inverse kinematics. Implementation of this system demonstrated its ability to work in realtime and online on a pc-cluster.
著者
細谷 孝博
出版者
星薬科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

Pokemon(POK erythroid myeloid ontogenic factor;LRF,FBI1,ZBTB7A)は、転写抑制因子で、肺がん細胞における過剰発現が、発がんまたはがんの維持に関与していること報告された。このPokemonによるシグナル伝達を阻害することが、がん治療薬につながると考えられており、本研究では、天然資源よりシグナル伝達阻害剤を得るための評価系の構築、天然資源のスクリーニングを行なった。本期間において、細胞を用いた評価系の構築とスクリーニングが終了した。
著者
土屋 紀子 後藤 勝正
出版者
豊橋創造大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

地域健康女性の尿失禁は、わが国においてほぼ30%前後の発症率からの改善策必至で尿失禁予防の効果的セルフケアの探究を尿失禁者35(平均年齢63.6歳)に運動手法評価で実施した結果:ダンベルとJOBA選択者に禁制効果を得た。質的研究手法では、尿失禁の開放感と仲間との連帯感、それとヘルスプロモーションの具体的学習コーチングによりセルフケアの向上にむすびついたことが抽出された。
著者
立花 吉茂
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.409-416, 1976
被引用文献数
2

1. ムクゲの54栄養系の花型を調査し, その外部形態から次の3群•9型に分類した.<br>I. 一重咲群 (25系統)<br>I-a 細弁型 (7系統)<br>I-b 中弁型 (13系統)<br>I-c 広弁型 (5系統)<br>II. 半八重咲群 (20系統)<br>II-a 祇園守型 (ぎおんまもり) (4系統)<br>II-b 花笠型 (はながさ) (7系統)<br>II-c バラ型 (9系統)<br>III. 八重咲群 (9系統)<br>III-a 乱れ咲型 (みだれ) (2系統)<br>III-b 菊咲型 (きく) (3系統)<br>III-c ポンポン咲型 (4系統)<br>2. 一重咲群は, つねに基本数 (5) の花弁の花を持つもの9系統, 5ないし6枚の花弁の花を持つもの12系統, 8ないし11枚の花弁の花を持つもの4系統からなる. 花弁数が, 基本数の2倍に達しても, 同じ大きさの花弁が一列に並ぶため外観上は一重咲である. この群の花の大きさはもつとも変異に富み, 直径7.6cmから13.3cmまで連続した (第1表, 第1,2,3および6図).<br>3. 半八重咲の花は, 内弁が外弁よりも小さいものである. 内弁が小さく, 数の少ないものをII-a (祇園守型), 内弁数の多いものをII-b (花笠型) とした. II-c(バラ型) は, 内弁がやや大きく, 雌ずいの弁化が加わつている系統もあつた. II-aは一重咲同様にねん性があり, II-bはあまり結実を見ず, II-cはまつたく不ねん性で結実しない (第2表, 第4,5図).<br>4. 八重咲群の花は, 外弁と内弁がほぼ同じ大きさのものである. III-a (乱れ咲型) は, 花柱の弁化した花が全体の約1/3を占め, III-b (菊咲型) は, 花弁が小さくて, 多少規則的に配列し, 花柱の弁化した花は全体の1/2~2/3に達した. III-c (ポンポン咲型) は, 小球形で花弁はもつとも小さいが, 花弁数はもつとも多く, 花柱の弁化はすべての花に及んだ. III-c型のいくつかの系統には貫生花が存在し, これらの花は70枚以上の花弁数があつた (第3表, 第7,8図).
著者
臼井 健 中内 清秀 北辻 佳憲 横田 英俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.75, pp.81-86, 2011-05-26
被引用文献数
1

3G、WiMAXやWiFiホットスポット等の異種無線アクセス環境が整う中で、定期的な位置の登録やストリーミング配信等端末に対して継続的な通信を要求するサービスが増えつつある。そのようなモバイルネットワークで、サービスの大規模化や大容量化、高可用性、継続性を確保するために、従来の技術のように端末に対して水平・垂直ハンドオーバを適用することや固定的なサーバ・クライアントモデルを適用することだけでは限界がある。そこで筆者らは、新世代ネットワークにおいて端末の移動に加えて、端末に対するサービス提供側の処理の移動まで含めたトータルなモビリティである「サービスモビリティ」を実現する新しい通信アーキテクチャを提案する。本稿では、上記の「サービスモビリティ」のコンセプト、技術要件、アーキテクチャの設計、要素技術の実装方針を示す。
著者
内海 敦子 JUKES Anthony LESTARI Sri Budi PAAT Hendrik
出版者
明星大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

最終的な遂行後の文章私の研究題目は「インドネシア国スラウェシ島の絶滅危機言語の多面的記述と言語データのアーカイブ化」で、平成23年度から平成26年度の四年間にわたって以下の三つの活動を行った。第一に会話やナラティブ・スピーチなどの自然言語、及び芸能や儀式など文化活動の映像・音声データを採集しアーカイブ化することで、同時に申請者の研究成果を英語で出版する。第二に現地および他国の研究者と共同でそれらの言語の記述を進め、大量のデータを活かした言語の多様な側面の分析を行うこと。第三に民族語からインドネシア語マナド方言への言語シフトと言語態度に関する社会言語学的調査を行うことである。
著者
福岡 安則 黒坂 愛衣
出版者
埼玉大学大学院文化科学研究科
雑誌
日本アジア研究 : 埼玉大学大学院文化科学研究科博士後期課程紀要 (ISSN:13490028)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.231-260, 2013

小牧義美(こまき・よしみ)さんは,1930(昭和5)年,兵庫県生まれ。1948(昭和23)年3月,宮崎県から星塚敬愛園に収容。1951(昭和26)年,大阪へ働きに出ることを夢見つつ,長島愛生園に移る。病状が悪化し,社会復帰を断念して,1959(昭和34)年,敬愛園に戻る。その後,1962(昭和37)年から1968(昭和43)年まで,熊本の待労院での6年間の生活も経験。1987(昭和62)年から1990(平成2)年には,多磨全生園内の全患協本部に中央執行委員として詰めた。そして,2003(平成15)年にはじめて中国の回復者村を訪問,2005(平成17)年から2007(平成19)年の2年間は,中国に住み着いてハンセン病回復者の支援に打ち込んだ。2008(平成20)年8月の聞き取り時点で77歳。聞き手は福岡安則,黒坂愛衣,下西名央。2010(平成22)年5月,お部屋をお訪ねして,原稿の確認をさせていただいた。そのときの補充の語りは,注に記載するほか,本文中には〈 〉で示す。 小牧義美さんの語りで,あらためて「癩/らい予防法」体制のおぞましさを再認識させられたのが,自分以外のきょうだい,兄1人と妹2人も,おそらくはハンセン病患者ではなかったにもかかわらず,ハンセン病療養所に「入所」しているという事実である。兄は,病気の自分と間違えられて,仕事を失い,行きどころがなくなって,良心的な医師の配慮で「一時救護」の名目で,敬愛園への入所を認められている。上の妹は,義美さんに続いて母親も病気のために入所して,父親は疾うに亡くなっており,社会のなかに居場所もなく,「足がふらついてる」ことでもって,おそらくは「ハンセン病患者」として入所が認められたのだろう。そして,入所者と園内で結婚。下の妹は,敬愛園付属のいわゆる「未感染児童保育所」に預けられたが,中学をおえても行き場所がなく,「おふくろの陰に隠れて敬愛園で暮らしておった」が,やはり,入所者と結婚,という人生経路をたどっている。――義美さんは,きょうだいがハンセン病でもないのに「ハンセン病療養所」の世話になったことに,一言,「恥ずかしい話だけど」という言葉を発しているが,わたしたちには,「癩/らい予防法」体制こそが,義美さんのきょうだいから,社会での生活のチャンスを奪ったのだと思われる。 もうひとつ,小牧義美さんの語りで感動的なのは,当初は,桂林の川下りを楽しむために中国に行っただけと言いながら,いったん,中国の「回復者村」の人びとと出会い,後遺症のケアがなにもされないまま放置されている現実を目にして以降,日本政府からの「補償金」を注ぎ込んで,中国のハンセン病回復者とその子どもたちのための献身的な支援活動に没頭した小牧さんの生きざまであろう。
著者
中井 宏
出版者
神戸大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

自動車運転技能については、経験が長いはずの高齢ドライバーほど不安全な運転を行っていることが明らかとなった。40歳代から運転技能の低下傾向が示され、高齢ドライバーの交通事故防止には、中年期からの対策が必要と言える。また民間バス会社の事故記録を分析したところ、経験年数が3年以内の乗務員が全体の事故の約40%を占めることから、経験の短い乗務員に対する対策が重要であることが示された。船舶操船者の技能については、乗船中の感情傾向を自己理解のための教材と、ストレッサーに対するコーピング例を示したリストを作成した。
著者
岡村 真吾 寺西 裕一 秋山 豊和 馬場 健一 中野 博隆
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. DPS,マルチメディア通信と分散処理研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.126, pp.67-72, 2006-03-16
参考文献数
3
被引用文献数
4

大阪大学では、多くの学内システムを統合的かつ安全に機能させるため、全学にわたる公開鍵認証基盤(キャンパスPKI)を構築する計画を進めている。公開鍵暗号を用いた認証を行なうことで、パスワードによる認証において問題となるパスワード解読の脅威に対する耐性を高めることができる。キャンパスPKIを構築するにあたり、ユーザ公開鍵・秘密鍵の管理方法や認証局の運用形態といったPKIの運用方法や、Webシングルサインオンや計算機ログイン認証といったPKIを利用したアプリケーションについての検討を行った。本稿では、それらの検討内容や構築中のキャンパスPKIの構成について述べる。
著者
朴 美貞
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

「朝鮮博覧会(1929)」を契機に日本国内における「文化住宅」の朝鮮への受容と展開、京城の都市計画を中心に異文化統合に至る「植民地都市」の特質を解明した。植民地研究における非文字資料に関する史料的価値を見出し、コレクターや研究者を中心とする共同研究会を主宰した。これによりコレクターと研究者の間の乖離を把握し、相互の協力体制を整えながら非文字資料に関する評価と活用に関する将来的・総合的視点について調査・検討を行った。