著者
佐藤 久長 西田 匡志 柏木 悠 櫻井 光昭 青木 隆志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.1-11, 2021 (Released:2021-01-20)
参考文献数
32
被引用文献数
2 1

脳機能データの分析から聴覚情報による認知効果の向上が確認され,トンネル内におけるスピーカーを用いた音声による注意喚起システムが開発された.今回,このシステムを用いて従来視覚情報で行っていた渋滞時の速度回復情報提供を,国内で初めてスピーカーを用いた音声案内で実施した.本研究では,システムの概要と小仏トンネルへの適用方法を示すと共に,車両感知器によるデータとETC2.0プローブデータによる走行履歴データを用いて音声情報の有無による効果を検証した.その結果,例えば音声情報が有ることによりボトルネックの渋滞発生時交通量が約8%増加し,渋滞中の平均速度が約10%高くなることや,渋滞発生確率が低下すること等を明らかにした.また音声案内によるボトルネック付近の速度上昇効果が上流側にも及んでいることが推察された.
著者
青木 隆浩
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.197, pp.321-361, 2016-02-29

本稿では,明治時代から1980年代までの長期にわたり,日本における美容観の変遷とその原因をおもに化粧品産業の動向から明らかにしたものである。そのおもな論点は,明治時代以降の美容観が欧米化の影響を受けながらも,実際に変化するには長い時間がかかっており,欧米化が進んだ後でも揺り戻しがあって,日本独自の美容観が形成されたということであった。まず,明治時代といえば,白粉による白塗りと化粧品の工業製品化による一般家庭への普及がイメージされるが,実際には石鹸や化粧水,クリームといった基礎化粧の方がまず発達していったのであり,メイク方法は白粉をさらっと薄く伸ばす程度のシンプルなものだった。口紅やアイメイクに対する抵抗感は,現在から考えられないほど強かったため,欧米の美容観はなかなか受容されなかった。1930年代に入ってから,クリームや歯磨,香油などの出荷額が伸びていくが,第二次世界大戦による節制と物品税の大増税によって,すぐに化粧をしない時代に戻っていった。その後,1960年前後までの日本の女性は,クリームや化粧水による基礎化粧はするものの,メイクはほとんどしなかった。欧米型のメイク方法は,1959(昭和34)年におけるマックスファクターの「ローマンピンク」キャンペーンと1960(昭和35)年におけるカラーテレビの放送開始を契機として,普及し始めたと考えてよい。とくに1966(昭和41)年からそのキャンペーンにハーフモデルを起用して成功を収めたことが,ハーフモデルの日焼けした肌と大きな目に憧れる結果となって,欧米型のメイクが普及する大きな要因となった。ところが,1970年代の初めにハーフモデルを起用した日焼けの提唱がいったん終わり,その後,日本の美が見直されていくことになる。さらに,1980年代に入ると自然派志向やソフト志向が顕著となり,その中でアイドルタレントが化粧品のプロモーションに起用されるようになると,日本独自の自然でソフトな女性像,つまり1980年代の「かわいらしさ」のイメージが形成されていった。
著者
古澤 明 青木 隆朗 高橋 浩之
出版者
東京大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2018-04-23

2次元大規模連続量クラスター状態生成のための要素技術開発として、広帯域スクイーズド光4本の同時生成法確立、スクイーズド光の相対位相ロック法の開発、スクイーズド光の相対位相ロックのデジタル制御系構築を行った。広帯域スクイーズド光4本の同時生成法確立としては、100MHzスクイーズ帯域の光パラメトリック発振器を4台作製した。これらをひとつのポンプ光で同時に駆動し、それぞれ6dB以上のスクイーズド光の観測に成功した。スクイーズド光の相対位相ロック法の開発として、新規ロック法を開発した。従来のスクイーズド光相対位相ロック法は、光パラメトリック発振器それぞれに導入しているプローブ光に変調を掛け、そのビート信号からロックのためのエラー信号を得るため、高い信号/雑音比を得るのが困難であった。そのため、ロックの安定性がそれほど高くなかった。しかし、スクイーズド光4本を複雑な干渉計において、その相対位相を安定してロックするためには、従来の方法では困難であることが予想された。そのため、新規スクイーズド光相対位相ロック法として、プローブ光に変調を掛けるのではなく、周波数をシフトすることによりヘテロダイン信号として読み出す方法を開発した。これにより劇的に信号/雑音比が改善し、安定してスクイーズド光の相対位相をロックできるようになった。スクイーズド光の相対位相ロックのデジタル制御系構築としては、新たにフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を導入し構築を行った。アダプティブヘテロダイン測定のための補助状態生成技術開発として、超伝導光子数識別器作製のためのスパッタリング装置調達とその立ち上げ、共振器QED系の立ち上げを行った。
著者
青木 隆浩
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.425-446, 2000-10-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
99
被引用文献数
1

The aim of this paper is to examine how the association of sake brewers ("syuzo-kumiai") was organized and expanded in modern Saitama. The trade association was an organization principally involved in the production and sale of sake. Research related to this field in Japan has focused on, first, how trade associations were established, although a cartel was banned by the Government at the beginning of modern era; second, why they increased in number; and, third, what were their main functions?A new entry into a cartel had been prohibited by the Shogunate until the end of the Edo era. The liberalization of business brought about a sudden increase in the number of sake brewers. Small newly-established sake brewers often attempted to evade liquor tax and to ensure bargain sales which caused confusion in the market. Meanwhile, large and medium-sized sake brewers organized the association of sake brewers ("syuzo-kumiai") in 1875 to stabilize the market and restore order. However, the association of sake brewers did not perform well in Saitama Prefecture.The association grew into a nationwide organization to oppose a proposed tax increase in the 1880s. Although the campaign was initially supported by the opposition parties "Jiyu-to" and "Kaisin-to", the former agreed to the necessity of a tax increase in 1896. As a result, the liquor tax was increased substantially in 1898, 1900, and 1902, respectively. The association of sake brewers ("syuzo-kumiai") was obliged to halt its campaign since it had lost its raison d'être.The price rise due to the tax increase reduced the demand for sake and resulted in strong competition within the industry. The sake brewers thus had to improve quality to overcome competition. Some members of the association of sake brewers established a brewing research laboratory, and held annual meetings to evaluate the quality of sake. The sake brewers who assiduously improved quality differed from those who had objected to the tax increase. The aims and achievements of each member of the association of sake brewers thus became quite diverse.
著者
村瀬 善彰 田中 和彦 村上 典央 平尾 純子 加藤 忠幸 青木 隆明 糸数 万正
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第23回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.O045, 2007 (Released:2007-11-02)

【はじめに】 線維筋痛症あるいは線維筋痛症候群(fibromyalgia syndrome:以下、FMS)は、長時間持続する全身の結合織の慢性疼痛やびまん性疼痛、こわばり、疲労感を主訴とし、他覚症状として特徴的な圧痛点を有する疾患である。その他、しびれ感、頭痛などの精神神経症状もかなりの頻度でみられる。このような関節リウマチ様の全身症状を呈するため多くの患者がリウマチ専門医を受診するが、器質的障害の存在を裏付ける明確な臨床所見を認めず、多彩な不定愁訴を呈するため、別名「心因性リウマチ」ともいわれている。FMSは日本ではなじみの薄い疾患であるが、欧米では比較的頻度の高い疾患であり、一般人口の2%にみられるとの報告もある。40~50歳前後の壮年期~更年期の女性に多く(約85~90%は女性)認められ、原因の詳細不明な疾患であるため効果的な治療法に乏しい。そのため、薬物療法以外にも様々な治療が試みられているのが現状である。 今回われわれは、このような疾患に対して理学療法を行い、痛みとQOLの評価を用いて理学療法アプローチの必要性について検討したので、文献的考察をふまえ報告する。 【方法】 当院整形外科外来患者のうちリウマチ専門医により、FMSと診断され経時的評価が可能であった女性7例(平均年齢49.4歳)を対象とし、身体ストレス緩和のためのリラクゼーションを目的とした環境作りの提案や生活指導及び拘縮予防や除痛を目的とした運動療法を行った。FMSは他覚的所見として全身の各部位に18ヶ所の圧痛点が存在するのが大きな特徴であるため、その圧痛点の変化とVAS(Visual Analogue Scale)を用いた痛みの評価を行った。QOL評価にはMedical Outcome Study Short-Form8Item Health Survey(以下、SF-8)を評価ツールとして使用し、理学療法施行前後及びその後の経過観察において各々評価を行った。 【結果】 全例において多彩な不定愁訴に加え、両側性筋痛症状が認められ、疼痛の評価から何らかの改善が得られたのは7例中6例であった。また、SF-8においては国民標準値を下回っている症例を認めたが、評価カテゴリーによって改善傾向を示す結果であった。 【考察】 今回の結果から、理学療法による一定の傾向を示すことは困難であったが、環境改善についての生活指導や運動療法の介入によって、身体及び精神環境の面において何らかの改善が得られることが示唆された。FMSは日本以外の先進国の常識であり、症状が多彩であるがゆえに必然的に、原因不明、経過観察という説明のもと、診断、治療を受けられずに医療機関を転々としながら長い経過をたどっていることが予測されることからも、今後さらなる調査を継続して行い、理学療法の立場から長期的に検討していくことが必要と思われた。
著者
青木 隆浩 小池 淳一
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は,異業種間における職人技術の関係を解明することを目的としている。一般に,職人の技術は他社のみならず,同僚に対してもしばしば秘匿とされている。そのため,同じ業界であっても,製造技術は多様である。一方で,変え難い伝統的な技術が存在する。その技術が消滅する原因は,原材料が入手困難になることや,関連業者が淘汰されることなど,外的な要因による。そして,それらを通じて,職人の技術は大きく変化すると考えられる。
著者
青木 隆浩
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.83-99, 1997-05-31 (Released:2017-05-19)

本稿では, 埼玉県の酒造家を系譜の出身地別にまとめ, その経営方法の違いとそれに伴う盛衰の状況について比較考察した. その結果, 近江商人, 越後出身者, 地元出身者の家組織には大きな違いがあり, この組織力の差が, 明治以降のそれぞれの盛衰に関わっていることがわかった. 埼玉県に出店した近江商人は酒造家の約9割が日野屋と十一屋で占められている. 日野屋が本家中心の同族団を, 十一屋が同郷での人間関係によるグループを形成しており, 最も強い組織力をもち, 戦後まで安定経営を続けてきた. 越後出身者は, 分家別家を数多く独立させたが, 明治期に同族団が崩壊し, 1軒あたりの生産量が増えるにつれグループ内での競争が激化し, 多くの転廃業をだした. 中には, 大石屋のように商圏が重ならないように離れて立地したことにより安定した市場を確保し, 戦後まで繁栄した例もみられた. これらに対し, 地元埼玉出身者は分家別家, 親類の酒造家が少なく, 単独経営で家組織が脆弱だったため, 戦前までに多くが転廃業をすることとなった. また, 販売網と市場にも系譜の出身地別に大きな違いがあった. 近江商人は主要街道沿いでかつ江戸出荷に便利な河川沿いに支店網を築いた. しかし, 19世紀中頃から江戸市場における地廻り酒のシェアが低下すると, 近江商人は地方市場へ販売先を切り替えていった. これにより, 従来から地元販売を主としてきた地元出身の酒造家は競争に破れ, 衰退していった.
著者
青木 隆浩
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.659-673, 1998-10-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
38

Generally, most sake breweries were established by local people. But in case of present day sake breweries in Saitama prefecture, more than half were established by brewers from Echigo and Ohmi, while a few were established by brewers from Saitama. One reason for this is that brewers from Echigo and Ohmi extended markets by establishing many branch houses, on the other hand, brewers from Saitama were conservative. Then, the sake brewers had to produce more delicious sake to meet demand. They need well water which contains little Fe and Mn, good quality rice, and excellent brewing technology to make delicious sake. The well water quality and the brewing technology together with the organization and the market were closely related with the rise and fall of sake brewers. In this paper, differences of well water quality and brewing technology of breweries are analyzed.As a result, the successful brewers established breweries where there was good quality well water, and they had excellent technologies. The typical brewers were from Echigo and Ohmi. While brewers from Saitama operated in the eastern part of Saitama where they pumped well water that was unsuitable for brewing. Because there was very little competition among brewers in eastern Saitama, brewers from Saitama could continue to operate breweries.Brewers from Echigo and Ohmi also used bought-in rice for brewing. Brewers from Echigo especially had excellent techniques to produce high-quality sake in eastern Japan. Brewers from Ohmi lagged behind brewers from Echigo on technical innovation. Conversely, most brewers from Saitama depended on tenant rices as well as traditional technologies. They were defeated in competition over quality and disappeared.But the quality improvements of brewers from Echigo and Ohmi had not gained competitive power in the Tokyo market. There was a price gap between Saitama sake and national brands, and Saitama sake was helped by selling at lower prices. As a result, brewers from Echigo tried to sell within Saitama, and brewers from Ohmi changed their sales outlet from Tokyo to Saitama. Brewers from Saitama who lost sales outlets, sold sake at bargain prices in Tokyo, and this caused a declining general popularity of Saitama sake in Tokyo.
著者
青木 隆治
出版者
日本食品衛生協会
雑誌
食品衛生研究 (ISSN:05598974)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.13-17, 2007-09
被引用文献数
2
著者
矢野 賢一 大原 瑛一 堀畑 聡 青木 隆明 西本 裕
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.638-645, 2009 (Released:2011-11-03)
参考文献数
9
被引用文献数
5 9

A robot that supports independent living by assisting with eating and other activities which use the operator's own hand would be helpful for people suffering from tremors of the hand or any other body part. The proposed system using adaptive filter estimates tremor frequencies with a time-varying property and individual differences online. In this study, the estimated frequency is used to adjusting the tremor suppression filter which insulates the voluntary motion signal from the sensor signal containing tremor components. These system are integrated into the control system of the Meal-Assist Robot. As a result, the developed system makes it possible for the person with a tremor to manipulate the supporting robot without causing operability to deteriorate and without hazards due to improper operation.
著者
宇田 暢秀 久能 和夫 小野 幸生 青木 隆平
出版者
九州大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

炭素繊維強化樹脂(CFRP)を用いた水素貯蔵用高圧タンクの研究が国内外で進められているが、CFRP積層板の層間強度が低いために、き裂が発生すると水素漏れを引き起こすことが懸念されている。そこで、CFRP積層板の層間にカーボンナノチューブ(CNT)のような優れた力学的特性を有するナノ材料を分散させたナノ複合材料が開発できれば、これまでにない高破壊靭性複合材料となる可能性があり、水素貯蔵タンクの外板へ適用できる。しかしながら、CNTは樹脂との接着の弱さや樹脂中に均質に分散されないという問題がある。分散の問題については、製造時にCNTがお互いに絡まりあい、樹脂中で凝集したままの状態で存在してしまうことが原因の1つに上げられる。本研究では、分散性を向上させるために超音波を用いて多層カーボンナノチューブ(MWCNT)を切断し、複合材料を製作した。引張試験、摩耗試験を行い、製作した複合材料の力学的特性を評価した。超音波処理したMWCNTのSEM画像から、超音波処理を行うことでMWCNTが切断され、大きな凝集がなくなったことが確認できた。試験片として、(1)エポキシ樹脂試験片、(2)超音波処理をしていないMWCNTをエポキシ樹脂に混ぜた試験片(MWCNT/epoxy)、(3)超音波処理したMWCNTをエポキシ樹脂に混ぜた試験片(超音波MWCNT/epoxy)の3種類を製作した。MWCNTの含有量は1重量パーセントとした。引張試験の結果から、MWCNT/epoxyおよび超音波MWCNT/epoxyのヤング率は、エポキシ樹脂単体よりもそれぞれ10%と2%向上した。一方、MWCNT/epoxyの引張強度はエポキシ樹脂よりも12%低下し、超音波MWCNT/epoxyでは3%増加した。ヤング率の向上はMWCNTを含有させた効果と考えることができる。超音波MWCNT/epoxyのヤング率がMWCNT/epoxyよりもかなり低くなっている原因としては、CNTの分散が促進されたことと、ボイド率が増加したことの2点が上げられる。また、MWCNT/epoxyではCNTが凝集したままになっており、引張強度は大きく低下している。超音波処理したMWCNTをエポキシ樹脂に混ぜると樹脂の粘性が上がり、ボイドの除去が大変難しくなるという問題が発生した。摩耗試験では、超音波MWCNT/epoxyの比摩耗量がエポキシ樹脂に比較して11%低下しており、CNTの含有と分散性の向上による効果と考えられる。
著者
伊丹 琢 藪名香 俊人 家喜 湧大 矢野 賢一 山本 亮 小林 安之 篠田 信之 青木 隆明 西本 裕
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.856, pp.17-00291-17-00291, 2017 (Released:2017-12-25)
参考文献数
15

We previously proposeda power assist robot and conductedexperiments for cervical cord injury(CCI) patients. This paper proposed a new type of robot orthosis by making of their residual function around their shoulder in order to operate the wheelchair. A lock/unlock mechanism on the elbow joint is effectively used to transmit the residual function around the shoulder to the hand. We confirmedthat three patients with CCI could use their residual functionaround their shoulderand operate a wheelchair effectively in outdoor environment like high resistance roads and roads with a slope by measuring velocity of the wheelchair and electromyography of his shoulder muscle.
著者
青木 隆明
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.92-94, 2020-04-01 (Released:2021-04-15)

多くの先人の先生方が下肢装具について研究され,簡単なものからロボットなどに至る複雑なものまで様々存在する.その中で,ごく日常の診療でよく使用される装具で,処方後気になったことや,不思議に思ったことについて検討した.それぞれの装具には長所と短所があり,各患者の適正にあったものを選ぶことが大切である.各患者によって適正を判断するのは難しいが,より便利で簡便な治療にむすびつく方法を考えてきた.日常の何気ない装具に対する疑問や今後の患者のニーズについて開発をすすめている.車いすに乗ると意外な時に恐怖を感じるという患者もいる.脊髄損傷のレベルによっては前方への体幹の移動は体幹保持ができないと恐怖で,転倒への危険性を回避するために,思い切った走行が困難である.それに対処する装具を考案した.
著者
川村 清志 葉山 茂 青木 隆浩 渡部 鮎美 兼城 糸絵 柴崎 茂光
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は,被災地域における文化的支援が地域の生活文化の復旧に貢献しうるのかについての可能性を検討し,文化的支援の新たな可能性を、フィールドワークを通して検証することができた。東北地方太平洋沖地震後,有形・無形の文化財を救援してきた文化財レスキューは,改めて活動の意味・意義・活用が問われ,被災地の生活を再創造するための手法の確立が求められている。この要請から本研究は,レスキューした被災物についての知識の共有、活用を通じて,文化的支援のモデルを確立する。具体的には民俗学・文化人類学が被災地で果たす文化的支援モデルを構築し,地域文化へのアプローチの手段を深化させるものとする。
著者
青木 隆浩
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.156, pp.245-264, 2010-03-15

近年,世界遺産の制度に「文化的景観」という枠組みが設けられた。この制度は,文化遺産と自然遺産の中間に位置し,かつ広い地域を保護するものである。その枠組みは曖昧であるが,一方であらゆるタイプの景観を文化財に選定する可能性を持っている。ただし,日本では文化的景観として,まず農林水産業に関連する景観が選定された。なぜなら,それが文化財として明らかに新規の分野であったからである。だが,農林水産業に関連する景観は,大半が私有地であり,公共の財産として保護するのに適していない。また,それは広域であるため,観光資源にも向いていない。本稿では,日本ではじめて重要文化的景観に選定された滋賀県近江八幡市の「近江八幡の水郷」と,同県高島市の「高島市海津・西浜・知内の水辺景観」をおもな事例として,この制度の現状と諸問題を明らかにした。